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2018年05月09日
北朝鮮をめぐる首脳会談記事の解読法
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2国間会談のニュースを読み解くときは、必ず双方の言い分についてきちんと整理して理解するように心がけてください。
昨日、金正恩朝鮮労働党委員長が今年2回目の中国訪問を行い、習近平国家主席と会談したことが発表されました。この直後、習主席はトランプ米大統領と電話会談を行いました。米朝首脳会談に向けて、習氏は双方の意見を聞き、中国の存在感を見せつけたわけです。
中朝首脳会談に関する発表では、中国側には米朝首脳会談や非核化に向けた話し合いの内容が明らかにされました。金委員長は、関係国が敵視政策や安全保障上の脅威を取り除くなら非核化は段階的に実現できると述べたそうです。言い換えれば、金正恩体制の存続を認めて各国が経済支援するなら少しずつ核兵器を減らすということです。
しかし、北朝鮮側の発表では、米朝首脳会談や非核化に関する内容は含まれていません。国内的に北朝鮮はまだ非核化に向けた準備ができておらず、本気度は高くないと言えるでしょう。
中朝首脳会談よりも興味深いのは米中電話首脳会談の発表内容の違いです。
中国側は、習主席がトランプ大統領に「北朝鮮の合理的な安全保障の懸念について考慮」を求めたとなっています。「段階的な行動」も促しており、習主席は金委員長から要請を受けて、トランプ大統領に「敵視政策」を放棄するように訴えたのでしょう。ここで言う「段階的な行動」とは、少しずつ制裁を解除して北朝鮮を核放棄の方向に導くということです。制裁解除は「完全な非核化」が実現してからという立場をとるトランプ政権の見解とは異なります。
米側の発表では、同じ電話会談のはずなのに、トランプ大統領と習主席が「北朝鮮が恒久的に核・ミサイル計画を放棄するまでは制裁を継続する重要性で一致した」ことになっています。習主席は「恒久的な核計画放棄まで制裁を続ける」と明言したわけではないでしょう。トランプ大統領の主張に対して、黙って聞いていたか、「常任理事国として安保理決議履行の重要性を認識している」という程度の言い回しでしょう。
外交交渉ではあえて曖昧な表現を使い、相手の言っていることに否定も肯定もしないで聞き流すことがあります。それを受けてどのような発表をするかは当事国の判断です(相手国の発言の趣旨をねじ曲げてしまうと信頼を損ねますが)。ですから、必ず双方の発表文の表現を確認し、どの点で同じような表現が使われ、どの点で差異があるのかを確認しないといけません。双方の発表内容を見て、会談の実態を見極める必要があります。その辺りの解釈をきちんとできるかどうかは記者の力量次第です。
先ほどの日中韓首脳会談後の3人の記者発表を見ても、拉致問題を含めた北朝鮮問題での連携を強調する安倍晋三首相に対して、経済連携協定交渉をはじめとする経済協力に重点を置く李克強首相との間には温度差がありました。また、対話にまい進する文在寅大統領と安倍首相がどこまで一致したと言えるのかどうかも疑問です。
引き続き質問をお待ちしています。
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しかし、北朝鮮側の発表では、米朝首脳会談や非核化に関する内容は含まれていません。国内的に北朝鮮はまだ非核化に向けた準備ができておらず、本気度は高くないと言えるでしょう。
中朝首脳会談よりも興味深いのは米中電話首脳会談の発表内容の違いです。
中国側は、習主席がトランプ大統領に「北朝鮮の合理的な安全保障の懸念について考慮」を求めたとなっています。「段階的な行動」も促しており、習主席は金委員長から要請を受けて、トランプ大統領に「敵視政策」を放棄するように訴えたのでしょう。ここで言う「段階的な行動」とは、少しずつ制裁を解除して北朝鮮を核放棄の方向に導くということです。制裁解除は「完全な非核化」が実現してからという立場をとるトランプ政権の見解とは異なります。
米側の発表では、同じ電話会談のはずなのに、トランプ大統領と習主席が「北朝鮮が恒久的に核・ミサイル計画を放棄するまでは制裁を継続する重要性で一致した」ことになっています。習主席は「恒久的な核計画放棄まで制裁を続ける」と明言したわけではないでしょう。トランプ大統領の主張に対して、黙って聞いていたか、「常任理事国として安保理決議履行の重要性を認識している」という程度の言い回しでしょう。
外交交渉ではあえて曖昧な表現を使い、相手の言っていることに否定も肯定もしないで聞き流すことがあります。それを受けてどのような発表をするかは当事国の判断です(相手国の発言の趣旨をねじ曲げてしまうと信頼を損ねますが)。ですから、必ず双方の発表文の表現を確認し、どの点で同じような表現が使われ、どの点で差異があるのかを確認しないといけません。双方の発表内容を見て、会談の実態を見極める必要があります。その辺りの解釈をきちんとできるかどうかは記者の力量次第です。
先ほどの日中韓首脳会談後の3人の記者発表を見ても、拉致問題を含めた北朝鮮問題での連携を強調する安倍晋三首相に対して、経済連携協定交渉をはじめとする経済協力に重点を置く李克強首相との間には温度差がありました。また、対話にまい進する文在寅大統領と安倍首相がどこまで一致したと言えるのかどうかも疑問です。
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