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2014年01月21日
子供向け 兼 大人向けの超良質な科学まんが
『あさりよしとお』 と言えば、知らない人は知らないが、知ってる人は知っている。
とでも言うべき漫画家だろう。
大ヒットを連発するわけではないが、熱心なファンもついている漫画家である。
その、あさりよしとお氏が長年にわたって連載しているのが、
『まんがサイエンス』というシリーズ漫画である。
このシリーズはロケットや航空、宇宙開発、天体、などや、ロボット、カメラ、CD、人体、など身近な事柄まで、様々な物事を科学的に分かりやすく解説するものである。
このシリーズは一応は児童向けという体裁で書かれてはいる。
が、内容を見る限り、結構専門的な事柄を、これ以上はないくらいに分かりやすく解説しており、
もちろん子供にとっても非常に良い読み物になることは疑いがないが、単に子供向けとしてしまうには、ちょっとレベルが高いので、もったいないのである。
例えば、今日紹介しようとしている 『まんがサイエンス第14巻』 では、初っ端から、
放射性物質、放射線、半減期、核分裂、シーベルトとベクレルの違いなど、原発事故関連でタイムリーな話題について詳細に、漫画家ならではの図案を用いて、これ以上はないというくらい分かりやすく解説される。
はっきり言ってこのシリーズは、子供向けの皮をかぶった、非常に良質な大人向け科学読み物なのである。
科学というものの楽しさを思い出させてくれる、とってもオススメなシリーズである。
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2013年11月14日
でっかい生物についての明確なイメージを持とう
今日ご紹介したい本は、
空想科学読本 [ 柳田 理科雄 ] である。
小説中に、
巨大なドラゴンとか、超高速で疾走する巨大狼とか、
そういうものを登場させたくなることがあるかもしれない。
もちろん、小説中の架空生物には、ファンタジー補正をかけてよいわけだから、
そういうファンタジックな生物について、すべての場合に科学的な考証が必要なわけではない。
でも、大きいとはどういうことなのか。超高速であるとはどういうことなのか。
今回紹介する本は、そういうことについて、
科学的な考察をもとに、分かりやすく解説してくれる名著だ。
例えば分かりやすいところで言えば、象と虫では体の大きさに比較して脚の太さが違う。
象の脚は太いが、虫の脚は細い。
それはなぜか。
それは大きい生物であればあるほど、重くなっていくからであるが、
形が同じであれば、脚の断面積は全長の2乗に比例するのに重さは全長の3乗に比例するので、支えるのがどんどん難しくなるのである。
簡単にするために四角いサイコロで考えてみよう。
1辺が1m真四角の立方体のような生物がいたとして、
その底面積は1平方mであり、
重さは真水と比重が同じということで1000kg=1トンとしよう。
これを単純に形を変えずに全長を10倍にする。
すると底面積は縦×横だから10m×10mで100平方mになる。
つまり脚というか身の太さが100倍だから、支える能力も100倍である。
では重さはどうか。
体積は縦×横×高さだから10m×10m×10mだから1000倍である。
すなわち1000トンになってしまう。
全く同じ形の生物の全長を10倍にすると、
支える能力は100倍にしかならないのに、重さは1000倍になるのである。
だからファンタジー補正無しで、安易に巨大生物を登場させると、存在するだけで自重で潰れるということにもなりかねない。
これは鳥などの飛行する生物の翼面積と体重との関係でも同じことが言える。
現実世界に象やクジラのような大きさの鳥が存在しないのには理由があるのである。
ということは巨大ドラゴンに空を飛ばせようとすれば、何らかのファンタジー補正や、あるいはジェット推進器官のようなものを持たせないといけないということが分かるのである。
この今日ご紹介するシリーズの本は、全編にわたってそのような話に満ちている。
故に、この本を読めば、生物の巨大さとか、あるいは音速のような速さとか、もしくは超高温の温度など、そのような数字を小説中で扱うときの作法や慎重さを学ばせてくれる。
それは小説世界にいくらかのリアリティー(本物らしさ)を加えることができるかもしれない。
ファンタジーやSFの小説書きなら一読はしておくべき本であると思う。
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