2014年01月07日
人間を見守るロボット
先日 『ヨコハマ買い出し紀行』 というマンガを紹介したが、
この作品は文明が衰退した世界であり、その衰退した世界で人間を補助し、あるいは見守るロボットを描いた作品なわけである。
この作品のなかに、ムサシノ運送という会社で配達員として働いている、鷹津ココネというロボットが出てくる。
配達員というのは、現在では人間が行う作業であるが 『ヨコハマ買い出し紀行』 の作品世界では、ロボットが人間が果たしてもよいような役割を人間の代わりに果たしているロボットなわけである。
今日紹介する 『ポストガール』 という作品も、文明の衰退した世界で郵便配達員として働く少女型ロボットを主人公に置いた作品である。
この作品は、ロボットの自意識という問題が主要なテーマになっており、主人公たるロボットの少女は、配達先に郵便を届け、その過程で、あるいは配達先で、物語を紡いでいく。
ロボットに自意識というものが存在し得るのかということは、非常に難しいテーマではある。
けれども、そのロボットを視点人物として一人称の小説を書いているのであれば、
その作品世界では完璧な人間としての自意識が発生している、
という結論が最初から出ているということになってしまうのではないかと個人的には思う。
だから、私は、この作品については、主要テーマである、ロボットの自意識ということよりも、
むしろ、人間を見守るのはなぜロボットなのかということが気にかかった。
人は小さなころは大人に見守られ、年老いると子供に見守られる。
けれども、人類の社会が衰退するという設定の作品では、人を見守るのはロボットなのである。
本作品の主人公も、人を助け、補助する、見守るロボットの類型に当てはまるだろう。
人間と、人間を見守るロボットという関係性についての描いた貴重な作品のひとつなのである。
この本は、短編集の形式をとっており、収録された短編には第1回電撃hp短編小説賞受賞作も入っている。
非常にレベルの高い佳作であるのでとてもオススメである。
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