2013年12月24日
藤子・F・不二雄SFの世界
亡くなって惜しいひとばかり早死にするような気がするが、
ドラえもん作者の藤子・F・不二雄さんが亡くなってだいぶんたつ。
というわけで全集が発売されているようだ。
私はかつて大学生だったが、1年生のころから真面目にやって、単位をひとつも落とさなかったので、大学の3年生の後半から4年生にかけて、超絶暇人になってしまった。
なにしろ週に1回、3時間程度のゼミに行く以外に、なにも用事がなかったんである。
今から考えれば、バイトなどをして有意義に過ごすべきだったと思うが、まあ実際にはネットをしたりブックオフで古本を漁ったりして時間を過ごしていたのであった。
そして、その漁った古本のなかにはドラえもんもある。
小学生が指をくわえて見つめる前で、大人の財力を発揮して、持っていなかった巻を大人買いである。
ドラえもんは、子供のころの懐かしいノスタルジーに浸ろうと思って買ったわけだが、
読んでみると、大人の感覚からしても、普通に面白いのだ。
考えてみるにドラえもんっていうのは、確かに子供向けの漫画であるが、純粋の子供向けっていうばかりの作品でもない。
ドラえもんやらスネ夫やらの発するセリフが、ときどき黒い、というかシビアなのもそうだし、恐竜やら何やらが登場するような話では、わりと難しい科学用語でも、解説付きではあるが、普通に使ってくる。
そしてそれこそが作品に、いわゆる『お子様向け』ではない『本物感』を与え、それが逆に子供を引き付ける結果になっているのだと思う。
つまり子供向けじゃない要素が、ドラえもんに魅力を与えている要素のひとつになっているわけである。
じゃあ、その子供向けじゃない要素だけで藤子・F・不二雄が作品を書けばどうなるだろう。
というわけで、今日紹介するのが、
『藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編シリーズ』である。
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藤子・F・不二雄の描くSF短編は非常に質が高く、極端なエロ・グロ・暴力などもない、が、子供に見せたらちょっとトラウマになりそうなものもあって、そういう意味では大人向けだ。
例えば 『ミノタウロスの皿』 という作品がある。
ある宇宙船のパイロットが、とある惑星に不時着したら、そこは、牛そっくりの宇宙人がいて、その宇宙人は、人間そっくりの生物を『家畜』として飼っているのだった。
宇宙船のパイロットは、その人間そっくりの『家畜』の女性としたしくなるが……
というような筋立ての話である。
この作品などを読むと、藤子・F・不二雄の原型はこっちで、この原型を子供向けに多少ソフトにして、それに夢の要素を追加するとドラえもんになるんだなと思う。
普通のSF短編小説、例えば星新一の諸作品とかと比べても、漫画だから絵があるわけで、そのぶん臨場感もあって、とても良い。
藤子・F・不二雄ファンでかつお金があるなら、ドラえもんも含めて、この全集は全巻揃えるべきだろう。
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