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2016年07月01日

ベータ関数を用いた積分(Excelグラフによる解説付)

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 このブログでは初登場となるベータ関数です。
 計算にはガンマ関数の性質を使いますが、Γ(n + 1) = n! だけ知っていれば解けます。ガンマ関数に関する詳しい解説はこちらを参照してください。

問題23 ベータ関数を用いた積分 [高3★★☆☆☆]

 ベータ関数は次のように定義される関数です:


 また、ベータ関数はガンマ関数と次のような関係で結びついています:


(1) m, n を 0 以上の整数として


を求めてください。

(2) m, n を 0 以上の整数として


を求めてください。

(3) (2) の結果を用いて、 J(2, 1), J(2, 2) および J(2, 3) を計算してください。

[ヒント] (2) は上手く変数変換できるかどうかです。

 解答では久しぶりに Excel のグラフを使ってこの積分の意味を解説する予定です。
 
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解答23

(1) x − 1 = m, y − 1 = n とおけば、


(2) x = 2 t − 1 とおくと、積分範囲は t:0 → 1 となり、


(3) (2) で得られた式に値を代入して、

J(2,1) = 4/3 = 1.333, J(2,2) = J(2,3) = 16/15 = 1.067


解説23

(1) の I(m, n) は ベータ関数の変数を整数に限定して少しずらしたものですから、ベータ関数の性質を反映します。 I(m, n) は m, n の増加に対して明らかな減少関数(つまり、ベータ関数は x, y の増加に対して減少関数)です。たとえば m = 2 と固定して、I(m, n) の被積分関数を

f(t) = t2 (1 − t)n

とおいて、n = 0, 1, 2 のグラフを描いてみると ......

 ベータ積分@修正.gif

 y = f(t) の積分、すなわち y = f(t) と t 軸によって囲まれる面積が急減していく様子がわかります。 (1) の計算結果である

I(m, n) = m! n! / (m + n + 1)!

の形を見ても、分母のほうが大きく、m, n → ∞ で 0 に収束するだろうと直感的にわかりますし、そもそも積分 I(m, n) が区間 [0, 1] での積分ですから、(1 − t)n は n の増加と共に押し潰されていく傾向が式の形から見てとれます。

 対して J(m, n) はその様相が一変します。
 先程と同じように J(m, n) の被積分関数を m = 2 と固定して

f(x) = (1 + x)2 (1 − x)n

とおいて n を変化させてグラフを描いてみます:

 ベータ積分A.gif

 見やすいように、左右 2 枚に分けて描いています。 n:0 ⇒ 1 と変化したときには、f(x) の積分値(面積)は大きく減少しますが、 n:1 ⇒ 2 の変化に対しては、このグラフから判断することはできません。しかし問題で計算したように、

J(2,1) = 4/3 = 1.333, J(2,2) = 16/15 = 1.067

ですから微減していることになります。また J(2, 3) = J(2, 2) ですから n:2 ⇒ 3 では変化なし。そしてこの先 n:3 ⇒ 4 ⇒ 5 では増加に転じていることがわかります。以上のことをより端的に見るために、f = J(2, n) をプロットしてみます:

 ベータ積分B.gif

 n = 0 から少しの間だけ減少し、n = 2, 3 を底にして、n = 4 以降は増加に転じています。

理系英単語K 関数その1


 function 関数
 dependent variable 従属変数
 independent variable 独立変数
 domain 定義域
 range 値域
 even function 偶関数
 odd function 奇関数
 inverse function 逆関数
 explicit function 陽関数
 implicit function 陰関数

 インターネット上の住所でお馴染みの domain は「領域・分野・領地」を表す単語ですが、その印欧祖語(インド・ヨーロッパ祖語)は dem(家)という素朴な言葉でした。
 dem の変化形 dom-o-no がラテン語に入って dominus(家の主人)となり、そこから dominate(支配する)、dominion(統治権・支配)、domain(領地)などの英単語が派生していきました。時代を経るごとに「家」が「支配する土地全域」という概念にまで広がったのですね。「女領主」という意味合いで Madam(貴婦人)という言葉も生まれています。
 面白いのは danger(危険)もまた dem, dominus を語源とする単語だということ。「???」と首を傾げてしまいますが、「横暴な領主は時として領民に危害を及ぼす」という意味があるそうです。確かに独裁者こそ人々の生活を脅かすもっとも危険な存在かもしれないですね。昔の人は実に上手いこと言ったものです。
   
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