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2017年06月30日
米国物価指標「PCEコアデフレータ」・実態指標「PCE・個人所得」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月30日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月30日21:30に米国物価指標「PCEコアデフレータ」・実態指標「PCE・個人所得」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
個人消費(PCE)と個人所得は消費者の経済活動を表した実態指標ですが、PCEコアデフレータはエネルギー・食料を除いた個人消費の物価動向を示した物価指標です。
同時発表される個人消費(PCE)・個人所得・PCEコアデフレータにおいて、PCEコアデフレータが重視されています。これは、FRBが重視する物価指標がCPIでなくPCEコアデフレータと言われているためです。その理由は、PCEコアデフレータよりもCPIには上方バイアスが生じるため、という解説があります。何を言っているのかはさておき、PCEデフレータが重要視されることはわかります。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。発表結果が後日修正されていても、それは反映していません。そして、下表は、どの項目が反応方向に影響を強く与えているかを調べています。
この表から、PCEコアデフレータ・PCE・個人所得のいずれも、反応方向に強い影響を及ぼしていないことがわかります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
指標発表時点から見ると、直後1分足と直後11分足との方向一致率は81です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各77%・73%です。追撃に適した指標です。
そして、直後1分足終値がついた時点から見ると、直後11分足終値の反応が伸びる確率は59%です。直後1分足足終値の値幅を削ったり反応が反転することは41%となっています。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が73%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が3pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以下は2017年7月1日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は個人所得が市場予想を上回った他、市場予想通りでした。反応は陰線で、直後11分足は途中反転して陽線に転じました。
指標全体としては、市場予想通りもしくは市場予想を上回っても、前回結果に対しデフレータ・PCEが低下しており、これが初期反応を陰線にした原因と思われます。
取引結果は次の通りでした。
3度目の追撃は陽線に転じてからで、指標発表の影響期間内と考えると、これは逆張りになります。反省します。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月30日21:30に米国物価指標「PCEコアデフレータ」・実態指標「PCE・個人所得」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 反応は小さく、方向は同時発表されるどの項目が大きくても小さくてもあまり規則性がありません。
最も初期反応(直後1分足跳幅)の方向に影響を与えるのは、PCE前月比です。がしかし、直後1分足終値は、発表結果と市場予想との差異方向と同方向に反応したことが58%しかありません。
指標結果の良し悪しを真面目に分析してもあまり意味がありません。 - 指標発表前のローソク足の方向は、指標発表後の反応方向を示唆している兆しがありません。
- がしかし、追撃には適しています。
指標発表時点から見ると、直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各77%・73%です。
そして、直後1分足終値がついた時点から見ても、直後11分足終値の反応が伸びる確率は59%で、直後1分足足終値の値幅を削ったり反応が反転することは41%です。
反応方向を確認次第、追撃ポジションが取れます。 - 以上の調査・分析結果に基づき、初期反応を確認次第、追撃ポジションを取ります。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
個人消費(PCE)と個人所得は消費者の経済活動を表した実態指標ですが、PCEコアデフレータはエネルギー・食料を除いた個人消費の物価動向を示した物価指標です。
同時発表される個人消費(PCE)・個人所得・PCEコアデフレータにおいて、PCEコアデフレータが重視されています。これは、FRBが重視する物価指標がCPIでなくPCEコアデフレータと言われているためです。その理由は、PCEコアデフレータよりもCPIには上方バイアスが生じるため、という解説があります。何を言っているのかはさておき、PCEデフレータが重要視されることはわかります。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。発表結果が後日修正されていても、それは反映していません。そして、下表は、どの項目が反応方向に影響を強く与えているかを調べています。
この表から、PCEコアデフレータ・PCE・個人所得のいずれも、反応方向に強い影響を及ぼしていないことがわかります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
指標発表時点から見ると、直後1分足と直後11分足との方向一致率は81です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各77%・73%です。追撃に適した指標です。
そして、直後1分足終値がついた時点から見ると、直後11分足終値の反応が伸びる確率は59%です。直後1分足足終値の値幅を削ったり反応が反転することは41%となっています。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が73%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が3pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以上
2017年6月30日21:30発表
以下は2017年7月1日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は個人所得が市場予想を上回った他、市場予想通りでした。反応は陰線で、直後11分足は途中反転して陽線に転じました。
指標全体としては、市場予想通りもしくは市場予想を上回っても、前回結果に対しデフレータ・PCEが低下しており、これが初期反応を陰線にした原因と思われます。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
3度目の追撃は陽線に転じてからで、指標発表の影響期間内と考えると、これは逆張りになります。反省します。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 反応はいつもよりやや大きく、初期反応の方向はPCE前月比が前回結果を下回ったため陰線となりました。
- 追撃には適しているという事前分析結論は外しました。方向が反転してしまうと、勝率が下がります。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
欧州物価指標「HICP速報値」発表前後のEURJPY反応分析(2017年6月30日18:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月30日18:00に欧州物価指標「HICP速報値」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
調査・分析の結論は以下の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
まず、EU以外の日米独英豪等の主要国では、消費者物価指数をCPIと表します。欧州のそれだけがHICP(= Harmonized Indices of Consumer Prices)と表記されます。FX参加者にとってはHICPもCPIも同じ内容だと思っていても構いません。
欧州委員会が毎月中旬に先月のデータを公表しています。速報値では前年比のみが発表されます。
消費者物価指数は、一般消費者から見た商品・サービスの価格変化を表しています。
ECB(欧州中央銀行)は、実質的にインフレ目標(前年比2%付近で以下)を設定しています。現在、その近辺まで回復したという見方と、まだ目標付近に安定していないという見方があり、ECB政策に絡むだけに本指標は重要視されています。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、下表は、HICPとコアHICPのどちらが反応方向に影響を強く与えているかを調べています。
いずれも高い一致率とは言えないものの、どちらかと言えばHICPの方が反応方向との一致率が高いようです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前10-1分足は過去平均で跳幅が9pips、値幅が6pipsです。方向に偏りは見受けられません。
直前1分足は過去平均で跳幅が5pips、値幅が3pipsです。陰線率が85%と明らかに偏っており、直後1分足との方向一致率が26%(不一致率74%)となっています。
直後1分足は過去平均で跳幅が10pips、値幅が8pipsです。陽線率が82%と明らかに偏っており、直後11分足との方向一致率が74%となっています。
直後11分足は過去平均で跳幅が22pips、値幅が15pipsです。陽線率が70%と偏りが目立っています。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
まず、指標発表時点を基準に確率を見てみましょう。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は74%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各60%・60%です。
追撃は適しているものの、追撃は様子を見ながら跳幅を狙って短期利確した方が良さそうです。
次に、直後1分足終値がついた時点を基準に確率を見てみます。
直後1分足が形成されてしまうと、直後11分足終値がそれよりも伸びることが44%で、伸びずに直後1分足値幅を削ったり方向反転することが56%になってしまいます。
早めの追撃、短期利確、がやはり良さそうです。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が85%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が5pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
また、直後1分足・直後11分足は陽線率が各82%・70%となっています。もし追撃を繰り返すなら、陽線側に反応したときが良さそうです。
直前1分足は直後1分足との方向一致率が26%となっています。これは、上述の通り、それぞれの陰線率・陽線率に偏りがあるので、それと同じことを矛盾なく示しているだけです。
その他、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている兆しはありません。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
全体的には市場予想は高め、発表結果はそれより更に高め、こうした傾向が続いている結果、前回発表値を超える傾向が見受けられます。
方向一致率に70%以上もしくは30%以下の目立った特徴はありません。素直に反応することが3回に2回以下、ということが特徴と言えるでしょう。
以上の調査・分析結果を巻頭箇条書きに整理しておきます。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以下は
年月日
に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前年比速報値・コア前年比速報値ともに市場予想を上回り、反応は陰線でした。但し(おそらく)指標発表直後は陽線側に反応したと見られる上ヒゲを、直後1分足は残しています。
この結果と反応の解釈としては三通り考えられます。
ひとつは、コアCPI上昇(前月結果に対して)はECBの緩和縮小議論を進めやすくなります。緩和縮小(引締)はEUR売に繋がるので陰線で反応した、という解釈です。もうひとつは、コアCPIが1.1%という数字がECBが目標とする2%弱というレベルに達していないから、という解釈です。そして、6月27日以降のEUR急騰に対し、週末イベント終了による一旦清算が行われた、という解釈です。
いずれが正解かはわかりませんが、市場予想を上回っての陰線ですから、何か理由があるのでしょう。
直後1分足が上ヒゲを形成したのは、発表結果が市場予想を上回ったので素直に反応したのだと思われます。それが1分もたなかったということは、上記三つの仮説のうち、どれかか全部が強い理由だったのでしょう。
取引できませんでした。
ふと気が付いたら、時間が過ぎていました。16:30〜19:00は、どうしてもこんなことが増えてしまいます。準備をしていたのに残念です。
事前調査分析内容を、以下に検証します
取引できなかったので省略します。
直後1分足を陽線と見込んで、当てたらすぐ利確というのは正解でしたが、その後の追撃で損切となっていたかもしれません。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月30日18:00に欧州物価指標「HICP速報値」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
調査・分析の結論は以下の通りです。
- 反応程度は、直後1分足・直後11分足の値幅は各8pips・15pipsと小さいと言えます。反応方向は市場予想や発表結果に影響されるものの、素直に反応したことは3回に2回にも達していません。
指標の分析が例え完璧でも、取引には気を付ける必要があります。 - 素直に反応するとは言えない理由として、指標結果に関わりなく、直前1分足の陰線率や直後1分足・直後11分足の陽線率が高いことが挙げられます。それぞれ、85%・82%・70%と、かなり偏りが目立ちます。
- 追撃するなら、早めにポジションを取って短期利確を薦めます。
指標発表時点を基準にすると、直後1分足と直後11分足との方向一致率は74%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各60%・60%です。この数字は、追撃に適しているものの、様子を見ながら跳幅を狙って短期利確した方が良い、と解釈します。
そして、直後1分足終値がついた時点を基準にすると、直後11分足終値がそれよりも伸びることが44%で、伸びずに直後1分足値幅を削ったり方向反転することが56%になってしまいます。
早めの追撃、短期利確、が良さそうです。 - ECB(欧州中央銀行)は、実質的にインフレ目標(前年比2%付近で以下)を設定しています。現在、その近辺まで回復したという見方と、まだ目標付近に安定していないという見方があり、ECB政策に絡むだけに本指標は重要視されています。
現時点で市場予想はかなり低めとなっています。この市場予想がそのままで取引参加者が予想通りと捉えていた場合、いつもの反応とは異なり、指標発表前後は陰線が続く可能性があります。 - 以上の調査・分析結果に基づき、次のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
反応は小さいので、以前はよく陽線側にヒゲを残すことが多かったので、高値掴みをしないように気を付けましょう。実際のチャートで上下動の呼吸のようなものを掴む練習に良いでしょう。
(2) 直後1分足は陽線と見込みます。
これも過去平均の跳幅は10pipsですから、当たればすぐに利確のイメージです。
(3) 追撃は、指標発表から時間が経つに連れて不利になると見込みます。やるなら1回、早めにポジションを取り、短期利確です。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
まず、EU以外の日米独英豪等の主要国では、消費者物価指数をCPIと表します。欧州のそれだけがHICP(= Harmonized Indices of Consumer Prices)と表記されます。FX参加者にとってはHICPもCPIも同じ内容だと思っていても構いません。
欧州委員会が毎月中旬に先月のデータを公表しています。速報値では前年比のみが発表されます。
消費者物価指数は、一般消費者から見た商品・サービスの価格変化を表しています。
ECB(欧州中央銀行)は、実質的にインフレ目標(前年比2%付近で以下)を設定しています。現在、その近辺まで回復したという見方と、まだ目標付近に安定していないという見方があり、ECB政策に絡むだけに本指標は重要視されています。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、下表は、HICPとコアHICPのどちらが反応方向に影響を強く与えているかを調べています。
いずれも高い一致率とは言えないものの、どちらかと言えばHICPの方が反応方向との一致率が高いようです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前10-1分足は過去平均で跳幅が9pips、値幅が6pipsです。方向に偏りは見受けられません。
直前1分足は過去平均で跳幅が5pips、値幅が3pipsです。陰線率が85%と明らかに偏っており、直後1分足との方向一致率が26%(不一致率74%)となっています。
直後1分足は過去平均で跳幅が10pips、値幅が8pipsです。陽線率が82%と明らかに偏っており、直後11分足との方向一致率が74%となっています。
直後11分足は過去平均で跳幅が22pips、値幅が15pipsです。陽線率が70%と偏りが目立っています。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
まず、指標発表時点を基準に確率を見てみましょう。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は74%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各60%・60%です。
追撃は適しているものの、追撃は様子を見ながら跳幅を狙って短期利確した方が良さそうです。
次に、直後1分足終値がついた時点を基準に確率を見てみます。
直後1分足が形成されてしまうと、直後11分足終値がそれよりも伸びることが44%で、伸びずに直後1分足値幅を削ったり方向反転することが56%になってしまいます。
早めの追撃、短期利確、がやはり良さそうです。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が85%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が5pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
また、直後1分足・直後11分足は陽線率が各82%・70%となっています。もし追撃を繰り返すなら、陽線側に反応したときが良さそうです。
直前1分足は直後1分足との方向一致率が26%となっています。これは、上述の通り、それぞれの陰線率・陽線率に偏りがあるので、それと同じことを矛盾なく示しているだけです。
その他、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている兆しはありません。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
全体的には市場予想は高め、発表結果はそれより更に高め、こうした傾向が続いている結果、前回発表値を超える傾向が見受けられます。
方向一致率に70%以上もしくは30%以下の目立った特徴はありません。素直に反応することが3回に2回以下、ということが特徴と言えるでしょう。
以上の調査・分析結果を巻頭箇条書きに整理しておきます。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以上
2017.xx/xx.xx:xx発表
以下は
年月日
に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前年比速報値・コア前年比速報値ともに市場予想を上回り、反応は陰線でした。但し(おそらく)指標発表直後は陽線側に反応したと見られる上ヒゲを、直後1分足は残しています。
この結果と反応の解釈としては三通り考えられます。
ひとつは、コアCPI上昇(前月結果に対して)はECBの緩和縮小議論を進めやすくなります。緩和縮小(引締)はEUR売に繋がるので陰線で反応した、という解釈です。もうひとつは、コアCPIが1.1%という数字がECBが目標とする2%弱というレベルに達していないから、という解釈です。そして、6月27日以降のEUR急騰に対し、週末イベント終了による一旦清算が行われた、という解釈です。
いずれが正解かはわかりませんが、市場予想を上回っての陰線ですから、何か理由があるのでしょう。
直後1分足が上ヒゲを形成したのは、発表結果が市場予想を上回ったので素直に反応したのだと思われます。それが1分もたなかったということは、上記三つの仮説のうち、どれかか全部が強い理由だったのでしょう。
(5-2. 取引結果)
取引できませんでした。
ふと気が付いたら、時間が過ぎていました。16:30〜19:00は、どうしてもこんなことが増えてしまいます。準備をしていたのに残念です。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 反応の程度は、直後1分足・直後11分足の値幅が各0pips・5pipsと、平均的な反応程度より小さくなりました。
反応の方向は、過去のデータで素直に反応したことが3回に2回にも達していません。今回も発表直後こそ上ヒゲを形成して素直に反応したものの、その影響は1分も保ちませんでした。 - 直前1分足は陰線、直後1分足は同値、直後11分足も陰線、となりました。指標発表以降の分析は外しています。
- 追撃するなら、早めにポジションを取って短期利確を薦めました。直後1分足には上ヒゲがあるので、うまくやれば利確できたかも知れません。
がしかし、4本足チャートを見る限りでは、今回の追撃は少し発表から時間が過ぎてから、陰線側に伸びると見込んだ方が良かったでしょう。これは事前分析では想定しなかった動きです。順張りでポジションを取ったなら損切となっていたでしょう。 - 事前に指標発表後の陰線を想定していたのは、発表結果が市場予想と同値ないしは下回った場合です。よって、分析を当てたことにはなりません。
(6-2. シナリオ検証)
取引できなかったので省略します。
直後1分足を陽線と見込んで、当てたらすぐ利確というのは正解でしたが、その後の追撃で損切となっていたかもしれません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年06月29日
英国経済指標「四半期GDP確定値」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年6月30日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月30日17:30に英国経済指標「四半期GDP確定値」が発表されます。今回発表は2017年1-3月期分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
※ 間違えて事前分析結論は削除してしまったようです。内容は「6-1.分析検証」で、反省を踏まえて記載しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
GDPは国内経済活動を総合的に表すので、その国の経済状況が良くなっているのか悪くなっているのかが一目瞭然です。英国四半期GDPは「速報値」「改定値」「確定値」の3回発表されます。
GDP確定値は、英国国家統計局が32月・6月・9月・12月の下旬に前四半期分を発表しています。
EU離脱国民投票後、一時は成長がマイナスになるという解説記事さえあったものの、2016年はかなり好調でした。それだけに2017年は成長鈍化と見込まれています。さすがにマイナスという解説はなくなりました。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの16回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上表は、前回確報値と確報値市場予想をプロットしています。一方、下表は前回改定値と確報値市場予想と確報値発表結果を用いて、前期比と前年比の反応への影響度を調べています。
結果、前期比の影響の方が前年比の影響よりも反応方向との一致率が高いことがわかります。
ただ、確報値は改定値との差があまり生じません。過去16回のうち、事前差異はたった2回、事後差異と実態差異はたった6回しか、差が生じていません。上表の100%や0%とは、この数回の差が生じたときについて方向一致率を求めたものです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各77%・69%です。つまり、本指標は指標発表後の追撃に適しており、直後11分足終値が直後1分足終値よりも反応が伸びたことが3回に2回以上となっています。
次に、直後1分足終値がついた時点を基準に考えてみましょう。
直後1分足終値がついてから、順張り方向に反応を伸ばしたことは56%です。一方、直後1分足と直後11分足の方向が同じでも、直後1分足終値から値幅を削ったことが25%です。そして、直後1分足と直後11分足とが反転したことは19%しかありません。やはり、追撃に適した指標ということができます。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
過去発表時に陽線・陰線への偏りはありません。
また、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、方向一致率・不一致率が70%を超えていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている兆しは見受けられません。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
確報値は改定値と同じになることが多く、「差があるときだけ」に着目している本分析のデータ数が少ないため、分析の確度はあまりアテにできません。
シナリオは巻頭箇条書きをご参照願います。
以下は2017年7月1日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前期比・前年比ともに改定値通り・市場予想通りでした。反応は直後1分足が陽線、直後11分足が陰線でした。
英国GDP確定値が改定値からの変更が少ないことは予め指摘通りです。
初期反応が陽線となったことは「成長率が悪化していない以上、次回のMPCでの利上げ派の足を引っ張らないから」と解釈すれば良いでしょう。それに、同時発表された「企業投資」が市場予想通り前期比+0.6%で、前期結果△0.9%を上回ったから、と解釈できます。企業投資は、6月28日のBOE総裁発言で「消費の落ち込みを相殺できているか注視する」との発言があったので。
反応方向が反転した原因は、ざっくり2つ考えられます。
ひとつは、6月28日のBOE総裁発言で上昇トレンドが加速していたので、週末イベントを終えて一部ロング解消の動きに繋がった可能性があります。もうひとつはブルームバーグ解説記事が指摘する「貯蓄所得のうち貯蓄に回る比率が1.7%」で、この数値は「前期結果3.3%を下回り、1963年の統計開始以降で最低」だったため、という可能性があります。
どちらが原因か、他にも原因があるのか、実際のところはわからないものの、本指標発表時に過去19%(5回に1回)しか直後1分足と直後11分足が反転したことがなく、結局、23時頃にはGBPUSDが再び上昇に転じたことを踏まえると、週末一服感よりも貯蓄率の悪化が、今後なお一層の消費落ち込みに繋がると、少し時間をおいて解釈されたという方が納得しやすい気がします。
取引結果は次の通りでした。
予定通り追撃ポジションを取ったものの上昇の勢いが弱い様子が見て取れたため、6月28日以降のGBP上昇から「週末の一旦利確」を念頭に不安感から両建て(買ポジションを清算しないまま、売ポジションを持つ)をしました。結果、陰線に転じたことを確認し、最初の買ポジションを清算し、売ポジションの伸びで損失を取り返しました。
両建て実施時点において、最初の買ポジションは高値掴みをしており、確か6pips程度の含損を抱えていたと記憶しています。今回はうまくいきましたが、もし買ポジション解消後にもう一度反転して上昇に転じていたら、損失を増やすことになるので、あまり良い勝ち方ではありません。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月30日17:30に英国経済指標「四半期GDP確定値」が発表されます。今回発表は2017年1-3月期分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
※ 間違えて事前分析結論は削除してしまったようです。内容は「6-1.分析検証」で、反省を踏まえて記載しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
GDPは国内経済活動を総合的に表すので、その国の経済状況が良くなっているのか悪くなっているのかが一目瞭然です。英国四半期GDPは「速報値」「改定値」「確定値」の3回発表されます。
GDP確定値は、英国国家統計局が32月・6月・9月・12月の下旬に前四半期分を発表しています。
EU離脱国民投票後、一時は成長がマイナスになるという解説記事さえあったものの、2016年はかなり好調でした。それだけに2017年は成長鈍化と見込まれています。さすがにマイナスという解説はなくなりました。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの16回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上表は、前回確報値と確報値市場予想をプロットしています。一方、下表は前回改定値と確報値市場予想と確報値発表結果を用いて、前期比と前年比の反応への影響度を調べています。
結果、前期比の影響の方が前年比の影響よりも反応方向との一致率が高いことがわかります。
ただ、確報値は改定値との差があまり生じません。過去16回のうち、事前差異はたった2回、事後差異と実態差異はたった6回しか、差が生じていません。上表の100%や0%とは、この数回の差が生じたときについて方向一致率を求めたものです。
- 6月28日、BOE総裁は「MPCは今後数か月以内に利上げを討議する必要」と発言しました。前提は「英国経済が完全稼働の状態に近づいたら」で、文脈の指す完全稼働とは「企業投資がどの程度、消費の落ち込みを相殺しているか(消費単独の数字でなく総合的な数字)」で、「金融刺激策の一部引締が必要になる公算がある」というのが発言内容です。
この発言の影響は既にGBPレートに折込まれつつあるものの、本指標発表時刻が近づくにつれて値動きが激しくなる恐れがあり、29日以降のGBPの高騰具合によっては逆に反落する可能性があります。
いつもの確定値発表時よりも慎重に取引する必要があります。今夜から明日の発表時刻までのプロの解説記事には注視しておきましょう。 - 通常では、中程度(20pips前後)で素直な反応となる傾向があります。
確報値は市場予想が前回改定値となっていることが多く、また、その市場予想もほぼ当たります(改定値と同じになることが多い)。過去16回の確報値発表時の市場予想が前回改定値と異なったことは2回(13%)、発表結果が市場予想と異なったことは6回(38%)しかありません。 - 反応への影響は、前期比の差>前年比の差、です。残念ながら、今回の市場予想は前期比・前年比ともに市場予想が前回改定値と同値となっています。
- 指標発表時点から見て、直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各77%・69%です。つまり、本指標は指標発表後の追撃に適しており、直後11分足終値が直後1分足終値よりも反応が伸びたことが3回に2回以上となっています。
反応方向確認次第、追撃ポジションを取りやすい指標です。 - 次に、直後1分足終値がついた時点では、次のようになります。
直後1分足終値がついてから、順張り方向に反応を伸ばしたことは56%です。一方、直後1分足と直後11分足の方向が同じでも、直後11分足値幅が直後1分足終値から値幅を削ってしまったことが25%です。そして、直後1分足と直後11分足とが反転したことは19%しかありません。
もしポジション取得が少し遅れても、やはり追撃に適した指標という結論に変わりません。
リスクは前述の通り、29日以降のGBPが高騰し過ぎていた場合(148円もしくは148.7円付近)、本発表後に反転する可能性が高まっている、という点です。 - 以上の調査・分析結果に基づき、指標発表後は反応方向への追撃を複数回実施します。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各77%・69%です。つまり、本指標は指標発表後の追撃に適しており、直後11分足終値が直後1分足終値よりも反応が伸びたことが3回に2回以上となっています。
次に、直後1分足終値がついた時点を基準に考えてみましょう。
直後1分足終値がついてから、順張り方向に反応を伸ばしたことは56%です。一方、直後1分足と直後11分足の方向が同じでも、直後1分足終値から値幅を削ったことが25%です。そして、直後1分足と直後11分足とが反転したことは19%しかありません。やはり、追撃に適した指標ということができます。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
過去発表時に陽線・陰線への偏りはありません。
また、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、方向一致率・不一致率が70%を超えていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている兆しは見受けられません。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
確報値は改定値と同じになることが多く、「差があるときだけ」に着目している本分析のデータ数が少ないため、分析の確度はあまりアテにできません。
【4. シナリオ作成】
シナリオは巻頭箇条書きをご参照願います。
以上
2017年6月30日17:30発表
以下は2017年7月1日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前期比・前年比ともに改定値通り・市場予想通りでした。反応は直後1分足が陽線、直後11分足が陰線でした。
英国GDP確定値が改定値からの変更が少ないことは予め指摘通りです。
初期反応が陽線となったことは「成長率が悪化していない以上、次回のMPCでの利上げ派の足を引っ張らないから」と解釈すれば良いでしょう。それに、同時発表された「企業投資」が市場予想通り前期比+0.6%で、前期結果△0.9%を上回ったから、と解釈できます。企業投資は、6月28日のBOE総裁発言で「消費の落ち込みを相殺できているか注視する」との発言があったので。
反応方向が反転した原因は、ざっくり2つ考えられます。
ひとつは、6月28日のBOE総裁発言で上昇トレンドが加速していたので、週末イベントを終えて一部ロング解消の動きに繋がった可能性があります。もうひとつはブルームバーグ解説記事が指摘する「貯蓄所得のうち貯蓄に回る比率が1.7%」で、この数値は「前期結果3.3%を下回り、1963年の統計開始以降で最低」だったため、という可能性があります。
どちらが原因か、他にも原因があるのか、実際のところはわからないものの、本指標発表時に過去19%(5回に1回)しか直後1分足と直後11分足が反転したことがなく、結局、23時頃にはGBPUSDが再び上昇に転じたことを踏まえると、週末一服感よりも貯蓄率の悪化が、今後なお一層の消費落ち込みに繋がると、少し時間をおいて解釈されたという方が納得しやすい気がします。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
予定通り追撃ポジションを取ったものの上昇の勢いが弱い様子が見て取れたため、6月28日以降のGBP上昇から「週末の一旦利確」を念頭に不安感から両建て(買ポジションを清算しないまま、売ポジションを持つ)をしました。結果、陰線に転じたことを確認し、最初の買ポジションを清算し、売ポジションの伸びで損失を取り返しました。
両建て実施時点において、最初の買ポジションは高値掴みをしており、確か6pips程度の含損を抱えていたと記憶しています。今回はうまくいきましたが、もし買ポジション解消後にもう一度反転して上昇に転じていたら、損失を増やすことになるので、あまり良い勝ち方ではありません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 6月28日のBOE総裁発言でGBPが高騰していたので、指標発表後に反落する可能性は、その通りになったと見受けられます。
但し、その原因は「一旦清算」「週末清算」だけでなく、貯蓄率の低下が市場に認知されるまで少し時間を要した(発表から1分弱)、という可能性もあります。 - 今回は発表値が前回同値・市場予想同値だったので、分析対象外です。事前分析に挙げた「素直な反応」というのは、結果と前回・予想との差が生じた場合を対象にしています。現在の市場環境に照らして素直な反応と解釈できるものの、これは「分析通り」というのとは違います。
事前分析で当てたことは、確報値が前回改定値と同値になりやすいことだけです。 - 直後1分足と直後11分足との方向が反転しており、過去の傾向と異なる結果でした。指標発表から1-2秒で追撃ポジション(ロング)を取り、10-20秒後に解消、というのでなければ、追撃で利確はできなかったと思われます。
現実問題として、発表から1-2秒でポジションを取ることは難しく、今回は分析を外した、と反省します。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年06月28日
日本物価指標「CPI・東京都区CPI」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月30日08:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月30日08:30に日本物価指標「全国CPI・東京都区CPI(消費者物価指数)」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。基本的に反応が小さく、取引には適していません。
同時に、雇用指標「失業率・有効求人倍率」も発表されます。がしかし、これも反応は小さく取引に適していません。
これら指標は、日銀金融政策の解説を読み解くために、定期的に着目しています。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。
結論は次の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
総務省統計局に依れば、「全国CPI(消費者物価指数)は、全国の世帯が購入する財及びサービスの価格変動を総合的・時系列的に測定したもの」であり、「家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によってどう変化するかを指数値で示したもの」と定義されています。
発表内容は、「総合指数」「生鮮食品を除く総合指数」「生鮮食品とエネルギーを除く総合指数」で、それぞれ海外各国の「CPI」「コアCPI」「コアコアCPI(海外主要国ではこれをコアCPIと表記しています)」に相当します。
統計範囲に含まれない対象として、非消費支出の直接税や社会保険料等や、貯蓄・財産購入のための支出である有価証券・土地・住宅等の購入等は、指数の対象に含まれていません。信仰・祭祀費、寄付金、贈与金、他の負担費及び仕送り金等も、含まれません。
同時に、東京都区部CPIも発表されます。
後述するように、本指標発表では、全国CPIよりも東京都区CPIに素直に反応しがちです。東京都区CPIが前回結果より上昇すると見込まれていれば、発表前後10分足は陰線となりがちです(3回に2回程度)。
また、東京都区CPIは全国CPIよりも調査対象期間が1か月先行しているものの、両指標が同時発表されるため、FX参加者にとって先行性の意義はありません。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
それぞれ、反応への影響を調べておきましょう。
例えば、上表で事後差異・直後1分足・跳幅が「33%」となっているのは、「物価上昇するとUSDJPYが過去33%が上昇事例(JPYが売られた事例)」と読みます。
米国CPIが上昇すると、USDが買われます。同様に、日本CPIが上昇するとJPYが買われます。よって、日本CPIが上昇したときにはUSDJPYが下がれば「素直な反応」と言えます。よって、この表は「素直でない反応」となった比率を表しています。
結果は、全国CPIよりも東京都区CPIに素直に反応しがちだったことがわかります。東京都区CPIが前回結果より上昇すると見込まれていれば、発表前後10分足は陰線となりがちです(3回に2回程度)。
次に前述の通り、全国CPIと東京都区CPIとは、調査対象月に1か月ずれがあります。こうした総務省の調査・公開目的は、全国CPIの推移を東京都区CPIで先行して把握するためです。総務省はそれで良いでしょう。
でもこれは、「FX参加者にとって、東京都区CPIが全国CPIよりも1か月の先行性を持つ」と助言すべき内容ではありません。なぜなら、これら指標は同時発表されるのです。
つまり、いかに両指標のグラフが相似形であっても、「前月」発表の東京都区CPIを参考にして、「当月」発表の全国CPIの結果が市場予想を上回るか下回るかなんて、取引には関係ありません。もしそうなら、「当月」も「来月」を当てる東京都区CPIにか、FX参加者は興味ないからです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
1番上の直前10-1分足は2016年6月の下ヒゲが69pipsですが、チャートは20pisでカットしています。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
以下、データと計算結果のみ示します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月30日19時頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は東京都区コアはCPIが前回結果・市場予想を下回り、反応は陰線でした。
取引予定はありませんでした。
事前調査分析内容を、以下に検証します
昨年12月を最後に取引実績がありません。
次回発表予定は7月28日08:30です。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月30日08:30に日本物価指標「全国CPI・東京都区CPI(消費者物価指数)」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。基本的に反応が小さく、取引には適していません。
同時に、雇用指標「失業率・有効求人倍率」も発表されます。がしかし、これも反応は小さく取引に適していません。
これら指標は、日銀金融政策の解説を読み解くために、定期的に着目しています。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。
結論は次の通りです。
- 取引には向かない指標です。過去平均の直後1分足跳幅は92%が2pips以下となっています。
- 本指標発表前後10分間は、東京都区コアCPIの結果に反応しがちです。東京都区CPIが前回結果より上昇すると見込まれていれば、発表前後10分足は陰線となりがちです(3回に2回程度)。
米国CPIが上昇するとUSDが買われます。同様に、日本CPIが上昇するとJPYが買われます。よって、日本CPIが上昇したときにはUSDJPYが下がれば「素直な反応」と言えます。指標結果の増減と反応方向との関係が海外指標の発表時とは逆方向となるので、その点はご注意ください。 - 一部の指標解説記事には、東京都区CPIは全国CPIよりも調査対象期間が1か月先行しているため、「1か月の先行性がある」と説明されています。がしかし、これら両指標は同時発表されるため、FX参加者にとって先行性の意義は全くありません。
- 本指標での取引は行いません。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
総務省統計局に依れば、「全国CPI(消費者物価指数)は、全国の世帯が購入する財及びサービスの価格変動を総合的・時系列的に測定したもの」であり、「家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によってどう変化するかを指数値で示したもの」と定義されています。
発表内容は、「総合指数」「生鮮食品を除く総合指数」「生鮮食品とエネルギーを除く総合指数」で、それぞれ海外各国の「CPI」「コアCPI」「コアコアCPI(海外主要国ではこれをコアCPIと表記しています)」に相当します。
統計範囲に含まれない対象として、非消費支出の直接税や社会保険料等や、貯蓄・財産購入のための支出である有価証券・土地・住宅等の購入等は、指数の対象に含まれていません。信仰・祭祀費、寄付金、贈与金、他の負担費及び仕送り金等も、含まれません。
同時に、東京都区部CPIも発表されます。
後述するように、本指標発表では、全国CPIよりも東京都区CPIに素直に反応しがちです。東京都区CPIが前回結果より上昇すると見込まれていれば、発表前後10分足は陰線となりがちです(3回に2回程度)。
また、東京都区CPIは全国CPIよりも調査対象期間が1か月先行しているものの、両指標が同時発表されるため、FX参加者にとって先行性の意義はありません。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
それぞれ、反応への影響を調べておきましょう。
例えば、上表で事後差異・直後1分足・跳幅が「33%」となっているのは、「物価上昇するとUSDJPYが過去33%が上昇事例(JPYが売られた事例)」と読みます。
米国CPIが上昇すると、USDが買われます。同様に、日本CPIが上昇するとJPYが買われます。よって、日本CPIが上昇したときにはUSDJPYが下がれば「素直な反応」と言えます。よって、この表は「素直でない反応」となった比率を表しています。
結果は、全国CPIよりも東京都区CPIに素直に反応しがちだったことがわかります。東京都区CPIが前回結果より上昇すると見込まれていれば、発表前後10分足は陰線となりがちです(3回に2回程度)。
次に前述の通り、全国CPIと東京都区CPIとは、調査対象月に1か月ずれがあります。こうした総務省の調査・公開目的は、全国CPIの推移を東京都区CPIで先行して把握するためです。総務省はそれで良いでしょう。
でもこれは、「FX参加者にとって、東京都区CPIが全国CPIよりも1か月の先行性を持つ」と助言すべき内容ではありません。なぜなら、これら指標は同時発表されるのです。
つまり、いかに両指標のグラフが相似形であっても、「前月」発表の東京都区CPIを参考にして、「当月」発表の全国CPIの結果が市場予想を上回るか下回るかなんて、取引には関係ありません。もしそうなら、「当月」も「来月」を当てる東京都区CPIにか、FX参加者は興味ないからです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
1番上の直前10-1分足は2016年6月の下ヒゲが69pipsですが、チャートは20pisでカットしています。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
以下、データと計算結果のみ示します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月30日08:30発表
以下は2017年6月30日19時頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は東京都区コアはCPIが前回結果・市場予想を下回り、反応は陰線でした。
(5-2. 取引結果)
取引予定はありませんでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 反応は1pipsで、これでは取引に向きません。
- 東京都区コアCPIは改善予想が、結果は低下となりました。本来は円売り(陽線)で反応すべきですが、結果は陰線です。これは09:00の東証寄り付きを睨んで、株売りが円高に繋がるとの思惑での動きだと思われます。
昨日ダウは下降だったので、もともと今朝の東証寄り付きは値を下げやすい状況でした。本指標の影響はほとんどないので、正解はダウと日経の関係が日経とUSDJPYの関係に伝搬した、と見るべきでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
昨年12月を最後に取引実績がありません。
次回発表予定は7月28日08:30です。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年06月27日
米国経済指標「四半期GDP確報値」・物価指標「コアPCEデフレータ・GDPデフレータ」・実態指標「四半期PCE」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月29日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月29日21:30に米国経済指標「四半期GDP確報値」が発表されます。合わせて、物価指標「コアPCEデフレータ・GDPデフレータ」・実態指標「四半期PCE」が発表されます。いずれも、今回発表は2017年1-3月期分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
四半期GDPは、その四半期の経済実態対象を最も多く踏まえた指標だという点に意義があります。
PCE(個人消費支出)は米国GDPの約70%を占めています。自動車・家電等の耐久財と、食品・衣料等の非耐久財と、外食・交通費等のサービス支出と、からなります。よって、毎月発表されるPCEはGDPの先行指標としての意義があります。
デフレータ(価格指数)には、GDPデフレータとPCEデフレータがあり、それぞれ調査対象の物価変動を示しています。特に、コアPCEデフレータはFRBの金融政策決定に影響を与える点で意義があります。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの16回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
以下のグラフの過去の市場予想は確定値発表時の値です。また発表値は後日修正があっても、ここでは修正していません。
どの項目が反応に影響するのか確かめておきましょう。
やはりGDPが反応に最も影響を与え、次いでコアPCEデフレータが影響しています。PCEデフレータの発表結果はほぼ反応に影響しないと言って良いでしょう。
GDPデフレータは、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が100%となっています。これは、調査期間においてGDPデフレータの市場予想が前回結果を上回っていたら、過去100%、直前10-1分足が陽線になった、と読みます。但し、GDPデフレータが確定値で改定値から修正された回数は4回しかないので、100%とはこの4回の方向一致率のことを指しています。
GDPデフレータの事前差異と直前10-1分足の方向一致率が高いことは、説明が付きません。これは偶然の一致だと考えています。がしかし、気になる方は今後しばらく、GDPの事前差異に基づき直前10-1分足でポジションを取っても良いでしょう。但し、今回のGDPデフレータの事前差異は現時点でゼロなので、今回の発表では直前10-1分足の方向を予見できません。
なお、本分析で用いた事前差異・実態差異には、前回改定値と今回発表値との差を用いています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前10-1分足にはヒゲが目立ちます。騙されないように気を付けましょう。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。なお、本分析で用いた事前差異・実態差異には、前回改定値と今回発表値との差を用いています。反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は67%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各80%・60%となっています。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から時間が経つと反応が伸びる確率が低下します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が77%、直前10-1分足・直後1分足は陰線率がともに69%となっています。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっているのは、直前1分足が絡む組み合わせばかりです。直前1分足は陰線率が77%と高いので、直前10-1分足・直後11分足は陽線になりがちだということです。
他に注目すべき点は、直前10-1分足と直後1分足・直後11分足との方向が、3回に2回以上一致しています。
つまり、本指標での取引参加者は、指標発表後の反応方向を正しく掴みがちです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
本データは、先述の個別項目毎の反応への影響を調べた結果を反映し、各項目の重み付けを次のようにして求めています。すなわち、GDPの差異は3倍、コアPCEデフレータの差異は2倍、PCEデフレータとGDPデフレータの差異はそのまま、です。これら係数を乗じた各差異を合計して、事前差異・事後差異・実態差異を揉めています。
結果、事後差異と直前10-1分足・直後1分足・直後11分足の方向一致率はいずれも70%を超えています。
つまり、反応一致性分析で記したように、本指標での取引参加者は発表後の反応方向を正しく掴めているようです。
以上の調査・分析結果を纏めた内容を巻頭箇条書きに整理しています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以下は2017年6月29日23:10頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、GDP確定値が改定値・市場予想を上回り、コアPCEデフレータが改定値・市場予想を下回りました。
反応は、直前10-1分足と直後1分足が陽線です。直後1分足は直後10-1分足と逆方向で、直後11分足は直後1分足よりも跳幅・値幅とも反応を伸ばしました。
この結果は、「雇用状況が好調ゆえに、速報値の0.7%・改定値の1.2%がいずれ盛り返す」というFOMC見解が正しかったことになります。そして、1-3月期PCEコアデフレータは前期比+2.0%となり、2016年1-3月期以来4期ぶりに2%を回復が確定しました。FRBは既定の金融政策を進めやすい状況になったと言えるでしょう。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は、利確をもう少し粘った方がpipsが稼げたようです。
直後1分足は、ほぼ高値で利確できました。
直後11分足は、終値まで利確を先延ばししていれば大きく稼げたようですが、それは結果論です。途中、21:35頃には陰線に転じているので、短期利確で正解です。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月29日21:30に米国経済指標「四半期GDP確報値」が発表されます。合わせて、物価指標「コアPCEデフレータ・GDPデフレータ」・実態指標「四半期PCE」が発表されます。いずれも、今回発表は2017年1-3月期分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。
- あまり大きく反応しません。直後1分足跳幅が12pips以下だったことが56%と、2回に1回です。
- 指標発表後の反応は素直で、GDP>コアPCEデフレータの順に影響します。計算上は、例えばGDPの事後差異が0.2%となったとき、これをキャンセルするためにはコアPCEデフレータの事後差異が△0.3%となります(GDPの影響はコアPCEデフレータの1.5倍です)。
- 本指標での取引参加者は、事前に発表後の反応方向が掴めているような動きをしがちです。直前10-1分足と直後1分足・直後11分足との方向一致率がほぼ70%となっています。
- 次のシナリオを念頭に取引に臨みます。
(1) 直前1分足は、直前10-1分足が陽線ならば、陰線と見込んでポジションを取ります。
これは、直前1分足の陰線率が77%あり、且つ、直前10-1分足と直前1分足の方向一致率が23%(不一致率77%)となっているため、これらに矛盾なくポジションを取るためです。
(2) 直後1分足は、指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションを取ります。
直前10-1分足と直後1分足とは方向一致率が69%あります。また、直前10-1分足は事後差異との方向一致率が77%あり、事後差異は直後1分足との方向一致率が75%あります。
(3) 追撃は、直後11分足跳幅を狙って短期利確しましょう。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は67%で、方向一致時に跳幅が伸びたことは80%あります。そして、この方向一致時に終値が伸びたことは60%です。
別の言い方をすると、直後1分足終値を基準に考えてみれば、直後1分足の値幅方向に順張りでも、直後11分足終値がつく頃には、直後1分足終値よりも値幅を削ったり反転していることが60%になってしまいます。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
四半期GDPは、その四半期の経済実態対象を最も多く踏まえた指標だという点に意義があります。
PCE(個人消費支出)は米国GDPの約70%を占めています。自動車・家電等の耐久財と、食品・衣料等の非耐久財と、外食・交通費等のサービス支出と、からなります。よって、毎月発表されるPCEはGDPの先行指標としての意義があります。
デフレータ(価格指数)には、GDPデフレータとPCEデフレータがあり、それぞれ調査対象の物価変動を示しています。特に、コアPCEデフレータはFRBの金融政策決定に影響を与える点で意義があります。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの16回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
以下のグラフの過去の市場予想は確定値発表時の値です。また発表値は後日修正があっても、ここでは修正していません。
どの項目が反応に影響するのか確かめておきましょう。
やはりGDPが反応に最も影響を与え、次いでコアPCEデフレータが影響しています。PCEデフレータの発表結果はほぼ反応に影響しないと言って良いでしょう。
GDPデフレータは、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が100%となっています。これは、調査期間においてGDPデフレータの市場予想が前回結果を上回っていたら、過去100%、直前10-1分足が陽線になった、と読みます。但し、GDPデフレータが確定値で改定値から修正された回数は4回しかないので、100%とはこの4回の方向一致率のことを指しています。
GDPデフレータの事前差異と直前10-1分足の方向一致率が高いことは、説明が付きません。これは偶然の一致だと考えています。がしかし、気になる方は今後しばらく、GDPの事前差異に基づき直前10-1分足でポジションを取っても良いでしょう。但し、今回のGDPデフレータの事前差異は現時点でゼロなので、今回の発表では直前10-1分足の方向を予見できません。
なお、本分析で用いた事前差異・実態差異には、前回改定値と今回発表値との差を用いています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前10-1分足にはヒゲが目立ちます。騙されないように気を付けましょう。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。なお、本分析で用いた事前差異・実態差異には、前回改定値と今回発表値との差を用いています。反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は67%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各80%・60%となっています。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から時間が経つと反応が伸びる確率が低下します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が77%、直前10-1分足・直後1分足は陰線率がともに69%となっています。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっているのは、直前1分足が絡む組み合わせばかりです。直前1分足は陰線率が77%と高いので、直前10-1分足・直後11分足は陽線になりがちだということです。
他に注目すべき点は、直前10-1分足と直後1分足・直後11分足との方向が、3回に2回以上一致しています。
つまり、本指標での取引参加者は、指標発表後の反応方向を正しく掴みがちです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
本データは、先述の個別項目毎の反応への影響を調べた結果を反映し、各項目の重み付けを次のようにして求めています。すなわち、GDPの差異は3倍、コアPCEデフレータの差異は2倍、PCEデフレータとGDPデフレータの差異はそのまま、です。これら係数を乗じた各差異を合計して、事前差異・事後差異・実態差異を揉めています。
結果、事後差異と直前10-1分足・直後1分足・直後11分足の方向一致率はいずれも70%を超えています。
つまり、反応一致性分析で記したように、本指標での取引参加者は発表後の反応方向を正しく掴めているようです。
以上の調査・分析結果を纏めた内容を巻頭箇条書きに整理しています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以上
2017年6月29日21:30発表
以下は2017年6月29日23:10頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、GDP確定値が改定値・市場予想を上回り、コアPCEデフレータが改定値・市場予想を下回りました。
反応は、直前10-1分足と直後1分足が陽線です。直後1分足は直後10-1分足と逆方向で、直後11分足は直後1分足よりも跳幅・値幅とも反応を伸ばしました。
この結果は、「雇用状況が好調ゆえに、速報値の0.7%・改定値の1.2%がいずれ盛り返す」というFOMC見解が正しかったことになります。そして、1-3月期PCEコアデフレータは前期比+2.0%となり、2016年1-3月期以来4期ぶりに2%を回復が確定しました。FRBは既定の金融政策を進めやすい状況になったと言えるでしょう。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は、利確をもう少し粘った方がpipsが稼げたようです。
直後1分足は、ほぼ高値で利確できました。
直後11分足は、終値まで利確を先延ばししていれば大きく稼げたようですが、それは結果論です。途中、21:35頃には陰線に転じているので、短期利確で正解です。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 反応は、直後1分足跳幅・値幅・直後11分足値幅が各10pips・5pips・15pipsで、過去平均の各12pips・9pips・10pipsより少し大きくなりました。
これは、デフレータ(物価指標)が悪化したとはいえ2%と望ましい物価上昇に対し、GDP確定値が改善修正したことが、ひとまず好感されたためと解釈できます。
一方、GDPが改善しデフレータが望ましい値となったことは、FRBの引締政策転換を後押しすることに繋がります。このことは(USDにとって)肯定的にも否定的にも短期的に解釈できます。その結果、いつもはあまり動かない確報値にも関わらず、上下に振れる動きとなったのではないでしょうか。 - 指標発表後の反応は素直で、GDP>コアPCEデフレータの順に影響しました。
- 直前10-1分足が陽線で、直後1分足も陽線で反応しました。
本指標での取引参加者は、やはり事前に発表後の反応方向が掴めているような動きをしがちなのかも知れません。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年06月25日
米国景気指標「CB消費者信頼感指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月27日23:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月27日23:00に米国景気指標「CB消費者信頼感指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
同時刻にリッチモンド連銀製造業指数が発表されます。がしかし、その影響は本指標に及ばず、無視しても差し支えありません。
むしろ、この日は16:30からSF連銀総裁の講演がシドニーで、翌0:00からPhil連銀総裁の講演と、02:00からFRB議長の講演がロンドンで予定されています。今後の金融政策についてや景気先行きに関する発言があったり、あると見込まれると、USDの動きはそちらに引きずられてしまいます。特に、SF総裁は利上げと早期BS縮小の引締派です。
本指標は後述するようにあまり反応が大きくありません。大きな動きがあるときは数秒で指標発表の影響がなくなることがあります。
本指標要点を以下図表に纏めておきます。
結論は次の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
CBはConference Board(全米産業審議委員会)の略で、消費者信頼感指数というのは消費者のセンチメント(消費マインド)を指数化した景気指標です。基準は1985年を100とし、毎月5000世帯対象のアンケート調査結果を集計しています。
調査は、(1) 現在の景況感・雇用状況、(2) 6か月先の景況感・雇用・所得、(3) 6か月以内の購入計画(自動車・住宅など)について行われます、これら3項目について「楽観している」か「悲観している」かを指数化しています。
項目は、現状の経済と雇用に関する2項目の平均が「現状指数」で、経済・雇用・所得の先行きに関する3項目の平均(季節調整実施)が「期待指数」です。そして、これら5項目の平均値が消費者信頼感指数です。
この内容はUM(ミシガン大学)消費者信頼感指数と同じです。よって、調査数の差(UMは確報値で500名)こそあれ、原理的にはUMがCBの先行指標と言えるでしょう。がしかし、後述するように、少なくとも直近のデータを見る限り両者に相関はありません。
本指標の意義は、PCE(個人消費)との相関が強いという点です。PCEはGDPや株価との相関が強いと言われています。今後、それらの相関有無もきちんと調べていきましょう。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは29回中17回(58%)です。入れ替わらずに上抜けっぱなし・下抜けっぱなしだったこと(2か月以上連続で上抜け・下抜け)は42%しかなかった計算になります。
直近の1年間の傾向だけを見てみましょう。発表結果と市場予想の大小関係が12回中5回(42%)入れ替わっています。グラフの見た目から受ける印象ほど、安心して指標結果を決め打ちはできませんね。
本指標は現在、「市場予想後追い型」とは言えません。
また、UM消費者信頼感指数は、本指標の先行指標だと言われています。何しろ前述の通り、両指標は調査方法も統計内容も調査時期も同じなのです。これも確かめておきましょう。
比較対象は、CB発表に先立つUM速報値です。そして先行性の有無は、実態差異(発表結果ー前回結果)で判断すべきです。
比較の結果、両指標の実態差異の方向一致率は45%しかありません。両指標は調査方法と統計目的がほぼ同じにも関わらず、前回結果より今回結果が改善しているかいないかすら一致していません。
よって、UM速報値はCBの先行指標とは言えません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
調査期間における米景気の良さを反映しているのか、直後1分足・直後11分足には陽線が目立ちます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は68%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各63%・47%です。
つまり、本指標は短時間の追撃も注意深く行う必要があり、長時間(数分間に亘る追撃)には全く適していません。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直後1分足は陽線率が75%となっています。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前1分足との方向一致率が24%(不一致率76%)となっています。本項記載時点の事前差異はマイナスですから、今回は直前1分足を陽線と見込めます。
そして、事後差異・実態差異と直後1分足との方向一致率は75%を超えています。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応する傾向があります。
以上の調査・分析結果は、巻頭箇条書きに整理しておきました。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月28日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を上回る改善となり、反応は陽線でした。
内訳は、現況指数が146.3に上昇し、この数値は2001年7月以来の高水準だそうです。一方、期待指数は100.6となり、2017年月以来の低水準になったそうです。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は同値でしたが、スプレッド分以上の損切となりました。タイミングが最悪だったようです。
事前調査分析内容を検証しておきます。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月27日23:00に米国景気指標「CB消費者信頼感指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
同時刻にリッチモンド連銀製造業指数が発表されます。がしかし、その影響は本指標に及ばず、無視しても差し支えありません。
むしろ、この日は16:30からSF連銀総裁の講演がシドニーで、翌0:00からPhil連銀総裁の講演と、02:00からFRB議長の講演がロンドンで予定されています。今後の金融政策についてや景気先行きに関する発言があったり、あると見込まれると、USDの動きはそちらに引きずられてしまいます。特に、SF総裁は利上げと早期BS縮小の引締派です。
本指標は後述するようにあまり反応が大きくありません。大きな動きがあるときは数秒で指標発表の影響がなくなることがあります。
本指標要点を以下図表に纏めておきます。
結論は次の通りです。
- 反応が小さな指標です。但し、発表結果の良し悪しに素直に反応します。
最も発表結果の良し悪しが反応に現れやすい直後1分足跳幅の過去平均は9pipsで、55%の過去事例では9pips以下しか反応していません。欲張ってはいけない指標です。 - 過去の発表結果と市場予想をプロットしたグラフを一見すると「市場予想後追い型」に見えます。がしかし、グラフの傾きに騙されてはいけません。本指標は、発表結果が市場予想を上抜けっぱなし・下抜けっぱなしになる確率があまり高くありません。
現在、本指標は「市場予想後追い型」ではありません。 - 同じ調査目的・内容・時期のUM消費者信頼感指数速報値は、本指標の先行指標であってもおかしくありません。がしかし、少なくとも直近の傾向に関する限り、UM速報値と本指標とは、指標予想値・結果値・反応方向のいずれも一致する点が見受けられません。
- 次のシナリオを用意して取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陽線と見込みます。
直前1分足の事前差異との方向一致率は24%(不一致率76%)です。本項記載時点の事前差異はマイナスとなっているので、このままならば直前1分足を陽線と見込めます。
この結論は、直前1分足の過去陰線率は64%となっていることと矛盾しています。事前差異との方向不一致率が高いことを結論に採用した理由は、因果関係がある結論の方が信頼できるためです。
(2) 直後1分足は陽線が75%と高くなっています。そして、他に直後1分足の方向を示唆もしくは否定する過去の傾向はありません。
(3) 指標発表後の追撃には向かない指標です。
上の「反応性分析」の下図の終値の方向分布だけでなく、直後1分足と直後11分足とが方向一致したときでも、後者跳値が前者跳値を超えたことは63%となっています。指標発表後の追撃は勝率が低いと見込みます。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
CBはConference Board(全米産業審議委員会)の略で、消費者信頼感指数というのは消費者のセンチメント(消費マインド)を指数化した景気指標です。基準は1985年を100とし、毎月5000世帯対象のアンケート調査結果を集計しています。
調査は、(1) 現在の景況感・雇用状況、(2) 6か月先の景況感・雇用・所得、(3) 6か月以内の購入計画(自動車・住宅など)について行われます、これら3項目について「楽観している」か「悲観している」かを指数化しています。
項目は、現状の経済と雇用に関する2項目の平均が「現状指数」で、経済・雇用・所得の先行きに関する3項目の平均(季節調整実施)が「期待指数」です。そして、これら5項目の平均値が消費者信頼感指数です。
この内容はUM(ミシガン大学)消費者信頼感指数と同じです。よって、調査数の差(UMは確報値で500名)こそあれ、原理的にはUMがCBの先行指標と言えるでしょう。がしかし、後述するように、少なくとも直近のデータを見る限り両者に相関はありません。
本指標の意義は、PCE(個人消費)との相関が強いという点です。PCEはGDPや株価との相関が強いと言われています。今後、それらの相関有無もきちんと調べていきましょう。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは29回中17回(58%)です。入れ替わらずに上抜けっぱなし・下抜けっぱなしだったこと(2か月以上連続で上抜け・下抜け)は42%しかなかった計算になります。
直近の1年間の傾向だけを見てみましょう。発表結果と市場予想の大小関係が12回中5回(42%)入れ替わっています。グラフの見た目から受ける印象ほど、安心して指標結果を決め打ちはできませんね。
本指標は現在、「市場予想後追い型」とは言えません。
また、UM消費者信頼感指数は、本指標の先行指標だと言われています。何しろ前述の通り、両指標は調査方法も統計内容も調査時期も同じなのです。これも確かめておきましょう。
比較対象は、CB発表に先立つUM速報値です。そして先行性の有無は、実態差異(発表結果ー前回結果)で判断すべきです。
比較の結果、両指標の実態差異の方向一致率は45%しかありません。両指標は調査方法と統計目的がほぼ同じにも関わらず、前回結果より今回結果が改善しているかいないかすら一致していません。
よって、UM速報値はCBの先行指標とは言えません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
調査期間における米景気の良さを反映しているのか、直後1分足・直後11分足には陽線が目立ちます。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は68%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各63%・47%です。
つまり、本指標は短時間の追撃も注意深く行う必要があり、長時間(数分間に亘る追撃)には全く適していません。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直後1分足は陽線率が75%となっています。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前1分足との方向一致率が24%(不一致率76%)となっています。本項記載時点の事前差異はマイナスですから、今回は直前1分足を陽線と見込めます。
そして、事後差異・実態差異と直後1分足との方向一致率は75%を超えています。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応する傾向があります。
以上の調査・分析結果は、巻頭箇条書きに整理しておきました。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月27日23:00発表
以下は2017年6月28日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を上回る改善となり、反応は陽線でした。
内訳は、現況指数が146.3に上昇し、この数値は2001年7月以来の高水準だそうです。一方、期待指数は100.6となり、2017年月以来の低水準になったそうです。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は同値でしたが、スプレッド分以上の損切となりました。タイミングが最悪だったようです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を検証しておきます。
- 反応は過去平均とほぼ同じで、指標結果に対し素直に反応しました。
- 同じ調査目的・内容・時期のUM消費者信頼感指数速報値は、本指標の先行指標とは言えません。今回もUMが結果悪化でCBが結果改善と、逆の結果となりました。
- 指標発表後の追撃には向かない指標、と捉えていました。今回も反応を伸ばすことは出来ませんでした。ただ、跳幅は直後1分足より直後11分足の方が値を伸ばしていました。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
米国実態指標「耐久財受注」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月26日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月26日21:30に米国実態指標「耐久財受注」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標要点を下表に整理しておきました。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
本指標は、製造業の耐久財受注状況を表しています。指標名は「受注」となっているものの、発表内容は「出荷」「在庫」「新規受注」「受注残高」です。
ちなみに、耐久財とは3年以上の使用に耐える消費財を指し、代表例として自動車・航空機・家電・家具等があります。
この指標とは別に「製造業新規受注」が発表されており、それが翌々月月初発表に対し「耐久財受注」は毎月下旬に前月分速報値が発表されます。そのため、本指標は設備投資分野における先行指標に位置づけられます。
「耐久財受注前月比」と「うち、輸送機器を除く前月比」とは、下表の通り、個別項目だけで反応方向と70%以上もしくは30%以下にはなりません。両項目の結果が等しく影響されて反応方向が決定されているようです。
つまり、少なくとも調査期間において輸送機器を除いたコア数値が重視されている訳ではありません。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
本指標は設備投資分野の先行指標と言われています。その設備投資は、同じ実態指標の鉱工業生産と設備稼働率と関係があるはずです。
もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。確認したところ、両指標の実態差異の方向一致率は73%となっていました。これらの指標の結果増減には関係がありそうです。
とは言え残念なことに、これら指標発表前後の反応方向には関係ないようです。直前1分足のみ、方向一致率が70%となっていますが、これはほとんどの指標で直前1分足の陰線率が高いためで、これら指標に関係があるためではありません。
この結果は、生産高や設備稼働状況がすぐに耐久財受注に影響する、ということを言っているつもりはありません。でも設備投資が好調なときは暫くその傾向が続きがちなので(法人は年度予算で動くことが多いので)、設備投資が増加ないしは減少基調が続くとき、耐久財受注は同月を見ていても傾向が現れる可能性がある、ということです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線率が高いものの、その陰線は下ヒゲがないことが多いようです。このことは、指標発表直前に陰線を伸ばすことが多い、ということです。
直後1分足と直後11分足は、陽線が何か月か続いたり陰線が続いたりしています。このことは、本指標の結果よりもUSDJPYの大きなトレンドの影響が現れやすい可能性があります(本指標が発表されようがされまいが関係ない)。
反応が小さい指標では、こういう傾向が良く見受けられます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各63%・68%です。
つまり、本指標は指標発表後に反応方向が反転する恐れが少ないものの、反応が伸び続けることをアテにするには少し心もとない確率です。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が96%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が4pipsしかありません。欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異と直後1分足跳幅の方向一致率が46%しかないにも関わらず、直後1分足終値との方向一致率は69%となっています。これは発表直後に瞬間的に逆ヒゲを残しがちということです。
以上の調査・分析結果を整理しておきます。
以上の結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年6月27日0時頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を下回り、反応は陰線でした。
取引できませんでした。次の記事を書いていてうっかり時間が過ぎてました。
事前調査・分析内容を、以下に検証します
全体として、指標結果の分析は当たっているものの、反応については外しました。
取引できなかったものの、事前準備シナリオを検証しておきます。
分析では、反応を外していたにも関わらず、取引していたら少し勝てたかも知れません。まぁそんなことはよくあることです。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月26日21:30に米国実態指標「耐久財受注」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標要点を下表に整理しておきました。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
【1. 指標概要】
本指標は、製造業の耐久財受注状況を表しています。指標名は「受注」となっているものの、発表内容は「出荷」「在庫」「新規受注」「受注残高」です。
ちなみに、耐久財とは3年以上の使用に耐える消費財を指し、代表例として自動車・航空機・家電・家具等があります。
この指標とは別に「製造業新規受注」が発表されており、それが翌々月月初発表に対し「耐久財受注」は毎月下旬に前月分速報値が発表されます。そのため、本指標は設備投資分野における先行指標に位置づけられます。
「耐久財受注前月比」と「うち、輸送機器を除く前月比」とは、下表の通り、個別項目だけで反応方向と70%以上もしくは30%以下にはなりません。両項目の結果が等しく影響されて反応方向が決定されているようです。
つまり、少なくとも調査期間において輸送機器を除いたコア数値が重視されている訳ではありません。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
本指標は設備投資分野の先行指標と言われています。その設備投資は、同じ実態指標の鉱工業生産と設備稼働率と関係があるはずです。
もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。確認したところ、両指標の実態差異の方向一致率は73%となっていました。これらの指標の結果増減には関係がありそうです。
とは言え残念なことに、これら指標発表前後の反応方向には関係ないようです。直前1分足のみ、方向一致率が70%となっていますが、これはほとんどの指標で直前1分足の陰線率が高いためで、これら指標に関係があるためではありません。
この結果は、生産高や設備稼働状況がすぐに耐久財受注に影響する、ということを言っているつもりはありません。でも設備投資が好調なときは暫くその傾向が続きがちなので(法人は年度予算で動くことが多いので)、設備投資が増加ないしは減少基調が続くとき、耐久財受注は同月を見ていても傾向が現れる可能性がある、ということです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線率が高いものの、その陰線は下ヒゲがないことが多いようです。このことは、指標発表直前に陰線を伸ばすことが多い、ということです。
直後1分足と直後11分足は、陽線が何か月か続いたり陰線が続いたりしています。このことは、本指標の結果よりもUSDJPYの大きなトレンドの影響が現れやすい可能性があります(本指標が発表されようがされまいが関係ない)。
反応が小さい指標では、こういう傾向が良く見受けられます。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各63%・68%です。
つまり、本指標は指標発表後に反応方向が反転する恐れが少ないものの、反応が伸び続けることをアテにするには少し心もとない確率です。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が96%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が4pipsしかありません。欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異と直後1分足跳幅の方向一致率が46%しかないにも関わらず、直後1分足終値との方向一致率は69%となっています。これは発表直後に瞬間的に逆ヒゲを残しがちということです。
以上の調査・分析結果を整理しておきます。
- あまり大きく反応しません。直後1分足13pips以下となったことが64%(3回に2回)です。
- 本指標は「前月比」と「輸送機器を除く前月比(コア)」が発表されます。注目度や重要度の点でコアを重視する解説が多いようですが、指標発表後の反応を調べた限り、反応への影響はどちらが強いという順位差がないように見受けられます。
- 同じ米国実態指標の鉱工業生産・設備稼働率の同月分の実態差異との方向一致率が高い傾向があります。但し、鉱工業生産・設備稼働率の5月分データは、実態差異が0です。本指標今回の発表結果は前回結果とあまり変わらないかも知れません。
- 定型分析の結果は次の通りです。
(1) 直前1分足の陰線率が高くなっています。但し、取引するにはpipsが小さいので注意が必要です。
(2) 発表結果の良し悪しに素直な反応するとは言い切れません(事後差異との方向一致率が70%未満です)。
(3) 直後1分足は最初に逆ヒゲを形成する可能性があります。追撃するなら、一呼吸おいてからが良いでしょう。
(4) 市場予想の良し悪しや発表前のローソク足方向には、発表後の反応方向を示唆する兆候がありません。
【4. シナリオ作成】
以上の結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。但し、過去の平均跳幅は4pipsしかないので、利確できるときに利確しておきましょう。取引時間が数秒で利確できるなら、それで良いのです。
- 追撃は直後1分足に順張りでポジションを取ります。但し、もともと反応が小さな指標です。高値(安値)掴みをしないように気を付けましょう。
以上
2017年6月26日21:30発表
以下は2017年6月27日0時頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を下回り、反応は陰線でした。
(5-2. 取引結果)
取引できませんでした。次の記事を書いていてうっかり時間が過ぎてました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査・分析内容を、以下に検証します
- 発表結果の影響が最も現れる直後1分足跳幅は12pipsで、過去の平均的な反応(13pips)とほぼ同じでした。時間とともに反応が大きくなり、直後11分足値幅は21pipsと、過去の平均的な反応(9pips)の2倍を超えました。
- 発表結果は、「前月比」「輸送機器を除く前月比(コア)」ともに市場予想を下回ったものの、コアは前月比を上回っていました。よって、直後11分足値幅が過去平均の2倍を超えた理由(前回まで僅か7%しか2倍を超えたことはない)は、指標結果だけではないと推察されます。
- 同じ米国実態指標の鉱工業生産・設備稼働率の同月分の実態差異との方向一致率が高い傾向があそして、鉱工業生産・設備稼働率の5月分データは、実態差異が0です。よって、今回の発表結果は前回結果とあまり変わらないかも知れない、と考えていました。
結果は、前月比が前月とほぼ同じでやや下回り、コアが前月を上回っています。 - 定型分析の結果は次の通りでした。
(1) 直前1分足の陰線率が高くなっていたものの、結果は同値で無効でした。
(2) 発表結果が市場予想を下回り陰線での反応ですから、素直な反応をしました。「素直に反応するとは限らない」という指摘は、今回事前には不適切でした。
(3) 直後1分足は最初に逆ヒゲを形成しておらず、追撃するなら早めが良かったようです。分析を完全に外しました。
全体として、指標結果の分析は当たっているものの、反応については外しました。
(6-2. シナリオ検証)
取引できなかったものの、事前準備シナリオを検証しておきます。
- 直前1分足を陰線と見込んでいたので、スプレッド分は損切となっていた可能性があります。
- 追撃は直後1分足に順張りでポジションを取ります。但し、もともと反応が小さな指標なので、高値(安値)掴みをしないように気を付けるつもりでした。結果から言えば、強気なら利確、弱気ならポジションが取れなかった可能性が高い値動きでした。
分析では、反応を外していたにも関わらず、取引していたら少し勝てたかも知れません。まぁそんなことはよくあることです。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
独国景気指標「Ifo景況指数」発表前後のEURJPY反応分析(2017年6月26日17:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月26日17:00に独国景気指標「Ifo景況指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を下表に整理しておきました。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
Ifo景況感指数は、約7000社の企業を対象に、独経済の現況と今後6カ月の先行きに対してアンケート調査を実施したものです。調査項目は「生産」「在庫」「受注」「価格」「雇用」に分かれており、特に鉱工業生産との関連性が高い内容と言われています。指数は、2000年を100として現況と先行きを加重平均した値になっています。
関連指標には毎月中旬に発表される「ZEW景況感指数」があります。がしかし、本指数の方がサンプル数7000社と多いことや、エコノミストではなく企業担当者が調査対象となっているため、独経済の実態を正確に把握できると言われています。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
景況指数・景況感指数・現況指数のいずれも、調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが29回中12回(41%)です。一見すると、市場予想後追い型に見えますが、意外に大小関係の入れ替わり頻度が高いですね。
また、同じ独国景気指標のZEWは、本指標の先行指標という解説を良くみかけます。確かめておきましょう。
先行性の有無は、実態差異(発表結果ー前回結果)で判断すべきです。結果、両指標の実態差異の方向一致率は64%でした。両指標結果には関係があるかもしれないものの、あまり強い関係ではないようです。
但し、ZEWがIfoの先行指標という「噂」は、事前差異(市場予想ー前回結果)に影響が現れています。事前差異の両指標の方向一致率は88%にも達しています。事前差異の方向一致率だけが高いということは、市場予想が当たらない、ということです。
何より、両指標の反応方向一致率は50%前後なので、両指標の反応方向には関係がありません。直前1分足はもともとどの指標でも陰線率が高くなりがちなので、方向一致率の高さに意味はありません。
よって、ZEWがIfoの先行指標という噂は、仮に事実だとしても取引に役立ちません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
下から2番目の直後1分足を見ておきましょう。ぱっと見で捉える限り、反応が10pipsに達することは2回に1回ぐらいで、陽線が目立ちます。次に、1番下の直後11分足を見ると、直前1分足と方向が逆転したことは少なそうです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は86%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各83%・50%です。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から暫く経つとどちらに反応するかがわかりません。がしかし、直後11分足終値は直後1分足終値の値幅を削ることが多いので、欲張りは禁物です。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が83%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が6pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
独経済の好調さを反映して、事後差異・実態差異はプラス率がやや高いようです。
そして、それら差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率はいずれも70%を超えています。本指標は発表結果の良し悪しが反応にかなり素直に現れます。
以上の調査・分析結果を整理しておきます。
以上の結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年6月26日22:20頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。
景況感指数は1991年以来で最大となりました。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足はチャンスを待っているうちに、機会を逸しました。陰線のつもりで、結果的には「そんな機会はなかった」ので正解です。
気のせいか、これほど良い指標結果だったにも関わらず、数秒間は反応方向に迷いがあったように思えました。陽線側に跳ねて戻ったところを捉えて追撃することができました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
EUR指標での取引はどうも苦手です。ともあれ、勝率こそひどいものですが、Ifoもやっと収益プラスに転じました。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月26日17:00に独国景気指標「Ifo景況指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を下表に整理しておきました。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
【1. 指標概要】
Ifo景況感指数は、約7000社の企業を対象に、独経済の現況と今後6カ月の先行きに対してアンケート調査を実施したものです。調査項目は「生産」「在庫」「受注」「価格」「雇用」に分かれており、特に鉱工業生産との関連性が高い内容と言われています。指数は、2000年を100として現況と先行きを加重平均した値になっています。
関連指標には毎月中旬に発表される「ZEW景況感指数」があります。がしかし、本指数の方がサンプル数7000社と多いことや、エコノミストではなく企業担当者が調査対象となっているため、独経済の実態を正確に把握できると言われています。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
景況指数・景況感指数・現況指数のいずれも、調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが29回中12回(41%)です。一見すると、市場予想後追い型に見えますが、意外に大小関係の入れ替わり頻度が高いですね。
また、同じ独国景気指標のZEWは、本指標の先行指標という解説を良くみかけます。確かめておきましょう。
先行性の有無は、実態差異(発表結果ー前回結果)で判断すべきです。結果、両指標の実態差異の方向一致率は64%でした。両指標結果には関係があるかもしれないものの、あまり強い関係ではないようです。
但し、ZEWがIfoの先行指標という「噂」は、事前差異(市場予想ー前回結果)に影響が現れています。事前差異の両指標の方向一致率は88%にも達しています。事前差異の方向一致率だけが高いということは、市場予想が当たらない、ということです。
何より、両指標の反応方向一致率は50%前後なので、両指標の反応方向には関係がありません。直前1分足はもともとどの指標でも陰線率が高くなりがちなので、方向一致率の高さに意味はありません。
よって、ZEWがIfoの先行指標という噂は、仮に事実だとしても取引に役立ちません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
下から2番目の直後1分足を見ておきましょう。ぱっと見で捉える限り、反応が10pipsに達することは2回に1回ぐらいで、陽線が目立ちます。次に、1番下の直後11分足を見ると、直前1分足と方向が逆転したことは少なそうです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は86%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各83%・50%です。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から暫く経つとどちらに反応するかがわかりません。がしかし、直後11分足終値は直後1分足終値の値幅を削ることが多いので、欲張りは禁物です。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が83%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が6pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
独経済の好調さを反映して、事後差異・実態差異はプラス率がやや高いようです。
そして、それら差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率はいずれも70%を超えています。本指標は発表結果の良し悪しが反応にかなり素直に現れます。
以上の調査・分析結果を整理しておきます。
- あまり大きく反応しません。直後1分足跳幅が10pips以下だったことが52%です。
- 景況指数のグラフを一瞥すると「市場予想後追い型」のように見えます。がしかし、発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが29回中12回(41%)と、上抜け(下抜け)したらしっぱなし、とは言えません。本指標は「市場予想後追い型」とは言えません。
- 同じ独国景気指標のZEWの事後差異との方向一致率は60%前後と、あまり高くありません。特に反応方向は、指標発表前後で一致率が50%前後(直前1分足を除く)であり、ZEW発表時の反応方向とは関係ありません。
- 定型分析の結果は次の通りです。
(1) 直前1分足の陰線率が高くなっています。
(2) 発表結果の良し悪しに素直な反応する指標です。
(3) 短期追撃に適した指標です。
(4) 市場予想の良し悪しや発表前のローソク足方向には、発表後の反応方向を示唆する兆候がありません。
【4. シナリオ作成】
以上の結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。但し、過去の平均跳幅は6pipsしかないので、利確できるときに利確しておきましょう。取引時間が数秒で利確できるなら、それで良いのです。
- 初期反応確認後に追撃ポジションを取得し、跳幅を狙って短期利確に適しています。がしかし、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びたことは50%しかないので、複数回の追撃や長時間の追撃は勝率を下げてしまいます。
以上
2017年6月26日17:00発表
以下は2017年6月26日22:20頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。
景況感指数は1991年以来で最大となりました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足はチャンスを待っているうちに、機会を逸しました。陰線のつもりで、結果的には「そんな機会はなかった」ので正解です。
気のせいか、これほど良い指標結果だったにも関わらず、数秒間は反応方向に迷いがあったように思えました。陽線側に跳ねて戻ったところを捉えて追撃することができました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 反応が小さいという点は、いつも通りでした。
- 今回で、指標結果は市場予想を5か月連続上回っています。「市場予想後追い型とは言えない」という事前説明は、過去事例の確率的事実であっても、今回の発表前に不適切だったかも知れません。
- 同じ独国景気指標のZEWの事後差異や反応方向の方向一致率はあまり高くない、という事前説明も同様です。過去事例の確率的事実であっても、今回の発表前には不適切な説明だったかも知れません。
- 定型分析結果と発表結果を対比します。
(1) 直前1分足が陽線となっており、外しています。
(2) 発表結果の良し悪しに素直に反応しました。
(3) 今回は短期追撃でなく、直後11分足終値ぐらいまで追撃しても良かったかも知れません。最も効率が良いポジションの取り方は、発表直後追撃と17:04頃追撃です。但し、それでも稼げたpipsは10pipsに達しなかったはずです。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
EUR指標での取引はどうも苦手です。ともあれ、勝率こそひどいものですが、Ifoもやっと収益プラスに転じました。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年06月24日
2017年6月第4週成績と、第5週主要指標の過去反応pips
本成績は、2017年1月1日時点でGBPJPY1枚分の投資額の10倍(¥579,680)を元本に、本ブログ記載の方法で取引を行いつつある途中経過です。
正直言って現時点までの運用益は30%弱に達しており、これは例年に比べて運が良かったこともあるのかも知れません(例年よりハイペースです)。取引する・しないの判定基準を70%まで下げ(例年75%)、取引対象を反応pipsが数pips(例年20pips以上)の指標まで広げたことが影響しているかも知れません。
6月第4週の取引結果を纏めておきます。
今週は3指標で取引を行いました。
取引時間は20分35秒(1指標当たり6分52秒)、損益はいつも1枚ずつの取引で+841円(同+280円)でした。
勝率は、指標単位で67%(2勝1敗)、シナリオ単位でも67%(6勝3敗)でした。
やや取引時間が長く、その割に収益が少ない週でした。勝てない週はまぁこんなものです。
個別の調査・分析・結果・検証の記録は以下をご参照ください。
6月第4週の経済指標要点は次の通りでした。
次週6月第5週で関心を持っている指標を下表に纏めておきます。
この表の右3列の数字は、過去の直後1分足跳幅・値幅・直後11分足値幅の平均pipsです。データはまだ、各指標の前回までの記事で用いた値ですから、最新の値にはなっていません(誤差が1-3pips程度あると思われます)。そのつもりでご覧ください。
次週も25pipsを超える反応が見込める指標がありません。
つまり次週は興味深い指標が多いものの、過去実績上の反応が大きな指標はありません。また、これまでの取引を振り返ったり、今後の取引に向けてのデータを整理したり、テクニカル指標を眺めながらトレンドフォローの練習をするのに良い週でしょう。
正直言って現時点までの運用益は30%弱に達しており、これは例年に比べて運が良かったこともあるのかも知れません(例年よりハイペースです)。取引する・しないの判定基準を70%まで下げ(例年75%)、取引対象を反応pipsが数pips(例年20pips以上)の指標まで広げたことが影響しているかも知れません。
【1. 今週成績及び所感】
6月第4週の取引結果を纏めておきます。
今週は3指標で取引を行いました。
取引時間は20分35秒(1指標当たり6分52秒)、損益はいつも1枚ずつの取引で+841円(同+280円)でした。
勝率は、指標単位で67%(2勝1敗)、シナリオ単位でも67%(6勝3敗)でした。
やや取引時間が長く、その割に収益が少ない週でした。勝てない週はまぁこんなものです。
個別の調査・分析・結果・検証の記録は以下をご参照ください。
6月第4週の経済指標要点は次の通りでした。
- 平均的に反応が小さな指標ばかりの週だったので、個別経済指標が市場に影響を与えることはなかったと思います。
- 米国指標は住宅指標中心でした。中古・新築とも販売件数が前月比プラス転換をしました。次週はPCEが発表されますが、住宅指標の改善が利上げ前の駆け込みによるものだとすると、必ずしも消費旺盛ということには繋がりません。
- 欧州指標は、景気指標で製造業の改善が進んだ一方、サービス業が高い水準を削り始めたように見受けられます。次週は独国Ifoが発表されるので、その参考になると思われます。
- また取引は行えなかったものの、NZはRBNZ金融政策が発表され、市場予想通り現状維持でした。NZのインフレ率は既に中銀目標の1-3%の中間値に戻っているものの、RBNZ総裁は「2019年の遅い時期まで利上げを開始しない見込み」と表明しています。ただ今後注目すべき点は、同総裁が9月退任予定(2017年2月7日発表)で、その後は2018年3月まで副総裁が代行を務めると発表されていることです。
【2. 次週主要指標の過去反応】
次週6月第5週で関心を持っている指標を下表に纏めておきます。
この表の右3列の数字は、過去の直後1分足跳幅・値幅・直後11分足値幅の平均pipsです。データはまだ、各指標の前回までの記事で用いた値ですから、最新の値にはなっていません(誤差が1-3pips程度あると思われます)。そのつもりでご覧ください。
次週も25pipsを超える反応が見込める指標がありません。
- 平均的に反応が小さな指標ばかりの週のため、個別経済指標が市場に影響を与えることはない、と見込みます。
- ほとんど反応しないため取引はしないと思いますが、日本指標ではCPIが発表されます。日銀の見通しのように最近の物価上昇傾向が続くか否かに関心があります。
- 米国指標は1-3月期P確報値が発表されます。速報値が+0.7%とかなり低めだったものの、改定値では市場予想+0.9%を超えて+1.2%になっていました。
また週前半にCB消費者信頼感指数が発表され、週末にPCE(個人消費)が発表されます。ロジックとしては、消費者信頼感とPCEには相関がありそうですが、それが実際どうなっているのかを分析したいと思います。 - 欧州指標は前週までにZEW・PMI速報が発表され、今週は景気指標の独国Ifoと欧州HICP(消費者物価指数)速報値が発表されます。ECBが緩和解除時期尚早との見解を示した論拠には「インフレが力強くない」ことが挙げられていたので、注目すべき指標です。
- 英国も1-3月期GDP確報値が発表されます。3月分集計データでは、物価上昇が激しく消費(小売)への陰りが見え始めた時期なので、年末にかけて成長率が上昇するというBOEの見解通りになるかに注目しましょう。
つまり次週は興味深い指標が多いものの、過去実績上の反応が大きな指標はありません。また、これまでの取引を振り返ったり、今後の取引に向けてのデータを整理したり、テクニカル指標を眺めながらトレンドフォローの練習をするのに良い週でしょう。
以上
2017年06月23日
米国実態指標「新築住宅販売件数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月23日23:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月23日23:00に米国実態指標「新築住宅販売件数」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
次に指標定型分析の結果は次の通りです。
以上の分析結果に基づき以下のシナリオで取引に臨みます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
多くのFX会社の経済指標カレンダーでは、本指標の重要度・注目度が高い、とされています。これは、消費やリフォームなどの関連需要にも繋がるため波及効果も大きい上、消費者個人の収入・金利の見通しが反映されるため、とされています。
それなら販売件数が多い中古住宅販売件数の方が重要度・注目度が高いはずですが、そんなことはありません。それに、住宅関連指標はいずれも10pips前後しか反応しません。
本指標の集計は、一戸建に加えて、コンドミニアムと共同住宅を含めた数字も発表されます。
但し、この件数には土地付きの新築住宅販売が対象で、既に保有する土地へ住宅を新築したものは含まれません。その理由はわかりません。
過去の傾向から言えば、販売件数>前月比で反応しがちです。後述する指標一致性分析に示す通り、販売件数発表結果が市場予想を上回るか下回るかという方向と、直後1分足は70%強の方向一致率があります。前月比との方向一致率は60%程度です(不正確ですみません。過去データを無くしてしまいました)。
また、以前の発表数値が大きく修正されることがあり、それが反応に影響することもあるので注意が必要です。
注意すべき点は、中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースであるのに対して、新築住宅販売件数が契約書署名ベースで集計されています。そのため、本指標は中古住宅販売件数に対し1〜2か月先行する、という解説を多く見かけます。
これは、事実に照らして正確ではありません。
下表に中古住宅販売件数と新築住宅販売件数の時差を調べた結果を示します。
下表は、2015年1月〜2017年4月分までの28回分のデータを用いました。
「2017年1月」を、あたかも基準のように表示しているのは気にしないでください。どちらの指標がどちらの指標に対し、どれだけ先行・遅行しているかをわかりやすく示しただけです。
分析は先述の通り、28回分のデータをスライドさせて行っています。よって、時差1か月のデータ数は27、時差2か月のデータは26、時差3か月のデータは25です。
また、本表の項目毎の%は、方向一致率を示しています。
例えば「同月同士の中古住宅販売件数と新築住宅販売件数の実態差異は48%の方向一致率がある」と読み取ります。
まず、多くの解説で述べられている両指標の間の先行性・遅行性の関係は、前回結果と発表結果の大小関係(実態差異)について論じているハズです。
結果は、中古住宅販売件数の実態差異は、新築住宅販売件数の2か月前の実態差異と方向一致率が58%となっており、1か月前(42%)・3か月前(43%)よりも15%程度も高くなっています。でも、高いと言っても方向一致率は58%です。
この一致率をもって「だから新築住宅販売件数は中古住宅販売件数よりも2か月の先行性がある」と解説するのは少し無理がある、と思います。
事実に基づけば、少なくとも直近25〜28回分のデータに基づく限り、中古住宅販売件数と新築住宅販売件数の間には先行性・遅行性といった関係を見出せない、と結論付けます。
そしていま、3回に2回(67%)以上の頻度で起こることを「傾向が見受けられる」といい、4回に3回(75%)以上の頻度で起きることを「傾向がある」といった言葉で使い分けることにしましょう。
すなわち、少なくとも直近のデータを見る限り、両指標の同月発表では直後1分足の反応方向が一致する傾向が見受けられます。そして、前月の中古住宅販売件数の直後11分足は、当月の新築住宅販売件数の直後11分足と、反応方向が一致する傾向があります。
但し、こうした一致率の高さは、両指標の集計方法や発表時期の関係を踏まえると、合理的にわかりやすいロジックで説明ができません。もしかすると、別の原因(単に、住宅市場が好調だったり、通常よりも中古住宅の在庫が不足している時期だったり)があると、こうしたカタチで現れやすくなっている可能性があるのかも知れません。
がしかし、単純なロジックでストーリー化できないことを、わざわざ複雑に説明できても仕方がありません。経済情勢を把握することは、取引の手段であって目的ではありません。もっと長期的に観察していけば、もし何か意味のあることなら確率は収まるべき数値に収まるでしょう。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
一見すると「市場予想後追い型」の指標に見えなくもありません。確認しておきましょう。
市場予想後追い型とは、実際には市場予想の方が発表結果よりも先に公表されているにも関わらず、後からそれらをプロットしたグラフを見ると、いかにも市場予想の方が発表結果を追従しているように見える指標です。こうした指標では、直近の指標発表結果が上昇・下降しているとき、市場予想を上抜けし続けたり下抜けし続けた発表結果となることが多いのです。
調査期間において、上抜け・下抜けが起きた回数(同値はカウントしない)は17回です。明らかに2回に1回以上の上抜け・下抜けをしているので、市場予想後追い型ではありません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前10-1分足は陽線が、直前1分足は陰線が、直後1分足と直後11分足は陽線が目立ちます。後述する反応一致性分析で数字を確認しておきましょう。
直後11分足は、上ヒゲ・下ヒゲの長さを加えると、値幅よりも大きくなっている月が多いようです。こういうときは、次の瞬間にどっちに動くかがわからない指標だということが多いので、注意が必要です。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が59%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは56%、終値同士で反応が伸びたことは50%となっています。
つまり、確率的に言って、本指標は追撃に適していません。反応が長続きしない指標なのです。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が76%です。但し、過去平均の跳幅は4pipsしかありません。
直後1分足は、本ブログのポジション取得基準に達していませんが、3回に2回は陽線です。過去平均の跳幅は9pipsです。
そして、ある期間のローソク足がその後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は直前10-1分足との方向一致率が75%あります。今回の事前差異はプラスなので、陽線と見込めます。
但し、市場予想は発表直前に改訂されることもあるので、取引きするなら指標発表前に再確認しておきましょう。
注目すべき点は、事前差異と直後1分足との方向一致率が70%となっていることです。つまり、この指標における市場予想は、発表結果が良いときも悪いときも控え目に予想されがちです。
これは、今回のように事前差異がプラスの場合、直後1分足が陽線になりがちだということです。
事後差異・実態差異は、直後1分足との方向一致率が各74%・78%です。発表結果の良し悪しに素直に反応しています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月24日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。
同月の中古住宅販売件数も同様結果となっていました。
米国住宅市場は在庫不足で、低価格帯住宅の販売が好調です。今回の結果が6月利上げによる駆け込み需要があったのか否かという観点での解説記事は、まだ見受けられません。
取引結果は次の通りでした。
ほぼ的中といっても良い平均的な反応であり、指標発表前の反応が指標結果を示唆している点でも、過去の傾向通りとなりました。
問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月23日23:00に米国実態指標「新築住宅販売件数」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
- 本指標は、指標発表前の取引参加者の動きが、指標発表結果の良し悪しを良く掴めているようです。がしかし、反応は小さく、指標発表後の反応が短時間で追撃には向いていません。
- 過去の傾向から言えば、販売件数>前月比で反応しがちです。販売件数発表結果の良し悪しと直後1分足は70%強の方向一致率がある一方、前月比との方向一致率は60%程度です。それより、以前の発表数値が大きく修正されることがあります。それが反応に影響することもあるので注意が必要です。
過去データの修正による影響は、本ブログの分析では考慮できていません。 - 一部解説では、本指標が中古住宅販売件数に対し1〜2か月先行する、という説明を見かけます。がしかし、これは事実に照らして正確ではありません。
直近のデータを見る限りでは、両指標の同月発表で直後1分足の反応方向が一致する傾向が見受けられます。そして、前月の中古住宅販売件数の直後11分足は、当月の新築住宅販売件数の直後11分足と、反応方向が一致する傾向があります(前月の中古住宅販売件数の直後11分足は陰線でした)。
但し、この確率数値は単なるばらつきで、因果関係がない可能性があります。
次に指標定型分析の結果は次の通りです。
- 反応性分析の結論は次の通りです。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が59%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは56%、終値同士で反応が伸びたことは50%となっています。
つまり、確率的に言って、本指標は追撃に適していません。反応が長続きしない指標なのです。 - 反応一致性分析の結論は次の通りです。
直前1分足は陰線率が76%、直後1分足は3回に2回(67%)が陽線です。但し、過去の反応は小さいので、含益をもったら、さっさと利確すべきです。
そして、ある期間のローソク足がその後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。 - 指標一致性分析の結論は次の通りです。
事前差異は直前10-1分足との方向一致率が75%あります。今回の事前差異はプラスなので、陽線と見込めます。但し、市場予想は発表直前に改訂されることもあるので、取引きするなら指標発表前に再確認しておきましょう。
注目すべき点は、事前差異と直後1分足との方向一致率が70%となっていることです。つまり、この指標における市場予想は、発表結果が良いときも悪いときも控え目に予想されがちです。これは、今回のように事前差異がプラスの場合、直後1分足が陽線になりがちだということです。
そして、事後差異・実態差異は、直後1分足との方向一致率が各74%・78%です。発表結果の良し悪しに素直に反応しています。
以上の分析結果に基づき以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は、事前差異と同じ方向と見なします。本稿記載時点で事前差異はプラスです。
- 直前1分足は陰線と見込みます。但し、期待できるpipsが小さいため取引する/しないは、そのときのチャートを見て決めます。
- 直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向と見なし、指標発表直前にポジションを取ります。
- 本指標では、指標発表後の追撃を行いません。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
【1. 指標概要】
多くのFX会社の経済指標カレンダーでは、本指標の重要度・注目度が高い、とされています。これは、消費やリフォームなどの関連需要にも繋がるため波及効果も大きい上、消費者個人の収入・金利の見通しが反映されるため、とされています。
それなら販売件数が多い中古住宅販売件数の方が重要度・注目度が高いはずですが、そんなことはありません。それに、住宅関連指標はいずれも10pips前後しか反応しません。
本指標の集計は、一戸建に加えて、コンドミニアムと共同住宅を含めた数字も発表されます。
但し、この件数には土地付きの新築住宅販売が対象で、既に保有する土地へ住宅を新築したものは含まれません。その理由はわかりません。
過去の傾向から言えば、販売件数>前月比で反応しがちです。後述する指標一致性分析に示す通り、販売件数発表結果が市場予想を上回るか下回るかという方向と、直後1分足は70%強の方向一致率があります。前月比との方向一致率は60%程度です(不正確ですみません。過去データを無くしてしまいました)。
また、以前の発表数値が大きく修正されることがあり、それが反応に影響することもあるので注意が必要です。
注意すべき点は、中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースであるのに対して、新築住宅販売件数が契約書署名ベースで集計されています。そのため、本指標は中古住宅販売件数に対し1〜2か月先行する、という解説を多く見かけます。
これは、事実に照らして正確ではありません。
下表に中古住宅販売件数と新築住宅販売件数の時差を調べた結果を示します。
下表は、2015年1月〜2017年4月分までの28回分のデータを用いました。
「2017年1月」を、あたかも基準のように表示しているのは気にしないでください。どちらの指標がどちらの指標に対し、どれだけ先行・遅行しているかをわかりやすく示しただけです。
分析は先述の通り、28回分のデータをスライドさせて行っています。よって、時差1か月のデータ数は27、時差2か月のデータは26、時差3か月のデータは25です。
また、本表の項目毎の%は、方向一致率を示しています。
例えば「同月同士の中古住宅販売件数と新築住宅販売件数の実態差異は48%の方向一致率がある」と読み取ります。
まず、多くの解説で述べられている両指標の間の先行性・遅行性の関係は、前回結果と発表結果の大小関係(実態差異)について論じているハズです。
結果は、中古住宅販売件数の実態差異は、新築住宅販売件数の2か月前の実態差異と方向一致率が58%となっており、1か月前(42%)・3か月前(43%)よりも15%程度も高くなっています。でも、高いと言っても方向一致率は58%です。
この一致率をもって「だから新築住宅販売件数は中古住宅販売件数よりも2か月の先行性がある」と解説するのは少し無理がある、と思います。
事実に基づけば、少なくとも直近25〜28回分のデータに基づく限り、中古住宅販売件数と新築住宅販売件数の間には先行性・遅行性といった関係を見出せない、と結論付けます。
そしていま、3回に2回(67%)以上の頻度で起こることを「傾向が見受けられる」といい、4回に3回(75%)以上の頻度で起きることを「傾向がある」といった言葉で使い分けることにしましょう。
すなわち、少なくとも直近のデータを見る限り、両指標の同月発表では直後1分足の反応方向が一致する傾向が見受けられます。そして、前月の中古住宅販売件数の直後11分足は、当月の新築住宅販売件数の直後11分足と、反応方向が一致する傾向があります。
但し、こうした一致率の高さは、両指標の集計方法や発表時期の関係を踏まえると、合理的にわかりやすいロジックで説明ができません。もしかすると、別の原因(単に、住宅市場が好調だったり、通常よりも中古住宅の在庫が不足している時期だったり)があると、こうしたカタチで現れやすくなっている可能性があるのかも知れません。
がしかし、単純なロジックでストーリー化できないことを、わざわざ複雑に説明できても仕方がありません。経済情勢を把握することは、取引の手段であって目的ではありません。もっと長期的に観察していけば、もし何か意味のあることなら確率は収まるべき数値に収まるでしょう。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
一見すると「市場予想後追い型」の指標に見えなくもありません。確認しておきましょう。
市場予想後追い型とは、実際には市場予想の方が発表結果よりも先に公表されているにも関わらず、後からそれらをプロットしたグラフを見ると、いかにも市場予想の方が発表結果を追従しているように見える指標です。こうした指標では、直近の指標発表結果が上昇・下降しているとき、市場予想を上抜けし続けたり下抜けし続けた発表結果となることが多いのです。
調査期間において、上抜け・下抜けが起きた回数(同値はカウントしない)は17回です。明らかに2回に1回以上の上抜け・下抜けをしているので、市場予想後追い型ではありません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前10-1分足は陽線が、直前1分足は陰線が、直後1分足と直後11分足は陽線が目立ちます。後述する反応一致性分析で数字を確認しておきましょう。
直後11分足は、上ヒゲ・下ヒゲの長さを加えると、値幅よりも大きくなっている月が多いようです。こういうときは、次の瞬間にどっちに動くかがわからない指標だということが多いので、注意が必要です。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が59%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは56%、終値同士で反応が伸びたことは50%となっています。
つまり、確率的に言って、本指標は追撃に適していません。反応が長続きしない指標なのです。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が76%です。但し、過去平均の跳幅は4pipsしかありません。
直後1分足は、本ブログのポジション取得基準に達していませんが、3回に2回は陽線です。過去平均の跳幅は9pipsです。
そして、ある期間のローソク足がその後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は直前10-1分足との方向一致率が75%あります。今回の事前差異はプラスなので、陽線と見込めます。
但し、市場予想は発表直前に改訂されることもあるので、取引きするなら指標発表前に再確認しておきましょう。
注目すべき点は、事前差異と直後1分足との方向一致率が70%となっていることです。つまり、この指標における市場予想は、発表結果が良いときも悪いときも控え目に予想されがちです。
これは、今回のように事前差異がプラスの場合、直後1分足が陽線になりがちだということです。
事後差異・実態差異は、直後1分足との方向一致率が各74%・78%です。発表結果の良し悪しに素直に反応しています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月23日23:00発表
以下は2017年6月24日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。
同月の中古住宅販売件数も同様結果となっていました。
米国住宅市場は在庫不足で、低価格帯住宅の販売が好調です。今回の結果が6月利上げによる駆け込み需要があったのか否かという観点での解説記事は、まだ見受けられません。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
ほぼ的中といっても良い平均的な反応であり、指標発表前の反応が指標結果を示唆している点でも、過去の傾向通りとなりました。
(6-2. シナリオ検証)
問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上