2017年06月25日
独国景気指標「Ifo景況指数」発表前後のEURJPY反応分析(2017年6月26日17:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月26日17:00に独国景気指標「Ifo景況指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を下表に整理しておきました。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
Ifo景況感指数は、約7000社の企業を対象に、独経済の現況と今後6カ月の先行きに対してアンケート調査を実施したものです。調査項目は「生産」「在庫」「受注」「価格」「雇用」に分かれており、特に鉱工業生産との関連性が高い内容と言われています。指数は、2000年を100として現況と先行きを加重平均した値になっています。
関連指標には毎月中旬に発表される「ZEW景況感指数」があります。がしかし、本指数の方がサンプル数7000社と多いことや、エコノミストではなく企業担当者が調査対象となっているため、独経済の実態を正確に把握できると言われています。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
景況指数・景況感指数・現況指数のいずれも、調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが29回中12回(41%)です。一見すると、市場予想後追い型に見えますが、意外に大小関係の入れ替わり頻度が高いですね。
また、同じ独国景気指標のZEWは、本指標の先行指標という解説を良くみかけます。確かめておきましょう。
先行性の有無は、実態差異(発表結果ー前回結果)で判断すべきです。結果、両指標の実態差異の方向一致率は64%でした。両指標結果には関係があるかもしれないものの、あまり強い関係ではないようです。
但し、ZEWがIfoの先行指標という「噂」は、事前差異(市場予想ー前回結果)に影響が現れています。事前差異の両指標の方向一致率は88%にも達しています。事前差異の方向一致率だけが高いということは、市場予想が当たらない、ということです。
何より、両指標の反応方向一致率は50%前後なので、両指標の反応方向には関係がありません。直前1分足はもともとどの指標でも陰線率が高くなりがちなので、方向一致率の高さに意味はありません。
よって、ZEWがIfoの先行指標という噂は、仮に事実だとしても取引に役立ちません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
下から2番目の直後1分足を見ておきましょう。ぱっと見で捉える限り、反応が10pipsに達することは2回に1回ぐらいで、陽線が目立ちます。次に、1番下の直後11分足を見ると、直前1分足と方向が逆転したことは少なそうです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は86%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各83%・50%です。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から暫く経つとどちらに反応するかがわかりません。がしかし、直後11分足終値は直後1分足終値の値幅を削ることが多いので、欲張りは禁物です。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が83%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が6pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
独経済の好調さを反映して、事後差異・実態差異はプラス率がやや高いようです。
そして、それら差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率はいずれも70%を超えています。本指標は発表結果の良し悪しが反応にかなり素直に現れます。
以上の調査・分析結果を整理しておきます。
以上の結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年6月26日22:20頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。
景況感指数は1991年以来で最大となりました。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足はチャンスを待っているうちに、機会を逸しました。陰線のつもりで、結果的には「そんな機会はなかった」ので正解です。
気のせいか、これほど良い指標結果だったにも関わらず、数秒間は反応方向に迷いがあったように思えました。陽線側に跳ねて戻ったところを捉えて追撃することができました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
EUR指標での取引はどうも苦手です。ともあれ、勝率こそひどいものですが、Ifoもやっと収益プラスに転じました。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月26日17:00に独国景気指標「Ifo景況指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を下表に整理しておきました。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
【1. 指標概要】
Ifo景況感指数は、約7000社の企業を対象に、独経済の現況と今後6カ月の先行きに対してアンケート調査を実施したものです。調査項目は「生産」「在庫」「受注」「価格」「雇用」に分かれており、特に鉱工業生産との関連性が高い内容と言われています。指数は、2000年を100として現況と先行きを加重平均した値になっています。
関連指標には毎月中旬に発表される「ZEW景況感指数」があります。がしかし、本指数の方がサンプル数7000社と多いことや、エコノミストではなく企業担当者が調査対象となっているため、独経済の実態を正確に把握できると言われています。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
景況指数・景況感指数・現況指数のいずれも、調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが29回中12回(41%)です。一見すると、市場予想後追い型に見えますが、意外に大小関係の入れ替わり頻度が高いですね。
また、同じ独国景気指標のZEWは、本指標の先行指標という解説を良くみかけます。確かめておきましょう。
先行性の有無は、実態差異(発表結果ー前回結果)で判断すべきです。結果、両指標の実態差異の方向一致率は64%でした。両指標結果には関係があるかもしれないものの、あまり強い関係ではないようです。
但し、ZEWがIfoの先行指標という「噂」は、事前差異(市場予想ー前回結果)に影響が現れています。事前差異の両指標の方向一致率は88%にも達しています。事前差異の方向一致率だけが高いということは、市場予想が当たらない、ということです。
何より、両指標の反応方向一致率は50%前後なので、両指標の反応方向には関係がありません。直前1分足はもともとどの指標でも陰線率が高くなりがちなので、方向一致率の高さに意味はありません。
よって、ZEWがIfoの先行指標という噂は、仮に事実だとしても取引に役立ちません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
下から2番目の直後1分足を見ておきましょう。ぱっと見で捉える限り、反応が10pipsに達することは2回に1回ぐらいで、陽線が目立ちます。次に、1番下の直後11分足を見ると、直前1分足と方向が逆転したことは少なそうです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は86%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各83%・50%です。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から暫く経つとどちらに反応するかがわかりません。がしかし、直後11分足終値は直後1分足終値の値幅を削ることが多いので、欲張りは禁物です。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が83%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が6pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
独経済の好調さを反映して、事後差異・実態差異はプラス率がやや高いようです。
そして、それら差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率はいずれも70%を超えています。本指標は発表結果の良し悪しが反応にかなり素直に現れます。
以上の調査・分析結果を整理しておきます。
- あまり大きく反応しません。直後1分足跳幅が10pips以下だったことが52%です。
- 景況指数のグラフを一瞥すると「市場予想後追い型」のように見えます。がしかし、発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが29回中12回(41%)と、上抜け(下抜け)したらしっぱなし、とは言えません。本指標は「市場予想後追い型」とは言えません。
- 同じ独国景気指標のZEWの事後差異との方向一致率は60%前後と、あまり高くありません。特に反応方向は、指標発表前後で一致率が50%前後(直前1分足を除く)であり、ZEW発表時の反応方向とは関係ありません。
- 定型分析の結果は次の通りです。
(1) 直前1分足の陰線率が高くなっています。
(2) 発表結果の良し悪しに素直な反応する指標です。
(3) 短期追撃に適した指標です。
(4) 市場予想の良し悪しや発表前のローソク足方向には、発表後の反応方向を示唆する兆候がありません。
【4. シナリオ作成】
以上の結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。但し、過去の平均跳幅は6pipsしかないので、利確できるときに利確しておきましょう。取引時間が数秒で利確できるなら、それで良いのです。
- 初期反応確認後に追撃ポジションを取得し、跳幅を狙って短期利確に適しています。がしかし、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びたことは50%しかないので、複数回の追撃や長時間の追撃は勝率を下げてしまいます。
以上
2017年6月26日17:00発表
以下は2017年6月26日22:20頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。
景況感指数は1991年以来で最大となりました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足はチャンスを待っているうちに、機会を逸しました。陰線のつもりで、結果的には「そんな機会はなかった」ので正解です。
気のせいか、これほど良い指標結果だったにも関わらず、数秒間は反応方向に迷いがあったように思えました。陽線側に跳ねて戻ったところを捉えて追撃することができました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 反応が小さいという点は、いつも通りでした。
- 今回で、指標結果は市場予想を5か月連続上回っています。「市場予想後追い型とは言えない」という事前説明は、過去事例の確率的事実であっても、今回の発表前に不適切だったかも知れません。
- 同じ独国景気指標のZEWの事後差異や反応方向の方向一致率はあまり高くない、という事前説明も同様です。過去事例の確率的事実であっても、今回の発表前には不適切な説明だったかも知れません。
- 定型分析結果と発表結果を対比します。
(1) 直前1分足が陽線となっており、外しています。
(2) 発表結果の良し悪しに素直に反応しました。
(3) 今回は短期追撃でなく、直後11分足終値ぐらいまで追撃しても良かったかも知れません。最も効率が良いポジションの取り方は、発表直後追撃と17:04頃追撃です。但し、それでも稼げたpipsは10pipsに達しなかったはずです。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
EUR指標での取引はどうも苦手です。ともあれ、勝率こそひどいものですが、Ifoもやっと収益プラスに転じました。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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