2017年06月25日
米国実態指標「耐久財受注」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月26日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月26日21:30に米国実態指標「耐久財受注」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標要点を下表に整理しておきました。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
本指標は、製造業の耐久財受注状況を表しています。指標名は「受注」となっているものの、発表内容は「出荷」「在庫」「新規受注」「受注残高」です。
ちなみに、耐久財とは3年以上の使用に耐える消費財を指し、代表例として自動車・航空機・家電・家具等があります。
この指標とは別に「製造業新規受注」が発表されており、それが翌々月月初発表に対し「耐久財受注」は毎月下旬に前月分速報値が発表されます。そのため、本指標は設備投資分野における先行指標に位置づけられます。
「耐久財受注前月比」と「うち、輸送機器を除く前月比」とは、下表の通り、個別項目だけで反応方向と70%以上もしくは30%以下にはなりません。両項目の結果が等しく影響されて反応方向が決定されているようです。
つまり、少なくとも調査期間において輸送機器を除いたコア数値が重視されている訳ではありません。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
本指標は設備投資分野の先行指標と言われています。その設備投資は、同じ実態指標の鉱工業生産と設備稼働率と関係があるはずです。
もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。確認したところ、両指標の実態差異の方向一致率は73%となっていました。これらの指標の結果増減には関係がありそうです。
とは言え残念なことに、これら指標発表前後の反応方向には関係ないようです。直前1分足のみ、方向一致率が70%となっていますが、これはほとんどの指標で直前1分足の陰線率が高いためで、これら指標に関係があるためではありません。
この結果は、生産高や設備稼働状況がすぐに耐久財受注に影響する、ということを言っているつもりはありません。でも設備投資が好調なときは暫くその傾向が続きがちなので(法人は年度予算で動くことが多いので)、設備投資が増加ないしは減少基調が続くとき、耐久財受注は同月を見ていても傾向が現れる可能性がある、ということです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線率が高いものの、その陰線は下ヒゲがないことが多いようです。このことは、指標発表直前に陰線を伸ばすことが多い、ということです。
直後1分足と直後11分足は、陽線が何か月か続いたり陰線が続いたりしています。このことは、本指標の結果よりもUSDJPYの大きなトレンドの影響が現れやすい可能性があります(本指標が発表されようがされまいが関係ない)。
反応が小さい指標では、こういう傾向が良く見受けられます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各63%・68%です。
つまり、本指標は指標発表後に反応方向が反転する恐れが少ないものの、反応が伸び続けることをアテにするには少し心もとない確率です。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が96%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が4pipsしかありません。欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異と直後1分足跳幅の方向一致率が46%しかないにも関わらず、直後1分足終値との方向一致率は69%となっています。これは発表直後に瞬間的に逆ヒゲを残しがちということです。
以上の調査・分析結果を整理しておきます。
以上の結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年6月27日0時頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を下回り、反応は陰線でした。
取引できませんでした。次の記事を書いていてうっかり時間が過ぎてました。
事前調査・分析内容を、以下に検証します
全体として、指標結果の分析は当たっているものの、反応については外しました。
取引できなかったものの、事前準備シナリオを検証しておきます。
分析では、反応を外していたにも関わらず、取引していたら少し勝てたかも知れません。まぁそんなことはよくあることです。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月26日21:30に米国実態指標「耐久財受注」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標要点を下表に整理しておきました。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
【1. 指標概要】
本指標は、製造業の耐久財受注状況を表しています。指標名は「受注」となっているものの、発表内容は「出荷」「在庫」「新規受注」「受注残高」です。
ちなみに、耐久財とは3年以上の使用に耐える消費財を指し、代表例として自動車・航空機・家電・家具等があります。
この指標とは別に「製造業新規受注」が発表されており、それが翌々月月初発表に対し「耐久財受注」は毎月下旬に前月分速報値が発表されます。そのため、本指標は設備投資分野における先行指標に位置づけられます。
「耐久財受注前月比」と「うち、輸送機器を除く前月比」とは、下表の通り、個別項目だけで反応方向と70%以上もしくは30%以下にはなりません。両項目の結果が等しく影響されて反応方向が決定されているようです。
つまり、少なくとも調査期間において輸送機器を除いたコア数値が重視されている訳ではありません。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
本指標は設備投資分野の先行指標と言われています。その設備投資は、同じ実態指標の鉱工業生産と設備稼働率と関係があるはずです。
もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。確認したところ、両指標の実態差異の方向一致率は73%となっていました。これらの指標の結果増減には関係がありそうです。
とは言え残念なことに、これら指標発表前後の反応方向には関係ないようです。直前1分足のみ、方向一致率が70%となっていますが、これはほとんどの指標で直前1分足の陰線率が高いためで、これら指標に関係があるためではありません。
この結果は、生産高や設備稼働状況がすぐに耐久財受注に影響する、ということを言っているつもりはありません。でも設備投資が好調なときは暫くその傾向が続きがちなので(法人は年度予算で動くことが多いので)、設備投資が増加ないしは減少基調が続くとき、耐久財受注は同月を見ていても傾向が現れる可能性がある、ということです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線率が高いものの、その陰線は下ヒゲがないことが多いようです。このことは、指標発表直前に陰線を伸ばすことが多い、ということです。
直後1分足と直後11分足は、陽線が何か月か続いたり陰線が続いたりしています。このことは、本指標の結果よりもUSDJPYの大きなトレンドの影響が現れやすい可能性があります(本指標が発表されようがされまいが関係ない)。
反応が小さい指標では、こういう傾向が良く見受けられます。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各63%・68%です。
つまり、本指標は指標発表後に反応方向が反転する恐れが少ないものの、反応が伸び続けることをアテにするには少し心もとない確率です。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が96%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が4pipsしかありません。欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異と直後1分足跳幅の方向一致率が46%しかないにも関わらず、直後1分足終値との方向一致率は69%となっています。これは発表直後に瞬間的に逆ヒゲを残しがちということです。
以上の調査・分析結果を整理しておきます。
- あまり大きく反応しません。直後1分足13pips以下となったことが64%(3回に2回)です。
- 本指標は「前月比」と「輸送機器を除く前月比(コア)」が発表されます。注目度や重要度の点でコアを重視する解説が多いようですが、指標発表後の反応を調べた限り、反応への影響はどちらが強いという順位差がないように見受けられます。
- 同じ米国実態指標の鉱工業生産・設備稼働率の同月分の実態差異との方向一致率が高い傾向があります。但し、鉱工業生産・設備稼働率の5月分データは、実態差異が0です。本指標今回の発表結果は前回結果とあまり変わらないかも知れません。
- 定型分析の結果は次の通りです。
(1) 直前1分足の陰線率が高くなっています。但し、取引するにはpipsが小さいので注意が必要です。
(2) 発表結果の良し悪しに素直な反応するとは言い切れません(事後差異との方向一致率が70%未満です)。
(3) 直後1分足は最初に逆ヒゲを形成する可能性があります。追撃するなら、一呼吸おいてからが良いでしょう。
(4) 市場予想の良し悪しや発表前のローソク足方向には、発表後の反応方向を示唆する兆候がありません。
【4. シナリオ作成】
以上の結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。但し、過去の平均跳幅は4pipsしかないので、利確できるときに利確しておきましょう。取引時間が数秒で利確できるなら、それで良いのです。
- 追撃は直後1分足に順張りでポジションを取ります。但し、もともと反応が小さな指標です。高値(安値)掴みをしないように気を付けましょう。
以上
2017年6月26日21:30発表
以下は2017年6月27日0時頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を下回り、反応は陰線でした。
(5-2. 取引結果)
取引できませんでした。次の記事を書いていてうっかり時間が過ぎてました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査・分析内容を、以下に検証します
- 発表結果の影響が最も現れる直後1分足跳幅は12pipsで、過去の平均的な反応(13pips)とほぼ同じでした。時間とともに反応が大きくなり、直後11分足値幅は21pipsと、過去の平均的な反応(9pips)の2倍を超えました。
- 発表結果は、「前月比」「輸送機器を除く前月比(コア)」ともに市場予想を下回ったものの、コアは前月比を上回っていました。よって、直後11分足値幅が過去平均の2倍を超えた理由(前回まで僅か7%しか2倍を超えたことはない)は、指標結果だけではないと推察されます。
- 同じ米国実態指標の鉱工業生産・設備稼働率の同月分の実態差異との方向一致率が高い傾向があそして、鉱工業生産・設備稼働率の5月分データは、実態差異が0です。よって、今回の発表結果は前回結果とあまり変わらないかも知れない、と考えていました。
結果は、前月比が前月とほぼ同じでやや下回り、コアが前月を上回っています。 - 定型分析の結果は次の通りでした。
(1) 直前1分足の陰線率が高くなっていたものの、結果は同値で無効でした。
(2) 発表結果が市場予想を下回り陰線での反応ですから、素直な反応をしました。「素直に反応するとは限らない」という指摘は、今回事前には不適切でした。
(3) 直後1分足は最初に逆ヒゲを形成しておらず、追撃するなら早めが良かったようです。分析を完全に外しました。
全体として、指標結果の分析は当たっているものの、反応については外しました。
(6-2. シナリオ検証)
取引できなかったものの、事前準備シナリオを検証しておきます。
- 直前1分足を陰線と見込んでいたので、スプレッド分は損切となっていた可能性があります。
- 追撃は直後1分足に順張りでポジションを取ります。但し、もともと反応が小さな指標なので、高値(安値)掴みをしないように気を付けるつもりでした。結果から言えば、強気なら利確、弱気ならポジションが取れなかった可能性が高い値動きでした。
分析では、反応を外していたにも関わらず、取引していたら少し勝てたかも知れません。まぁそんなことはよくあることです。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/6406027
この記事へのトラックバック