2017年06月25日
米国景気指標「CB消費者信頼感指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月27日23:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月27日23:00に米国景気指標「CB消費者信頼感指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
同時刻にリッチモンド連銀製造業指数が発表されます。がしかし、その影響は本指標に及ばず、無視しても差し支えありません。
むしろ、この日は16:30からSF連銀総裁の講演がシドニーで、翌0:00からPhil連銀総裁の講演と、02:00からFRB議長の講演がロンドンで予定されています。今後の金融政策についてや景気先行きに関する発言があったり、あると見込まれると、USDの動きはそちらに引きずられてしまいます。特に、SF総裁は利上げと早期BS縮小の引締派です。
本指標は後述するようにあまり反応が大きくありません。大きな動きがあるときは数秒で指標発表の影響がなくなることがあります。
本指標要点を以下図表に纏めておきます。
結論は次の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
CBはConference Board(全米産業審議委員会)の略で、消費者信頼感指数というのは消費者のセンチメント(消費マインド)を指数化した景気指標です。基準は1985年を100とし、毎月5000世帯対象のアンケート調査結果を集計しています。
調査は、(1) 現在の景況感・雇用状況、(2) 6か月先の景況感・雇用・所得、(3) 6か月以内の購入計画(自動車・住宅など)について行われます、これら3項目について「楽観している」か「悲観している」かを指数化しています。
項目は、現状の経済と雇用に関する2項目の平均が「現状指数」で、経済・雇用・所得の先行きに関する3項目の平均(季節調整実施)が「期待指数」です。そして、これら5項目の平均値が消費者信頼感指数です。
この内容はUM(ミシガン大学)消費者信頼感指数と同じです。よって、調査数の差(UMは確報値で500名)こそあれ、原理的にはUMがCBの先行指標と言えるでしょう。がしかし、後述するように、少なくとも直近のデータを見る限り両者に相関はありません。
本指標の意義は、PCE(個人消費)との相関が強いという点です。PCEはGDPや株価との相関が強いと言われています。今後、それらの相関有無もきちんと調べていきましょう。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは29回中17回(58%)です。入れ替わらずに上抜けっぱなし・下抜けっぱなしだったこと(2か月以上連続で上抜け・下抜け)は42%しかなかった計算になります。
直近の1年間の傾向だけを見てみましょう。発表結果と市場予想の大小関係が12回中5回(42%)入れ替わっています。グラフの見た目から受ける印象ほど、安心して指標結果を決め打ちはできませんね。
本指標は現在、「市場予想後追い型」とは言えません。
また、UM消費者信頼感指数は、本指標の先行指標だと言われています。何しろ前述の通り、両指標は調査方法も統計内容も調査時期も同じなのです。これも確かめておきましょう。
比較対象は、CB発表に先立つUM速報値です。そして先行性の有無は、実態差異(発表結果ー前回結果)で判断すべきです。
比較の結果、両指標の実態差異の方向一致率は45%しかありません。両指標は調査方法と統計目的がほぼ同じにも関わらず、前回結果より今回結果が改善しているかいないかすら一致していません。
よって、UM速報値はCBの先行指標とは言えません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
調査期間における米景気の良さを反映しているのか、直後1分足・直後11分足には陽線が目立ちます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は68%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各63%・47%です。
つまり、本指標は短時間の追撃も注意深く行う必要があり、長時間(数分間に亘る追撃)には全く適していません。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直後1分足は陽線率が75%となっています。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前1分足との方向一致率が24%(不一致率76%)となっています。本項記載時点の事前差異はマイナスですから、今回は直前1分足を陽線と見込めます。
そして、事後差異・実態差異と直後1分足との方向一致率は75%を超えています。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応する傾向があります。
以上の調査・分析結果は、巻頭箇条書きに整理しておきました。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月28日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を上回る改善となり、反応は陽線でした。
内訳は、現況指数が146.3に上昇し、この数値は2001年7月以来の高水準だそうです。一方、期待指数は100.6となり、2017年月以来の低水準になったそうです。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は同値でしたが、スプレッド分以上の損切となりました。タイミングが最悪だったようです。
事前調査分析内容を検証しておきます。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月27日23:00に米国景気指標「CB消費者信頼感指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
同時刻にリッチモンド連銀製造業指数が発表されます。がしかし、その影響は本指標に及ばず、無視しても差し支えありません。
むしろ、この日は16:30からSF連銀総裁の講演がシドニーで、翌0:00からPhil連銀総裁の講演と、02:00からFRB議長の講演がロンドンで予定されています。今後の金融政策についてや景気先行きに関する発言があったり、あると見込まれると、USDの動きはそちらに引きずられてしまいます。特に、SF総裁は利上げと早期BS縮小の引締派です。
本指標は後述するようにあまり反応が大きくありません。大きな動きがあるときは数秒で指標発表の影響がなくなることがあります。
本指標要点を以下図表に纏めておきます。
結論は次の通りです。
- 反応が小さな指標です。但し、発表結果の良し悪しに素直に反応します。
最も発表結果の良し悪しが反応に現れやすい直後1分足跳幅の過去平均は9pipsで、55%の過去事例では9pips以下しか反応していません。欲張ってはいけない指標です。 - 過去の発表結果と市場予想をプロットしたグラフを一見すると「市場予想後追い型」に見えます。がしかし、グラフの傾きに騙されてはいけません。本指標は、発表結果が市場予想を上抜けっぱなし・下抜けっぱなしになる確率があまり高くありません。
現在、本指標は「市場予想後追い型」ではありません。 - 同じ調査目的・内容・時期のUM消費者信頼感指数速報値は、本指標の先行指標であってもおかしくありません。がしかし、少なくとも直近の傾向に関する限り、UM速報値と本指標とは、指標予想値・結果値・反応方向のいずれも一致する点が見受けられません。
- 次のシナリオを用意して取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陽線と見込みます。
直前1分足の事前差異との方向一致率は24%(不一致率76%)です。本項記載時点の事前差異はマイナスとなっているので、このままならば直前1分足を陽線と見込めます。
この結論は、直前1分足の過去陰線率は64%となっていることと矛盾しています。事前差異との方向不一致率が高いことを結論に採用した理由は、因果関係がある結論の方が信頼できるためです。
(2) 直後1分足は陽線が75%と高くなっています。そして、他に直後1分足の方向を示唆もしくは否定する過去の傾向はありません。
(3) 指標発表後の追撃には向かない指標です。
上の「反応性分析」の下図の終値の方向分布だけでなく、直後1分足と直後11分足とが方向一致したときでも、後者跳値が前者跳値を超えたことは63%となっています。指標発表後の追撃は勝率が低いと見込みます。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
CBはConference Board(全米産業審議委員会)の略で、消費者信頼感指数というのは消費者のセンチメント(消費マインド)を指数化した景気指標です。基準は1985年を100とし、毎月5000世帯対象のアンケート調査結果を集計しています。
調査は、(1) 現在の景況感・雇用状況、(2) 6か月先の景況感・雇用・所得、(3) 6か月以内の購入計画(自動車・住宅など)について行われます、これら3項目について「楽観している」か「悲観している」かを指数化しています。
項目は、現状の経済と雇用に関する2項目の平均が「現状指数」で、経済・雇用・所得の先行きに関する3項目の平均(季節調整実施)が「期待指数」です。そして、これら5項目の平均値が消費者信頼感指数です。
この内容はUM(ミシガン大学)消費者信頼感指数と同じです。よって、調査数の差(UMは確報値で500名)こそあれ、原理的にはUMがCBの先行指標と言えるでしょう。がしかし、後述するように、少なくとも直近のデータを見る限り両者に相関はありません。
本指標の意義は、PCE(個人消費)との相関が強いという点です。PCEはGDPや株価との相関が強いと言われています。今後、それらの相関有無もきちんと調べていきましょう。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは29回中17回(58%)です。入れ替わらずに上抜けっぱなし・下抜けっぱなしだったこと(2か月以上連続で上抜け・下抜け)は42%しかなかった計算になります。
直近の1年間の傾向だけを見てみましょう。発表結果と市場予想の大小関係が12回中5回(42%)入れ替わっています。グラフの見た目から受ける印象ほど、安心して指標結果を決め打ちはできませんね。
本指標は現在、「市場予想後追い型」とは言えません。
また、UM消費者信頼感指数は、本指標の先行指標だと言われています。何しろ前述の通り、両指標は調査方法も統計内容も調査時期も同じなのです。これも確かめておきましょう。
比較対象は、CB発表に先立つUM速報値です。そして先行性の有無は、実態差異(発表結果ー前回結果)で判断すべきです。
比較の結果、両指標の実態差異の方向一致率は45%しかありません。両指標は調査方法と統計目的がほぼ同じにも関わらず、前回結果より今回結果が改善しているかいないかすら一致していません。
よって、UM速報値はCBの先行指標とは言えません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
調査期間における米景気の良さを反映しているのか、直後1分足・直後11分足には陽線が目立ちます。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は68%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各63%・47%です。
つまり、本指標は短時間の追撃も注意深く行う必要があり、長時間(数分間に亘る追撃)には全く適していません。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直後1分足は陽線率が75%となっています。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前1分足との方向一致率が24%(不一致率76%)となっています。本項記載時点の事前差異はマイナスですから、今回は直前1分足を陽線と見込めます。
そして、事後差異・実態差異と直後1分足との方向一致率は75%を超えています。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応する傾向があります。
以上の調査・分析結果は、巻頭箇条書きに整理しておきました。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月27日23:00発表
以下は2017年6月28日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を上回る改善となり、反応は陽線でした。
内訳は、現況指数が146.3に上昇し、この数値は2001年7月以来の高水準だそうです。一方、期待指数は100.6となり、2017年月以来の低水準になったそうです。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は同値でしたが、スプレッド分以上の損切となりました。タイミングが最悪だったようです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を検証しておきます。
- 反応は過去平均とほぼ同じで、指標結果に対し素直に反応しました。
- 同じ調査目的・内容・時期のUM消費者信頼感指数速報値は、本指標の先行指標とは言えません。今回もUMが結果悪化でCBが結果改善と、逆の結果となりました。
- 指標発表後の追撃には向かない指標、と捉えていました。今回も反応を伸ばすことは出来ませんでした。ただ、跳幅は直後1分足より直後11分足の方が値を伸ばしていました。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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