2017年06月27日
米国経済指標「四半期GDP確報値」・物価指標「コアPCEデフレータ・GDPデフレータ」・実態指標「四半期PCE」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月29日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月29日21:30に米国経済指標「四半期GDP確報値」が発表されます。合わせて、物価指標「コアPCEデフレータ・GDPデフレータ」・実態指標「四半期PCE」が発表されます。いずれも、今回発表は2017年1-3月期分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
四半期GDPは、その四半期の経済実態対象を最も多く踏まえた指標だという点に意義があります。
PCE(個人消費支出)は米国GDPの約70%を占めています。自動車・家電等の耐久財と、食品・衣料等の非耐久財と、外食・交通費等のサービス支出と、からなります。よって、毎月発表されるPCEはGDPの先行指標としての意義があります。
デフレータ(価格指数)には、GDPデフレータとPCEデフレータがあり、それぞれ調査対象の物価変動を示しています。特に、コアPCEデフレータはFRBの金融政策決定に影響を与える点で意義があります。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの16回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
以下のグラフの過去の市場予想は確定値発表時の値です。また発表値は後日修正があっても、ここでは修正していません。
どの項目が反応に影響するのか確かめておきましょう。
やはりGDPが反応に最も影響を与え、次いでコアPCEデフレータが影響しています。PCEデフレータの発表結果はほぼ反応に影響しないと言って良いでしょう。
GDPデフレータは、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が100%となっています。これは、調査期間においてGDPデフレータの市場予想が前回結果を上回っていたら、過去100%、直前10-1分足が陽線になった、と読みます。但し、GDPデフレータが確定値で改定値から修正された回数は4回しかないので、100%とはこの4回の方向一致率のことを指しています。
GDPデフレータの事前差異と直前10-1分足の方向一致率が高いことは、説明が付きません。これは偶然の一致だと考えています。がしかし、気になる方は今後しばらく、GDPの事前差異に基づき直前10-1分足でポジションを取っても良いでしょう。但し、今回のGDPデフレータの事前差異は現時点でゼロなので、今回の発表では直前10-1分足の方向を予見できません。
なお、本分析で用いた事前差異・実態差異には、前回改定値と今回発表値との差を用いています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前10-1分足にはヒゲが目立ちます。騙されないように気を付けましょう。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。なお、本分析で用いた事前差異・実態差異には、前回改定値と今回発表値との差を用いています。反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は67%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各80%・60%となっています。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から時間が経つと反応が伸びる確率が低下します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が77%、直前10-1分足・直後1分足は陰線率がともに69%となっています。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっているのは、直前1分足が絡む組み合わせばかりです。直前1分足は陰線率が77%と高いので、直前10-1分足・直後11分足は陽線になりがちだということです。
他に注目すべき点は、直前10-1分足と直後1分足・直後11分足との方向が、3回に2回以上一致しています。
つまり、本指標での取引参加者は、指標発表後の反応方向を正しく掴みがちです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
本データは、先述の個別項目毎の反応への影響を調べた結果を反映し、各項目の重み付けを次のようにして求めています。すなわち、GDPの差異は3倍、コアPCEデフレータの差異は2倍、PCEデフレータとGDPデフレータの差異はそのまま、です。これら係数を乗じた各差異を合計して、事前差異・事後差異・実態差異を揉めています。
結果、事後差異と直前10-1分足・直後1分足・直後11分足の方向一致率はいずれも70%を超えています。
つまり、反応一致性分析で記したように、本指標での取引参加者は発表後の反応方向を正しく掴めているようです。
以上の調査・分析結果を纏めた内容を巻頭箇条書きに整理しています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以下は2017年6月29日23:10頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、GDP確定値が改定値・市場予想を上回り、コアPCEデフレータが改定値・市場予想を下回りました。
反応は、直前10-1分足と直後1分足が陽線です。直後1分足は直後10-1分足と逆方向で、直後11分足は直後1分足よりも跳幅・値幅とも反応を伸ばしました。
この結果は、「雇用状況が好調ゆえに、速報値の0.7%・改定値の1.2%がいずれ盛り返す」というFOMC見解が正しかったことになります。そして、1-3月期PCEコアデフレータは前期比+2.0%となり、2016年1-3月期以来4期ぶりに2%を回復が確定しました。FRBは既定の金融政策を進めやすい状況になったと言えるでしょう。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は、利確をもう少し粘った方がpipsが稼げたようです。
直後1分足は、ほぼ高値で利確できました。
直後11分足は、終値まで利確を先延ばししていれば大きく稼げたようですが、それは結果論です。途中、21:35頃には陰線に転じているので、短期利確で正解です。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月29日21:30に米国経済指標「四半期GDP確報値」が発表されます。合わせて、物価指標「コアPCEデフレータ・GDPデフレータ」・実態指標「四半期PCE」が発表されます。いずれも、今回発表は2017年1-3月期分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。
- あまり大きく反応しません。直後1分足跳幅が12pips以下だったことが56%と、2回に1回です。
- 指標発表後の反応は素直で、GDP>コアPCEデフレータの順に影響します。計算上は、例えばGDPの事後差異が0.2%となったとき、これをキャンセルするためにはコアPCEデフレータの事後差異が△0.3%となります(GDPの影響はコアPCEデフレータの1.5倍です)。
- 本指標での取引参加者は、事前に発表後の反応方向が掴めているような動きをしがちです。直前10-1分足と直後1分足・直後11分足との方向一致率がほぼ70%となっています。
- 次のシナリオを念頭に取引に臨みます。
(1) 直前1分足は、直前10-1分足が陽線ならば、陰線と見込んでポジションを取ります。
これは、直前1分足の陰線率が77%あり、且つ、直前10-1分足と直前1分足の方向一致率が23%(不一致率77%)となっているため、これらに矛盾なくポジションを取るためです。
(2) 直後1分足は、指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションを取ります。
直前10-1分足と直後1分足とは方向一致率が69%あります。また、直前10-1分足は事後差異との方向一致率が77%あり、事後差異は直後1分足との方向一致率が75%あります。
(3) 追撃は、直後11分足跳幅を狙って短期利確しましょう。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は67%で、方向一致時に跳幅が伸びたことは80%あります。そして、この方向一致時に終値が伸びたことは60%です。
別の言い方をすると、直後1分足終値を基準に考えてみれば、直後1分足の値幅方向に順張りでも、直後11分足終値がつく頃には、直後1分足終値よりも値幅を削ったり反転していることが60%になってしまいます。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
四半期GDPは、その四半期の経済実態対象を最も多く踏まえた指標だという点に意義があります。
PCE(個人消費支出)は米国GDPの約70%を占めています。自動車・家電等の耐久財と、食品・衣料等の非耐久財と、外食・交通費等のサービス支出と、からなります。よって、毎月発表されるPCEはGDPの先行指標としての意義があります。
デフレータ(価格指数)には、GDPデフレータとPCEデフレータがあり、それぞれ調査対象の物価変動を示しています。特に、コアPCEデフレータはFRBの金融政策決定に影響を与える点で意義があります。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの16回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
以下のグラフの過去の市場予想は確定値発表時の値です。また発表値は後日修正があっても、ここでは修正していません。
どの項目が反応に影響するのか確かめておきましょう。
やはりGDPが反応に最も影響を与え、次いでコアPCEデフレータが影響しています。PCEデフレータの発表結果はほぼ反応に影響しないと言って良いでしょう。
GDPデフレータは、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が100%となっています。これは、調査期間においてGDPデフレータの市場予想が前回結果を上回っていたら、過去100%、直前10-1分足が陽線になった、と読みます。但し、GDPデフレータが確定値で改定値から修正された回数は4回しかないので、100%とはこの4回の方向一致率のことを指しています。
GDPデフレータの事前差異と直前10-1分足の方向一致率が高いことは、説明が付きません。これは偶然の一致だと考えています。がしかし、気になる方は今後しばらく、GDPの事前差異に基づき直前10-1分足でポジションを取っても良いでしょう。但し、今回のGDPデフレータの事前差異は現時点でゼロなので、今回の発表では直前10-1分足の方向を予見できません。
なお、本分析で用いた事前差異・実態差異には、前回改定値と今回発表値との差を用いています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前10-1分足にはヒゲが目立ちます。騙されないように気を付けましょう。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。なお、本分析で用いた事前差異・実態差異には、前回改定値と今回発表値との差を用いています。反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は67%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各80%・60%となっています。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から時間が経つと反応が伸びる確率が低下します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が77%、直前10-1分足・直後1分足は陰線率がともに69%となっています。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっているのは、直前1分足が絡む組み合わせばかりです。直前1分足は陰線率が77%と高いので、直前10-1分足・直後11分足は陽線になりがちだということです。
他に注目すべき点は、直前10-1分足と直後1分足・直後11分足との方向が、3回に2回以上一致しています。
つまり、本指標での取引参加者は、指標発表後の反応方向を正しく掴みがちです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
本データは、先述の個別項目毎の反応への影響を調べた結果を反映し、各項目の重み付けを次のようにして求めています。すなわち、GDPの差異は3倍、コアPCEデフレータの差異は2倍、PCEデフレータとGDPデフレータの差異はそのまま、です。これら係数を乗じた各差異を合計して、事前差異・事後差異・実態差異を揉めています。
結果、事後差異と直前10-1分足・直後1分足・直後11分足の方向一致率はいずれも70%を超えています。
つまり、反応一致性分析で記したように、本指標での取引参加者は発表後の反応方向を正しく掴めているようです。
以上の調査・分析結果を纏めた内容を巻頭箇条書きに整理しています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以上
2017年6月29日21:30発表
以下は2017年6月29日23:10頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、GDP確定値が改定値・市場予想を上回り、コアPCEデフレータが改定値・市場予想を下回りました。
反応は、直前10-1分足と直後1分足が陽線です。直後1分足は直後10-1分足と逆方向で、直後11分足は直後1分足よりも跳幅・値幅とも反応を伸ばしました。
この結果は、「雇用状況が好調ゆえに、速報値の0.7%・改定値の1.2%がいずれ盛り返す」というFOMC見解が正しかったことになります。そして、1-3月期PCEコアデフレータは前期比+2.0%となり、2016年1-3月期以来4期ぶりに2%を回復が確定しました。FRBは既定の金融政策を進めやすい状況になったと言えるでしょう。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は、利確をもう少し粘った方がpipsが稼げたようです。
直後1分足は、ほぼ高値で利確できました。
直後11分足は、終値まで利確を先延ばししていれば大きく稼げたようですが、それは結果論です。途中、21:35頃には陰線に転じているので、短期利確で正解です。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 反応は、直後1分足跳幅・値幅・直後11分足値幅が各10pips・5pips・15pipsで、過去平均の各12pips・9pips・10pipsより少し大きくなりました。
これは、デフレータ(物価指標)が悪化したとはいえ2%と望ましい物価上昇に対し、GDP確定値が改善修正したことが、ひとまず好感されたためと解釈できます。
一方、GDPが改善しデフレータが望ましい値となったことは、FRBの引締政策転換を後押しすることに繋がります。このことは(USDにとって)肯定的にも否定的にも短期的に解釈できます。その結果、いつもはあまり動かない確報値にも関わらず、上下に振れる動きとなったのではないでしょうか。 - 指標発表後の反応は素直で、GDP>コアPCEデフレータの順に影響しました。
- 直前10-1分足が陽線で、直後1分足も陽線で反応しました。
本指標での取引参加者は、やはり事前に発表後の反応方向が掴めているような動きをしがちなのかも知れません。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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