2017年06月28日
日本物価指標「CPI・東京都区CPI」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月30日08:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月30日08:30に日本物価指標「全国CPI・東京都区CPI(消費者物価指数)」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。基本的に反応が小さく、取引には適していません。
同時に、雇用指標「失業率・有効求人倍率」も発表されます。がしかし、これも反応は小さく取引に適していません。
これら指標は、日銀金融政策の解説を読み解くために、定期的に着目しています。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。
結論は次の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
総務省統計局に依れば、「全国CPI(消費者物価指数)は、全国の世帯が購入する財及びサービスの価格変動を総合的・時系列的に測定したもの」であり、「家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によってどう変化するかを指数値で示したもの」と定義されています。
発表内容は、「総合指数」「生鮮食品を除く総合指数」「生鮮食品とエネルギーを除く総合指数」で、それぞれ海外各国の「CPI」「コアCPI」「コアコアCPI(海外主要国ではこれをコアCPIと表記しています)」に相当します。
統計範囲に含まれない対象として、非消費支出の直接税や社会保険料等や、貯蓄・財産購入のための支出である有価証券・土地・住宅等の購入等は、指数の対象に含まれていません。信仰・祭祀費、寄付金、贈与金、他の負担費及び仕送り金等も、含まれません。
同時に、東京都区部CPIも発表されます。
後述するように、本指標発表では、全国CPIよりも東京都区CPIに素直に反応しがちです。東京都区CPIが前回結果より上昇すると見込まれていれば、発表前後10分足は陰線となりがちです(3回に2回程度)。
また、東京都区CPIは全国CPIよりも調査対象期間が1か月先行しているものの、両指標が同時発表されるため、FX参加者にとって先行性の意義はありません。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
それぞれ、反応への影響を調べておきましょう。
例えば、上表で事後差異・直後1分足・跳幅が「33%」となっているのは、「物価上昇するとUSDJPYが過去33%が上昇事例(JPYが売られた事例)」と読みます。
米国CPIが上昇すると、USDが買われます。同様に、日本CPIが上昇するとJPYが買われます。よって、日本CPIが上昇したときにはUSDJPYが下がれば「素直な反応」と言えます。よって、この表は「素直でない反応」となった比率を表しています。
結果は、全国CPIよりも東京都区CPIに素直に反応しがちだったことがわかります。東京都区CPIが前回結果より上昇すると見込まれていれば、発表前後10分足は陰線となりがちです(3回に2回程度)。
次に前述の通り、全国CPIと東京都区CPIとは、調査対象月に1か月ずれがあります。こうした総務省の調査・公開目的は、全国CPIの推移を東京都区CPIで先行して把握するためです。総務省はそれで良いでしょう。
でもこれは、「FX参加者にとって、東京都区CPIが全国CPIよりも1か月の先行性を持つ」と助言すべき内容ではありません。なぜなら、これら指標は同時発表されるのです。
つまり、いかに両指標のグラフが相似形であっても、「前月」発表の東京都区CPIを参考にして、「当月」発表の全国CPIの結果が市場予想を上回るか下回るかなんて、取引には関係ありません。もしそうなら、「当月」も「来月」を当てる東京都区CPIにか、FX参加者は興味ないからです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
1番上の直前10-1分足は2016年6月の下ヒゲが69pipsですが、チャートは20pisでカットしています。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
以下、データと計算結果のみ示します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月30日19時頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は東京都区コアはCPIが前回結果・市場予想を下回り、反応は陰線でした。
取引予定はありませんでした。
事前調査分析内容を、以下に検証します
昨年12月を最後に取引実績がありません。
次回発表予定は7月28日08:30です。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月30日08:30に日本物価指標「全国CPI・東京都区CPI(消費者物価指数)」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。基本的に反応が小さく、取引には適していません。
同時に、雇用指標「失業率・有効求人倍率」も発表されます。がしかし、これも反応は小さく取引に適していません。
これら指標は、日銀金融政策の解説を読み解くために、定期的に着目しています。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。
結論は次の通りです。
- 取引には向かない指標です。過去平均の直後1分足跳幅は92%が2pips以下となっています。
- 本指標発表前後10分間は、東京都区コアCPIの結果に反応しがちです。東京都区CPIが前回結果より上昇すると見込まれていれば、発表前後10分足は陰線となりがちです(3回に2回程度)。
米国CPIが上昇するとUSDが買われます。同様に、日本CPIが上昇するとJPYが買われます。よって、日本CPIが上昇したときにはUSDJPYが下がれば「素直な反応」と言えます。指標結果の増減と反応方向との関係が海外指標の発表時とは逆方向となるので、その点はご注意ください。 - 一部の指標解説記事には、東京都区CPIは全国CPIよりも調査対象期間が1か月先行しているため、「1か月の先行性がある」と説明されています。がしかし、これら両指標は同時発表されるため、FX参加者にとって先行性の意義は全くありません。
- 本指標での取引は行いません。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
総務省統計局に依れば、「全国CPI(消費者物価指数)は、全国の世帯が購入する財及びサービスの価格変動を総合的・時系列的に測定したもの」であり、「家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によってどう変化するかを指数値で示したもの」と定義されています。
発表内容は、「総合指数」「生鮮食品を除く総合指数」「生鮮食品とエネルギーを除く総合指数」で、それぞれ海外各国の「CPI」「コアCPI」「コアコアCPI(海外主要国ではこれをコアCPIと表記しています)」に相当します。
統計範囲に含まれない対象として、非消費支出の直接税や社会保険料等や、貯蓄・財産購入のための支出である有価証券・土地・住宅等の購入等は、指数の対象に含まれていません。信仰・祭祀費、寄付金、贈与金、他の負担費及び仕送り金等も、含まれません。
同時に、東京都区部CPIも発表されます。
後述するように、本指標発表では、全国CPIよりも東京都区CPIに素直に反応しがちです。東京都区CPIが前回結果より上昇すると見込まれていれば、発表前後10分足は陰線となりがちです(3回に2回程度)。
また、東京都区CPIは全国CPIよりも調査対象期間が1か月先行しているものの、両指標が同時発表されるため、FX参加者にとって先行性の意義はありません。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
それぞれ、反応への影響を調べておきましょう。
例えば、上表で事後差異・直後1分足・跳幅が「33%」となっているのは、「物価上昇するとUSDJPYが過去33%が上昇事例(JPYが売られた事例)」と読みます。
米国CPIが上昇すると、USDが買われます。同様に、日本CPIが上昇するとJPYが買われます。よって、日本CPIが上昇したときにはUSDJPYが下がれば「素直な反応」と言えます。よって、この表は「素直でない反応」となった比率を表しています。
結果は、全国CPIよりも東京都区CPIに素直に反応しがちだったことがわかります。東京都区CPIが前回結果より上昇すると見込まれていれば、発表前後10分足は陰線となりがちです(3回に2回程度)。
次に前述の通り、全国CPIと東京都区CPIとは、調査対象月に1か月ずれがあります。こうした総務省の調査・公開目的は、全国CPIの推移を東京都区CPIで先行して把握するためです。総務省はそれで良いでしょう。
でもこれは、「FX参加者にとって、東京都区CPIが全国CPIよりも1か月の先行性を持つ」と助言すべき内容ではありません。なぜなら、これら指標は同時発表されるのです。
つまり、いかに両指標のグラフが相似形であっても、「前月」発表の東京都区CPIを参考にして、「当月」発表の全国CPIの結果が市場予想を上回るか下回るかなんて、取引には関係ありません。もしそうなら、「当月」も「来月」を当てる東京都区CPIにか、FX参加者は興味ないからです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
1番上の直前10-1分足は2016年6月の下ヒゲが69pipsですが、チャートは20pisでカットしています。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
以下、データと計算結果のみ示します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月30日08:30発表
以下は2017年6月30日19時頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は東京都区コアはCPIが前回結果・市場予想を下回り、反応は陰線でした。
(5-2. 取引結果)
取引予定はありませんでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 反応は1pipsで、これでは取引に向きません。
- 東京都区コアCPIは改善予想が、結果は低下となりました。本来は円売り(陽線)で反応すべきですが、結果は陰線です。これは09:00の東証寄り付きを睨んで、株売りが円高に繋がるとの思惑での動きだと思われます。
昨日ダウは下降だったので、もともと今朝の東証寄り付きは値を下げやすい状況でした。本指標の影響はほとんどないので、正解はダウと日経の関係が日経とUSDJPYの関係に伝搬した、と見るべきでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
昨年12月を最後に取引実績がありません。
次回発表予定は7月28日08:30です。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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