2010年10月24日
<若者はなぜ3年で辞めるのか?> 城繁幸
このタイトルを見ると、若者でない人に向けて、
「若者はなぜ3年で辞めるのか?」
と、その理由を教える一冊に思えます。
しかし、本書は、「若者の離職率の高さやニート・フリーターの急増といった現象」を
「若者の閉塞感が具体化したもの」ととらえ、
その若者たちに閉そく感の正体を指し示すことを目的とした内容です。
本書に現状の具体的な解決方法が書かれているわけではありませんが、
その閉そく感の正体を知っておくことは自分のこれからの人生を考える上で参考になると思います。
若者に限らず、ビジネスマンなど今後、いわゆる「若者」と関わっていく人々に参考になる一冊です。
また人生のレールについて考えさせられる一冊でもあります。
印象に残ったポイントは以下の通りです。
競争の時代だからこそ「負け組に入らない」ための競争が行なわれている
その代表的なものが「安定した公務員になりたい」という風潮である
企業からすれば、「最近の若者は忍耐力が劣っている。
企業で最初からやりたいことができるなどという考えが甘い」。
「社会人としていちばん必要な素質は忍耐力である」という意識がある。
しかし、そのような若者を生み出したのは企業の人材に対する考え方が一変したためである。
昔は「何でもやります(会社に下駄を預けることができる忍耐力を持つ者)」という人材を採用していた。
しかし、今では「何でもやります」という人材ではなく、「○○という専門性や分野で活躍したい」という人材を採用するようになった。
結果として、「○○という分野で活躍できない、企業でやりたいことができない(忍耐力のない)人材」が、会社を去っていく。
現在の離職の問題は、この採用方法変更したために人材の質も変化してきたと考えることができる。
国民年金の未納率が若者に多い理由は、国民年金を支払ったとしてもそれは現在の高齢者の年金支給のために利用され、将来の自分には返ってこない(と思われる)からである
この状況は現在の企業においてもあてはまる
国民年金が、人口が拡大し続けることを前提に作られてきたのと同様に、年功序列という制度も経済が成長し続けることを前提に作られてきた
しかし、その成長がストップし、さらには縮小している現在では、若いころに下働きしたとしてもその苦労が将来の自分には返ってこない。
そのために会社に対する我慢や忠誠度が低くなってきたと考えることができる
年功序列というルールが崩壊しつつある現在において
「黙って丁稚奉公しろ!」ということがナンセンスである
年金も国債も火のついた爆弾をリレーしているにすぎない
年功序列の影
・新卒と既卒には越えられない壁ができている
・年齢によって人の値段が決まっている
日本の義務教育は起業精神を削ぎ落とす教育であり、それは年功序列とうまくマッチしている
派遣社員の拡大、新卒雇用の削減、年金保険料の引き上げといったものは「年功序列」という怪物が生き延びるための手段である
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