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そもそも線を引く段階で結果的に何を描き上げるかすら見えていないのだ。
一般的にというか、たいていは、ある対象を見て、或いは
イメージしているから描く時には描き終わる時にどうなるか、
例えば花とか人とか対象があるわけで
たぶんそれを描き上げる目標があるわけだ。
どこに線を描きどこに何色を塗るか検討しながら
作業をすすめていくわけで
何を描きたいかわからない状態で線を引くことは普通はしないはずだ。
ところが私の場合は普通ではない。
何を描きたいからと線を引き始めるわけではない。
吐き出すように手を動かし気持ちがスーッとする方向へ線を引く。
ひとしきり線を引き終えてから徐にその痕跡をながめる。
ここからが自分と自分の中の何かとの対話になるわけである。
対話は時間がかかる。
始まりは、瞬時の時もあるし何日も何か月も何も見えてこない時もある。
自分の中にそれだけのものが用意出来ていなければ見えるはずもない。
だから自分に問いかける。自分はそれを見て何を感じるのか。
何がみえるのか。見えてくるまで気長に待つ。
時に描いた線を忘れるくらい時間をあける、距離をおく、
そして、この線を引いたことを忘れるくらい時間が経って
おもむろに描いた線をながめてみる。
そうした行為を何度も何度も行うと
ある時ふと興味深い形が浮かび上がってくる時がある。
その瞬間何か向こうの世界とつながった気分になってハッとして
そして何かうれしくてワクワクしてくる。
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