2021年04月06日
【おすすめ本】『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』〜PART4 ”産業革命の原動力は借金だった”〜。
経済学の本というと、
「おカネ」についての専門用語や、
横文字がびっしり書かれているのを想像する。
そんな、とっつきにくいイメージとは真逆で、
ギリシャ神話や映画のエピソードを交えて
経済の歴史を教えてくれる本。
『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』
今回は、
「産業革命の原動力は借金だった」
について、
参考になった筆者の意見を紹介していく。
※参考章
『第2章 「市場社会」の誕生』
『第3章 「利益」と「借金」のウエディングマーチ』
ー目次ー
なぜ産業革命が起きたのか。
「石炭を燃料にした
蒸気機関が発明されたから。
それによって、工場で大量のモノを
効率的に生産できるようになったからでは?」
筆者によると、
「産業革命の原動力は石炭ではない」という。
石炭の利用
蒸気機関の発明
それらは原動力というよりも、
加速装置だった。
では、産業革命につながっていった大本は何か。
それは
「モノを作る前に借金するようになったこと」
「事業をするため、最初に借金をする」
現代では当たり前のように思える。
モノを作るには、原料の仕入れや、
専用の設備の用意が必要だ。
そのための費用を借りて、
モノが売れた利益から返していくものじゃないか。
しかし筆者によれば、この生産プロセスは
ここ数百年で登場したものだという。
このような最初に借金をする概念は、
領主がいて、それに仕える農奴がいた時代には、
なかったという。
封建領主が多数の農奴を抱えていた時代は、
いわゆる
「自家栽培の作物を家族で分ける」
という方法で回っていた。
農奴が作物を生産し、領主に納める。
領主は余った作物を売ったり貸したりする。
作物を作るためにカネを借りる必要はなかった。
それが大航海時代の到来によって一変した。
世界中で商売できるようになり、
羊毛が世界的に価値があるとわかった。
領主たちは、農奴に作物を作らせるより
羊毛が取れる羊を飼った方が儲かると気づいた。
そこで、領主は農奴を追い出して羊を飼う、
「囲い込み」が起きた。
追い出された農奴たちは、
ある領主にこう頼んだ。
「羊毛を作るために働くから、土地を貸してほしい」
そして別の領主や高利貸しに、こう頼んだ。
「領主に土地を借りるためのカネを貸してほしい」
「羊を飼うためのカネを貸してほしい」
⇒「羊毛が売れたら、土地代や羊を仕入れた代金を返すから」
こうして、「最初に借金をする」概念が生まれた。
世界的に価値のあるモノを
より安く、より多く作る流れは加速した。
そして、その準備に必要な借金の額も
どんどん膨らんでいった。
作ったモノが売れなければ借金が返せなくなり、
家族ともども路頭に迷う。
借金をして
モノを作る準備をした者たちはみな、
そんな思いで必死に競走した。
その舞台はいつしか、羊を飼う牧場から、
無機質な工場へ移っていった。
そして、その工場をより効率的に
稼働させるエンジンが熱望された。
ここで、満を持して、
石炭で動く蒸気機関が登場した。
「もっと利益を、もっと富を」
産業革命は、
利益の追求が加熱する中で起きた。
しかし、裏を返せば、
産業革命とは、
借金を返すために必死になった結果、起きたもの
という捉え方もできる。
借金をして土地を借り、
羊を仕入れ、働いていた人たちは、
どんな思いだったんだろう。
「これでまた大儲けだ」
そう言って、高笑いしていただろうか。
それとも、
「お願いだ、売れてくれ。でないと借金が返せないんだ」
そう言って、
抜け出せない自転車操業に嘆いていただろうか。
産業革命は、人類の偉業だろうか。
それとも、
仕事も家も失う恐怖との、戦いの歴史だろうか。
「おカネ」についての専門用語や、
横文字がびっしり書かれているのを想像する。
そんな、とっつきにくいイメージとは真逆で、
ギリシャ神話や映画のエピソードを交えて
経済の歴史を教えてくれる本。
『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』
今回は、
「産業革命の原動力は借金だった」
について、
参考になった筆者の意見を紹介していく。
※参考章
『第2章 「市場社会」の誕生』
『第3章 「利益」と「借金」のウエディングマーチ』
ー目次ー
- 産業革命の原動力は、石炭でも蒸気機関でもない
- 事業のため最初に借金をするのは、新しい考え方
- 農奴を追い出せ、羊毛を作り、世界中に売れ
- ”生産⇒分配⇒借金”から、”借金⇒生産⇒分配”へ
- 借金した者たちの競走、満を持しての蒸気機関の登場
- 所感・産業革命は”借金返済に必死になった結果、起きたもの”
1.産業革命の原動力は、石炭でも蒸気機関でもない
なぜ産業革命が起きたのか。
「石炭を燃料にした
蒸気機関が発明されたから。
それによって、工場で大量のモノを
効率的に生産できるようになったからでは?」
筆者によると、
「産業革命の原動力は石炭ではない」という。
石炭の利用
蒸気機関の発明
それらは原動力というよりも、
加速装置だった。
では、産業革命につながっていった大本は何か。
それは
「モノを作る前に借金するようになったこと」
2.事業のため最初に借金をするのは、新しい考え方
「事業をするため、最初に借金をする」
現代では当たり前のように思える。
モノを作るには、原料の仕入れや、
専用の設備の用意が必要だ。
そのための費用を借りて、
モノが売れた利益から返していくものじゃないか。
しかし筆者によれば、この生産プロセスは
ここ数百年で登場したものだという。
- 借金する
- 生産する
- モノが売れたら利益を分配し借金を返す
このような最初に借金をする概念は、
領主がいて、それに仕える農奴がいた時代には、
なかったという。
3.農奴を追い出せ、羊毛を作り、世界中に売れ
封建領主が多数の農奴を抱えていた時代は、
いわゆる
「自家栽培の作物を家族で分ける」
という方法で回っていた。
農奴が作物を生産し、領主に納める。
領主は余った作物を売ったり貸したりする。
作物を作るためにカネを借りる必要はなかった。
それが大航海時代の到来によって一変した。
世界中で商売できるようになり、
羊毛が世界的に価値があるとわかった。
領主たちは、農奴に作物を作らせるより
羊毛が取れる羊を飼った方が儲かると気づいた。
そこで、領主は農奴を追い出して羊を飼う、
「囲い込み」が起きた。
4.”生産⇒分配⇒借金”から、”借金⇒生産⇒分配”へ
追い出された農奴たちは、
ある領主にこう頼んだ。
「羊毛を作るために働くから、土地を貸してほしい」
そして別の領主や高利貸しに、こう頼んだ。
「領主に土地を借りるためのカネを貸してほしい」
「羊を飼うためのカネを貸してほしい」
⇒「羊毛が売れたら、土地代や羊を仕入れた代金を返すから」
こうして、「最初に借金をする」概念が生まれた。
5.借金した者たちの競走、満を持しての蒸気機関の登場
世界的に価値のあるモノを
より安く、より多く作る流れは加速した。
そして、その準備に必要な借金の額も
どんどん膨らんでいった。
作ったモノが売れなければ借金が返せなくなり、
家族ともども路頭に迷う。
借金をして
モノを作る準備をした者たちはみな、
そんな思いで必死に競走した。
その舞台はいつしか、羊を飼う牧場から、
無機質な工場へ移っていった。
そして、その工場をより効率的に
稼働させるエンジンが熱望された。
ここで、満を持して、
石炭で動く蒸気機関が登場した。
6.所感・産業革命は”借金返済に必死になった結果、起きたもの”
「もっと利益を、もっと富を」
産業革命は、
利益の追求が加熱する中で起きた。
しかし、裏を返せば、
産業革命とは、
借金を返すために必死になった結果、起きたもの
という捉え方もできる。
借金をして土地を借り、
羊を仕入れ、働いていた人たちは、
どんな思いだったんだろう。
「これでまた大儲けだ」
そう言って、高笑いしていただろうか。
それとも、
「お願いだ、売れてくれ。でないと借金が返せないんだ」
そう言って、
抜け出せない自転車操業に嘆いていただろうか。
産業革命は、人類の偉業だろうか。
それとも、
仕事も家も失う恐怖との、戦いの歴史だろうか。
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