2021年03月15日
【おすすめ本】『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』〜PART1 ”選ばなければ仕事はある”は正しいか〜。
経済学の本というと、
「おカネ」についての専門用語や、
横文字がびっしり書かれているのを想像する。
そんな、とっつきにくいイメージとは真逆で、
ギリシャ神話や映画のエピソードを交えて
経済の歴史を教えてくれる本。
『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』
今回は、
「”選ばなければ仕事はある”は正しいか」
について、
参考になった筆者の意見を紹介していく。
※参考章
『第5章 世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界』
ー目次ー
「選ばなければ仕事はある」
こう言う人たちのことを、筆者は
「失業否定派」と呼んでいる。
そして、失業否定派の主張は
次のようなものだという。
労働者が働いて
何らかの価値を生み出せれば、
雇い主はその労働に対して
何らかの報酬を支払うはずだ。
賃金が低くても、環境が劣悪でも、
世界にはもっと少ない収入で
生活している人たちがいる。
自分が望む給料の仕事がないだけだ、
高望みするな。
とても辛辣で、
「自己責任だ」と言わんばかりの圧力を感じる。
失業者が失業したままなのは、
失業者が選り好みしているからか。
失業否定派に対して、筆者は
「それは間違っている」と主張する。
労働者が希望をどんどん下げて、
低い給料で働こうとすればするほど、
逆に仕事が見つけにくくなるという。
そして、
仕事が見つかるかどうかは、
雇い主たちが経済全体の先行きに対して、
楽観的か悲観的かで決まると主張する。
労働者がどうこうという話ではない、というのだ。
「先行きを楽観的に見るか、悲観的に見るか」
たとえ話として、
冷蔵庫メーカーの話が紹介されている。
ある人を雇うことで
冷蔵庫を今よりも5台多く生産できるとする。
そして5台すべて売れれば、
その人を雇うコスト以上に利益が出るとする。
この時、雇い主が
冷蔵庫を買ってくれるお客さんが
今よりも5人増えるだろう
と、先行きを楽観的に考えていれば、
人を雇うことを考える。
逆に、
冷蔵庫を買えるくらい余裕のあるお客さんを
今より5人増やすことは難しいだろう
と、先行きを悲観的に考えていれば、
たとえ低賃金でも人を雇うことをためらう。
失業否定派は、
労働者の賃金が下がることは、
雇い主にとって「ありがたいこと」と考える。
賃金が下がれば、雇い主の負担は減り、
安い労働力を確保できるからだ。
ただし、賃金が下がるということは、
労働者の生活が苦しくなることでもある。
収入が下がり、生活が苦しくなれば、
冷蔵庫を買う余裕のない人が増える。
そうなれば、
人を雇って生産台数を増やしても、
売れる未来が見えない。
雇い主は雇用の「門戸」を開かなくなるので、
低賃金だとしても狭き門になっていく。
例えば車を売りたい、家を売りたい場合、
値段をどんどん下げていけば、
いつか買う人が見つかる。
買う人の目的は
車や家を買って得られる経験そのものだからだ。
労働者を雇うことは、
車や家を売ることとはまったく違う。
雇い主の目的は、
労働力そのものを買うことではなく、
労働者を雇うコストをかけて
生産したモノを売ることだからだ。
「選ばなければ仕事はある」かどうかは、
賃金を下げれば雇用が生まれる
労働の価値を提供できれば報酬を払う人はいる
という単純な話ではなかった。
雇い主が
「今、ウチの製品は売れそうか」について、
どう考えているか。楽観的か、悲観的か。
その点を見落とさないようにと、教えてくれた。
「おカネ」についての専門用語や、
横文字がびっしり書かれているのを想像する。
そんな、とっつきにくいイメージとは真逆で、
ギリシャ神話や映画のエピソードを交えて
経済の歴史を教えてくれる本。
『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』
今回は、
「”選ばなければ仕事はある”は正しいか」
について、
参考になった筆者の意見を紹介していく。
※参考章
『第5章 世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界』
ー目次ー
- 失業否定派の主張”高望みするな”
- 雇用は先行きへの楽観と悲観で決まる
- 冷蔵庫を買える余裕のある人は増えるか
- 賃金低下は雇い主にとって”ありがたいこと”か
- 大切な視点”今ウチの製品は売れそうか”
1.失業否定派の主張”高望みするな”
「選ばなければ仕事はある」
こう言う人たちのことを、筆者は
「失業否定派」と呼んでいる。
そして、失業否定派の主張は
次のようなものだという。
労働者が働いて
何らかの価値を生み出せれば、
雇い主はその労働に対して
何らかの報酬を支払うはずだ。
賃金が低くても、環境が劣悪でも、
世界にはもっと少ない収入で
生活している人たちがいる。
自分が望む給料の仕事がないだけだ、
高望みするな。
とても辛辣で、
「自己責任だ」と言わんばかりの圧力を感じる。
2.雇用は先行きへの楽観と悲観で決まる
失業者が失業したままなのは、
失業者が選り好みしているからか。
失業否定派に対して、筆者は
「それは間違っている」と主張する。
労働者が希望をどんどん下げて、
低い給料で働こうとすればするほど、
逆に仕事が見つけにくくなるという。
そして、
仕事が見つかるかどうかは、
雇い主たちが経済全体の先行きに対して、
楽観的か悲観的かで決まると主張する。
労働者がどうこうという話ではない、というのだ。
3.冷蔵庫を買える余裕のある人は増えるか
「先行きを楽観的に見るか、悲観的に見るか」
たとえ話として、
冷蔵庫メーカーの話が紹介されている。
ある人を雇うことで
冷蔵庫を今よりも5台多く生産できるとする。
そして5台すべて売れれば、
その人を雇うコスト以上に利益が出るとする。
この時、雇い主が
冷蔵庫を買ってくれるお客さんが
今よりも5人増えるだろう
と、先行きを楽観的に考えていれば、
人を雇うことを考える。
逆に、
冷蔵庫を買えるくらい余裕のあるお客さんを
今より5人増やすことは難しいだろう
と、先行きを悲観的に考えていれば、
たとえ低賃金でも人を雇うことをためらう。
4.賃金低下は雇い主にとって”ありがたいこと”か
失業否定派は、
労働者の賃金が下がることは、
雇い主にとって「ありがたいこと」と考える。
賃金が下がれば、雇い主の負担は減り、
安い労働力を確保できるからだ。
ただし、賃金が下がるということは、
労働者の生活が苦しくなることでもある。
収入が下がり、生活が苦しくなれば、
冷蔵庫を買う余裕のない人が増える。
そうなれば、
人を雇って生産台数を増やしても、
売れる未来が見えない。
雇い主は雇用の「門戸」を開かなくなるので、
低賃金だとしても狭き門になっていく。
5.大切な視点”今ウチの製品は売れそうか”
例えば車を売りたい、家を売りたい場合、
値段をどんどん下げていけば、
いつか買う人が見つかる。
買う人の目的は
車や家を買って得られる経験そのものだからだ。
労働者を雇うことは、
車や家を売ることとはまったく違う。
雇い主の目的は、
労働力そのものを買うことではなく、
労働者を雇うコストをかけて
生産したモノを売ることだからだ。
「選ばなければ仕事はある」かどうかは、
賃金を下げれば雇用が生まれる
労働の価値を提供できれば報酬を払う人はいる
という単純な話ではなかった。
雇い主が
「今、ウチの製品は売れそうか」について、
どう考えているか。楽観的か、悲観的か。
その点を見落とさないようにと、教えてくれた。
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