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2024年07月01日

【短編小説】『反出生と翠玉の血』1

【MMD】Novel HanSyussyo Emerald SamuneSmall1.png

【MMD】Novel HanSyussyo Emerald CharacterSmall1.png

⇒過去作品『反出生の青き幸』の後日譚

<登場人物>
冷泉 希望来(れいせん みくる)
 主人公、とある名家「冷泉家」の末裔
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【第1話:鮮紅から翠玉へ】



希望来
「ハァ…ハァ…お願い…!」
「あと5分だけ…見つからないで…!」


お昼過ぎから降り始めた雨は、
あたりが暗くなっても静かに降り続いていた。

私・冷泉 希望来は、
叔父が放った追っ手から逃れ、
物陰で震えていた。


身体はびしょ濡れ。
逃げる時に負った傷が痛んだ。

傷口からにじみ出る血の色は、
赤色からエメラルドグリーンに変わり始めた。

希望来
「もう少しだ…!」
「私の血の色が完全な青色になれば…。」
「私は人間からアンドロイドになれる…!」



「”子孫を残せない身体”になれるんだ…!!!」




私は人間だが、
先日アンドロイドへの改造手術を受けていた。

その最終工程「血液入れ替え」が終わるまで、
あと5分。

赤い血が徐々にエメラルドグリーンに、
そして最後にアンドロイド特有の青い血になる。

私を追ってきたのは、
冷泉家の血の存続のために
私に世継ぎを産ませたい者たちだ。


だから、
私のアンドロイド化が完了する前に
私を捕らえようと躍起になっていた。


ーー


私の実家・冷泉家は、
昔はとある地域を統治していた。

名家?貴族の優雅な暮らし?
とんでもない。

この血が一代つながるたびに、
不幸な人を生み続けてきた。


ある世代のお姫さまたちは、
世継ぎの男子を産めなかったことで
処刑されたり幽閉されたりした。

ある世代では
近親者での交配を繰り返した結果、
人生の幸せをほとんど知らずに
世を去る人が続出した。



冷泉家はどんどん先細り、
ついに健康体は私の両親だけになった。

けれど、私の母が産んだのは
女である私…。

母は世継ぎの男子を産めなかったことで
親戚から弾圧された。


父は母を守ろうと奮闘するも、
無理がたたって早逝。

その母も、私が成人する頃に逝去。



こんな家庭を見てきた私は、
たとえ何をされようと子孫を残したくないと誓った。


希望来
「もし私が子孫を残したら…。」
「また不幸な人を増やすことになるよね。」


私の両親や、ご先祖さまがそうだったように。

希望来
「ならこんな家系は断絶した方がいいよね。」
「生まれなければ不幸にならないもの。」

「でも、どうやって?」




この時代、
完全自立型アンドロイドたちが
すでに人間社会で共に暮らしていた。

ただ1つ、人間を再現できないのは生殖機能。
アンドロイドは生殖能力のない一代生物だ。

ならば、私自身を
「生殖能力のない一代生物=アンドロイド」に
改造してもらえばいいという結論に至った。


今の私は、
それを阻止したい冷泉家との
「雨中の逃避行」のクライマックスにいた。

【MMD】Novel HanSyussyo Emerald Episode1 MikuruSmall3.2.png

希望来
「傷が痛いけど…あと3分。」


エメラルドグリーンだった私の血が
深緑色に変わった。

私の身体の完全なアンドロイド化、
青色の血まであと少し。

希望来
「やっと逃げ切れる…!」
「叔父さんからも、子孫を残す不幸からも。」




冷泉家当主
『誰から逃げ切れるんだ?』




希望来
「?!…叔父、さん…?」




【第2話(最終話):すべて洗い流して】へ続く

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理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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