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2023年09月28日

【短編小説】『なぜ学校にはお金の授業がないの?』2 -最終話-

【MMD】Novel Okane NO Jugyo SamuneSmall2.png

【第1話:独占する者、使い捨てられる者】からの続き

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<登場人物>

深澤 真知(ふかざわ みしる)
 主人公、10歳、小学5年生の少女
 親も学校もお金について教えてくれないことに
 疑問を持ち始める
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【第2話:逃げ切る者、ラットレースに勤しむ者】



<後日:真知の通う小学校・職員室>

担任
『うーん…もう少し点数を伸ばせないか?』
『深澤ならもっとできると思うんだがなぁ。』
『小学生のうちからこれじゃあ、良い学校へ入れないぞ?』


真知
「先生、良い学校へ入れないとどうなるんですか?」


担任
『どうなるって…良い会社へ入れなくなるんだよ。』


真知
「良い会社ってどんな会社ですか?」


担任
『もらえる給料が高い会社だよ。』


真知
「咲姫ちゃんのパパみたいに会社をやっている人も?」
「1回は良い会社へ入らないといけないんですか?」


担任
『?!ま、まぁ、そりゃそうだろうな…。』
(マズイ…経営者のことはよくわからんが、まぁいい…。)


真知
「じゃあ学校の勉強やテストは?」
「良い学校や良い会社に入るためにあるんですか?」


担任
『そうだな。』


真知
「それって、お金をたくさん”もらう”ためですか?」


担任
『ああ。』


真知
「先生も会社からお給料をもらっているんですか?」


担任
『先生は公務員だから、国から給料をもらっているんだ。』


真知
「じゃあ学校の勉強を頑張ったら「しゃちょう」になれますか?」
「咲姫ちゃんのパパみたいに会社を作れますか?」


担任
『?!…ま、まぁな(汗)』


真知
「そうですか…。」

(先生は本当に知ってるのかなぁ?)
(焦っているように見えるけど…。)


担任
『……。』


真知
「学校の勉強は、お金をもらえる場所へ入るためですか?」
「難しい算数も理科も社会も?」


担任
『も、もういいだろ?』
『次のテストではもう少し成績を…。(汗)』


真知
「先生!」


担任
『…何だ?』




真知
「どうして学校にはお金の稼ぎ方の授業がないんですか?」




担任
『そ、それ以上はいいだろう?』
『授業の内容は国が決めているんだ。』
『先生が決めているわけじゃないからなッ!』


真知
「…ですが…。」


担任
『ホラ、遅くなったら親御さんが心配するぞ?』
『さっさと帰って勉強しろ。』


真知
「はぁい…。」




私はモヤモヤしたまま、
職員室を追い出されてしまいました。

真知
(どうして?)
(どうして学校では国語とか算数ばっかりやるの?)

(パパもママもあんなにお仕事をしている。)
(お金をもらうために、毎日くたくたになって…。)

(お金がないと生きていけないくらい大切なもの。)
(なのにどうして学校では、大切なお金のことを教えないの?)


私の疑問はどんどん膨らんでいきました。



ーーーーー



<後日:真知の家>

真知
「ねぇママ。」
「この前、先生に聞いてみたの。」
「どうして学校にはお金の授業がないの?って。」



『お金の授業?』


真知
「そしたら先生、なぜかすごく焦り出して…。」
「”もういいから帰りなさい”って言われた。」
「結局教えてもらえなかったの。」



『そ、そうだったの…。』


真知
「ねぇママ。」
「どうして先生はお金のことは教えてくれないの?」
「良い会社に入るためにテスト勉強するって教えてくれたのに…。」



『…先生にも色々と…事情あるのよ。』


真知
「事情?」



『ええ、先生も国からお金をもらっている立場だから。』


真知
「うーん…。」



『それと、お金のことばかり話すものではありませんよ?』


真知
「どうして?お金は大切だよ?」
「お金がないと生活できないんでしょ?」



『大切だけど、あまり口にしない方がいいの。』


真知
「どうして?」



『お金のことばかり考えているとね。』
『”はしたない”って思われるからよ。』


真知
「はしたないの?」
「お金があるから生きていけるのに?」



『…そ、そうよ…。』


真知
「お金をもらうためにパパもママもあんなに働いている。」
「毎日くたくたになってまでお金をもらっている。」
「なのにどうして話しちゃいけないの?」



『あなたの気持ちもわかるわ…。』
『けど…これだけは飲み込んでちょうだい…。』


真知
「でも…!」



『お願い…。』
『その内わかるときが来るから…ね?』


真知
「…わかった。」
「私、これ以上ママを困らせない!」




とはいえ、私の疑問は消えません。

どうしてお金について話すのは
”はしたないこと”なの?


生きていくために必要なもの、
大切なもののはずなのに?

どうして誰も
お金について教えてくれないの?

ねぇ、どうして?!どうしてなの???!



ーーーーー



<現代:とある国の中枢>

国の指導者
『側近よ。』


側近
『はい。』


指導者
『学校教育の首尾は?』


側近
『今のところ公立私立ともに成功しています。』
『従順なサラリーマンを量産する教育が浸透しています。』


指導者
『そうか、今後も基本方針はこのままで行ってくれ。』
『定期テストでは”社会で何の役に立つのかわからない問題”を中心に出すように。』


側近
『かしこまりました。』


指導者
『それから比較と競争の文化も継続してくれ。』
『常に成績や偏差値で競わせるのだ。』


側近
『心得ております。』


指導者
『必要なのは他人と比べて劣等感を抱きやすい人材だ。』
『他人に優越するため、やりたくないことも黙ってやるようになる。』
『そうなれば社会へ出ても、思考停止して上の命令に従うようになる。』


側近
『これで資本家からの要望が減ってくれればいいですね。』


指導者
『ああ。次回の当選にも資本家のバックアップが不可欠だ。』
『票を集めるためにも財界や資本家に寄り添う政策を続けたい。』
『そのためには無個性で従順なサラリーマンがもっと必要だ。』
『彼らの会社で馬車馬のように働く”人材”がな。』


側近
『1つ問題があります。』
『最近、お金についての書籍が大量に出回っています。』
『お金について学ぼうという機運が高まっています。』


指導者
『そうだな。ならば当然来ているだろう?』
『”学校教育にお金の授業を取り入れろ”という要望が。』


側近
『来ています。数も年々増えています。』
『いつまでも隠し通せるものではないでしょう。』




 学校でお金について教えないのは
 お金の稼ぎ方を知られて力を持たれては困るから




側近
『などということは。』


指導者
『おいおい側近、そのような発言は控えてくれ。』
『どこにメディア連中の盗聴器があるかわからん。』


側近
『大変失礼いたしました。』
『つい本音が漏れてしまいました。』


指導者
『確かに時代は変わっていくだろう。』
『いずれは学校でお金の授業をせざるを得なくなる。』


側近
『それは避けられないでしょうな。』


指導者
『だが”お金は汚い”という風潮はまだ根強いだろう?』


側近
『はい。とある会社に統計を取らせたところ…。』
『国民の8割がお金の話を嫌がる傾向にあるとか。』


指導者
『それでいい。』
『いずれ変わるにしても、あと数十年持ってくれれば十分。』
『我々が権力の座に居る間は安泰よ。』


側近
『はい、我々さえ逃げ切れれば良いのです。』
『世の中のお金についての認識が変わり切ってしまう前に。』


指導者
『ここまで苦労して権力者へ上り詰めたのだ。』
『人生の豊かな逃げ切りに使うくらい大目に見てもらおう。』

『次世代の若者には気の毒だが…。』
『せいぜいラットレースに勤しんでくれ。』
『見栄とセケンテイを気にして消費に勤しんでくれ。』
『まだお金について学ぶ機会を与えるわけにはいかんのだよ。』


『何しろ…。』



お金は汚いもので、
お金の話をするなんて”はしたない”からなぁ!!




ーーーーーENDーーーーー



<あとがき>

現代は「お金の認識」についての過渡期です。

権力者が学校教育を通じて
・工場労働者を量産したい時代
・従順な兵士を量産したい時代
・サラリーマンを量産したい時代

を経て、

「もう国民の面倒を見る余裕はない」
「財産は各自で守ってくれ」

と言い始めています。

「清貧⇒良い」「お金⇒汚い」という認識を広めたのは、
国民がお金に詳しくなったら困る人がいるからでしょう。

それが崩れ始めた時代だからこそ、
お金について1から学ぶ良い機会です。
いつか学校で「お金の授業」が行われる未来を描きながら。


ーーーーーーーーーー



⇒他作品
【短編小説】『片翼の人形が救われた日』全4話

【短編小説】『スマホさん、ママをよろしくね。』全4話


⇒参考書籍














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理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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