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2019年03月07日

旦那さんはアスペルガー 奥さんはカサンドラ。

読了。

アスペルガー症候群(現在の呼び名は自閉スペクトラム)の
旦那アキラさんと情緒的な繋がりを感じられず

カサンドラ情動剥奪障害に陥り
苦悩する著者ツナさん。



この著書は発達障害者のパートナーの目線で書かれているので、

一見すると発達障当事者は異なる者、
理解できない言動ばかりする悪者
という側面も持ち合わせているかも知れない。

実際、僕も読み始めてしばらくは
自分が悪者にされているような錯覚に陥ってしまった。

だけど、最後の方で
「誰も悪くない」「犯人はいない」と気付くツナさんの言葉で、
自分の錯覚に気付くことができた。

あくまで当事者と近しい距離にいる人が見た世界であり、
当事者に寄り添った内容ではないことを
頭に入れて読むのがいいかも知れない。



数社から借金をしており、
「サラ金のカードを全部出して」と言われたから
サラ金のカードを全部奥さんに預ける。

しかしこの時、
「信販系のカード」とは言われなかったので
信販系のカードは提出しなかったアキラさん。

これは言葉を字義通りにしか
受け取れないことから来るエピソード。



「どうして●●したの!?」
「だから貴方は××なのよ!」と怒鳴られると、

何に対して怒っているかの内容ではなく
「怒られている」という1点にのみ意識が集約され、
状況が理解できずにフリーズする。

ツナさんの主治医曰く、
”理解し噛み砕くまで2週間程度かかることもある”



僕にはサラ金のカード提出エピソードはないが、
アキラさんの言動を読み進めれば進めるほど、
自分に当てはまり過ぎて感動した。

しかし、それと同時に
これまで自分と接したすべての人に対し、

カサンドラ症候群もしくは予備軍にさせてしまい
苦しみを負わせて申し訳ございませんと謝りたくなった。



僕らは人に共感できなかったり、
共感するつもりがないわけではない。

決して人に無関心なわけでもないし、
相手が何を思っていて何をしてほしいのかを
理解したいという気持ちはちゃんと持ち合わせてる。

何とかしてあげたい気持ちはあるし、
相手がどうして怒ったり悲しんでるかを
できる限り読み取りたい。

具体的に何か言われなくても察して
先回りしてほしい気持ちに応えたい。



ただ僕らは、
その気持ちをうまく相手に伝えることが苦手であり、
だからこそ”障害”と呼ばれている。

特に共感する姿勢や気持ちが
相手に上手く伝わっていないがために

悲しませたり怒らせたりしてきたことは
自分が気付いてないことも含めると相当数あっただろう。

今さら弁明をするつもりはないが、
改めて僕に接したことにある人へ
この場を借りてお詫びしたい。



この著書を読んだ後、
ネット上の読書レビューに幾つか目を通してみた。

身近に当事者がいる人、パートナーが当事者の人、
そして当事者からは理解を示す意見が多かったが、

一方で「ただの逃げ」「本人の自分勝手」「意地悪」
「アスペの発症件数多すぎ」という心ない言葉も散見された。

こういう意見を述べている理由や背景はわからないし、
どの世界にも理解を拒む者は少なからず存在するが、
個人的にすごく悔しくて、画面から目を逸らしたくなった。

障害自体の知名度が上がってきたのは喜ばしいことだが、
やっぱりまだこういうことを言う人が居る現実も、
今後生きて行く上で受け止めなければと思った。



障害特性エピソードの1つ、フリーズ。
これは僕が仕事をして来た中で最も大きな悩みの1つ。

「怒られる」「責められる」ことのみに意識が集約し
フリーズすることはプライベートでもたまにあるし、

過去に所属した職場では
たとえ接客の現場だろうと容赦なくフリーズして
周りを怒りの渦に突き落としたことが多々ある。

こういう痛い目にたくさん遭って学んだのか、
僕はフリーズの予兆がある時の火消し策として

自分が何を考えているか、どこが疑問なのかを
目に見える形で書き出して伝える試みをしている。

「何を考えているかわからない」ことで
相手に与える苛立ちを軽減できたらと思う。



これ1冊だけ読むと、
当事者:アキラさんの気持ちの描写がほとんどないが、
それこそがツナさんの大きな悩みなんだと思う。

個人的にはアキラさんの意見や心理描写を見てみたいが、
それはきっとアキラさん本人も表現が難しいのかも知れない。

上手く伝えるということ自体のハンディだから。

僕は自閉スペクトラム当事者の1人として、
上手く伝えたりその場で読み取ったりする能力のハンディを
できるだけ書き出して伝えることで代用を試みている。

周囲の理解も大切だが、自分は何ができるか、
自分の手持ちの武器でどう代用するかということも
考えさせられた1冊だった。


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理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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