2019年02月01日
ポッド042
「当機は随行支援ユニット『ポッド042』」
小さな箱型の機械が、無機質な声で話しかけてくる。
宙に浮かぶポッドに、私は事務的な応答をする。
戦場で役立つ情報以外に、言葉は必要ない。
「推奨:敵機械生命体の速やかな破壊」
ポッドから放たれる弾丸が、易々と敵の装甲を貫く。
その射撃には一片の迷いもなく、無慈悲なように見える。
もっとも、彼に「慈悲」という感情があれば、の話だが。
「敵の破壊を確認。次の目的地をマップにマーク」
過酷な戦闘の余韻のなか、ポッドの冷静な声が耳に届く。
私の背後を護ったときの傷が、ポッドの側面に残っている。
「何の為に傷つくのか」……私はその意味を考えていた。
「報告:感謝」
暖かな木漏れ日の下、ふと、ポッドを軽く撫でてみた。
返ってきたのは、いつもと変わらない無機質な声。
心なしか嬉しそうだったのは、きっと私の気のせいだろう。
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