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2016年01月22日
カイネの剣
女は二度失った。
最初は、大切な祖母を。
二度目は、大切な友を。
女は殺した。
彼女から大切なモノを奪った敵を。
彼女に復讐の呪いをかけた敵を。
女は失った。
復讐の為に戦う意味を見失っていた。
殺戮の中で生きる意味を見失っていた。
女は夢を見た。
暗い洞窟の中。
いつか訪れる死の先で、大切な人に会える夢を。
最初は、大切な祖母を。
二度目は、大切な友を。
女は殺した。
彼女から大切なモノを奪った敵を。
彼女に復讐の呪いをかけた敵を。
女は失った。
復讐の為に戦う意味を見失っていた。
殺戮の中で生きる意味を見失っていた。
女は夢を見た。
暗い洞窟の中。
いつか訪れる死の先で、大切な人に会える夢を。
2016年01月21日
フリアエの短剣
お兄様を困らせてはいけない。
剣術の稽古にお忙しいのだから、遊んで欲しいなどという
私のわがままに付き合わせてはいけない。
お兄様を困らせてはいけない。
政治のあれこれにお忙しいのだから、お話をしたいなどという
私の贅沢に付き合わせてはいけない。
お兄様を困らせてはいけない。
他の国と戦う事でお忙しいのだから、悩みを聞いて欲しいという
私の苦労に付き合わせてはいけない。
お兄様を困らせてはいけない。
この胸の中に秘められた黒く淫らな想いを悟られてはいけない。
そんな姿を見られたのなら、命を絶たなければいけないから。
剣術の稽古にお忙しいのだから、遊んで欲しいなどという
私のわがままに付き合わせてはいけない。
お兄様を困らせてはいけない。
政治のあれこれにお忙しいのだから、お話をしたいなどという
私の贅沢に付き合わせてはいけない。
お兄様を困らせてはいけない。
他の国と戦う事でお忙しいのだから、悩みを聞いて欲しいという
私の苦労に付き合わせてはいけない。
お兄様を困らせてはいけない。
この胸の中に秘められた黒く淫らな想いを悟られてはいけない。
そんな姿を見られたのなら、命を絶たなければいけないから。
2016年01月20日
ニーアの剣
あっ。だめだヨナ。座って食べなさい。
走り回ったらせっかく焼いたパイがこぼれるだろ。
ほら、言った先からポロポロポロポロと。
エミールも座るんだ。何クローゼットを漁っているんだ。
さっさとスープを片付けてくれ。
そこに入っているのは俺とヨナの下着だけだ。
カイネはどこ行ったんだ?え?食べたりなくて食材探し?
さっき渡した豚の丸焼きはどうしたんだ?
は?もう食った?
まどろむ夢の中。
失われた自分と、失われた世界と、失われた人達を想う。
もう手に入らない、あの幸せの光を。
走り回ったらせっかく焼いたパイがこぼれるだろ。
ほら、言った先からポロポロポロポロと。
エミールも座るんだ。何クローゼットを漁っているんだ。
さっさとスープを片付けてくれ。
そこに入っているのは俺とヨナの下着だけだ。
カイネはどこ行ったんだ?え?食べたりなくて食材探し?
さっき渡した豚の丸焼きはどうしたんだ?
は?もう食った?
まどろむ夢の中。
失われた自分と、失われた世界と、失われた人達を想う。
もう手に入らない、あの幸せの光を。
2016年01月19日
カイムの剣
不器用な王子がいた。
恋愛も政治も苦手だった。人と関わる事が苦手だった。
裏庭で剣の素振りをする事だけが王子にとって安息の場だった。
毎日の素振りが百回を越えた頃、王子は自らに力がついてくる事を感じた。
力は自信となり、不安を吹き飛ばしてくれた。
王子は剣術の道へとのめり込んでいった。
毎日の素振りが千回を越えた頃、政治と謀略の苦悩を忘れる事が出来た。
権力も金はいつも嘘と裏切りを運んできたが、
剣は嘘をつく事も裏切る事も無かった。
毎日の素振りが一万回を越えた時、全ての苦悩から開放された。
何もかも剣にゆだねれば楽になれる。そう感じられた。
剣に逃げ込んでいる自らの姿に、王子が気付く事は無かった。
恋愛も政治も苦手だった。人と関わる事が苦手だった。
裏庭で剣の素振りをする事だけが王子にとって安息の場だった。
毎日の素振りが百回を越えた頃、王子は自らに力がついてくる事を感じた。
力は自信となり、不安を吹き飛ばしてくれた。
王子は剣術の道へとのめり込んでいった。
毎日の素振りが千回を越えた頃、政治と謀略の苦悩を忘れる事が出来た。
権力も金はいつも嘘と裏切りを運んできたが、
剣は嘘をつく事も裏切る事も無かった。
毎日の素振りが一万回を越えた時、全ての苦悩から開放された。
何もかも剣にゆだねれば楽になれる。そう感じられた。
剣に逃げ込んでいる自らの姿に、王子が気付く事は無かった。
2016年01月18日
悲しみの棘
何故、私は子供を失ったのだろうか。
何故、子供は死んでしまったのだろうか。
何故、こんな罰を受けなければならないのだろうか。
他の家の子供達は生き残ったのに、私の子供だけがどうして?
いっそ他の子供達も死んでしまえばいいいいのに……
いや、こんな考えはいけない。みんな大切な命なのだ。
失われた私の子供も、失われなかった余所の子供も、護らな
ければならないのだ。だが、この狂乱の世界でどうやったら
可愛い可愛いカカわいいい子供達を護る事が出来るのだろうか。
そうだ。守る為には一つになればいいのだ。幸いにも、世界には
子供達がたくさんいるだからひとつになるためにこのくちで噛み
しめながららら可愛いわたたたたしの赤チャンンンンンアァァア
何故、子供は死んでしまったのだろうか。
何故、こんな罰を受けなければならないのだろうか。
他の家の子供達は生き残ったのに、私の子供だけがどうして?
いっそ他の子供達も死んでしまえばいいいいのに……
いや、こんな考えはいけない。みんな大切な命なのだ。
失われた私の子供も、失われなかった余所の子供も、護らな
ければならないのだ。だが、この狂乱の世界でどうやったら
可愛い可愛いカカわいいい子供達を護る事が出来るのだろうか。
そうだ。守る為には一つになればいいのだ。幸いにも、世界には
子供達がたくさんいるだからひとつになるためにこのくちで噛み
しめながららら可愛いわたたたたしの赤チャンンンンンアァァア
2016年01月17日
獅子王の野太刀
お客様、あんたはお目が高い。こちらは遠い異国の刀剣ですよ。
曰くつきでね、遠い異国の昔話さ。魔物を退治した勇敢な若者が
あまりに人望を集めたものだから、王に疎まれちまったのさ。
若者は過酷な討伐の旅に出されて以来、一度も国に戻ることは
許されず、そのまま討伐先で帰らぬ人となったのさ。ただ一人の
家族である妹の手元に戻ったのは、若者が愛用したこの刀だけ。
美しく成長した妹は王の妾となり、寝所に持ち込んだこの刀で
王を殺害し、妹も自害したって話さ。それ以来この刀を持つ者は、
復讐を果たすっていう話でね……で、お客様?どうしたんだい?
なぜあんたは刀を構えるんだい?復讐?私はただの武器商人さ!
うちの剣で家族が殺された?知るもんか!武器なんてただの道具、
それを誰がどう使うかなんて私には関係ない!やめろ!やめっ
曰くつきでね、遠い異国の昔話さ。魔物を退治した勇敢な若者が
あまりに人望を集めたものだから、王に疎まれちまったのさ。
若者は過酷な討伐の旅に出されて以来、一度も国に戻ることは
許されず、そのまま討伐先で帰らぬ人となったのさ。ただ一人の
家族である妹の手元に戻ったのは、若者が愛用したこの刀だけ。
美しく成長した妹は王の妾となり、寝所に持ち込んだこの刀で
王を殺害し、妹も自害したって話さ。それ以来この刀を持つ者は、
復讐を果たすっていう話でね……で、お客様?どうしたんだい?
なぜあんたは刀を構えるんだい?復讐?私はただの武器商人さ!
うちの剣で家族が殺された?知るもんか!武器なんてただの道具、
それを誰がどう使うかなんて私には関係ない!やめろ!やめっ
2016年01月16日
聖帝の牙
溢れる緑の息吹は全ての生命に祝福を与え、
輝ける蒼の清流は全ての生命に恩恵を与える。
そこには花が咲き、小鳥囀る、命に満ちた約束の地。
突如その地に現れた各地の軍勢が土地を巡って争い、
踏み荒らされた大地は彩りを欠き、祝福も恩恵も失い、
枯れ果てた大地には屍が折り重なるようにして山になっていた。
時は経ち屍は草木が覆い、やがて花が咲き、いつしか鳥の囀りと
小川のせせらぎが響く豊かな大地となった。
大地に突き刺さった一振りの美しい剣が、唯一の戦の名残だった。
大地から剣を抜いた若い王は、笑みを浮かべ声を張り上げた。
「この豊かな地を我が国の領土としよう!」
再び争乱が始まるのか平穏が保たれるのか。それはまた別のお話。聖帝
輝ける蒼の清流は全ての生命に恩恵を与える。
そこには花が咲き、小鳥囀る、命に満ちた約束の地。
突如その地に現れた各地の軍勢が土地を巡って争い、
踏み荒らされた大地は彩りを欠き、祝福も恩恵も失い、
枯れ果てた大地には屍が折り重なるようにして山になっていた。
時は経ち屍は草木が覆い、やがて花が咲き、いつしか鳥の囀りと
小川のせせらぎが響く豊かな大地となった。
大地に突き刺さった一振りの美しい剣が、唯一の戦の名残だった。
大地から剣を抜いた若い王は、笑みを浮かべ声を張り上げた。
「この豊かな地を我が国の領土としよう!」
再び争乱が始まるのか平穏が保たれるのか。それはまた別のお話。聖帝
2016年01月15日
少女の雫
白い石が隙間なく高く積み上げられた古い塔がありました。
その塔の中に、一人の少女が暮らしていました。
世話役が誰も話しかけないので、少女は言葉を知りません。
永い幽閉生活の中、世話役達は掟に従い誰も少女と目も合わさず、
まるで彼女が存在しないかのように振舞い続けておりました。
しかし、ある大飢饉の年に、村人達が塔に攻め込んできたのです。
世話役を一人残らず殺し、塔の最上階に棲む少女に武器を向け
「忌み子め」「飢饉はお前のせいだ」と罵詈雑言を口にしましたが
言葉を知らない少女は、何を言われているのか解りません。
例え殺意でも初めて自分に向けられた声に、少女は喜び、短剣で
柔らかな胸を貫かれた時も笑顔のままでした。これは村人の為に
神への供物として幽閉され、何も知らぬまま死んだ少女のお話。
その塔の中に、一人の少女が暮らしていました。
世話役が誰も話しかけないので、少女は言葉を知りません。
永い幽閉生活の中、世話役達は掟に従い誰も少女と目も合わさず、
まるで彼女が存在しないかのように振舞い続けておりました。
しかし、ある大飢饉の年に、村人達が塔に攻め込んできたのです。
世話役を一人残らず殺し、塔の最上階に棲む少女に武器を向け
「忌み子め」「飢饉はお前のせいだ」と罵詈雑言を口にしましたが
言葉を知らない少女は、何を言われているのか解りません。
例え殺意でも初めて自分に向けられた声に、少女は喜び、短剣で
柔らかな胸を貫かれた時も笑顔のままでした。これは村人の為に
神への供物として幽閉され、何も知らぬまま死んだ少女のお話。
2016年01月14日
謀略と背徳
いやだなあ。まさか、このくらいの剣が使いこなせない……
なんて事はないですよね?だって恥ずかしすぎますよおぉお?
何せ私ですら軽々と操れるような簡単な剣ですから。
んんんんん?私レベルの使徒になると強い事はもちろんこの
素晴らしすぎる美貌で敵も骨抜きになってしまって……あ、
貴方の活躍する機会が無くなってしまいますね。あはははは!
いやあ、やはり何と言ってもお金こそが全てですよねぇ。
え?もちろん私は莫大な資産を持っていますよおぉおお?
安全の為に自分ですらも取り出せないんですけどねぇええ。
え?強さや美しさや金以外に大切なモノがある?
またまたあぁあ?冗談でしょうぅ!
……そんなモノある訳ないじゃないですかぁあああああああ?
なんて事はないですよね?だって恥ずかしすぎますよおぉお?
何せ私ですら軽々と操れるような簡単な剣ですから。
んんんんん?私レベルの使徒になると強い事はもちろんこの
素晴らしすぎる美貌で敵も骨抜きになってしまって……あ、
貴方の活躍する機会が無くなってしまいますね。あはははは!
いやあ、やはり何と言ってもお金こそが全てですよねぇ。
え?もちろん私は莫大な資産を持っていますよおぉおお?
安全の為に自分ですらも取り出せないんですけどねぇええ。
え?強さや美しさや金以外に大切なモノがある?
またまたあぁあ?冗談でしょうぅ!
……そんなモノある訳ないじゃないですかぁあああああああ?
2016年01月13日
天翔る蒼雷
森の奥深く泉のほとり。
ある日少年は、足にケガをした蒼い目の白馬と出会った。
少年は毎日白馬の元に通い、足の治療を続けた。
五日目には白く美しい毛並みを好きに触らせてくれるようになり、
十日目には深い蒼の瞳に信頼を込めて少年を眺めるようになり、
ある時突然白馬は姿を消した。
少年は怪我が治ったのだと喜び、一緒に走りたかったと泣いた。
その後白馬と再会することなく数十年経ち、少年は老人となった。
もう歩けなくなった老人は、孫に白馬の話を聞かせてやった。
「あの背に乗って共に駆けたかった」老人が口にした途端、
空に雲が広がり雷鳴と共に馬の嘶きが聞こえ、老人は消えた。
光芒の中、駆けあがる白馬の背に跨がる人影を見た者がいるという。
ある日少年は、足にケガをした蒼い目の白馬と出会った。
少年は毎日白馬の元に通い、足の治療を続けた。
五日目には白く美しい毛並みを好きに触らせてくれるようになり、
十日目には深い蒼の瞳に信頼を込めて少年を眺めるようになり、
ある時突然白馬は姿を消した。
少年は怪我が治ったのだと喜び、一緒に走りたかったと泣いた。
その後白馬と再会することなく数十年経ち、少年は老人となった。
もう歩けなくなった老人は、孫に白馬の話を聞かせてやった。
「あの背に乗って共に駆けたかった」老人が口にした途端、
空に雲が広がり雷鳴と共に馬の嘶きが聞こえ、老人は消えた。
光芒の中、駆けあがる白馬の背に跨がる人影を見た者がいるという。
2016年01月12日
月光と闇
大理石でできた剣は鍛冶屋の熱き魂を受け継いでいた。
戦に猛り、血に飢え、闘いを渇望する者に振るわれる事を
心の底から待っていた。
けれど自ら熱を生み出す灼熱の刀身は、戦いに明け暮れる者が
手に取ったとしても、全て焼き尽くしてしまう。
剣は待ち詫びていた。滾る心を諫め導く、力強い心を。
剣は待ち望んでいた。己が刀身に血を通わせる、猛き者を。
やがて待ち望んだ相手の命を奪うとしても、
それでも剣はひたすら待ち続けていた。
己が魂を納める器。氷のような永遠を。
戦に猛り、血に飢え、闘いを渇望する者に振るわれる事を
心の底から待っていた。
けれど自ら熱を生み出す灼熱の刀身は、戦いに明け暮れる者が
手に取ったとしても、全て焼き尽くしてしまう。
剣は待ち詫びていた。滾る心を諫め導く、力強い心を。
剣は待ち望んでいた。己が刀身に血を通わせる、猛き者を。
やがて待ち望んだ相手の命を奪うとしても、
それでも剣はひたすら待ち続けていた。
己が魂を納める器。氷のような永遠を。
2016年01月11日
聖女の焔
美しくは佇まい。
歪むのはいつだって、見えない心。
願うは人々の幸福。
蔑むのはいつだって、数多の虫。
輝くは闇夜の炎。
導かれるのはいつだって、漆黒の闇。
焼かれるのは魔女の証。
火をつけるのはいつだって、私
歪むのはいつだって、見えない心。
願うは人々の幸福。
蔑むのはいつだって、数多の虫。
輝くは闇夜の炎。
導かれるのはいつだって、漆黒の闇。
焼かれるのは魔女の証。
火をつけるのはいつだって、私
2016年01月10日
折れた鉄塊
鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄
鉄の塊は鍛え上げられる。堅さこそ戦場での強さだったから。
鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄
殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺
鉄の塊は殺しまくる。それが彼の存在する意味だったから。
殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺
肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉
鉄の塊は命を奪う。そうすれば願いが叶うと思っていたから。
肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉
血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血
鉄の塊は血の涙を流す。もう人には戻れない事を知ったから。
血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血
鉄の塊は鍛え上げられる。堅さこそ戦場での強さだったから。
鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄鉄
殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺
鉄の塊は殺しまくる。それが彼の存在する意味だったから。
殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺
肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉
鉄の塊は命を奪う。そうすれば願いが叶うと思っていたから。
肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉
血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血
鉄の塊は血の涙を流す。もう人には戻れない事を知ったから。
血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血
2016年01月09日
偽りの契約
ある村に嘘ばかりつく男がいた。
振るえもしない剣を腰からぶら下げ魔物を倒すと吹聴していたが、
嘘ばかりの男にやがて村人の誰も信用しなくなっていった。
ある日村に旅人が訪れ、魔物の棲家までの道案内を乞うた。
村人達が皆渋っていたところ、嘘つき男は道案内を名乗り出る。
「俺がお前を必ず魔物の元に連れて行ってやろう」
男は嘘ばかり教え、旅人はその度道に迷う。何度繰り返しても
旅人は男を疑うことなく迷い続け、とうとう男は根負けし、
魔物の元に案内した。男は咄嗟に魔物から旅人を庇いケガを負う。
「ついにお前を案内してしまった。嘘をつけない俺はお終いだ」
男はそうして息絶え、旅人は魔物を倒して英雄となった。
それから英雄は共に魔物を倒したという友の剣を腰に下げている。
振るえもしない剣を腰からぶら下げ魔物を倒すと吹聴していたが、
嘘ばかりの男にやがて村人の誰も信用しなくなっていった。
ある日村に旅人が訪れ、魔物の棲家までの道案内を乞うた。
村人達が皆渋っていたところ、嘘つき男は道案内を名乗り出る。
「俺がお前を必ず魔物の元に連れて行ってやろう」
男は嘘ばかり教え、旅人はその度道に迷う。何度繰り返しても
旅人は男を疑うことなく迷い続け、とうとう男は根負けし、
魔物の元に案内した。男は咄嗟に魔物から旅人を庇いケガを負う。
「ついにお前を案内してしまった。嘘をつけない俺はお終いだ」
男はそうして息絶え、旅人は魔物を倒して英雄となった。
それから英雄は共に魔物を倒したという友の剣を腰に下げている。
2016年01月08日
血瞑刀
私の体は月に一度決まって血を流すのでとても汚い。
他の人よりも体は細く、力もなく、歪に歪んで脆く醜い。
他の人と違う私を、他の人達はとても乱暴に扱う。
力がないから仕事もできず、あまり役に立たない私はずっと
地下室で今日も乱暴に扱われるのを待つばかり。疲れきって
見る夢の中で、私の身体はとうとう血すらも流さなくなる。
気持ちが悪い。気持ちが悪い。気持ちが悪い。気味が悪い。
夢の中、今日も私を乱暴に扱う人が現れた。
その人が私を痛めつける為に持参した武器を奪い取る。
夢の中で、相手を何度も何度も殴った。もう動かない
赤くなった相手を見て、私以外の人も血が流れることを知った。
私もこの人と同じ人間だ。嬉しさのあまり、初めて心から笑った。
他の人よりも体は細く、力もなく、歪に歪んで脆く醜い。
他の人と違う私を、他の人達はとても乱暴に扱う。
力がないから仕事もできず、あまり役に立たない私はずっと
地下室で今日も乱暴に扱われるのを待つばかり。疲れきって
見る夢の中で、私の身体はとうとう血すらも流さなくなる。
気持ちが悪い。気持ちが悪い。気持ちが悪い。気味が悪い。
夢の中、今日も私を乱暴に扱う人が現れた。
その人が私を痛めつける為に持参した武器を奪い取る。
夢の中で、相手を何度も何度も殴った。もう動かない
赤くなった相手を見て、私以外の人も血が流れることを知った。
私もこの人と同じ人間だ。嬉しさのあまり、初めて心から笑った。