2019年03月09日
スペイン巡礼㉛ 35日目:残り100キロ、ポルトマリンで韓国人カップルと出会う
Pilgrimage in Spain ㉛ Day35: 100km left, meet Korean couple in Portmarin【5.2011】
5月5日(巡礼35日目) Sarria サリア 〜 portomarin ポルトマリン (21.5km)
「サンティアゴまで残り100キロ! 100km to go to Santiago!」
今日もまた道はやはり山の中の小さな集落をいくつも通り抜けるという、アップダウンの多い森の中のルートで、ポルトマリンまで21.5キロしか歩いていないのに足の裏がめちゃくちゃ痛い。
しばらく線路の隣りを歩いていたとき偶然長距離列車が通り、優雅に寝台列車でスペインを旅したいなぁ、と強く思った。
昨日のサリアで泊まった民家風の可愛らしいアルベルゲは10ユーロと高かったが、4人用の小さな部屋が多くて過ごしやすく、洗濯物を干せる屋上にはイスとテーブルもあったので、暖かい日差しのなか4時から9時まで外でひたすら書き物をした。
5時間も机に向かって書く以外することがないというのもつらいが、ベッド以外居場所がないという暗くて寒いアルベルゲよりはずっとマシだった。早い時間(1時から2時頃)にストップしてアルベルゲに入ってしまうと、この日のようにシャワー、洗濯、そしてレストランで遅めのランチを取った後でもまだ時間がたっぷりあるから困ってしまう。生理中は長い距離を歩けないので仕方がないのだが。
そのせいか小さなリュックのみという軽装の巡礼者がやたらと増えた。歩き始めた頃のように何時間も誰にも会わないということは、もうない。
歩く人が増えたのと同時に物価も上がった。アルベルゲは軒並み10ユーロだし、ドリンクマシーンのコーヒーも0.70ユーロから1ユーロになっている。それだけ多くの人が歩いているのに、旧知の人に全く会えないってどういうことだ?
レオンで二日休んだうえ、ここしばらく生理のせいでなかなか距離を稼げていない。皆コンスタントに毎日20キロずつ歩いているとすれば、明らかに私は彼らから一日以上遅れている。早く彼らに追いつかなければという焦りと、まだサンティアゴに着きたくないという相反する気持ちがあり、一日に何度も複雑な気分になる。
「ポルトマリン、川の底に沈んだ村 Portmarin, the villege which sank into the bottom of the river」
眼下にポルトマリンの町が見えてきた頃、突如道路を移動する牛の群れに遭遇した。道路を横切っているのではない、車道を牛の群れが歩いているのだ。人と同じようにカーブに沿って曲がり、坂を下っている。
うっかり牛と歩調が合ってしまったらこの先ポルトマリンまで牛と共に歩く羽目になる、と怖くなり俄然スピードを速めて、早々に茶色い牛やヤギたちの群れを猛然と追い越した。
その少しあと、後ろから歩いてきたアジア系の若い男女が、何かと私に話しかけてきた。私は少し感傷的になっていたので、ひとりで歩こうとスピードを変えたり写真を撮るために立ち止まったりしてやりすごそうとするのだが、二人は、特に女の子の方は私と話したくて仕方がないらしい。彼女は日本に興味があるということだったので嬉しかったのだろう。
結局つかず離れず、といった感じでポルトマリンの同じアルベルゲまで付いてきてしまった。軽装の彼らもサリアから歩き始めた100キロ組。
韓国人の女の子ベックミーと、男の子のウーサンはスペインで個人旅行をしている間に出会い、二人共彼氏、彼女が韓国にいるのだが、なぜか意気投合して予定になかった巡礼をすることにしたのだという。
ポルトマリンは、広いミニョ川に架かる長い橋を渡って町へ入る。川には昔の村と橋が沈んでいるそうで、今でも水位が下がるとそれらが見えるのだという。高い橋の上から真下に深い緑色の川を見下ろすと、少しだけ哀しい気持ちになった。川の底に沈んだ村…。
ポルトマリン中心部の散策からアルベルゲに戻ると、ベックミーとウーサンがキッチンでチキンを料理していた。町で仕入れてきたというチキンと野菜で本格的な煮込み料理を作っていることに驚いた私に、二人は気前よく出来上がった料理をおすそ分けしてくれた。
とはいえ、一人分の料理を作る食材を買い込むのも難しいので、その点は旅の道連れがいるにこしたことはないのだった。悲しいかな、一人旅…。
♪ ひとり上手と呼ばないで ひとりが好きなわけじゃないのよ by 中島みゆき ♪
いや、単純にひとりが好きなだけなんだけど、時々相棒が欲しくなるのがカミーノだったりもするんだよね
ああ、残り100キロか、複雑な気分…。
5月5日(巡礼35日目) Sarria サリア 〜 portomarin ポルトマリン (21.5km)
「サンティアゴまで残り100キロ! 100km to go to Santiago!」
今日もまた道はやはり山の中の小さな集落をいくつも通り抜けるという、アップダウンの多い森の中のルートで、ポルトマリンまで21.5キロしか歩いていないのに足の裏がめちゃくちゃ痛い。
しばらく線路の隣りを歩いていたとき偶然長距離列車が通り、優雅に寝台列車でスペインを旅したいなぁ、と強く思った。
昨日のサリアで泊まった民家風の可愛らしいアルベルゲは10ユーロと高かったが、4人用の小さな部屋が多くて過ごしやすく、洗濯物を干せる屋上にはイスとテーブルもあったので、暖かい日差しのなか4時から9時まで外でひたすら書き物をした。
5時間も机に向かって書く以外することがないというのもつらいが、ベッド以外居場所がないという暗くて寒いアルベルゲよりはずっとマシだった。早い時間(1時から2時頃)にストップしてアルベルゲに入ってしまうと、この日のようにシャワー、洗濯、そしてレストランで遅めのランチを取った後でもまだ時間がたっぷりあるから困ってしまう。生理中は長い距離を歩けないので仕方がないのだが。
サリアはサンティアゴ・デ・コンポステラから108キロなので、最短距離だけを歩いて巡礼証明書がほしい人(100キロ以上歩くと巡礼証明書がもらえる)は、このサリアから歩き始める。 山の中に忽然と現れたカフェは巡礼者でいっぱい。でもここを逃したらいつ食べ物にありつけるかわからないので、トイレ休憩も兼ねて迷わず入る。 |
そのせいか小さなリュックのみという軽装の巡礼者がやたらと増えた。歩き始めた頃のように何時間も誰にも会わないということは、もうない。
歩く人が増えたのと同時に物価も上がった。アルベルゲは軒並み10ユーロだし、ドリンクマシーンのコーヒーも0.70ユーロから1ユーロになっている。それだけ多くの人が歩いているのに、旧知の人に全く会えないってどういうことだ?
レオンで二日休んだうえ、ここしばらく生理のせいでなかなか距離を稼げていない。皆コンスタントに毎日20キロずつ歩いているとすれば、明らかに私は彼らから一日以上遅れている。早く彼らに追いつかなければという焦りと、まだサンティアゴに着きたくないという相反する気持ちがあり、一日に何度も複雑な気分になる。
「サンティアゴまで残り100キロ」の標識と、そこから20分ほど歩いた先にある小さな十字架の足元には、石が積まれ、手紙やキリストの肖像画なども置かれていた。 なぜかウクレレまで置いてあったし、十字架にはタオルや靴下、バンダナなどが巻き付けられていた。皆何を思ってこういったものを置いていくのかわからないが、残り100キロというのは長く歩いてきた人々の誰にとっても複雑な感情を抱かせる地点であることに変わりはない。 |
「ポルトマリン、川の底に沈んだ村 Portmarin, the villege which sank into the bottom of the river」
眼下にポルトマリンの町が見えてきた頃、突如道路を移動する牛の群れに遭遇した。道路を横切っているのではない、車道を牛の群れが歩いているのだ。人と同じようにカーブに沿って曲がり、坂を下っている。
うっかり牛と歩調が合ってしまったらこの先ポルトマリンまで牛と共に歩く羽目になる、と怖くなり俄然スピードを速めて、早々に茶色い牛やヤギたちの群れを猛然と追い越した。
その少しあと、後ろから歩いてきたアジア系の若い男女が、何かと私に話しかけてきた。私は少し感傷的になっていたので、ひとりで歩こうとスピードを変えたり写真を撮るために立ち止まったりしてやりすごそうとするのだが、二人は、特に女の子の方は私と話したくて仕方がないらしい。彼女は日本に興味があるということだったので嬉しかったのだろう。
結局つかず離れず、といった感じでポルトマリンの同じアルベルゲまで付いてきてしまった。軽装の彼らもサリアから歩き始めた100キロ組。
韓国人の女の子ベックミーと、男の子のウーサンはスペインで個人旅行をしている間に出会い、二人共彼氏、彼女が韓国にいるのだが、なぜか意気投合して予定になかった巡礼をすることにしたのだという。
ポルトマリンは、広いミニョ川に架かる長い橋を渡って町へ入る。川には昔の村と橋が沈んでいるそうで、今でも水位が下がるとそれらが見えるのだという。高い橋の上から真下に深い緑色の川を見下ろすと、少しだけ哀しい気持ちになった。川の底に沈んだ村…。
ポルトマリン中心部の散策からアルベルゲに戻ると、ベックミーとウーサンがキッチンでチキンを料理していた。町で仕入れてきたというチキンと野菜で本格的な煮込み料理を作っていることに驚いた私に、二人は気前よく出来上がった料理をおすそ分けしてくれた。
アルベルゲのキッチンであんな豪華なお料理を作ってしまうなんて、さすが韓国人。ベックミーはいいお嫁さんになれるよ、と称賛しきりの私に恥ずかし気に俯いたベックミーだった、可愛い。 私も料理ができればもっと安上がりでヘルシーな食事にありつけて、時間も有効に使えるのになぁ、と料理上手なベックミーが羨ましかった。 |
とはいえ、一人分の料理を作る食材を買い込むのも難しいので、その点は旅の道連れがいるにこしたことはないのだった。悲しいかな、一人旅…。
♪ ひとり上手と呼ばないで ひとりが好きなわけじゃないのよ by 中島みゆき ♪
いや、単純にひとりが好きなだけなんだけど、時々相棒が欲しくなるのがカミーノだったりもするんだよね
ああ、残り100キロか、複雑な気分…。
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/8520243
この記事へのトラックバック