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2023年10月19日

みんな大好きジョニー・デップA 世界的スーパースターに登りつめる


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1998年『ナインス・ゲート』撮影中のパリで出会った、フランスの女優で歌手でもあるヴァネッサ・パラディが、ジョニーの人生を劇的に変えた。

ウィノナやケイトに続いて、ホテルで見かけたヴァネッサの後ろ姿に惹かれて恋に落ちたというジョニーは、恋愛において常に直感に従うタイプのようだ。
南フランスに落ち着き、良き家庭人となったジョニーは、99年ヴァネッサとの間に娘が生まれたとき、「僕の人生も新しく生まれ変わったんだ」と語り、それまで以上に多彩な役柄に挑戦し始める。

自分のルーツである、白人に土地を奪われたネイティブ・アメリカンや、定住できずにヨーロッパ各地を彷徨うジプシーに対する共感の情は2000年、クリスティーナ・リッチと再共演の『耳に残るは君の歌声』(下左)で演じた誇り高きジプシー役に表れている。

口ひげを生やしグッと大人の男らしい雰囲気をまとったジョニーの哀愁を帯びた瞳にうっすらと光る涙を見れば、彼の腕に抱かれて眠るヒロインが憎らしくなってしまう。王子様のような衣装で白馬に跨る彼に、女性の目がハートマークになることは間違いない。
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同年、また違うタイプのジプシーを演じたジュリエット・ビノシュ主演の『ショコラ』(上右)では流れ者たちのリーダー役で、ギターの演奏を披露。転校ばかりの幼少時に仲間はずれのつらさを味わったジョニーにとってこのアウトサイダーは、とても自然に演じることができた役だという。元々ミュージシャンを目指していたジョニーだけに、サントラにも2曲ギターで参加。自然体ジョニーの明るい瞳を堪能しよう。

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ハビエル・バルデム主演の『夜になる前に』では出演シーンは短いながらも、ドラァグクイーンと軍服姿も凛々しい中尉という全く違う二役を演じ、強烈な存在感を発している。ジョニーのセクシーなボディラインに注目だ。

⇐ キューバの作家レイナルド・アレナスの自伝を元にした伝記映画
2001年も切り裂きジャック事件を描いたヘザー・グラハム共演の『フロム・ヘル』(下左)、良き友人関係を築いたペネロペ・クルス共演『ブロウ』(下右)と精力的に話題作に主演。
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また『ロスト・イン・ラ・マンチャ』(01)は、制作中止になった映画のドキュメンタリーながら、過酷な条件下でも真摯な態度で撮影に臨むジョニーを垣間見ることができる。
幻となったパートナー、ヴァネッサとの共演、ファンとしては残念というほかない。

⇛『ロスト・イン・ラ・マンチャ』の打合せでのジョニー。乗りに乗っている頃。
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そして息子ジャックも生まれ幸せオーラ全開のジョニーは2003年、ついに名実共に世界のスーパースターとなる。

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1999年、すでにハリウッドのウォーク・オブ・フェイムに名前を刻まれるだけの人気と実績を残してはいたが、ディズニーの超大作映画『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』に出演したことで、世界的規模での爆発的な名声を獲得した。同年の米『People』誌では「最もセクシーな男性セレブ」に選ばれている。

このメジャー作品に出演を決めた理由について「自分の子供が楽しめる映画に出るのは素晴らしいことだと思ったんだ」と語っているだけでなく、彼自身も楽しんで演じたこの作品で、新たな一面を見せてくれた。

⇐ オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイら旬の若手俳優と共演したこの作品に、子供から大人まで世界中が熱狂した。

翌2004年、読書家であるジョニー念願の作家役『シークレット・ウィンドウ』では縁眼鏡が新鮮だ。
不可解な現象に追い詰められていく彼の、眉間に寄る皺は必見。

同年「ピーターパン」の作者バリを演じた、ケイト・ウィンスレット共演の『ネバーランド』(下左)で子供のように瞳を輝かせて海賊ごっこに興じるジョニーの眼差しはあたたかく、子供達への愛情に溢れている。
それでも「バリが感じていた世の中に馴染めない、という疎外感は僕にもある。だいたい僕はそういう世の中からはみ出した人間に興味があって、ずっとそういうキャラクターを演じ続けてきたんだ」という出演作に対するこだわりの姿勢は変わらない。
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それは次の作品、17世紀のコスチュームに身を包んだイギリスの実在の放蕩詩人ロチェスター伯爵を演じた『リバティーン』(上右)でも窺える。「後にも先にも生涯一度しかめぐり会わない作品」であり、脚本を読んで出演を即決したと言われているこの伝記映画で、ロチェスター伯爵の革新的で破天荒な生き方に魅了されたという。自由を追い求めながらも荒んでいく汚れ役ながらも、こういった作品を選ぶあたり、人と同じでは満足できないジョニー・デップらしい。

2005年には盟友ティム・バートン監督とのタッグで、ちょっぴり意地悪に光る目がキュートなウィリー・ウォンカを演じた『チャーリーとチョコレート工場』が公開。

その遊び心溢れる世界観が、大人から子供まで全世界の心を掴んで大ヒットした。ウィリー・ウォンカは、ジャック・スパロウに続く当たり役と言えるだろう。
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2006年から2007年にかけてジョニー・デップの代名詞、ジャック・スパロウが帰ってくる。
2作目の『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』に続いて『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』が公開され、彼のキャリアは順風満帆。

私生活でも、撮影が終わると二人の子供と事実婚のパートナー、ヴァネッサ・パラディの待つ南フランスの家に戻り、俗世間から自分を切り離して満ち足りた生活を送っていたようだ。

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2007年、ジョニーとの完璧な信頼関係で幾つもの名コンビ作を世に送り出してきたティム・バートン監督作『スウィーニー・トッド』が公開される。
なんと、ミュージカル仕立てのこの作品では、ジョニーの歌声を聴くことができる!

初めてのミュージカルで、ジョニーは恥をかかないか不安だったそうだが、ティムから頼まれたものは何でもやると豪語していたので意を決して挑戦。
カミソリを武器に復讐に燃える悪魔のような理髪師という役だけに、凄みを増したジョニーの眼力と歌声でファンを悩殺。結果、ジョニーは同作でゴールデングローブ賞主演男優賞受賞、アカデミー賞の最優秀男優賞にノミネートされた。

⇐ ティム・ロビンス監督のパートナー、ヘレナ・ボナム=カーターとは『チャーリーとチョコレート工場』でも共演。プライベートでも仲がいい。

2009年、『パブリック・エネミーズ』ではフランス人女優マリオン・コティヤールと共演。
『ヒート』のマイケル・マン監督による伝記アクションで、「汚れた金しか奪わない」「愛した女は最後まで守る」など独自の美学が庶民から愛された伝説の銀行強盗ジョン・デリンジャーを演じ、そのハンサムぶりを見せつけている。
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2010年再びティム・バートンとのタッグで『アリス・イン・ワンダーランド』に出演。
この映画の出演の話が来たとき役どころを聞かされていなかったが、ティムとのタッグが嬉しくて「出られるなら何の役でもいい。アリスでもいい」と言ったと話している。

同年、アンジェリーナ・ジョリーと初共演を果たした話題作『ツーリスト』が公開。
ヴェニスを舞台に驚きの展開を見せるこの作品で、アンジーと共にゴールデングローブ賞主演男優賞、女優賞にノミネートされている。

2010年9月、『フォーブス』誌が2009年からの1年間で「もっとも高額なギャラを獲得したハリウッドの俳優」ランキングで、5,000万ドル(当時約42億5,000万円)以上を稼いで1位に。
ついに誰もが認める大スターの頂点に登りつめた。
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振り返るとこの2010年が、俳優ジョニー・デップとしての絶頂だった。
が、輝かしいジョニーのキャリアの影で、大ブレイク前から芸能活動を休業して彼を支え続けたヴァネッサの忍耐も、徐々に尽きようとしていた。

2011年にはもはやライフワークとも言えるシリーズの4作目、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』(下左)で『ブロウ』に続きペネロペ・クルスと共演。
この年公開の、実在のアメリカ人ジャーナリストを演じた『ラム・ダイアリー』(下右)は、この後彼の人生に大きく影響を与えるアンバー・ハードと出会った作品だ。
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2012年6月、長年のパートナー、ヴァネッサ・パラディと14年間に及ぶ関係に終止符を打ったという衝撃的なニュースが世界を駆け巡る。
別れの理由は明らかにはされていないが、スターダムを駆け上っていく多忙なジョニーとは裏腹に、犠牲になっていると感じたヴァネッサとの間の溝が長い時間をかけて決定的になり、2010年にはすでにヴァネッサから三行半を突きつけられていたという。

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2012年は、ティム・バートン監督との8回目のタッグとなる『ダーク・シャドウ』(上左)が公開。エヴァ・グリーン、ミシェル・ファイファー、クロエ・グレース・モレッツら豪華女優陣に囲まれ、『シザーハンズ』以来の白塗りメイクで、今度は不本意にもヴァンパイアにされてしまった金持ちのボンボンを怪演している。

2013年公開の『ローン・レンジャー』(上右)は、『君の名前で僕を呼んで』のアーミー・ハマー共演のコメディーだが、この作品は大赤字だったうえゴールデンラズベリー賞の最低映画賞を受賞してしまった。
この頃からジョニーの輝かしい経歴に、陰りが見え始める。

次回は、斜陽期に入ったジョニーと、彼を襲ったスキャンダルについてお送りします。



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