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2018年07月24日

映画で旅するポルトガル Portugal in Cinema

ポルトガルを旅する前に見ておきたい映画を、いくつかご紹介します。



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「リスボンに誘われて 
 Night Train to Lisbon」

(2013/独=瑞=葡)ビレ・アウグスト監督

♪ページをめくるたび、人生が色鮮やかに輝いていく♪

スイスのベルンで教師をしている堅物なグレゴリウスはある日、橋の上から身を投げようとしている女性を助ける。彼女の残した一冊の本に魅了された彼は、その本の作者に会うため、ポルトガルのリスボンへ向かう。自分が書きたかったことを書いていた作者アマデウを探す旅の中で、彼は自らの失われた人生を再び輝かせていく。

原作はパスカル・メルシエの「リスボンへの夜行列車」。
原作を読んでしまうと、かなりの登場人物が削られている映画はどうしても別物に思えてしまう。原作の世界はもっと複雑でもっともっと深い。が、2時間の映画ではこれが限度なのだろう。

ジェレミー・アイアンズ ファンの私としては、暗〜い印象のグレゴリウスがあんなハンサムなロマンス・グレーとしてスクリーンに現れただけでも感謝かな。

アマデウの姉アドリアーナ役のシャーロット・ランプリング、運命の女性エステファニア役のメラニー・ロランとレナ・オリン、他にもブルーノ・ガンツやクリストファー・リーとこれ以上ないような豪華なキャストなのに、全体の出来栄えが少し地味に感じるのは深淵なストーリーゆえか。

シャーロット・ランプリングはイメージにぴったりで、間延びしがちな映画を引き締めている。メラニー・ロランは美人だし好きな女優だが、エステファニアのイメージは、晩年をレナ・オリンが演じているならペネロペ・クルスだろうなぁ。

決まりきった平穏な毎日に埋没していた「面白味のない男」グレゴリウスが、衝動的にリスボンへの夜行列車に飛び乗るところから、彼の人生は思わぬ方向へと転がっていく。

リスボンで出会ったアマデウの妹、アドリアーナ、眼科医マリアナ、その叔父ジョアン、アマデウのかつての親友ジョルジェ…様々な人々との出会いが彼の灰色の人生を変えていく。激動のポルトガル史を背景にしたアマデウ、エステファニア、ジョルジェとの三角関係もミステリアスでグレゴリウスを惹きつける。坂の街リスボンの石畳で、あの夜3人に何が起こったのか…。

スイス、ベルンの橋の上、リスボンの街並み、対岸へ渡るフェリー、スペインのフィステーラなど、ヨーロッパ各地の風景を楽しめる映画にもなっている。グレゴリウスが失われた自分の人生を、本の作者アマデウの人生を追うことで取り戻していく様子は、映画でも秀逸だ。彼の第二の人生が始まりそうな予感のするラスト、胸は高鳴る。断然リスボンへ行きたくなる映画だ。



「リスボン物語 LISBON STORY」
(1995/独=葡)ヴィム・ヴェンダース監督

♪明るい太陽の下では、音さえも輝く♪

「ベルリン・天使の詩」のヴィム・ヴェンダース監督がリスボン市から依頼を受けて作った映画愛あふれる作品。録音技師ビンターはドイツから車でトラブルを経ながらリスボンへたどり着くが、彼を呼んだ友人の失踪によりミステリアスな展開に。ポルトガル映画の巨匠、マノエル・ド・オリヴェイラも登場している。
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テージョ川を見下ろす彼の滞在する部屋からの眺めが素晴らしい。行方不明の友人を探しながら、リスボンの街を歩いては「音」を集めるビンター。彼を見張るかのような不思議な少年。現地の子供達とのふれあい、美しい歌手へのほのかな恋心などを通してリスボンへの愛を深めていくビンター。坂の多いリスボンの街や人も含めて、意外に楽しめた一作。



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「永遠の語らい 
UM FILME FALADO / A TALKING PICTURE 」

(2003/葡=仏=伊)マノエル・ド・オリヴェイラ監督

マルセイユ、ナポリ・ポンペイ、アテネ、イスタンブール、カイロ、アーデン(インド?)と美しい映像で地中海文明をたどりながら、監督自身の歴史観、人生観が語られる。

「クレーヴの奥方」「階段通りの人々」などのポルトガル映画の巨匠、マノエル・ド・オリヴェイラ監督95歳の作品。

パイロットの夫とボンベイで落ち合ってバカンスに入るため、クルーズ船でリスボンを旅立った歴史学者の母と娘。地中海沿岸の多くの寄港地で歴史的遺構を見学し、行く先々で様々な人々とふれあいながら、実りある時間を過ごす。

クルーズ船内ではカトリーヌ・ドヌーブ演じる実業家やイタリアの女優、ギリシャの歌手、船長らと交流を持ち、充実した船旅を楽しむ母子。

海面を進む船の舳先が映るたびに寄港地が変わっていくのだが、なかなか船内の様子が映し出されないので、いやいやダイニング・ルームでのディナーの様子とか見たいんだけど…と思っていたら最後の方でやっと。しかも女性3人と船長による長い政治談議の後、ようやく主人公の母子と交流が始まる。

どのシーンもカメラを据えたままあまり視点が変わらないので、映画というかドキュメントのようだった。監督自身の歴史観、人生観を織り込んでいるからだろう。

そして、あのラストは恐らく誰も予想できないに違いない。
衝撃的すぎて、ジョン・マルコヴィッチのこれまた衝撃的な表情と併せて笑ってしまったほど。う〜ん、このラストで監督は何を伝えたかったんだろう。船からの脱出に関しては「?」な部分が多いが、そこはツッコミどころではないんだろうな、きっと。突然意外な瞬間に思わぬことが起こるのが人生だから、一日一日を悔いなく過ごそう、と監督は言いたかったのだろうか。



「熱波 TABU」
(2012/葡=独=巴=仏)ミゲル・ゴメス監督

♪最後に一目、会いたい人♪

ポルトガルの俊英ミゲル・ゴメス監督の熱い恋愛ドラマ。
現代のポルトガルを扱った第一部と、ポルトガル植民地戦争が始まって間もない50年前のアフリカを舞台にした第二部でがらりと雰囲気が変わる。モノクロで描かれる第二部は、ラテン系民族特有の情熱や激しさ全開で少し羨ましささえ感じる。激しく身を焦がすような恋愛、してみたいですね〜(^^♪
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ポルトガルを舞台にした映画は、日本で公開されているものが意外に少なくて少々驚きました。
絵になる街が多いだけに、ポルトガル好きな私としては、もっとメジャー映画の舞台になってほしいところです🤔
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