2022年02月15日
気分を上げるパワフル・ミュージカル映画7選!
音楽の力ってすごいなぁ、と素直に感じられるのがミュージカル映画の良いところ。
最初は突然歌って踊りだすスクリーンの中の人々に違和感を持っても、気がつくと音楽に合わせて体を揺らしていたりする。最後の盛り上がりで拳を振り上げていたりする。
そんなパワフルで、観たあと元気になれるようなミュージカル映画を厳選して7本ご紹介します。
未来なんてない 過去なんてない この瞬間を生きるだけ
まだ携帯電話もインターネットも普及していない80年代に青春を送る若者たちの、熱い思いを代弁するような音楽と、パワフルなダンスは感動的。力強い歌声と勢いのある演出で「今日という日、今この瞬間を生きる」ことの大切さを訴える。
ドラッグやエイズといった80年代アメリカを象徴するような悩みや悲しみを抱えながら、それでも必至に生きている若者たちの姿。自分の若き日々を思い出しながら年に一度は見たくなる、今を生きる勇気をくれる作品。
女に生まれたからには
ありがちなサクセス・ストーリーではあるが、C・アギレラのパフォーマンスとシェールの貫禄に拍手。女に生まれついたならその体を美しく保ち、魅せるということができる女性は素晴らしいと思った。努力して才能を磨き、本来美しい女性の体を美しく魅せて観客に喜びを与える。「バーレスク」が日本にあったら私も行って絶対に拍手喝采を惜しまないと思う。
いっときの夢を見せてくれるショーって本当に素晴らしい。そうやって幸せな、時にはほろっと、時には前向きな気持ちにしてくれるショーガールを私は尊敬する。「人に夢を与える仕事」ができたら、そんな幸せはないと思えた佳作。
ストーリーはあってないようなもので、クリスティーナ・アギレラのパワフルで長いミュージックビデオといえないこともないが、後半シェールが歌う “You Haven't Seen the Last of Me” は、人生も後半戦に突入して四苦八苦している人には力強い応援ソングになるだろう。
意外な豪華キャスト
このミュージカルではヒロイン、トレイシーの母親役は男優が女装して演じるのが慣例。その母親エドナ役が、70年代『サタデー・ナイト・フィーバー』で一世を風靡し、『キル・ビル』では風変わりな殺し屋で強烈な印象を残したジョン・トラボルタだ。キャストのチェックをせずに見たため、最初「どこかで見た顔だけど、誰だっけ?」とマジで悩んでしまったほど、キモ可愛いママを演じている。
エドナの夫でありトレイシーのパパ、ウィルバー役は、『ディア・ハンター』や『地獄の黙示録』での狂気じみた演技で独特の存在感を放ったクリストファー・ウォーケン。あの彼が歌って踊るなんて、しかもジョン・トラボルタ演じる妻と!ミシェル・ファイファー演じる妖艶なヴェルマ(これがまた魅力的)に迫られながらも一向に落ちないところも好感度大。
若者の勢いも見逃せない。
人気アイドル、リンク役の新人ザック・エフロン。『グレイテスト・ショーマン』にも出演している彼は、この頃ティーンのアイドルだった。
そしてこの映画のすごいところは、青春コメディなのにちゃっかり人種差別問題を描いているところ。そこで登場するのが大御所、クイーン・ラティファである。抗議デモの場面で歌われる ”I know where I've been” は、さすがの歌唱力で貫禄を見せつける。
人生、楽しんだ者勝ちでしょ
この映画を見て学んだ教訓は「楽しい女性が一番」というウィルバーの言葉に集約される。
ヴェルマのような美人は我儘だし飽きるけど、たとえ腐ったチーズのようでも、デブでブサイクな自分を恥ずかしいと思いながらも明るく楽しく生きているエドナのような女性の方が、人生の伴侶としては面白い。ウィルバーとエドナみたいな凹凸コンビの夫婦も案外アリかなと思ってしまった。
ヒロインのトレイシーも周囲の陰口などものともせず、持ち前の明るさとポジティブさでみんなのアイドル、リンクを見事に落としているところは、「やっぱり人間中身だよねー」と思わせてくれる。ピンチをチャンスに変えて、夢に向かって邁進する登場人物たちに勇気をもらえる映画。
キャサリン・ゼタ・ジョーンズの女っぷりに撃たれる
もう一度、いや何度でも観たい!キャサリンが獄中、レニーの前で妹とやっていたショーを独りで演じて見せるシーンでは、「この人すごい女優だ」と思った。それにラストの女2人でのショーは、エンディングに向けて盛り上がりが素晴らしい。
心配だったのがリチャード・ギアだが、「息上がってる?」とちょっとハラハラしつつも、やはり魅せてくれた。特に畳み掛けるような法廷のシーン。さすがギア様。ジョン・C・ライリーやクイーン・ラティファなど、とにかくそれぞれのキャストがみな芸達者ではまっていて、グイグイ押してくるエキサイティングなミュージカル映画となっている。
厳しい評価
大女優を揃えて期待が大きかっただけに、コアな映画ファンはかなりこの作品をこきおろしている。エンターテイメント性と豪華キャストは目立つが、肝心の映画としてはひどい、らしい。フェリーニが汚されたとまで言っている人も。
確かに、ダニエル・デイ=ルイス演じるグイドは女性に愛される役だが、まったく魅力的に見えない。モテまくりのいい男のはずなのだが。女性キャストはみんないい、というか全員が個々に全力で頑張っている。が、映画としていかされていないのは否めない。綺麗どころの大女優たちが出ているわりに、それぞれの役に血が通っていないともいえる。
欠点をカバーする豪華女優陣の競演
世界を代表するような各国の大女優たちが出ているのに、ソフィア・ローレン以外はオーディションで役を掴んだというのだから、ロブ・マーシャル監督、恐るべし。それだけこの監督の映画に出演を望んでいる俳優たちが多いということだ。しかし、見れば見るほど豪華キャストである。しかもグイド役のダニエルも含めて、全員本人が歌って踊っている。
母:ソフィア・ローレン
イタリア男にとって母親は永遠の女神。監督に請われての『ひまわり』で知られる伝説的大スターの出演。やはり往年の輝きは失われていない。
女友達:ジュディ・ディンチ
仕事仲間で古い友人でもあるグイドの良き理解者が、007シリーズのMで知られるジュディ・ディンチ。この人も歌って踊れたんだね、と新鮮な驚き。
愛人:ペネロペ・クルス
『ボルベール』ではアテレコだったが、今回はセクシーさ全開のダンスをしつつ、しっかり自分で歌っている。女から見ても、改めて魅力的な女性だと思わざるを得ない、好きな女優だ。
妻:マリオン・コティヤール
なんか、正直つまらない役で可哀想なマリオン。でも本人にとってこの役は、女優人生の肥やしになったらしい。浮気性のダンナを持つ人は共感できるかも?
娼婦:ファーギー
グイドの少年時代の思い出に登場する浜辺で暮らす娼婦サラギーナを演じたのは、歌手のファーギー。さすがの歌唱力。
雑誌記者:ケイト・ハドソン
彼女の元気で、これぞアメリカンな歌とダンスは、私の場合一番印象に残ったが、この役自体必要ない気もする。果敢にグイドを誘惑しているが…
主演女優:ニコール・キッドマン
グイドのミューズであるクラウディア役は、『ムーランルージュ』でも魅力的な歌とダンスを披露したニコール・キッドマン。キャサリン=ゼタ・ジョーンズが「扱いが小さすぎる」とご不満で蹴った役を、ニコールがゲットしたらしい。確かに影の薄い役。
これだけの大女優たち7人によるセクシーダンスやノリノリ現代ミュージックが一同に見られる、という点ではぜいたくな絵面だ。映画としてではなく、大女優競演ショーとして観れば、お腹一杯になるだろう。女優という仕事がいかに「演じる」以外の才能も必要とするか、よくわかる。
力が湧いてくるような音楽が圧倒的
ひげの女性レティが仲間たちと歌う “This is me” は、迷いのない「これが私!」というプライドが胸を熱くする。『マンマ・ミーア!』もそうだったが、こういった命のほとばしりのような歌とダンスを見ると、理由もなく泣けてくる。
美しき欧州の歌姫(レベッカ・ファーガソン)が歌う “Never be enough” は、映画館で観たとき、鳥肌モノの感動だった。心の声が聞き取れずに、他人にアドバイスを求め、外側の要因に振り回されていたスペインでの北の道巡礼中、何度となくこの歌が浮かんできて、繰り返し歌いながら歩いた。けして満足できないの、と。自分自身が求めるのが何なのか、自分がどうしたいのかがわからなくて。
あなたはあなたのままでいい
バーナム(ヒュー・ジャックマン)が全てを失った時、何が一番大切かを思い出させてくれる仲間がいた。それが彼の幸運だった。そしてフィリップ(ザック・エフロン)は、かりそめの幸せではない真実の喜びと愛を手に入れた。危険に飛び込み、持てるものを分かち合ったから。ささやかな日々に幸せをみつけ、たった一人の男を愛し続けた妻チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)の芯の強さも心に響く。自信をなくしたとき、生きる気力が欲しいときに観る、2番目に好きなミュージカル映画だ。
魅力的なキャスティング
娘ソフィ役で一躍スターの仲間入りを果たしたアマンダ・セイフライドは、同じくミュージカル映画『レ・ミゼラブル』でもコゼット役で美声を披露している。母ドナは、大御所メリル・ストリープ。断崖で海をバックに赤いストールを靡かせ “The winner takes it all” を歌うメリル・ストリープは鳥肌もの。映画館で観た当時は恋人と別れた直後で、「勝者が全てを持っていってしまう」という歌詞がグッと来て涙した…
そのドナの親友でハイミスのロージーを演じるのは『ハリー・ポッター』シリーズのウィーズリー兄弟の母親モリーでおなじみジュリー・ウォルターズ。コミカルな演技でいい味を出している。
父親候補3人が、5代目ジェームズ・ボンドのピアース・ブロスナン、『キングスマン』のコリン・ファース、『マイティ・ソー』のステラン・スカルスガルドと、また豪華。
人生はいつだってやり直せる
青い海と白い砂浜に輝く日差しが降り注ぎ、太陽に祝福されたようなギリシャの小島を舞台に、人生を楽しむことを知っている登場人物たちが歌って踊りまくる。港で老いも若きも混ざって大勢が歌い踊るオープニングから何故か感涙にむせいでいた私の、これは一番好きなミュージカル映画だ。
イケメンでなくても、若い肉体というのは、それだけで宝なんだな〜、歌って踊ることは人生を明るくするんだな〜、と妙に感心する。特にメリル・ストリープらオバサン3人の迫力たるや、ものすごい。そして笑える。若いだけが人生の楽しみじゃない、歳をとっても自分次第で輝いた人生を送れる、というメッセージを私は確かに受け取った。そして何よりもアバの楽曲にハマる
さて、あなたのお気に入りの1本はどれですか?
最初は突然歌って踊りだすスクリーンの中の人々に違和感を持っても、気がつくと音楽に合わせて体を揺らしていたりする。最後の盛り上がりで拳を振り上げていたりする。
そんなパワフルで、観たあと元気になれるようなミュージカル映画を厳選して7本ご紹介します。
80年代アメリカの、夢を追いかけて 必死に生きる若者たち 『レント Rent』 (2005/米/135分)クリス・コロンバス監督 世界の各演劇賞を総なめにし、ピュリッツァー賞をも受賞した大人気のミュージカルを、『ホーム・アローン』『ハリー・ポッター 賢者の石』のクリス・コロンバス監督が、ミュージカル初演のメイン・キャストを迎えて映画化。 ニューヨーク。ミュージシャンや映像作家を夢見る、毎月の家賃(レント)も払えない若者たちの貧しいけれどキラキラした青春の日々を描く。 |
まだ携帯電話もインターネットも普及していない80年代に青春を送る若者たちの、熱い思いを代弁するような音楽と、パワフルなダンスは感動的。力強い歌声と勢いのある演出で「今日という日、今この瞬間を生きる」ことの大切さを訴える。
ドラッグやエイズといった80年代アメリカを象徴するような悩みや悲しみを抱えながら、それでも必至に生きている若者たちの姿。自分の若き日々を思い出しながら年に一度は見たくなる、今を生きる勇気をくれる作品。
最高にカッコいいショーが観られます 『バーレスク Burlesque』 スティーブ・アンティン監督(2010/米/100分) ロサンゼルスにあるラウンジ「バーレスク」を経営するテス(シェール)は、かつて有名なダンサーだったが今は引退し、後人の指導に当たっていた。そこにアイオワの田舎から出てきた若い女性アリ(アギレラ)がやってくる。 ウェイトレスとしてラウンジで働いていたアリだったが、ステージで歌声を披露するチャンスがやってきたことでテスに認められ、その才能を開花させていく。 迫力のショーを堪能するために、できれば大画面で、ステレオを通して観たい。 |
ありがちなサクセス・ストーリーではあるが、C・アギレラのパフォーマンスとシェールの貫禄に拍手。女に生まれついたならその体を美しく保ち、魅せるということができる女性は素晴らしいと思った。努力して才能を磨き、本来美しい女性の体を美しく魅せて観客に喜びを与える。「バーレスク」が日本にあったら私も行って絶対に拍手喝采を惜しまないと思う。
いっときの夢を見せてくれるショーって本当に素晴らしい。そうやって幸せな、時にはほろっと、時には前向きな気持ちにしてくれるショーガールを私は尊敬する。「人に夢を与える仕事」ができたら、そんな幸せはないと思えた佳作。
ストーリーはあってないようなもので、クリスティーナ・アギレラのパワフルで長いミュージックビデオといえないこともないが、後半シェールが歌う “You Haven't Seen the Last of Me” は、人生も後半戦に突入して四苦八苦している人には力強い応援ソングになるだろう。
「私なんて…」と自分に自信がない人に 観てほしい! 『ヘアスプレー Hair Spray』 (2007/米/116分)監督:アダム・シャンクマン 60年代ボルチモア、歌とダンスが大好きなおデブで明るい女の子トレーシーの夢は、人気音楽番組で憧れのアイドル、リンクと共演すること。意地悪なプロデューサー母娘に邪魔されながらも彼女と仲間たちは、恋と夢を手に入れるため奮闘する。 ハッピーな音楽とダンス満載の人気ブロードウェイ・ミュージカルを映画化。トラボルタとウォーケンが、ラブラブ光線出しまくりの「ありえなーい」けど絶妙なデュエットとダンスを披露している。とてもキュートなミュージカル映画史上に残る名珍場面だ。 |
意外な豪華キャスト
このミュージカルではヒロイン、トレイシーの母親役は男優が女装して演じるのが慣例。その母親エドナ役が、70年代『サタデー・ナイト・フィーバー』で一世を風靡し、『キル・ビル』では風変わりな殺し屋で強烈な印象を残したジョン・トラボルタだ。キャストのチェックをせずに見たため、最初「どこかで見た顔だけど、誰だっけ?」とマジで悩んでしまったほど、キモ可愛いママを演じている。
エドナの夫でありトレイシーのパパ、ウィルバー役は、『ディア・ハンター』や『地獄の黙示録』での狂気じみた演技で独特の存在感を放ったクリストファー・ウォーケン。あの彼が歌って踊るなんて、しかもジョン・トラボルタ演じる妻と!ミシェル・ファイファー演じる妖艶なヴェルマ(これがまた魅力的)に迫られながらも一向に落ちないところも好感度大。
若者の勢いも見逃せない。
人気アイドル、リンク役の新人ザック・エフロン。『グレイテスト・ショーマン』にも出演している彼は、この頃ティーンのアイドルだった。
そしてこの映画のすごいところは、青春コメディなのにちゃっかり人種差別問題を描いているところ。そこで登場するのが大御所、クイーン・ラティファである。抗議デモの場面で歌われる ”I know where I've been” は、さすがの歌唱力で貫禄を見せつける。
人生、楽しんだ者勝ちでしょ
この映画を見て学んだ教訓は「楽しい女性が一番」というウィルバーの言葉に集約される。
ヴェルマのような美人は我儘だし飽きるけど、たとえ腐ったチーズのようでも、デブでブサイクな自分を恥ずかしいと思いながらも明るく楽しく生きているエドナのような女性の方が、人生の伴侶としては面白い。ウィルバーとエドナみたいな凹凸コンビの夫婦も案外アリかなと思ってしまった。
ヒロインのトレイシーも周囲の陰口などものともせず、持ち前の明るさとポジティブさでみんなのアイドル、リンクを見事に落としているところは、「やっぱり人間中身だよねー」と思わせてくれる。ピンチをチャンスに変えて、夢に向かって邁進する登場人物たちに勇気をもらえる映画。
欲しいものを手に入れるために 女性たちよ、貪欲になれ! 『シカゴ Chicago』 (2002/米/113分)ロブ・マーシャル監督 犯罪都市シカゴ。スターを夢見るロキシー(レニー・ゼルウィガー)は愛人を射殺して監獄送りとなるが、そこで投獄されていた憧れのスター、ヴェルマ(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)に出会う。ロキシーは悪徳弁護士ビリー(リチャード・ギア)の入れ知恵で世間の人気を得る。しかし人気を横取りされたヴェルマがロキシーに反撃。彼女たちの名声を賭けた争いは、マスコミや法廷を巻き込み、エスカレートしていく。 芸達者で演技派のレニーと、女の魅力全開のキャサリンという2大スターを得て、迫力満点のミュージカル。 |
もう一度、いや何度でも観たい!キャサリンが獄中、レニーの前で妹とやっていたショーを独りで演じて見せるシーンでは、「この人すごい女優だ」と思った。それにラストの女2人でのショーは、エンディングに向けて盛り上がりが素晴らしい。
心配だったのがリチャード・ギアだが、「息上がってる?」とちょっとハラハラしつつも、やはり魅せてくれた。特に畳み掛けるような法廷のシーン。さすがギア様。ジョン・C・ライリーやクイーン・ラティファなど、とにかくそれぞれのキャストがみな芸達者ではまっていて、グイグイ押してくるエキサイティングなミュージカル映画となっている。
大女優たちの豪華共演 贅沢なエンターテイメントに胸躍る 『ナイン NINE』 (2009/米=伊/118分)ロブ・マーシャル監督 クランクインを目前にしても脚本が書けないイタリアの有名映画監督グイド。記者会見の場から逃げ出した彼は、逃避先で愛人と密会を続けるも、妻に見つかって愛想を尽かされ、自らの幻想世界へと溺れていく。 『シカゴ』のロブ・マーシャル監督が、豪華女優陣をキャストに迎えて撮ったミュージカル映画。フェデリコ・フェリーニの映画「8 1/2」が元になったブロードウェイ・ミュージカルを映画化。 |
大女優を揃えて期待が大きかっただけに、コアな映画ファンはかなりこの作品をこきおろしている。エンターテイメント性と豪華キャストは目立つが、肝心の映画としてはひどい、らしい。フェリーニが汚されたとまで言っている人も。
確かに、ダニエル・デイ=ルイス演じるグイドは女性に愛される役だが、まったく魅力的に見えない。モテまくりのいい男のはずなのだが。女性キャストはみんないい、というか全員が個々に全力で頑張っている。が、映画としていかされていないのは否めない。綺麗どころの大女優たちが出ているわりに、それぞれの役に血が通っていないともいえる。
欠点をカバーする豪華女優陣の競演
世界を代表するような各国の大女優たちが出ているのに、ソフィア・ローレン以外はオーディションで役を掴んだというのだから、ロブ・マーシャル監督、恐るべし。それだけこの監督の映画に出演を望んでいる俳優たちが多いということだ。しかし、見れば見るほど豪華キャストである。しかもグイド役のダニエルも含めて、全員本人が歌って踊っている。
母:ソフィア・ローレン
イタリア男にとって母親は永遠の女神。監督に請われての『ひまわり』で知られる伝説的大スターの出演。やはり往年の輝きは失われていない。
女友達:ジュディ・ディンチ
仕事仲間で古い友人でもあるグイドの良き理解者が、007シリーズのMで知られるジュディ・ディンチ。この人も歌って踊れたんだね、と新鮮な驚き。
愛人:ペネロペ・クルス
『ボルベール』ではアテレコだったが、今回はセクシーさ全開のダンスをしつつ、しっかり自分で歌っている。女から見ても、改めて魅力的な女性だと思わざるを得ない、好きな女優だ。
妻:マリオン・コティヤール
なんか、正直つまらない役で可哀想なマリオン。でも本人にとってこの役は、女優人生の肥やしになったらしい。浮気性のダンナを持つ人は共感できるかも?
娼婦:ファーギー
グイドの少年時代の思い出に登場する浜辺で暮らす娼婦サラギーナを演じたのは、歌手のファーギー。さすがの歌唱力。
雑誌記者:ケイト・ハドソン
彼女の元気で、これぞアメリカンな歌とダンスは、私の場合一番印象に残ったが、この役自体必要ない気もする。果敢にグイドを誘惑しているが…
主演女優:ニコール・キッドマン
グイドのミューズであるクラウディア役は、『ムーランルージュ』でも魅力的な歌とダンスを披露したニコール・キッドマン。キャサリン=ゼタ・ジョーンズが「扱いが小さすぎる」とご不満で蹴った役を、ニコールがゲットしたらしい。確かに影の薄い役。
これだけの大女優たち7人によるセクシーダンスやノリノリ現代ミュージックが一同に見られる、という点ではぜいたくな絵面だ。映画としてではなく、大女優競演ショーとして観れば、お腹一杯になるだろう。女優という仕事がいかに「演じる」以外の才能も必要とするか、よくわかる。
ありのままの自分でいいのだと気づき 生きる力を取り戻す 『グレイテスト・ショーマン The Greatest Showman』 (2017/米/105分)マイケル・グレイシー監督 19世紀アメリカに実在した興行師フィニアス・T・バーナムの半生を描いたミュージカル。バーナムによって集められた、世間からフリーク、怪物と呼ばれる人達がサーカスで仲間を得て、自らの自信を取り戻していく。貧しい出であるバーナム自身のサクセスストーリーでもある。 『ラ・ラ・ランド』の制作チームが手掛けた音楽とダンスがダイナミックで、日本でのミュージカル映画動員ナンバーワンとなった。 |
ひげの女性レティが仲間たちと歌う “This is me” は、迷いのない「これが私!」というプライドが胸を熱くする。『マンマ・ミーア!』もそうだったが、こういった命のほとばしりのような歌とダンスを見ると、理由もなく泣けてくる。
美しき欧州の歌姫(レベッカ・ファーガソン)が歌う “Never be enough” は、映画館で観たとき、鳥肌モノの感動だった。心の声が聞き取れずに、他人にアドバイスを求め、外側の要因に振り回されていたスペインでの北の道巡礼中、何度となくこの歌が浮かんできて、繰り返し歌いながら歩いた。けして満足できないの、と。自分自身が求めるのが何なのか、自分がどうしたいのかがわからなくて。
あなたはあなたのままでいい
バーナム(ヒュー・ジャックマン)が全てを失った時、何が一番大切かを思い出させてくれる仲間がいた。それが彼の幸運だった。そしてフィリップ(ザック・エフロン)は、かりそめの幸せではない真実の喜びと愛を手に入れた。危険に飛び込み、持てるものを分かち合ったから。ささやかな日々に幸せをみつけ、たった一人の男を愛し続けた妻チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)の芯の強さも心に響く。自信をなくしたとき、生きる気力が欲しいときに観る、2番目に好きなミュージカル映画だ。
ギリシャを舞台に アバの曲に乗せて青春が蘇る! 『マンマ・ミーア! Manma Mia!』 (2008/米/)監督:フィリダ・ロイド ギリシャの小島で小さなリゾートホテルを営む母ドナと、父を知らない娘ソフィは二人暮らし。結婚が決まったソフィは、内緒で読んだ母の日記に登場する昔の恋人で父親の可能性のある3人の男性に、密かに結婚式の招待状を出す。そして挙式当日、男たちが島に現れた。 全編アバの音楽に彩られたエネルギッシュなミュージカル。舞台となるのはカロカイリ島というギリシャの架空の島だが、映画のロケはギリシャのスコペロス島で行われた。 |
娘ソフィ役で一躍スターの仲間入りを果たしたアマンダ・セイフライドは、同じくミュージカル映画『レ・ミゼラブル』でもコゼット役で美声を披露している。母ドナは、大御所メリル・ストリープ。断崖で海をバックに赤いストールを靡かせ “The winner takes it all” を歌うメリル・ストリープは鳥肌もの。映画館で観た当時は恋人と別れた直後で、「勝者が全てを持っていってしまう」という歌詞がグッと来て涙した…
そのドナの親友でハイミスのロージーを演じるのは『ハリー・ポッター』シリーズのウィーズリー兄弟の母親モリーでおなじみジュリー・ウォルターズ。コミカルな演技でいい味を出している。
父親候補3人が、5代目ジェームズ・ボンドのピアース・ブロスナン、『キングスマン』のコリン・ファース、『マイティ・ソー』のステラン・スカルスガルドと、また豪華。
人生はいつだってやり直せる
青い海と白い砂浜に輝く日差しが降り注ぎ、太陽に祝福されたようなギリシャの小島を舞台に、人生を楽しむことを知っている登場人物たちが歌って踊りまくる。港で老いも若きも混ざって大勢が歌い踊るオープニングから何故か感涙にむせいでいた私の、これは一番好きなミュージカル映画だ。
イケメンでなくても、若い肉体というのは、それだけで宝なんだな〜、歌って踊ることは人生を明るくするんだな〜、と妙に感心する。特にメリル・ストリープらオバサン3人の迫力たるや、ものすごい。そして笑える。若いだけが人生の楽しみじゃない、歳をとっても自分次第で輝いた人生を送れる、というメッセージを私は確かに受け取った。そして何よりもアバの楽曲にハマる
『NINE』より
さて、あなたのお気に入りの1本はどれですか?
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