2019年11月23日
フィレンツェ in『冷静と情熱のあいだ』
★東京ーイタリアを舞台にした、ロマンチックで切ない10年愛
重要な役割を果たすドゥオモ
江國香織と辻仁成の小説を映画化したこの作品は、東京、フィレンツェ、ミラノを舞台にふたりの十年に及ぶ愛を描いた名作。順正の住むフィレンツェが主な舞台で、イタリアの観光名所が随所に登場する。メインは何といってもフィレンツェの花、ドゥオモ(サンタマリア・デル・フィオーレ教会)。
とはいえ「十年後の誕生日にここで再会しましょう」なんてロマンチックな約束の場所としては最高。再会後に二人が話す広場や、順正の通う画材店もドゥオモの近くにある。
ロマンチックな10年愛
再会した二人が行くミケランジェロ広場は、ヴェッキオ橋を渡ったアルノ川の西岸で、順正のアパートや食事するレストランなどもこちら側にある。ピッティ宮殿とサントスピリト広場の間の小道には、今も昔ながらの小さな修復の工房が沢山残っているので、この界隈を歩いてみるのも楽しそう。
サントスピリト広場の市場
10年愛というテーマだけでなく、「10年後の30歳の誕生日にドゥオモに登る」なんていう約束からしてもうロマンチック。そしてそれを忘れずに再会を果たす運命の恋人たち…。
相手を思うがゆえに別れを選んだ女の哀しみと、事実を知らずに10年の月日、去って行った女を密かに想い続ける男の苦悩。ふたりの10年間の忍耐が報われるのは遠い異国、イタリア。やっぱりロマンチックだ…。
ふたりがそこへ行きつくまでには様々なすれ違いがあるけれど、まさに「運命」を感じさせる二人の愛。離れても離れても、魂は求め合うんだなぁと、遠回りしても惹かれ合うことになっているんだなぁと、切なくなってしまう映画だ。
順正が葵と再会するパーティのシーンは、オンニサンティ広場のグランドホテル。この界隈には、ほかにもウェスティン・エクセルシオールなどの高級ホテルが並ぶ。広場の奥にあるオンニサンティ教会の祭壇にはジョットの傑作「キリスト磔刑」(下の写真)が掲げられていて、はっとするような青が目を惹いた。他にもボッティチェリなど有名画家のフレスコ画が多くあるにもかかわらず観光客は少なく、穴場的美術スポット。入場待ち時間などもないので、近くに行ったらフラッと入れるのが嬉しい。
竹ノ内豊とケリー・チャンの相性もとても良く、原作を読んだ後に映画を見てもほとんど違和感は持たなかった。ケリー・チャンのミラノでの恋人を演じているのが、『世界の涯てに』でも共演したマイケル・ウォン。あの映画でも最終的にケリー・チャンに選ばれない悲運の男だったなぁ…(映画の中だけだけど)。
サイド・ストーリーにも注目
順正の親友(ユースケ・サンタマリア)の言葉「人はきっと、一番好きな人とは結ばれない」というのは、「一番好きな人」との恋が叶わなかった人には名言。「自分が一番好きな人」にとって「自分が相手の一番好きな人」ではないという経験は、誰にも一度はあるのではないだろうか。篠原涼子演じたイタリアでの順正の彼女のように。順正を好きで好きでたまらなかったのに、どうしても順正は葵のことを忘れられず、最後まで彼女を心から愛することはなかったのだから。
ミケランジェロ広場からのフィレンツェ東岸の眺め。赤いドーム型のクーポラと高い鐘楼が忘れられない印象を与えるフィレンツェの象徴、ドゥオモと手前のアルノ川。
女は本能的に、男の中に「忘れられない女性(ひと)」がいることを感じ取ってしまう。恋が始まった瞬間から本能的にそれに気付いて、「この恋はいつか終わる」と予感してしまう。そんなつらい恋をしたことのある人にとっても、この映画は忘れられない作品になるだろう。
何だかサイド・ストーリーの方に肩入れしてしまう私って、ヒロインになれない典型的なタイプなのかなぁ…
★フィレンツェを旅した記事(2011)『古都フィレンツェを彷徨う日々、そして希望の光が…』はこちら。
★2015年のフィレンツェ・パドヴァ・ヴェネツィア旅の記事はこちら。
♪ 忘れられない。 そんな愚かな愛の果てに−。♪ 『冷静と情熱のあいだ』 (2001) いつも虚しさを抱えながらフィレンツェの工房で絵画の修復士を目指す順正(竹ノ内豊)。十年前に順正と別れて香港へ戻っていった葵(ケリー・チャン)のことを思い続けていた順正は、ある日彼女がミラノで実業家の恋人と裕福な生活を送っていることを知る。現実に打ちひしがれる順正にとって最後の希望は、かつて葵と交わした「30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモで待ち合わせる」という約束だった。 |
重要な役割を果たすドゥオモ
江國香織と辻仁成の小説を映画化したこの作品は、東京、フィレンツェ、ミラノを舞台にふたりの十年に及ぶ愛を描いた名作。順正の住むフィレンツェが主な舞台で、イタリアの観光名所が随所に登場する。メインは何といってもフィレンツェの花、ドゥオモ(サンタマリア・デル・フィオーレ教会)。
映画の中で順正はラクラク登っていたが、クーポラの上に出るのには、かなり長くキツイ階段を登るしかないので、きっと二人は疲れ切っていたはず…。 右:ドゥオモのクーポラからの眺め。狭い階段を延々と登らなければてっぺんまでたどり着けない。 |
とはいえ「十年後の誕生日にここで再会しましょう」なんてロマンチックな約束の場所としては最高。再会後に二人が話す広場や、順正の通う画材店もドゥオモの近くにある。
ロマンチックな10年愛
再会した二人が行くミケランジェロ広場は、ヴェッキオ橋を渡ったアルノ川の西岸で、順正のアパートや食事するレストランなどもこちら側にある。ピッティ宮殿とサントスピリト広場の間の小道には、今も昔ながらの小さな修復の工房が沢山残っているので、この界隈を歩いてみるのも楽しそう。
サントスピリト広場の市場
10年愛というテーマだけでなく、「10年後の30歳の誕生日にドゥオモに登る」なんていう約束からしてもうロマンチック。そしてそれを忘れずに再会を果たす運命の恋人たち…。
相手を思うがゆえに別れを選んだ女の哀しみと、事実を知らずに10年の月日、去って行った女を密かに想い続ける男の苦悩。ふたりの10年間の忍耐が報われるのは遠い異国、イタリア。やっぱりロマンチックだ…。
ふたりがそこへ行きつくまでには様々なすれ違いがあるけれど、まさに「運命」を感じさせる二人の愛。離れても離れても、魂は求め合うんだなぁと、遠回りしても惹かれ合うことになっているんだなぁと、切なくなってしまう映画だ。
順正が葵と再会するパーティのシーンは、オンニサンティ広場のグランドホテル。この界隈には、ほかにもウェスティン・エクセルシオールなどの高級ホテルが並ぶ。広場の奥にあるオンニサンティ教会の祭壇にはジョットの傑作「キリスト磔刑」(下の写真)が掲げられていて、はっとするような青が目を惹いた。他にもボッティチェリなど有名画家のフレスコ画が多くあるにもかかわらず観光客は少なく、穴場的美術スポット。入場待ち時間などもないので、近くに行ったらフラッと入れるのが嬉しい。
竹ノ内豊とケリー・チャンの相性もとても良く、原作を読んだ後に映画を見てもほとんど違和感は持たなかった。ケリー・チャンのミラノでの恋人を演じているのが、『世界の涯てに』でも共演したマイケル・ウォン。あの映画でも最終的にケリー・チャンに選ばれない悲運の男だったなぁ…(映画の中だけだけど)。
サイド・ストーリーにも注目
順正の親友(ユースケ・サンタマリア)の言葉「人はきっと、一番好きな人とは結ばれない」というのは、「一番好きな人」との恋が叶わなかった人には名言。「自分が一番好きな人」にとって「自分が相手の一番好きな人」ではないという経験は、誰にも一度はあるのではないだろうか。篠原涼子演じたイタリアでの順正の彼女のように。順正を好きで好きでたまらなかったのに、どうしても順正は葵のことを忘れられず、最後まで彼女を心から愛することはなかったのだから。
ミケランジェロ広場からのフィレンツェ東岸の眺め。赤いドーム型のクーポラと高い鐘楼が忘れられない印象を与えるフィレンツェの象徴、ドゥオモと手前のアルノ川。
女は本能的に、男の中に「忘れられない女性(ひと)」がいることを感じ取ってしまう。恋が始まった瞬間から本能的にそれに気付いて、「この恋はいつか終わる」と予感してしまう。そんなつらい恋をしたことのある人にとっても、この映画は忘れられない作品になるだろう。
何だかサイド・ストーリーの方に肩入れしてしまう私って、ヒロインになれない典型的なタイプなのかなぁ…
★フィレンツェを旅した記事(2011)『古都フィレンツェを彷徨う日々、そして希望の光が…』はこちら。
★2015年のフィレンツェ・パドヴァ・ヴェネツィア旅の記事はこちら。
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