2020年09月15日
ブレグジットがもたらす日本経済への影響
今回は日経記事『日英EPAで大筋合意 自動車・鉄道部品の関税即時撤廃』について、取り上げてみようと思います
※来週22日(火)〜25日(金)は更新をお休みします
記事の概要としては、ブレグジット(イギリスのEUからの離脱)に伴い、イギリスが各国と新たに通商交渉を行う必要が出てきた中、日本とイギリス間のEPA(経済連携協定)については、2021年1月〜の発効に向けて、概ね妥結の見通しとなったというものになります
具体的な方針としては、
@鉄道車両、自動車などの部品の一部
→イギリスへの輸出にかかる関税を発効と同時に即時撤廃
A自動車本体
→イギリスへの輸出にかかる関税を段階的に引き下げ2026年2月に撤廃
B農産物
→日本の輸入に際し、EUと締結している低関税枠は原則適用しない
のようなところが大筋となっているようです。
@については、イギリスに進出している日系企業の利益も考慮した上で、イギリスも日本もWin-Winの関係になるというところのでの、即時撤廃が決定されたのだと思われます
Aについては、日本の主要産業の一つともいえる自動車産業においては、必須ともいえる条項でしょうから、ここをきちんと盛り込めたことは評価できるのではないでしょうか
Bについても、先日の私のブログ記事『日本農業の重要性を考える』でも申し上げた通り、日本農業の保護・育成が重要となってきている中、関税の面からそれを支えることが出来たのは、評価できることであると思います
このようにして見ると、今回のイギリス・日本間での経済連携協定については、自動車・機械産業の発展と農業の保護という観点で、少なくとも日本の立場から見れば悪いものではなかったように思います
しかしながら、イギリスとの貿易が本質的に成功するためには、イギリスの他国(特に近隣にある巨大市場であるEU)との貿易が上手く行き、イギリスの経済もうまく回っている必要があると考えます
その点でいえば、イギリス・EU間の関係は現在ぐちゃぐちゃになっており通商交渉が上手くいっておらず、イギリス製品のEUへの輸出というところでのネックが解消されていないのが現状です
原因は、EUと結んだ離脱協定の中にあるアイルランド(EU管轄)・北アイルランド(イギリス管轄)間の厳密な通関検査復活について、このタイミングで一方的に変更しようとイギリス国内で法案を通そうとしていることによるものです
ブレグジット決定の頃からイギリスは自国に都合のいいことを並べ立てていた節がありましたが、今回の挙動はあまりにも不誠実と言わざるを得ないかと思います
このようなことを考えると、ブレグジットの問題は決して対岸の火事ではないのかもしれませんね
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