2021年03月02日
従来の雇用習慣からの脱却の先に見える日本の将来。
今回は、日経記事『川崎重工、年功制を全廃 工場含む1万7000人対象』について取り上げてみようと思います
記事の概要としては、川崎重工業が2021年度から年功制の人事評価を全廃し、全従業員を対象に役割や成果に応じて賃金やポストを決めるという、実力本位の人事制度に切り替えていく、というものになります。
具体的には、生産現場の従業員の場合、「補助員なしで作業できるか」「現場の作業効率を上げられたか」「ラインの全体最適を考えて作業できているか」などの評価項目を基準に、7段階でポストや賃金を決める制度が導入される予定となっています
また、生産現場以外の総合職では、「専門知識以外にも業務に関する知見があるか」「上司を補佐し、部内の方針につなげられているか」などの観点から、3段階に分けて人事評価をする方針となっています
この他にも、生産現場は係長や班長など責任が重い役割に就いた従業員の処遇を手厚くし、総合職では大きな成果をあげて幹部候補とみなされた従業員に新たな役割を追加し、手当も支給するなど、従来の年功要素をなくし、責任や役割、成果に応じた評価へと大きく切り替わっていく方針とするようです。
このような大きな変革の背景には、近年の競争環境変化に伴う予測成長率の鈍化を前に、人事評価から年功要素をなくすことで、従業員に新事業の創出や利益目標へのコミットを強める狙いがあるようです
日本企業に深く浸透してきた「年功序列」「終身雇用」の考え方から脱却していく動きは、2019年における、トヨタ自動車社長の「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」との発言から現実味を帯びてきているような状況でしたが、またここにきて大手企業による従来の日本企業の雇用習慣からの脱却が垣間見えるニュースが出てきたな〜という感じですね
確かに、「年功序列」「終身雇用」は戦後の日本経済から高度経済成長期にかけて、「作れば売れる」「働けば儲かる」という環境の中で、一つの会社に留まり、会社に忠誠を誓わせ、決まったことに力を注ぐことが効率の良かった時代には、有用な施策であったのかもしれません
しかしながら、経済成長も頭打ちになり、如何に付加価値を高めていくかが重要視される時代においては、決まったことを従順に行うことよりも、多様な知識・経験に基づいて、新たな価値の創造を行っていき、その成果によって評価することが大切になってきていると考えます
今後もこの流れは勢いを増していくものと考えられ、その中では会社で与えられた仕事だけをこなすという姿勢はもう通用しなくなっていくのではないでしょうか
その中では、会社で与えられた仕事をこなすことは当然として、それ以外に副業や投資などで、新たな収益源を確保し、収入の安定化を図る他、積極的に仕事以外の活動を行うことで、自社の世界以外の常識を知り、新たな発想を得るということが、非常に重要となってくるのではないかと考えられます
そして、この流れが日本に定着したころには、失われた30年と言われた日本経済から脱却し、先進諸外国と肩を並べられるような経済大国日本が誕生しているのではないでしょうか
このブログを応援していただける方は、下の「金融・投資人気ブログランキング」バナーをクリックしてもらえると嬉しいです
金融・投資ランキング
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/10565904
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック