2021年03月23日
日銀の金融政策修正でこれからどうなる!?
今回は、日経記事『日銀、緩和持続へ政策見直し ETF購入目安を削除』について取り上げてみようと思います
記事の概要としては、日銀が金融緩和の長期化を見据えてETFの購入方針や金利制度などの政策修正を決定した、というものになります
具体的に、今回発表された指針としては以下の通りになります。
@ETFの購入目安「年6兆円」を削除し、購入上限「年12兆円」だけ継続
A株式ETFの購入対象をTOPIX連動型のみとし、日経平均株価連動型は除外
B長期金利の変動幅を従来の±0.2%程度から±0.25%程度に拡大
C金融機関が日銀に置く当座預金に上乗せ金利を付ける「貸出促進付利制度」を開始
以前の『日本株市場を支える日銀マネーの方針転換』の記事でも触れた、日銀の金融政策変更について予定通り3月に発表がなされたという感じですね
それでは、一つづつ今回発表された政策の詳しい中身を検証してみましょう
@については、購入目安量を撤廃することで、株高の時には購入を控え、株価暴落による市場混乱時には大量買い付けによる市場安定化を図るなど、状況に応じて柔軟なETF購入政策がとれるような変更となりました
以前の記事でも申し上げた通り、闇雲に日銀がETFを購入し続けることは株式市場での健全な価格形成を妨げる可能性があるため、注意が必要ですが、今回の発表においては、上限で購入するのは暴落時などの市場混乱時に限定し、株高の際は購入を抑えるなど適切な制御を行う方針とのコメントがありますので、基本的には良いのではないかと考えます
Aについては、東証一部の約2,000銘柄の中からトヨタ自動車やNTT、ソフトバンクなどの代表的な225銘柄に絞って指標化された日経平均株価連動型ETFの購入は中止し、東証一部全体を対象とするTOPIX連動型ETFのみを今後購入対象していくというものです。
個人的には、日経平均株価連動型ETFを購入する場合、超大企業にしか資金が行き渡らず、日本経済全体の底上げという観点では、不適切であると感じていたので、今回東証一部全体をカバーするTOPIX連動型ETFの購入に限定するとした発表は歓迎すべきことだと思っています
(本当は、マザーズなども含めて中小企業にも広く投資できるメジャーなインデックスがあればよいのでしょうが)
Bについては、金利を変動しやすくして、金融機関が国債売買などで収益を上げる機会を広げることが目的のようです。
(金利変動幅が小さいと、国債価格の変動幅も小さくなり、売買による収益が得にくくなります。)
金利を上げすぎてしまうと、折角の金融緩和の効果が失われやすくなってしまいますが、一応黒田日銀総裁のコメントとしては「一定の範囲内であれば緩和の効果を損なわない」とのことのようですので、ここはとりあえず、それを信じるしかないかな、というところですね
最後のCについては、マイナス金利を進めていくと、金融機関が日銀に置く預金にマイナス金利がかかってどんどん収益が悪化していくため、今回「貸出促進付利制度」を設けることで、金利引き下げに伴う金融機関の収益悪化を防ぐ方針が示されました。
具体的には、短期金利を-0.2%に引き下げた場合、「貸出促進付利制度」による上乗せ金利を+0.2%とし、金融機関の負担を低減させます
これにより、急激な円高進行時などにも、金利引き下げによる円安方向への誘導がしやすくなり、より金融情勢の制御が行いやすくなったのではないかと思います
以上まとめると、今回の日銀の金融政策修正により、株価や為替の制御が行いやすくなり、より安定した金融情勢を実現できるのではないかと考えられます
言い換えるならば、今後しばらくは、長期的な株価暴落や行き過ぎた円高局面に突入することは中々考えにくいのかもしれないとも思っています
従って、個別銘柄投資をされている方は、新規購入銘柄の検討はなるべく早めに行い、日経平均株価連動ETFの信用売りやダブルインバースETFは、しばらく購入を見送った方が良いかもしれませんね
(投資信託の積立を行って頂いている方は、個人の裁量を挟みだすと色々と狂いやすいので、今までのルールを変えずに機械的に淡々と積立をしていくことをおススメします)
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