2021年01月05日
日本株市場を支える日銀マネーの方針転換
今回は、日経記事『6兆円を消し12兆円は残す 日銀ETF修正で逆発想も』について取り上げてみようと思います
記事の概要としては、日銀が2021年3月をめどに上場投資信託(ETF)の購入方法を見直す可能性が高くなったというものになります
ETFとは、『株式と投資信託の性質をもつ「ETF」』の記事でもご紹介した通り、とある投資対象に対して資金をまとめて投資、運用を行う投資信託でありながら、株式と同じように株式市場に上場され取引が出来るようなものです。
日銀は、日本株のETFを購入していますが、これはすなわち簡単に言い換えると、日本株市場全体に日銀マネーを流し込んでいることを示しています
特に日銀は、金融緩和の促進のため2015年からETF購入量を著しく増加させ、現時点で日銀の保有するETF時価総額は約45兆円、東証1部時価総額に対する割合にして約7%程度にまで膨れ上がっているのが現状です
このように、株式市場全体における日銀の保有率が今後も高まっていくと、株価形成をゆがめたり、市場による経営監視機能を下げたりする副作用が出てくるため、購入の方法について、今後は再検討する必要が出てきているというのが、今回の動向の背景にあります
現在、日銀のETF購入方針は、コロナショック後の立て直しのため2020年3月から導入した「年間購入上限額は12兆円」という方針に従っていますが、元々コロナショック前の購入方針は「年間6兆円相当を買い入れる」というものになります
今回ETFの購入方法を再検討するにあたり、大量購入に伴う株式市場への副作用を回避するという観点でみれば、購入額引き下げの為、従来通りの方針である「年間6兆円程度の購入」に戻すこと良いのでしょうが、そうすることで「日銀が金融緩和の推進を緩めた」と思われ、株式市場での売り圧が強まることが懸念されるため中々難しいのが現状のようです
2020年は、世間全体がコロナウィルスの影響で大不況に見舞われる中、株式市場だけが日銀マネーの大量流入によって爆上げするという実に歪な構造になっていたと思います
コロナショックを発端に極度の金融不安に陥り、深刻なダメージが生じることを回避するために日銀が介入して株式市場を下支えするのは、分からなくもないですが、昨年はちょっとやりすぎ感があったのではないかと思います
昨年のままで日銀が走り続ければ、先述の通り株式市場での健全な価格形成が出来なくなったり、ハイパーインフレに陥ったりするなど、経済にかえって深刻なダメージを与えかねないと思っていましたので、今回の方針が表明されたことに、少し安心感を覚えています
コロナウィルスによって未曽有の事態に陥っており、日本政府も日銀も非常に難しい舵取りを求められているのは理解できますが、やりすぎになる前にきちんと軌道修正を行っていってほしいところですね
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