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2015年10月17日

血糖値測定不能、意識不明。その後の対策

夢を見た。会社の先輩夫婦が出てきた。奥さんは元同僚の女性。乳がんで手術後の抗がん剤治療中だ。
久しぶりに会う彼女に「元気だった?体大丈夫?」と話しかけている、どこか懐かしいような夢だった。

夢から覚めたら手やシーツに血が付いていた。なんだろう?と夢うつつな状態でぼーっとしていたら、間もなく看護師がやってきた。看護師は「大丈夫ですか?」と話しかけた。私は「夢を見てたんです。先輩夫婦が出てきて・・」と看護師に夢の話をした。全く自分の状況がわかっていなかった。

私は毎朝決まった時間に血糖値を測っているが、今日は声をかけても目覚めなかったという。
看護師が血糖値を測ったら、数字でなく測定不能だったのだそうだ。測定器では血糖値が20〜30mg/dL以下では測定不能のため、LO (LOw)と表示されるらしい。医師の指示でブドウ糖を手に打ったということだった。

痙攣していたのか昏睡していたのか状況は詳しく聞いていないが、危ない状態だったようだ。
発見が遅れていたら脳に障害が残ったり、最悪は死んでいたかもしれない。
病院では毎晩看護師が見回りをしてくれている。旦那が入院の際に、「妻は毎朝危うい状態なので見回りをしっかりお願いします」と言ってくれていたことを思い出した。入院前は旦那が私の状態を見守っていてくれたのだ。
看護師の異常の発見が遅れていたら、本当に終わりになるところだった。
とても怖い体験なのに、その頃の私はまるで他人事のように実感が無かった。低血糖の影響か事の重大さを深く考えることができなかったのかもしれない。

ブドウ糖を打たれた後も、私の血糖値はそんなに上がらなかった。
看護師に食事までの間、しっかり飴を舐めておいてくださいと言われた。
担当の医師の話だと、私の腫瘍は威力が増して食事だけでは血糖値が保てないようだ。
生命の危険があるのでブドウ糖入りの点滴を手術日まで終日投与することになった。

私の血管は点滴漏れを毎日起こした。おまけにこのブドウ糖入りの点滴は痛いのだ。所謂「血管痛」というものだ。ブドウ糖の濃度が5%を超えると血管痛を起こすといわれる。
私の点滴の濃度は何%だったのだろうか。点滴をするのはブドウ糖の補充の為だけなので、かなりの濃度だったと思われる。毎日点滴漏れを起こし点滴の針を刺しかえる。それに加えて血管痛だ。点滴漏れと血管痛で手首がパンパンによく腫れた。暖めると痛みが和らぐので、看護師さんにホットパックをもらって手首を暖めた。看護師さん達は嫌な顔もせず、いつもホットパック持ってきましましょうか?と優しく声をかけてくれた。

私の血管は看護師さん泣かせの血管だった。一回の注射で太い血管を探し当てる人は少ない。
特に腕の血管が出にくく、手の甲の血管をよく使われた。手は動かすことが多いのですぐに点滴が漏れる。
新米の看護師さんだと二度、三度と点滴の針を打ち直すことになり、ダメだと悟るとベテランの看護師さんを呼んできて交代して針を打った。ベテランの看護師さんも私の血管に一度で針が刺さった時はとても喜んだ。
ダメだと悟った看護師は担当医師を連れてくることもあった。

若い担当医師の針は毎回一発で太い血管に辿り着いた。それもあまり痛みを感じず点滴漏れをしにくい腕の柔らかな場所にだ。あまりに上手いので「血管が見えるんですか?」と聞いたことがある。医師は見えないが、推測して見えるようになると笑っていた。ベテランの看護師さんも「先生には見えるんですよ」と褒めていた。
チクチク、グリグリと刺す時も刺し終わってからも痛い点滴針と血管痛の上に、トイレなどにも点滴を持ち歩かないといけないのが辛かった。

点滴を持ちながら、売店に飴や飲料を買いに行った。前に買った飴はヨーグルト味やイチゴミルクなど好みの飴だったが、今回は黄金糖を大量に買った。飲み物もすっきり味などではなくネクターだ。医師は血糖値が下がったら角砂糖を口に含むといいと言われた。角砂糖も舐めてみたがさすがに嫌だったので、甘さ最優先の食料を大量に買いこみ、検査の時もバッグに黄金糖を入れて持ち歩くようになった。

私はこの頃から夜中の3時頃に目覚ましをかけ、起きて飴や飲み物で糖分を補給した。点滴はよく漏れていたので信じれず怖かったのだ。今までインスリノーマのことを甘く見過ぎていた。
回らない頭で、手術日までは死ぬわけにはいかない、生きなければとだけを考えていた。
病院という守られた場所ではあるが、私の場合は自分の命は自分でも守らなければいけないと感じた。
医師は糖分の摂取は自分でいくらしても良いと言った。
ブドウ糖の強い点滴を終日した上で晩ご飯を全て食べ、夜中に糖分を摂取しても朝の血糖値はやはり40ml/dl前後にしかならなかった。
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