2017年06月16日
【ひまつぶし】現代風パロ[ぼくらだ!1週間大戦争]
こんにちばんわバンビです。
決してネタがなくなったわけではありませんw
文字を稼ぐわけでもありません。
昔のWEBメールをあさってたら懐かしいのが出てきたので・・・
2007-9年くらいに鬼の様に暇で書いていた「ぼくらの7日間戦争」のパロディ
「ぼくらだ!1週間大戦争」の一部を載せます。
時代背景が古いので多少内容が古いと思います。
----第1話 ゆくえ----
時計の長い針と短い針が出会う。
---正午だ。
エアコンと換気扇の音だけがするリビングで、じっと時計を見つめていた外山真理(そとやままり)は、あらためて深いため息をついた。
予定の帰宅時間から1時間遅れている。当初あった苛立ちは、完全に不安に変わっていたのだ。
---事故?
まさか。学校からの帰りに大通りもなく、商店街を通るだけなのだ。事故にあったと考える方が、どうかしている。
ただ、一瞬でも事故がよぎるのは、秋葉原無差別殺傷事件があったからだ。真っ暗になる不安に襲われる。
---いやいや、考え方を変えよう。
授業中にゲームでもして怒られているのだろか?はたまた、成績のわるさから、居残りをさせらているのだろか?
一人息子の歩夢(あゆむ)は中学校三年。今日は一学期の終業式。いくら遅くとも11時前には帰宅できるはずだ。
こんな時のために今流行りのスマホを持たせておけば良かった。
帰宅してきたら歩夢を買ったばかりのプリウスに乗せて、家を出発。わたしはすでに山ガールの格好をしている状態で12時前に、新宿駅にいる夫の勇歩(ゆうほ)をピックアップ。
勇歩のオフィスは新宿駅のすぐ近くだ。去年のリーマンショックになんとか耐えて残ってくれているのが、家族の救いでもある。そんな夫のために、今日から3連休を取り日曜日まで、最近何かと事件の多い都内を離れ、贅沢な週末を過ごそうと計画したのだ。
計画にあまり乗り気ではない勇歩だったが、歩夢がどうしても行きたがっていて、たまにはゲームのない週末を過ごさせたいと押し切ったのだ。
今朝、歩夢が学校にでる時、しつこく寄り道をせずすぐに帰る様、言い聞かせてある。普段聞き分けの良い歩夢なのだから、こんな思いは、何かの虫の知らせかも知れない。
---帰ってこないのは、おかしい。
真理が考えをめぐらせている間にも、時間は容赦なく過ぎていくのだ。窓から見る景色は、梅雨明けのさっぱりした青空と、少し陽炎が見えるアスファルトが光っている。歩夢が帰ってくるならあそこの曲がり角から顔を見せるはずだ。
突然、iPhone3GSが大きな音を立てた。驚きと、慣れない操作で思わず出てしまった。何か悪い知らせかもしれない。きっとそうだ。なにか起きたのだ。激しい動悸で身体が揺れるのが分かる。
『もしもし・・・おいおいまだか?いい加減にしてくれ。こっちは早退してるんだぞ』
夫の声だ。かなり怒っている。しかし、真理は夫の怒りには構ってられない状態なのだ。
『あのね・・・歩夢が・・・』
『歩夢がどうかしたのか?こっちは・・』
『帰ってこないのよ』
『おいおい。どこかで遊んでるだろ。早く帰るようにちゃんと言ったのか?』
『言ったわよ。さんざん朝言ったんだから』
『だったらおかしいだろ。何時だと思ってるんだ』
『だからおかしいのよ』
もう会話にならないのは、真理が良く分かっていた。
『学校へ見に行ったのか?』
『言ってないわ』
『どうして行かないんだ?』
勇歩が改めて声をあららげた。真理は正気を取り戻した。たしかにそうだ。
『ちょっと見てくるから後でまた連絡ちょうだい』
一方的に電話を切るとすぐにプリウスの鍵を手にして家を飛び出した。ハンドルが握れないくらい暑い日差しだ。
中学校までは商店街を通り700メートルほどの距離である。途中、下校する生徒に出会うかもしれないと思ったが、生徒の姿は無い。この時間だ。当たり前である。
急いでたこともあり5分ほどで学校に着いた。もちろんがらんとして人影が無い。ただ、駐車場から少し歩いたプールが騒がしいのだ。
真理はプリウスに鍵もかけずに急いでプールへ向かった。生徒たちが20人はいる。もうすぐ、地区対抗戦があるのだ。知っている顔がないか見まわしたとき、ちょうどプールから上がってきたひとりの麻木真梨子(あさぎまりこ)と目があった。真梨子は、にこっとして会釈した。
『ねえ、歩夢帰ったかわかる?』
真梨子は、歩夢と同じ3年1組で"幸味"という中華料理屋の娘だ。年初に賑わせた冷凍餃子の食中毒事件のおかげで大繁盛と聞いている。名前も1字違いで親近感のある子だ。
『ええ。帰りましたよ』
真梨子は、競泳用水着が良く合う、160センチをこすモデルのようなスタイルで言った。
『そう。いつごろかな?』
『さあ、もう1時間以上前だと思います。外山君何かあったんですか?』
『帰ってこないのよ』
『そうなんですね。どっかで遊んでるんじゃないですか?』
『そんなこと言ってた?』
『いいえ、聞いてませんよ』
『あの子、成績表見せるのが嫌で帰ってこれないのかしら・・・』
『それは、わたしも一緒ですよ。練習があるので・・・』
『がんばってね。ありがとう』
真梨子は、にこっとして、いきおいよくプールに飛び込んだ。白い水しぶきに虹がかかっていた。
水泳で区大会中学1位。真梨子のきれいな背中を見ながら歩夢もあの時、サッカーが続けられたらと思う。せめて、勉強をがんばって父親の勇歩のようにリーマンショックに負けない会社に就職してほしいものだ。
手がかりが無いまま、真理は家に戻った。友達のだれかの家に電話しようとしたのだ。ただiPhone3GSには、夫とその勤め先、中学校と実家ぐらいしか入っていなかった。
---普段からしっかり入れておけば
ふと思い出し、押入れから小学校のころの連絡帳を取り出した。一番最初に思い浮かんだのが、六串蓮想(むつぐしれんそ)である。いつも『むっく』と呼んでいて、幼いころから歩夢と一緒だ。六串の家は、進学塾をやっているのでこの時間でもでるだろう。
電話に出たのは、母親の理津子(りつこ)だ。
『外山ですけど。蓮想くん帰られてます?』
『さぁ』
『ちょっとぉ。蓮想〜』と遠くに呼びかける声が聞こえた。
『帰ってないみたい』
『おたくもですか?うちの歩夢も帰ってきませんの。どこに行ったのかしら。』
『ほら。明日から夏休みだから、きっとゲームセンターにでも行ったのよ』
理津子は、まるで気にかけていない様子だ。もし帰ってきたら連絡すると言われ電話を切られてしまった。
つぎは、梅村 康久(うめむらやすひさ)だ。ここは共働きと聞いているから誰もでなかったら帰っていないことになる。
『もしもし梅村です。』
あきらかに幼い声だ。
『康久くん?』
『ちがいます。おとうとの康数(やすかず)です。』
予想通り、おとうとの康数だった。
『あら。ごめんなさいね。外山のお母さんだけど、康久くん帰ってる?』
『まだです。』
これもある意味予想通りだ。そんな予感がしていての確認作業になっていることは、把握している。
『どこいるかわかる?』
『わかりません』ガチャ
切られてしまったが、聞けたい事は聞けた。歩夢を含めた3人が学校から帰っていないことは分かった。そうなると、幼馴染3人でどこかに遊びに行ってしまったのか。可能性がなくもない。
今日2回目のiPhone3GSが大きな音を立てた。夫の勇歩だ。
『いたのか?』
『学校にいったけど、とっくに帰ったらしいの』
『じゃあ、どこにいったんだ!』
『わからないの。しかも帰って無いのは歩夢だけじゃないのよ。六串くんと梅村くんのお宅もなの。ほかの子も帰ってないかも知れないわ』
梅村宅へ電話をしたときにすでにみんな帰って無いのでは?と思っていたのだ。
『歩夢が友達とでかけて家族旅行をすっぽかしたっていうのか?』
『そうとしか考えられないわ』
『まったく・・・』
そう言った勇歩の声があきらかに変わった。
『中止だ!中止!何時間駅で待たせる気なんだ。だから言ったろ。』
『誘拐されてなければ・・・』
思わず真理は、声に出してしまった。これだけはどこかで思っていたが、声に出すと現実味がでてくると思って塞ぎこんでおいたのだ。
『誘拐?とにかく今日は中止だ。急いで家に戻るからほかの家にも電話して聞いてみてくれ』
怒ったままの勇歩に電話を切られた。こんなことで待ちに待った家族旅行を中止にするなんて。気が短いにもほどがある。それとも、本気で誘拐を信じているのか。
決してネタがなくなったわけではありませんw
文字を稼ぐわけでもありません。
昔のWEBメールをあさってたら懐かしいのが出てきたので・・・
2007-9年くらいに鬼の様に暇で書いていた「ぼくらの7日間戦争」のパロディ
「ぼくらだ!1週間大戦争」の一部を載せます。
時代背景が古いので多少内容が古いと思います。
----第1話 ゆくえ----
時計の長い針と短い針が出会う。
---正午だ。
エアコンと換気扇の音だけがするリビングで、じっと時計を見つめていた外山真理(そとやままり)は、あらためて深いため息をついた。
予定の帰宅時間から1時間遅れている。当初あった苛立ちは、完全に不安に変わっていたのだ。
---事故?
まさか。学校からの帰りに大通りもなく、商店街を通るだけなのだ。事故にあったと考える方が、どうかしている。
ただ、一瞬でも事故がよぎるのは、秋葉原無差別殺傷事件があったからだ。真っ暗になる不安に襲われる。
---いやいや、考え方を変えよう。
授業中にゲームでもして怒られているのだろか?はたまた、成績のわるさから、居残りをさせらているのだろか?
一人息子の歩夢(あゆむ)は中学校三年。今日は一学期の終業式。いくら遅くとも11時前には帰宅できるはずだ。
こんな時のために今流行りのスマホを持たせておけば良かった。
帰宅してきたら歩夢を買ったばかりのプリウスに乗せて、家を出発。わたしはすでに山ガールの格好をしている状態で12時前に、新宿駅にいる夫の勇歩(ゆうほ)をピックアップ。
勇歩のオフィスは新宿駅のすぐ近くだ。去年のリーマンショックになんとか耐えて残ってくれているのが、家族の救いでもある。そんな夫のために、今日から3連休を取り日曜日まで、最近何かと事件の多い都内を離れ、贅沢な週末を過ごそうと計画したのだ。
計画にあまり乗り気ではない勇歩だったが、歩夢がどうしても行きたがっていて、たまにはゲームのない週末を過ごさせたいと押し切ったのだ。
今朝、歩夢が学校にでる時、しつこく寄り道をせずすぐに帰る様、言い聞かせてある。普段聞き分けの良い歩夢なのだから、こんな思いは、何かの虫の知らせかも知れない。
---帰ってこないのは、おかしい。
真理が考えをめぐらせている間にも、時間は容赦なく過ぎていくのだ。窓から見る景色は、梅雨明けのさっぱりした青空と、少し陽炎が見えるアスファルトが光っている。歩夢が帰ってくるならあそこの曲がり角から顔を見せるはずだ。
突然、iPhone3GSが大きな音を立てた。驚きと、慣れない操作で思わず出てしまった。何か悪い知らせかもしれない。きっとそうだ。なにか起きたのだ。激しい動悸で身体が揺れるのが分かる。
『もしもし・・・おいおいまだか?いい加減にしてくれ。こっちは早退してるんだぞ』
夫の声だ。かなり怒っている。しかし、真理は夫の怒りには構ってられない状態なのだ。
『あのね・・・歩夢が・・・』
『歩夢がどうかしたのか?こっちは・・』
『帰ってこないのよ』
『おいおい。どこかで遊んでるだろ。早く帰るようにちゃんと言ったのか?』
『言ったわよ。さんざん朝言ったんだから』
『だったらおかしいだろ。何時だと思ってるんだ』
『だからおかしいのよ』
もう会話にならないのは、真理が良く分かっていた。
『学校へ見に行ったのか?』
『言ってないわ』
『どうして行かないんだ?』
勇歩が改めて声をあららげた。真理は正気を取り戻した。たしかにそうだ。
『ちょっと見てくるから後でまた連絡ちょうだい』
一方的に電話を切るとすぐにプリウスの鍵を手にして家を飛び出した。ハンドルが握れないくらい暑い日差しだ。
中学校までは商店街を通り700メートルほどの距離である。途中、下校する生徒に出会うかもしれないと思ったが、生徒の姿は無い。この時間だ。当たり前である。
急いでたこともあり5分ほどで学校に着いた。もちろんがらんとして人影が無い。ただ、駐車場から少し歩いたプールが騒がしいのだ。
真理はプリウスに鍵もかけずに急いでプールへ向かった。生徒たちが20人はいる。もうすぐ、地区対抗戦があるのだ。知っている顔がないか見まわしたとき、ちょうどプールから上がってきたひとりの麻木真梨子(あさぎまりこ)と目があった。真梨子は、にこっとして会釈した。
『ねえ、歩夢帰ったかわかる?』
真梨子は、歩夢と同じ3年1組で"幸味"という中華料理屋の娘だ。年初に賑わせた冷凍餃子の食中毒事件のおかげで大繁盛と聞いている。名前も1字違いで親近感のある子だ。
『ええ。帰りましたよ』
真梨子は、競泳用水着が良く合う、160センチをこすモデルのようなスタイルで言った。
『そう。いつごろかな?』
『さあ、もう1時間以上前だと思います。外山君何かあったんですか?』
『帰ってこないのよ』
『そうなんですね。どっかで遊んでるんじゃないですか?』
『そんなこと言ってた?』
『いいえ、聞いてませんよ』
『あの子、成績表見せるのが嫌で帰ってこれないのかしら・・・』
『それは、わたしも一緒ですよ。練習があるので・・・』
『がんばってね。ありがとう』
真梨子は、にこっとして、いきおいよくプールに飛び込んだ。白い水しぶきに虹がかかっていた。
水泳で区大会中学1位。真梨子のきれいな背中を見ながら歩夢もあの時、サッカーが続けられたらと思う。せめて、勉強をがんばって父親の勇歩のようにリーマンショックに負けない会社に就職してほしいものだ。
手がかりが無いまま、真理は家に戻った。友達のだれかの家に電話しようとしたのだ。ただiPhone3GSには、夫とその勤め先、中学校と実家ぐらいしか入っていなかった。
---普段からしっかり入れておけば
ふと思い出し、押入れから小学校のころの連絡帳を取り出した。一番最初に思い浮かんだのが、六串蓮想(むつぐしれんそ)である。いつも『むっく』と呼んでいて、幼いころから歩夢と一緒だ。六串の家は、進学塾をやっているのでこの時間でもでるだろう。
電話に出たのは、母親の理津子(りつこ)だ。
『外山ですけど。蓮想くん帰られてます?』
『さぁ』
『ちょっとぉ。蓮想〜』と遠くに呼びかける声が聞こえた。
『帰ってないみたい』
『おたくもですか?うちの歩夢も帰ってきませんの。どこに行ったのかしら。』
『ほら。明日から夏休みだから、きっとゲームセンターにでも行ったのよ』
理津子は、まるで気にかけていない様子だ。もし帰ってきたら連絡すると言われ電話を切られてしまった。
つぎは、梅村 康久(うめむらやすひさ)だ。ここは共働きと聞いているから誰もでなかったら帰っていないことになる。
『もしもし梅村です。』
あきらかに幼い声だ。
『康久くん?』
『ちがいます。おとうとの康数(やすかず)です。』
予想通り、おとうとの康数だった。
『あら。ごめんなさいね。外山のお母さんだけど、康久くん帰ってる?』
『まだです。』
これもある意味予想通りだ。そんな予感がしていての確認作業になっていることは、把握している。
『どこいるかわかる?』
『わかりません』ガチャ
切られてしまったが、聞けたい事は聞けた。歩夢を含めた3人が学校から帰っていないことは分かった。そうなると、幼馴染3人でどこかに遊びに行ってしまったのか。可能性がなくもない。
今日2回目のiPhone3GSが大きな音を立てた。夫の勇歩だ。
『いたのか?』
『学校にいったけど、とっくに帰ったらしいの』
『じゃあ、どこにいったんだ!』
『わからないの。しかも帰って無いのは歩夢だけじゃないのよ。六串くんと梅村くんのお宅もなの。ほかの子も帰ってないかも知れないわ』
梅村宅へ電話をしたときにすでにみんな帰って無いのでは?と思っていたのだ。
『歩夢が友達とでかけて家族旅行をすっぽかしたっていうのか?』
『そうとしか考えられないわ』
『まったく・・・』
そう言った勇歩の声があきらかに変わった。
『中止だ!中止!何時間駅で待たせる気なんだ。だから言ったろ。』
『誘拐されてなければ・・・』
思わず真理は、声に出してしまった。これだけはどこかで思っていたが、声に出すと現実味がでてくると思って塞ぎこんでおいたのだ。
『誘拐?とにかく今日は中止だ。急いで家に戻るからほかの家にも電話して聞いてみてくれ』
怒ったままの勇歩に電話を切られた。こんなことで待ちに待った家族旅行を中止にするなんて。気が短いにもほどがある。それとも、本気で誘拐を信じているのか。
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