転職先で過去の人脈をもとに仕事をする人は珍しくない。
️顧客データや名刺の持ち出しで、転職者が気をつける点はどこか
⏹️勤務先の「顧客データ」を持ち出した
その後に転職した会社で営業活動に使ったとして、会社員男性(26)が、不正競争防止法違反(営業秘密の領得・使用)の疑いで、逮捕された。
★【実際の犯行】
男性は通信機器販売・リース会社で、顧客情報約390件をUSBメモリーにコピー。
転職先の会社で、顧客獲得のための営業活動にデータを使った疑いがある。
★【疑問点】
転職先で、これまでの経験や人脈をもとに仕事をしていく人は、珍しくない。
今回のケースは、何が問題になったのか。
名刺の持ち出しも問題になることがあるのか。
転職者が気をつけるべき点について、ここから詳しく説明していきます。
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️「営業秘密」とはなにか
従業員には職業選択の自由があるため、他業種はもちろん、同業種であっても、原則として転職は自由。
競業他社への転職を制限する合意書などに署名をしている場合は制限を受けることがある。
⏹️ノウハウや顧客情報の持ち出しについては規制を受ける
ノウハウや顧客情報のうち、営業秘密に当たるものについて
@不正競争防止法21条により、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金を科されるおそれがある。
A民事上も、不正競争防止法4条や民法上の不法行為にもとづく損害賠償請求を受ける可能性がある。
️問題となるのが、ノウハウや顧客情報が不正競争防止法上の『営業秘密』に当たるかどうか
不正競争防止法上の「営業秘密」に当たるものとは、具体的にどんなケースが想定されるのか。
更にここから、深掘りして説明をしていきます
。
️「一般に、不正競争防止法の営業秘密に当たるといえるためには、次の3点が必要
(1)秘密として管理されていること(秘密管理性)
(2)事業活動に有用な技術上または営業上の情報 であること(有用性)
(3)公然と知られていないこと(非公知性)
【390件の顧客情報をUSBにコピーした点について】
顧客情報は取引において重要な情報であることから(2)有用性は認められる。
公表されているようなものでもないので、(3)非公知性も認められる。
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問題は(1)秘密管理性である。
・パスワード設定などによって第三者が簡単に見られないようになっていたり
・データ持ち出しについての社内規制が従業員に周知されていたり
️この様なセキュリティがあったものと思われる。
【いかに顧客情報であっても、社内に管理規則がなく、従業員であれば誰でもアクセスできたような場合】
️(1)秘密管理性は否定される方向になりやすい。
️仕事で集めた「名刺」の場合
⏹️仕事で集めた「名刺」は「営業秘密」に当たるのか
️自らが受け取った名刺の持ち出しであれば、その名刺を会社で一括管理するような場合でもない限り、営業秘密の持ち出しとまでは、通常、言えないのではないかと思われる。
先にも述べたとおり、同業種を含め、他社への転職は原則として自由。
しかし、会社の管理するデータの持ち出しは止めるべきである。
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2019年09月21日
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