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2019年10月16日

「欲しいのは貴方じゃない」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2011年01月31日投稿。




それは突然の申し出だった。あまりに突然過ぎて一瞬息をするのも忘れていた。
きっとあの子は羨むだろう。
そんなことをぼんやり考えながら、その突然の申し出にどう言葉を返すか、その突然の申し出に、どう言葉を返したら傷付けずに済むか、を、考えていた。
と、ここまで考えて、苦笑いする。
何だ、自分の中ではもう答えがはっきりしてるんじゃないか、と。
だから肩を竦めて言った。

「私が欲しいのは貴方じゃない」

驚きの後、傷付いたような表情。
あの子は怒るかもしれない。大切な人を傷付けられたと、自分勝手に怒るかもしれない。
なら、それでいいや。
傷口を抉らなければ、その傷はあの子にとってそれを得る手段になるから。
それに、

「欲しいものには、嘘は吐けない質なのよ」











※「無意味な言葉が僕の翼になる」と並行して某所に投稿していた作品です
タグ:2011

2019年08月23日

「NO NAME」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年12月30日投稿。




白が溶ける。
灰と化す。
燃え上がってしまえば一瞬で、彼女は世界から姿を消した。
それを咎める人はもはやなく。
ただ一人、僕だけがその灰を前にぼんやり見つめているだけ。
他には何もない。
何もないさ。
こつん。
ふと音が響いた気がして振り向くけれど、そこには、誰もいない。誰もいない。
もう、ここには、誰もいない。
誰もいないんだ。
そう思うと可笑しくって、あはは、あは、あははははは、頬を一筋雫が伝った。
可笑しいや。
どうして零れるんだ。
僕が灯を点したんだ。僕がこの手で点したんだ。
君に光を点したんだ。
それだけなんだ。
なのにどうして、こんなに、今更……、


キミにアイタイ?


あは、あはは、あはははは。
僕はその場に座り込んだ。へたり込んだ。崩れ落ちた。
灰の中。
彼女の残骸を掬いとって。
白が積もる。
手のひらの中が白一色に変わっていく。
白い彼女の粉が結晶と同化して。もう、冷たい。


キミはヌクモリをウシナッテ、シマッタンダ




「NO NAME」






タグ:2010

2019年06月18日

「君にカノンを!」(第四話)

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年11月27日投稿。




※この話は最後まで続くかどうかわかりませんが続きものです
※第四話です、先に上げたものについては
 「君にカノンを!」タグに一覧ありますので順に読んで下さい
 後でこの記事ものタグ登録します
  →タグ登録しました(11/27)
※趣旨を理解した上で、読みたい方だけどうぞ











「君にカノンを!」(第四話)

「君にカノンを!」(小休止)

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年11月26日投稿。




※この話は最後まで続くかどうかわかりませんが続きものです
※小休止です、先に上げたものについては
 「君にカノンを!」タグに一覧ありますので順に読んで下さい
 後でこの記事ものタグ登録します
  →タグ登録しました(11/27)
※趣旨を理解した上で、読みたい方だけどうぞ











「君にカノンを!」(小休止)

2019年06月17日

「君にカノンを!」(第三話)

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年11月24日投稿。




※この話は最後まで続くかどうかわかりませんが続きものです
※第三話です、先に上げた「君にカノンを!」及び「君にカノンを!」(第一話)「君にカノンを!」(第二話)から読んで下さい
 後で記事へのリンク貼ります
  →リンク貼りました(11/25)
※趣旨を理解した上で、読みたい方だけどうぞ
※あと、最後実はちょっと続きます











「君にカノンを!」(第三話)

「君にカノンを!」(第二話)

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年11月24日投稿。




※この話は最後まで続くかどうかわかりませんが続きものです
※第二話です、先に上げた「君にカノンを!」及び「君にカノンを!」(第一話)から読んで下さい
 後で記事へのリンク貼ります
  →リンク貼りました(11/25)
※趣旨を理解した上で、読みたい方だけどうぞ











「君にカノンを!」(第二話)

「君にカノンを!」(第一話)

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年11月24日投稿。




※この話は続くかどうかわかりませんが続きものです
※第一話ですが先に数日前に上げた「君にカノンを!」を読んでもらえれば趣旨が伝わると思います
 後で記事へのリンク貼ります
  →リンク貼りました(11/25)
※趣旨を理解した上で、読みたい方だけどうぞ











「君にカノンを!」(第一話)

「君にカノンを!」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年11月22日投稿。




ひらひらした服が好き。
真っ白にひらひらフリル、ふんわりスカートとオフホワイトのブラウス。
髪にはお気に入りのコサージュをつけて、二つくくりなんてして。
でも、そんなの自身には似合わないから……。

大好きな君に、それを捧ぐ。




君にカノンを!




「つーことで、お前ロリータ着ろ!」
「って、ちょっ、さくらちゃん、僕おと……、」
「つべこべ言ってんじゃねぇよ! 俺の選んだ服が着られねぇってのか!」
「ならさくらちゃんが着ればいいじゃない!」
「黙れ! 俺の言うことが聞けないのかよ!」
「うわぁん! さくらちゃんなんて大っ嫌いだぁ〜!」











というラブコメが書きたいです(爆)
ああぁー、こってこてロリータが出てくる物語が書きたいですー。
たまにありません?こういうとき(あ、普通ないですよね)
僕には謎の周期があるようで、エロ→グロ→ギャグの無限ループで妄想しているようです(汗)
少し前まで、描くという行為の官能性を追求した文章を書きたいと思っていて、その後にひたすら突き刺すのと血の飛び散り方を追求した文章を書きたいと思って、今やってきましたギャグの波!
基本ヤオイしか書かないので、久しぶりにオチが必要なギャグに手を出したのは、救いです(苦笑)
って、本文より長くなってますね、つぶやき(汗)
とりあえず、暇が出来たら「君にカノンを」続き書こうと思います。
友達に、「卒論だってちょっと堅い文章創作みたいなもんだよ!」と言われました。
そうですね、確かに楽しいかもしれませんね、ネタがあれば!(爆)
僕にはネタがありません!ネタないのに書けるかな一ヶ月切ったよ卒論!(爆死)
はい、が、頑張ります…。

2019年05月16日

「講義の窓辺から」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年05月10日投稿。




ふと、外を見る。
雲が流れて、木々の枝葉はそよそよと快さそうに揺れている。
その下。その下に視線を落とす。
目に入る。
墓。
あぁ、この下には何百という命だったものが埋まっているのか。
そこで脳をトリップさせてみる。
多くの墓の中に、ぽつりとある一角。無縁仏たち。
たぶん、この周辺で、彼、もしくは彼女は死んだんだ。
どうして?
どうしてだろう。考えてみる。
あぁ、そうか、殺されたのか。
いつもそこに思考は落ち着く。
じゃあ何で殺されたのか。
あぁ、そうか。ここは山が近いから、たぶん夜討ちにあったんだ。
山の中の深い木々。
連れ込まれて、穿たれて。
要らなくなったら、はい終わり。
打ち捨てられて、そのまま朽ちる。
誰か縁者がいればよかったのに、彼、もしくは彼女には、そんな人もいなくて。
だから、捨てられて、異臭を放つまで、気にもとめられなかった。
またか。
寺の住職が顔をしかめる。
そして煩わしそうに、同じ列に並べるんだ。
と、チャイムが鳴る。
教室の中を見る。授業はいつの間にやら終わってしまったようだ。
淀んだ空気、そよぐこともない心。
その中で、あぁ、自分自身も独りぼっちで。
いつかあの列に加えられるのかな、なんてね。






タグ:2010

2019年04月27日

「その瞳は美しい」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年03月17日投稿。











 尋ねてみた。
 貴方はどうして私と一緒にいてくれるのかと。
 すると貴方は答えた。
「この世の中で、君を愛する人は星の数ほどいるだろう? でも、僕を愛してくれる人は、世界で君一人だから、」
 だから、僕は君の傍にいるんだよ。
 貴方は笑った。悲しそうな瞳で。けれど、それを見て、とても、美しいと思った。


 この世界は歪んでいるから。


 それは雨上がりの夜だった。
 仔猫のようにうずくまって、泣きそうな瞳で、縋るような視線を投げかけてきた、貴方。
 その瞳に、言いようのない不安を覚えたのを、今でも思い出せる。思い出すだけで身震いするような、そんな感覚。それを不安と呼ぶのかなんと呼ぶのか、私はよく分からない。ただ、不安だった、ような気がする。
「貴方、何してるの?」
 全身を雨の雫で濡らし、うずくまったまま。何も言わない。ただ、こちらを見つめてくるだけ。
「ねぇ、何をしてるの?」
 そして何処から来て、どうして此処でうずくまっているの?
 そう、尋ねた。
 すると貴方は、目を細めて、立った一言。
「死んでしまいたくて」
 涙の混じったような声で、私に言った。
 ぞくりっ、全身が粟立ったのに気付いたのだけど、気付かなかったフリをした。
 どうして?
 自分でも分からない。
 たぶん、理由なんてなかった。
 ただ一つ、確実に言えるのは、
「どうして? 死ぬのは怖いことだよ?」
 初めて会った貴方がこの世からいなくなってしまうことを考えると、私の心は何か抉られたように痛むのだと、そしてそれは治ることはないのだと、それだけだった。
「どうして? どうして死ぬのは怖いと言えるの?」
 貴方は私に尋ねた。
 一瞬、私は言葉に詰まる。
 何を言えばいいのか分からなくて。
 でも、分かっていた。
「貴方がいなくなると、私の心が痛むからだよ」
「……」
 貴方は目を伏せた。
 濡れた睫毛。
 そしてその瞳。
 その瞳。その瞳は、泣き出してしまいそうで、それなのに、私はそれを、とてもきれいだと思った。


 ねぇ、なら、一緒に生きてもいいのかな?


 その日から、貴方は私の傍で生きていた。
 どうして、初めて会った貴方を失ってしまうことがあんなに怖かったのか、自分でも分からない。
 仔猫を拾ったのだということにした。
 命は簡単に拾えるものなんだ。
 その逆に、捨てることも簡単なのかもしれない。
 あの日私が貴方を拾わなければ、貴方は望みどおりに逝けたのかもしれない。
 でも、こうして貴方がいることが日常になってしまって、
「もう、それがなかった過去が信じられないほど」
 私は貴方に依存していた。
 貴方を愛するという、行為に。依存していた。
 すると貴方は、目を細めて私を見つめる。そう、悲しそうな瞳で。そして同時に、とても美しい瞳で。
「僕は依存しているんだよ、君に」
 それは私の方だ。
「違うよ。僕は依存しているんだ。愛してくれる、君の存在に」
「どうして?」
「たった一人、愛してくれる人がいるだけで、生きていられてしまうからね」
 あぁ、貴方はまだ、死んでしまいたいのね。
 悲しくなる。
 けれど、知っていた。
 死んでしまいたくて、でも、死ねなくて。それが、貴方の瞳の美しさを生み出しているのだと。
 貴方の瞳に惹かれた私だから、貴方がその悲しみを捨ててしまったら、私も貴方を捨ててしまえるのだろうか。簡単に。自分で拾い上げた命を、いとも、無責任に。
「それでも僕はかまわないよ」
 どうして?
「だって、愛してくれた過去が偽りに変わることは、ないからね」
 そう言って、貴方はまた、悲しそうに笑った。
 その声が、とても、美しいと、思った。


 歪んでいるのは世界。


 尋ねてみた。
 貴方はどうして私と一緒にいてくれるのかと。
 すると貴方は答えた。
「この世の中で、君を愛する人は星の数ほどいるだろう? でも、僕を愛してくれる人は、世界で君一人だから、」
 だから、僕は君の傍にいるんだよ。
 貴方は笑った。
「じゃあ、聞いてもいい?」
 えぇ、いいわ。
「どうして君は、僕と一緒にいてくれるんだい?」
 ぎくりっ、とした。
 どうして? 自分でも分からないわ。
 ただ、貴方の瞳が、いつもと違ったから。
「だって、きれいじゃない」
「何が?」
 悲しそうな瞳が。
 言わなかったけど。


 ね、気付いた?


「歪んでいるのは世界でもなんでもないんだ」
「じゃあ、何なの?」
 私は真っ直ぐに見つめ返す。
 すると貴方はいつものように泣きそうな瞳で言う。
「僕らだよ」


 あぁ、だから……。


「貴方の瞳は美しいのね」
 私は、精一杯の愛情で貴方を抱きしめる。そう、互いの身体が朽ちてしまうその時まで。
タグ:2010
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