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2019年05月16日

「講義の窓辺から」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年05月10日投稿。




ふと、外を見る。
雲が流れて、木々の枝葉はそよそよと快さそうに揺れている。
その下。その下に視線を落とす。
目に入る。
墓。
あぁ、この下には何百という命だったものが埋まっているのか。
そこで脳をトリップさせてみる。
多くの墓の中に、ぽつりとある一角。無縁仏たち。
たぶん、この周辺で、彼、もしくは彼女は死んだんだ。
どうして?
どうしてだろう。考えてみる。
あぁ、そうか、殺されたのか。
いつもそこに思考は落ち着く。
じゃあ何で殺されたのか。
あぁ、そうか。ここは山が近いから、たぶん夜討ちにあったんだ。
山の中の深い木々。
連れ込まれて、穿たれて。
要らなくなったら、はい終わり。
打ち捨てられて、そのまま朽ちる。
誰か縁者がいればよかったのに、彼、もしくは彼女には、そんな人もいなくて。
だから、捨てられて、異臭を放つまで、気にもとめられなかった。
またか。
寺の住職が顔をしかめる。
そして煩わしそうに、同じ列に並べるんだ。
と、チャイムが鳴る。
教室の中を見る。授業はいつの間にやら終わってしまったようだ。
淀んだ空気、そよぐこともない心。
その中で、あぁ、自分自身も独りぼっちで。
いつかあの列に加えられるのかな、なんてね。






タグ:2010
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