2015年04月13日投稿。
中途半端なところで切れていたので多少加筆しました、多少。
言葉の繰り返しの後、ぶっつり切れていたので。
文体、昔から変わらないなぁ、と。
これは京阪乗りながら久しぶりに創作したいなとか思いながら、今度こそ投稿するんだって書いたやつです。
それがここまで書いて放置だったので、供養供養。
いつか書き切ってみたいです。
俺は古城を望む街のスラムで生まれた。父の存在は知らない。大勢いた母の金ヅルの一人だろうと踏んでいる。
母の口癖は、
「いつかあの城から王子様が迎えにきてくれる」
だから貴方も、今に幸せな夢を見られるわ。
いつもいつも、よくもまぁそんな馬鹿げたことが言えるもんだ、と、心の中で嗤っていた。
そんな夢物語のいつかなんかより、俺にとって大事なのは、今、この飢えを忘れられて明日も生きていられる、ということだけだった。そう、俺は死んでしまいたくなかった。死んでしまいたくなかったのだ。
目の前で虫にまみれ昨日まで共に話していた人間だったもの、紅い水溜まりの中でもう誰なのかも判らなくなったもの、そんなものには決して、なりたくなかった。
だから、生きるためには、割と何でもやった。
スリは路地の向こうのあんちゃんに教わった。
闇市のじっちゃんに気に入られてナイフを握ったのは六つの誕生日のことだった。
小さな子供が好きだなんて馬鹿な大金持ちの遊びに身体も貸してやったし、それで金と旨いもんが手に入るなら、別にそれでよかった。
もし何かヘマをして命の危険を感じた時には、俺は空から逃げた。闇夜と一緒になって、置き去りにした馬鹿どもを嘲りながら罵りながら、母の待つスラムに逃げた。
あまりに怖くて帰るなり母の腕の中で泣いたこともあった。
母がいない時は、あんちゃんやじっちゃんの布団の中で一緒に眠った。あんちゃんは何にも言わずに横にいてくれたし、じっちゃんは笑って抱き締めてくれた。
きっとそれは、幸せなことだったんだと、思う。
それが俺の幼少期だった。
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