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2020年05月04日

【禍因子育て企画】「大正妖怪異聞-廓座お仙-」【二夜目、番外】

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2013年05月08日投稿。




ぽてぽてぽて。
何かが近付いてくる音がしたかと思うと、不意にぎゅうううぅと抱き締められた。
「銀の字?」
いや、違う。
もっと小さな何かだ。
「誰だい?」
言うも、その後ろに掻きついてきた何かは引っ付いたまま。
お妲は溜め息を吐いた。
銀の字かと思ったんだけどね。
そう、この掻きつき方には覚えがある。銀が後ろから引っ付いてくる時と、そっくりな感触なのだ。身長差はあるものの、ぎゅうううぅと何も言わずに掻きつくように引っ付いてくるのだ。それと、すごく似ている。
「誰だい?」
お妲がもう一度言うと、後ろからひょっこり鬼子が顔を出し、なぁー、なぁー、と声を出してきた。
「何だ、お紀伊かい」
確かそんな名前だったとお妲は思い出しながら、声を掛ける。
さて、銀は何処に行った。鬼子の世話は銀の仕事のはずだ。
「ひどいね、銀の字の奴、アンタをひとりぼっちにして」
お妲は手を差し出した。それを小さな手でぎゅっと掴んでくる。
なかなか可愛いところがあるものだ。
くすりっ、お妲は笑った。
「じゃあ、銀の字が戻るまでアタシの部屋に来るかい?」
言いながら、お妲は歩き出す。もちろん、その手をぎゅっと手に取ったまま、鬼子もぽてぽてとついてきた。
そうしていくらか歩いた長屋の奥の奥、そこにあるのがお妲の部屋だった。
「さ、お入りぃさ」
言ってお妲は部屋の道具箱を漁り始めた。何か小さな子が遊べそうなもの。おはじきくらいか。
そう思って、おはじきの入った小さな袋を手に振り向くと、鬼子は部屋の隅の布団を引っ張っている。
「なんだい、アンタ眠いのかい?」
お妲が言う間に、引っ張り出してそこに布団を敷いてしまった。そしてそこに寝転がると、ぽんぽん、ぽんぽん、自分の隣を叩きながら、なぁー、なぁー、と鳴いてみせた。
お妲は一瞬ぽかんと口を開けたが、すぐに微笑んだ。
「何だ、一瞬に寝てほしいのかい」
可愛らしいねぇ。
そう言うと、着ていた着物をするするするりと脱ぎ捨てて、襦袢姿で鬼子の横に寝転がった。
すると鬼子は毛布を手繰り寄せ、乱雑に、お妲に掛けてきた。
それにお妲はつい笑みを漏らす。
「ほらっ、馬鹿だねぇ、それじゃあアンタが寒いだろ、二人入るように掛けるんだよ」
そう言ってお妲は毛布をそっと掛け直した。
じゃあ、おやすみ。
そう言うと、ころころころころと、嬉しそうに喉を鳴らして鬼子が応えてくる。なんとも可愛いものじゃないか。
お妲はぎゅうううぅ、と鬼子を抱き締めた。
「アンタ偉いねぇ、銀の字にしてもらったこと、嬉しかったからアタシにもしてくれるなんてねぇ」
なぁー!
腕と胸の辺りから、嬉しそうな、威張ったような、そんな声が聞こえてくる。
それを優しく撫でながら、ぼんやりと、二人、微睡みに身を任せるのであった……。


続く






【禍因子育て企画】「大正妖怪異聞-廓座お仙-」【二夜目】

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2013年05月08日投稿。




「おい、お紀伊、お前は何が好きなんだ? 何を食べるんだ?」
なぁー、なぁー、
がくりっ、銀は肩を落とした。
さっきからずっとこの調子なのである。
何を尋ねても子猫のように鳴くばかり。言葉は話せないらしい。しかし、どう教えればいいのか皆目見当がつかない。
洗濯を教えようと着物を横で洗って見せてやったが、楽しそうにじっと見はするけれど、やってみるかと尋ねても子猫の声を出すばかり。
その後薪を取りに行ったら、いきなり薪をがぶがぶかじりだしたもんだから、これは食べるものじゃない! と引き剥がすのに苦労したものだ。まぁ、つい先ほどの話だけども。
とりあえず、堅いものがいいのかと、座長の部屋から削る前の鰹を盗んで与えてやったのだが、がじがじ噛んでもうなくなってしまった。どうしよう。また盗んできた方がいいのだろうか。いや、一回でも肝が冷えたのに二度目に挑むなんてできるはずもなく。
はぁああああぁ、溜め息を吐いた。
既に挫折一歩手前である。
「もう子育て全般そうだけど、何が無理って食べ物どうすればいいのか本当に分かんないだけど」
堅いものが好きだからって、木なんて食べさせられないし。
「というかアレか? 木を食べて生活する種族とか? なぁ、もしかしてお前木を食べる種族なのか?」
銀はぽんぽんと紀伊の頭を叩いて聞いてみる。
しかし、ぽかんとした顔が帰ってくるばかりで、どうしようない。
はぁああああぁ、
何度目かになる溜め息を盛大に吐くと、銀は立ち上がった。
このままこうしていても仕方ない。紀伊の世話だけでなく、仕事はたくさんあるのだ。
「おい、お紀伊、布団出してやるからちょっとお昼寝するか。いや、するか、っていうか、しろ。寝ろ。とりあえず寝ててくれ、頼むから」
そう言って、銀は紀伊の手を引いて、自分の部屋へと連れていく。
その間も紀伊は子猫のように、なぁー、なぁー、と鳴いている。
なぁー、と鳴く生き物なのだろうか。
それとも誰かの真似だろうか。誰かに教わったのだろうか。
いや、まぁ、まだ小さいから鳴くことしかできないだけで、言葉もきっと覚えるに違いない。
そんなことをぼんやり思いながら、部屋の隅に畳んである布団を引っ張り出して、紀伊の目の前に敷いてやった。
枕、は、まだ紀伊は小さいから、その辺に畳んで縛っていた袴を取ってきて置いてやった。
それをぽかんと口を開けて紀伊は見ている。
そんな姿は可愛いと思うけれども、やっぱり自分には無理なのではという考えが消えてくれない。困ったことに。
銀はぽんぽんと布団を叩いた。
「お紀伊、ほら、ねんね、」
ぽんぽん、ぽんぽん。
紀伊は首を傾げる。
「ほら、ねんねだよねんね、ねんねしな」
紀伊は右に折った首を、今度は左に傾けた。
銀はきょとんとする。
もしかして紀伊は、寝る、ということがどういうことか、いまいちわかっていないのかもしれない。
これは困った。
銀は顔をしかめて頭を掻く。
しかしどうにか紀伊を寝かしつけなければ、干した洗濯を取って畳むことも出来ない気がする。
現に薪を取りに行った時、薪を食べ物と勘違いしてどれもこれも食べようとしていた。あんな堅いものをがじがじしっかり噛むものだから、引き剥がすのに相当苦労したものだ。って、これはさっきも言ったか。まぁつまりそれほど大変だった、ということだ。
さて、どうしたものか。
銀は考える。
自分は小さな時、どうしてもらっていたか。
いや、そんな小さい頃の記憶が残っているはずもないけども。
そしてまた銀は溜め息を吐く。
「お紀伊、ねんね」
そう言って、ごろりっ、布団に転がった。
「お紀伊、おいで。ほら、ここに、ねんね、ねんねだよ」
ぽんぽんと隣を叩きながら銀は言うと、にっこりと微笑んだ。
暫く、紀伊はきょとんとそれを見ていた。
そして同じように布団の上にぽてりと転がると、ぎゅっ、と銀に掻きついてきて。
可愛い。
しかし、予想外の展開である。
残念ながら銀には洗濯物を取り込んで畳み、皆の部屋へと配るという仕事がある。興行が終わるまでにそれを片付けてしまわないと、怒られてしまう。特に、座長のそれが遅れてしまうと、恐ろしい仕置きが待っているに違いない。
座長の命令は絶対だし、何より、先ほどの鰹節の件もある。いや、バレてないと信じたいが。
「お紀伊、ねんねはお前だけだよ。俺はちょっと仕事があるんだ」
そう言って、ぎゅうううぅ、と衣服に掻きついた紀伊を剥がそうとする。が、しかし、これまた小さいのにどこからそんな力が出てくるのか、なかなか剥がれそうにない。
仕方ない。
「紀伊! ねんねはお前だけって言ってるだろ!」
ばちんっ、
銀は紀伊の頬に手を食らわせた。同時に、後悔した。
俺は何てことを……、
すると、なぁー、なぁー、なぁー! と抗議するかのように鳴き始め、尚も強く銀に掻きついた。今度は服だけじゃなく、銀の身体そのものに、だ。
その様子を見て、銀は降参した。
もとはと言えば自分が仕事の邪魔だと無理矢理紀伊を寝かそうとしたのがいけなかったのだ。
それなのに、ちょっと都合が悪いからってひっぱたくなんて、俺は最低だ……。
「紀伊、ごめんな」
そういうと、銀は傍に用意してあった毛布を手繰り寄せると、自分と紀伊に、すっぽりと掛けた。
「紀伊、ねんね、一緒にねんねしような」
そう言って、目を瞑りながら、ぽんぽんと紀伊の背中を叩いてやる。
ああ、そういえば、ここに拾われて初めての夜、まだ人に戻る力が足りずに衰弱していた自分を、お妲姐さんが優しく抱いて寝てくれたっけな……。
銀は、ぎゅうううぅ、紀伊を抱き締めた。
そういえば紀伊を頼まれてから半日も経ってやしないのに、何だか酷く疲れた気がする。
寝かしつけがてら少しぐらい休んだって、と、考え終わるか終わらないか、銀は意識は深い夢の奥へと落ちていった……。




「銀の字、銀の字、早く洗濯物入れちまわないとお仙が怒……、」
言いながら戸を開けて、お妲はぽかんと口を開けた。
そこには、鬼子を抱き締めて眠る銀の姿があって。
つい、頬が緩んだ。
「仕方のない子だねぇ、」
でも、まぁ、お疲れ様。
そう言って部屋の戸をそっと閉めた。
暫くして畳んだ洗濯物が枕元に置かれるのに銀が気付くのは、もう少し先のことである。


続く






【禍因子育て企画】「大正妖怪異聞-廓座お仙-」【一夜目】

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2013年05月04日投稿。




「銀の字、ほれ」
「はい?」
どさっ、
水を張ったたらいでいざ洗濯しようと着物の袖を捲っら、銀の目の前にお妲姐さん、の、持ってきた何かよく分からない塊が、放り投げられた。
「何ですか、こ……、」
そう口を開こうとした瞬間、もぞもぞもぞ、その塊がいきなり動き出したものだから、銀は吃驚して腰が抜けた。
それを見てお妲は面白そうに笑った。
「禍因、とか言うらしいよ。小さな角が可愛いもんじゃないか」
「は、はぁ、」
いまいちお妲の言いたいことが飲み込めない。そして抜けた腰が立ってくれない。情けないものだ。いつものことだけれど。
そうして腰を抜かしたまま銀がその塊を見ていると、それはいきなり起き上がって、じー、と銀を見つめてきた。そう、それはそれは深い、真っ黒な眼で。
銀はそれをまじまじと見返す。
真っ黒な眼に、青い肌に角。瞳はまっすぐ自分を見つめてくれている。心なしか座り方が猫のようだ。ぶかぶかのシャツを着て、じーっ、と、こちらを見てくれている。
「鬼の子ですか? 初めて見ました」
銀がお妲に問うと、お妲は肩を竦めた。
「いんや、アタシの知ってる鬼とも少し違うねぇ。もしかしたら大陸の生き物なのかもしれないよ」
「はぁ、」
「アタシだってそれに関しては何も知らないのさ。お仙にさっき、『この子、銀の字に育てさせてみてちょうだいっ!』って、言われたばかりだからねぇ」
「はぁ、」
銀は肩を竦めた。
これは困った。座長の言葉は絶対である。しかしながら、子育ての経験がないのに加えて、そもそも相手が何だかよく判らない生き物ときた。お手上げに決まっている。
「姐さん、俺には荷が勝ちすぎるよ」
「お仙は、アンタを指名だよ」
「姐さん、でも俺には……、」
無理だ、と、言葉を続けようとすると、なぁああああぁ、と、か弱く鳴く声。
なぁー、なぁー、なぁー、
どうやら目の前の鬼子が鳴いているらしい。いや、鬼ではないそうだけれども。
「可愛い……、」
銀は頬を緩めて、鬼子に手を伸ばした。
撫で撫で。
頭を撫でると目を瞑り、ころころと喉を鳴らしている。ますます猫のようだ。
「誰ぞから預かって暫くお仙が面倒見てたらしいがね、お仙も仕事があるもんだから世話しきれんみたいだよ。こんな可愛いんだ。育ててやっておやりよ」
お妲は言った。
「……、」
「アンタが育てなかったら、この子はどうなるんだろねぇ……、」
お妲の悲しそうな声が耳に響く。
止めてくれよ姐さん、俺が姐さんの悲しそうな声に弱いと知っててそんな風に言うの……。
「っていうか姐さん、お仙さんのその言い方、俺が暇だとでも言いたいように聞こえるんだけど」
「暇だろう?」
「ちょっ、暇なわけがないじゃないですか現に今貴女に邪魔されて洗濯が始まってすらいません!」
すると、きょとんとした顔でお妲は銀を見つめる。
そんなお妲から顔を逸らして、ぽつり、
「ズルいよ姐さん、俺ばっかり意識して、」
お妲に聞こえないほど小さな声で、銀は一人ごちた。
「銀の字?」
「子育てなんて僕には分かりません。無理です」
顔を逸らしたまま、銀は言った。
するとまた、なぁー、なぁー、なぁー、と、悲しげな子猫のような声を出す。
銀はまた、鬼子を見た。
なぁー、なぁー、なぁー、
そうか、コイツも育てる人がいなければ捨てられてしまうのか……。
「姐さん、俺に、育てられるかな……?」
銀は鬼子の顔を撫でてやりながら、お妲に尋ねる。
すると、次はお妲の手が銀に伸びてきて、
「分からないことがありゃアタシも手伝うさ。ね、銀の字、一緒に育ててみようさね」
と、優しく銀の頬を撫ぜた。
だからもう、そんなことされたら受け入れるしかないじゃないか。
「姐さん、ズルいよ……、」
そしてこくりと頷いた。
「姐さん、俺、やってみるよ」
すると、見るからにぱぁあああぁあ、と明るくなった顔で、お妲はぎゅうぅ、と、鬼子越しに銀を抱き締めた。
頑張ろうねぇ、銀の字、二人で子育てだよ!
そう言って一人はしゃぐお妲に抱き締められて、顔が真っ赤になってしまったのを、抱き締められてるが故に見られずに済み、銀にとってはそれだけが救いだった。
そうして暫く抱き締められていた後、ふっと温もりが離れていった。
少し心残りを感じて、銀は鬼子を抱き寄せた。
「よろしくなー、え、えーと、」
よろしくと言おうとして、名前が出てこない。
「えっと、姐さん、この子、名前……、」
「あ、あぁ名前。お仙もまだつけてないみたいだよ。禍因ってのは種族の名前だろうし、どうだい、アンタつけてやったら」
座長……、面倒なことは全部俺任せですか……。
がくっ、銀は自分の肩が思いきり落ちたのが、自分でも嫌なほど分かった。
名前、名前なんて、どうやってつければいいか分からない。
銀はまた、まじまじと鬼子を見つめる。青い肌に角。どう見ても噂に聞く青鬼なのだが、お妲は違うという。
「名前ってどうつけるもんなんだろ」
銀がぽつりと漏らすと、お妲はこともなげに、笑って言った。
「銀の字、お前は銀色狐だから銀、だろう? お仙は仙人石の前にいた二又猫だから仙次郎だ。そんな簡単なのでいいのさ」
「……、」
お仙さん、そうか、本当の名前は仙次郎なのか……、って、そうじゃなくて……。
「つまるところね、銀の字が呼びやすい名前でいいのさ。それが一番、愛着が湧くだろう?」
お妲は微笑む。
その眩しさから目を逸らすように、銀はまた鬼子を見つめて。
「呼びやすい……、じゃあ……、紀伊、かな。お紀伊、とか、可愛い、気が、する……」
まぁ、鬼だから「きい」なんだけ……、
「銀の字、アンタ鬼子を音読みしてそのまんまつけただろ」
「ふぇええぇっ、そんなっ、ち、違っ!」
何でわかったんすか姐さん!
銀はお妲を見つめる。
そしたらお妲は肩を竦めて、それ以上名前に関しては何も言わずに言った。
「アンタ、この子をお紀伊と呼ぶみたいだけどね、まだこの子、性別がないそうだよ」
「蝸牛かよ」
「見た目も何もかも、育てたアンタ次第ってわけだ。頑張りなぁね」
「姐さんんんん、ますます荷が勝ちすぎるよぅ」
銀が涙ぐみながら返すのも知らぬ存ぜぬな風を吹かし、お妲はくるり、踵を返した。
「そうさね、まずは洗濯でも教えてやんな」
「ちょっ、姐さ……、」
銀の声も聞かぬふりして、お妲はひらひら手を降ると、さっさか歩いて宿舎の中に消えてしまった。
それを悲しげに、いや、むしろ困惑した表情で見つめた後、銀ははぁああああぁああぁ、と盛大に溜め息を吐いた。そしていつの間にか横から自分に掻きついてる鬼子の頭をぽんぽん叩いてやって、
「よろしくな、お紀伊、」
と優しく囁いてから、すくっと立ち上がった。
「よっしゃ、やるぞ!」
こうして、銀の子育て録が、幕を開けたのであった。




がたりっ、
引き戸を抉じ開けると、お仙がいつものように紙とにらめっこしながら煙管を燻らせていた。
そんなお仙に跳ねるようにお妲が近付いていく。
「お仙、銀の字、育てるって、さぁ」
そう言って後ろからお仙を抱き締めた。
すると、お仙はにやりと口の端を歪めた。
「言ったろう、お妲。男はねぇ、悲しげになぁなぁ鳴くのに弱いんだ。情に厚い銀の字のことだ絶対引き受ける、って、言ったろう」
「さすが、男におもねるのは天下一だねぇ、お仙」
「一番に鳴き方を教えて正解だったろう? あぁあ、これから銀の字がアレを育てるのに四苦八苦するのを見るのが楽しみだねぇ、」
「楽しみだねぇ、お仙」
そう言っておなご二人、黒い笑いを浮かべていることを、洗濯を教えるのに既に四苦八苦している銀が知ることはないのであった。


続く






【禍因子育て企画】「大正妖怪異聞-廓座お仙-」【キャラ紹介】

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2013年05月03日投稿。




おはようございます、さまにゃんこです。
やらかしました。
登場キャラに関する記述は追々作中で、と思っていたんですが、一話目をほぼ半分書き終わった今、キャラの見た目に関する記述をどうしても突っ込みきれないことに気付いて戦慄しております。
自分の計画性のなさに吃驚です。いや本当に吃驚です。
ということで、一話目公開前に先に主要登場キャラの見た目だけ、フライングしておくことにしました。内面とかは、話と共に読んでいってもらえると嬉しいです。












ぎんぎつね。
銀色の髪を肩ほどで切った男の子。背こそそれなりに伸びてきたが、まだまだあどけなさが残る。瞳ははしばみ色で、肌は白っぽい。
人型だと165センチぐらい、獣型だと100センチちょっとぐらいの銀狐。


お妲
九尾の狐。
艶やかな黒髪は腰ほどもあり、仕事をするときはいつも結い上げているが、普段はだらりとそのままにしている。
身長は175ほどと、女にしては高め。瞳は赤。胸は大きく、腰はくびれ、妖艶な姿を維持している。
狐になっても175ほどの巨躯のため、人々には恐れられている。尻尾はふさふさ。全身の毛を入念に手入れしており艶やかである。


仙次郎(お仙)
猫又。
身長は170と、お妲よりも低め。髪はいつも結い上げており、綺麗な黒髪。かんざしにはだいたい鈴がついている。瞳も黒。黒猫。
獣型は小さな猫で、尻尾が二つある以外はその辺にいそうな黒猫である。
お仙と呼ばれおなごの着物を着てはいるが、男である。胸はない。











とりあえず、出てきそうな三人だけ書いておきますね。
むしろ他のキャラ登場時はちゃんと文章中に見た目の描写を入れれるようになりたいです(苦笑)
本編開始はもう少しで書き上がる(予定です)ので、暫しお待ちを。

【禍因子育て企画】「蜜牢」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2013年05月02日投稿。




ここは暗い。
僅かな光が射し込む朝、僕は鉄格子から手を伸ばす。けれど空には届かない。
陽が落ちる。
向かいの牢の鉄格子の窓。眩しい眩しい光がいつも消えていく。
向かいの牢にはいつしか生き物が消えていた。
異臭を訴えたが除けるのも面倒らしい。暫く気にしてなかったら、よくよくみれば白くなっていた。
あぁ、これが僕の成れの果てか。
ぼんやり思った。
主人に飽きられた時点で判っちゃいたことだが、目の当たりにするとやっぱり堪えた。
あの人は特異な生き物が好きだった。真っ赤な髪に真っ赤な瞳が珍しいと、市場で僕が売られている僕をすぐに引き取り愛でていた。
あの人の望むことは何なりやったつもりだけど、暫くして飽きたのか、僕はここにぶちこまれて、来る日も来る日も、あの人と空を乞うだけになってしまった。
望むべくは、また、あの人の傍に行きたいのだけど。
小さな灯り取りの窓、冷たい台に毛布を敷いただけの寝床。服はぼろ。日に三食の飯だけが時を教えてくれる。
そんな生活、馬鹿馬鹿しいったらないね。
そう思うのに、閉じ込められ片羽根をもがれてしまっては、もう、与えられる生にすがるしかできなかった。
これは、そんな世界の物語。











こんばんわ、さまにゃんこです。
えっと先ほどと同じく子育て企画の世界観を、と思い書いたのですが…、
牢屋に世界観も何もないだろう!(爆)
となりまして、こんな雑になりましたすみません。
脳内ファンタジーですので、牢屋ってどんなのかなぁ、って考えたら同性恋愛か異形種倉庫しか浮かびませんでした(大爆)
異形種の方がまだ万人受けするかと異形種にしておきましたすみませんでも本当牢屋で男の子囲うのって名のある領主ぐらいなんで本当に同性恋愛にしようか考えたんですがまだ許されそうな異形種恋愛にしておきました(爆死)
こっちは割と何も考えてないです。
廓座お仙は一回考え出すとこう育ててこうするからきっとこうなるはずだ、的な妄想が膨らんだんですが、こっちは割と本気で、育ててみたら育つだろみたいな行き当たりばったりになりそうです。
どちらが先にどう進んでいくのか本当に怪しいんですが、禍因子育て企画、よろしくお願いします。
いや本当見捨てず見てやってもらえると嬉しいですよろしくお願いします…、(苦笑)

【禍因子育て企画】「大正妖怪異聞-廓座お仙-」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2013年05月02日投稿。




確かそらぁ、江戸も終わりに近付いた頃だったかの、上方の廓にそれはそれは妖艶な遊び女がおったそうでな、ほんによう流行っておったらしい。元々は下町のひっそりとした廓が、その遊び女のお蔭で一時栄華を極めたという話だで、たいそうなおなごじゃったんじゃろう。
しかしそれも長くは続かんで、それでも二十年、三十年、店の歴史では一瞬のことでも、人の歴史では長いこと、そのおなごはずっと、ずっとずっと、そこでは一番最高の遊び女じゃった。
それがある日、急に姿を消してしもうたらしいてね。
ほんにある日、急に。
部屋に仕えの下女が上がったら、真っ赤な振袖一枚、それだけ残して消えておったらしい。そう、もう、紅差しからなんから、全部全部消えてしもうて、真っ赤な振袖たった一枚床に広げて。
たいそう女将は怒りを露にしたらしいが。それもそうさね、その遊び女おってこそ栄えた廓じゃき。それで旦那も女将もそらもう必死に探しまわって、それでも見つからせなんだ。
人々は噂した。
どこぞの男と駆け落ちしたんじゃなかろうか、て。
噂もほうぼういろいろ出たが、やっぱりこれが一番有力でな、それだけ以外はどんな噂かも残っておらん。
その後どこに行ったともしれん。
それから幾年過ぎ、幕府ものうなってしもて、そこの廓ものうなって。
なぁ、
あの遊び女は、どこにいってしもたんじゃろなぁ、











大正妖怪異聞-廓座お仙-

2020年04月22日

「宿り木になりたい」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2012年11月16日投稿。




「私は貴方の宿り木になりたいの」
 彼女は言った。
 共に育ち共に人生を進む相老になどならなくていい。そこに今存在している貴方の、宿り木になりたいの、と。
「貴方にずっと寄生していたいのよ」
 貴方の養分を吸って、貴方を身体に吸い続けて、一生貴方に生かされたいの。
 ねぇ。
 彼女は言って、髪を掻き上げる。
 いいよ、もう、僕のこと、吸い尽くしていいよ。
 口から本音が出そうになる。
 だけど、言えない。
 言ってしまったら、嘘になる。
「一生なんて短い間じゃダメだよ」
 君はもっと、もっともっともっともっと生きていかなけりゃ。
 もうすぐ終わる命に寄生したところで、
「そうね」
 彼女は悲しそうに微笑んだ。
「それなら私、ずっとずっと、死ぬまで独りぼっちだわ」
 その表情は、ひどく、ひどく、美しかった……。






タグ:2012

2020年04月19日

「壊れた君を」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2012年06月14日投稿。




アタシはアイツが嫌いだった。
涼しい顔で、何でも持っていたから。
生まれとかどうしようもないものに難癖をつけるのは悪趣味だと分かっていても、アタシはアイツのそういうとこが大嫌いだった。
アイツは何でも持っていて、アタシは何にも手に入らなくて。
そのくせ世の中は皮肉なもんで、何でも持ってる筈のアイツは、何にも要らないみたいだった。
そこがまた、アタシはすっごく嫌いだった。
だから、壊してしまおうと思った。
それだけ。
それだけだった。
アイツを壊してしまえば、アタシは、幾分か救われる気がしたから。
気がするだけじゃ、意味がないのにさ。




「壊れた君を、只、愛してる」











こんばんわ?
おはようございます?
どっちもさして変わりありませんね。
久しぶりに物語を書こうかなんて思い上がってみたのに、何も考えずにつらつら文字を綴ったらこんなことになってしまいました。
文章力欲しいです。切実に(苦笑)
タグ:2012

2020年02月09日

「鬼殺し」序

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2011年09月01日投稿。




下らないものを御守りだなんて思って持ち歩いて、それをちょっと付け忘れただけでもう何にもできない何もかも終りだ、なんて思って。
何てちっぽけな人間。何てちっぽけな生き方。
でも、きっと、そんな生き方しか出来ないから。
あぁあ。すがるものがなくたって、生きていけるような強い人間に生まれてたらなぁ。











序章/いきる
タグ:2011

2020年01月01日

「恋愛疾患」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2011年06月04日投稿。




恋愛がしたくないと思ったことはないけど、まともな恋愛をしたことがない。
まともな恋愛の線引きがどこからなのかも判らない。
だけど、未だに一人も知らなくて、ましてやただ付き合うなんてことすらしたことない。そんなのでは、いくら一人でときめいていたところで、恋愛などとは呼べないのだろう。
この人なら愛せるかもしれないと思った人は愛してくれなくて、それどころか好きですらいてくれない。だからと言って、無意味に愛してるを繰り返すだけの人にも応えられない。
誰でもいいなら選ばないでほしい。
でも、誰にも選ばれたくないわけじゃない。
この矛盾。
人を好きになるということは経験上、淋しくて悔しくてどうしようもないことで。だからその常態に陥ることを拒否したくなって。

だから私は恋愛なんてものには一生無縁なまま生きていくんだろうな、と思う。

『恋愛疾患』






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