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2019年08月23日

「NO NAME」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年12月30日投稿。




白が溶ける。
灰と化す。
燃え上がってしまえば一瞬で、彼女は世界から姿を消した。
それを咎める人はもはやなく。
ただ一人、僕だけがその灰を前にぼんやり見つめているだけ。
他には何もない。
何もないさ。
こつん。
ふと音が響いた気がして振り向くけれど、そこには、誰もいない。誰もいない。
もう、ここには、誰もいない。
誰もいないんだ。
そう思うと可笑しくって、あはは、あは、あははははは、頬を一筋雫が伝った。
可笑しいや。
どうして零れるんだ。
僕が灯を点したんだ。僕がこの手で点したんだ。
君に光を点したんだ。
それだけなんだ。
なのにどうして、こんなに、今更……、


キミにアイタイ?


あは、あはは、あはははは。
僕はその場に座り込んだ。へたり込んだ。崩れ落ちた。
灰の中。
彼女の残骸を掬いとって。
白が積もる。
手のひらの中が白一色に変わっていく。
白い彼女の粉が結晶と同化して。もう、冷たい。


キミはヌクモリをウシナッテ、シマッタンダ




「NO NAME」






タグ:2010
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