2010年12月30日投稿。
白が溶ける。
灰と化す。
燃え上がってしまえば一瞬で、彼女は世界から姿を消した。
それを咎める人はもはやなく。
ただ一人、僕だけがその灰を前にぼんやり見つめているだけ。
他には何もない。
何もないさ。
こつん。
ふと音が響いた気がして振り向くけれど、そこには、誰もいない。誰もいない。
もう、ここには、誰もいない。
誰もいないんだ。
そう思うと可笑しくって、あはは、あは、あははははは、頬を一筋雫が伝った。
可笑しいや。
どうして零れるんだ。
僕が灯を点したんだ。僕がこの手で点したんだ。
君に光を点したんだ。
それだけなんだ。
なのにどうして、こんなに、今更……、
キミにアイタイ?
あは、あはは、あはははは。
僕はその場に座り込んだ。へたり込んだ。崩れ落ちた。
灰の中。
彼女の残骸を掬いとって。
白が積もる。
手のひらの中が白一色に変わっていく。
白い彼女の粉が結晶と同化して。もう、冷たい。
キミはヌクモリをウシナッテ、シマッタンダ
「NO NAME」
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