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2019年08月23日

「NO NAME」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年12月30日投稿。




白が溶ける。
灰と化す。
燃え上がってしまえば一瞬で、彼女は世界から姿を消した。
それを咎める人はもはやなく。
ただ一人、僕だけがその灰を前にぼんやり見つめているだけ。
他には何もない。
何もないさ。
こつん。
ふと音が響いた気がして振り向くけれど、そこには、誰もいない。誰もいない。
もう、ここには、誰もいない。
誰もいないんだ。
そう思うと可笑しくって、あはは、あは、あははははは、頬を一筋雫が伝った。
可笑しいや。
どうして零れるんだ。
僕が灯を点したんだ。僕がこの手で点したんだ。
君に光を点したんだ。
それだけなんだ。
なのにどうして、こんなに、今更……、


キミにアイタイ?


あは、あはは、あはははは。
僕はその場に座り込んだ。へたり込んだ。崩れ落ちた。
灰の中。
彼女の残骸を掬いとって。
白が積もる。
手のひらの中が白一色に変わっていく。
白い彼女の粉が結晶と同化して。もう、冷たい。


キミはヌクモリをウシナッテ、シマッタンダ




「NO NAME」






タグ:2010

no-title

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。











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「最後だからと」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年12月29日投稿。




君はキレイに笑うんだろうね
それはキレイに笑うんだろうね

でもどうして?

その笑顔が
悲しく映るのは











※「無意味な言葉が僕の翼になる」と並行して某所に投稿していた作品です
タグ:2010

2019年08月22日

「朽ちた世界の果てで唄う詩」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年12月28日投稿。




 空は青く、振り仰ぐと、高く、一羽の白い鳥が、まるで空気に同調するかのようにゆったりと、頭の上を過ぎて行った。遙か昔に滅んだ遺物は海より聳え、この足は、生い茂る新緑を踏みにじって進む。見下ろせば、崖と化した遺物の下には、崩れ去った、建造物の残骸、過去の、栄光、ただ、それだけ。
 その時、遠目に、残骸の島で何かが動くのを見た。
 サッと、地に伏せ下を伺う。警戒の色を消せないのは、一瞬眼の捉えたものが鉄の様に鈍く光ったからだ。
 キラリ、再び下で輝きが走った。その光の元には、薄紫の、髪を振り乱した女。
 敵か?
 恐る恐る崖の下へと顔を出す。そして捉えた、怯えるようにうずくまった女の姿。そして、紅く染まった白き布。
 にやり、口の端が上がるのを抑えられない。相手はどうやら手負いのようで、そして自分を捉えていない。これなら自分の身が危険に晒されることはない、そう踏んだからだ。それに何より、この世界では、人間の命こそが、最も高価な宝石だと知っていたから…。
 女を視界に捉えたまま、ゆっくりと後退る。そして互いに見えぬ所まで来ると、弾かれたように立ち上がって元来た道を駆けた。断崖の岩と岩を器用に跳び、あの高い落差を、瞬時に降りていく。
 あれは何故、こんな場所に?
 相手の存在も解らないまま、遺物の最下段まで降り立った。砂の残った遺物の下は、深く、深い、蒼く染まった海という奈落。生はなく、今は、ただ水面が揺れるだけの、穢れた塩水。触れてはならない。生あるものは、命を吸われてしまうから。
 水に触れぬよう、遺物の周りをじわじわと、裏側から陽の当たる場所へと移動する。
 そこからの動きは、ひどく機敏で、ダッと地を蹴ると、大きく跳躍、上から見下ろした女に覆い被さるように、海に浮かんだ残骸へと飛び移った。だんっ、もつれるように女を押さえつけ、低く、唸るような声で威嚇する。その手には、煌めく短刀。
「何をしている」
 睨みつけた女の瞳は、紅く、手に持つ短刀は、今にも目の前の相手を刺さんかのように首筋を狙っている。
「嫌っ、助け…」
「答えろよ。無駄死にしてぇのか?」
 ニヤリと歪む顔で言った。それは、目の前の命を支配したという錯覚から生まれる悦び。言うなれば、官能。
 女の瞳がギラリと輝く。そして、上げられすぐに振り下ろされる煌めきに、声にならない叫びを上げたのは…、
「!」
 カシャンッ、後ろ手に隠していた銃を振りつけ、視界で薄紫が揺れる。
「残念だったわね」
 勝ち誇ったように言う相手の持つ銃の口は、喉元へとつきつけられ、まぁ、端から見たら絶望的な状況だ。それでも尚、短刀を握ったまま笑みを湛えている。そう、まるで、天使のように…。
「追い剥ぎ? 残念ね、私の命を奪う前にアナタの命が終わってしまうわね」
「それはどうかな」
 女は、彼女は、彼女はおもむろにつきつけられた銃筒を握りしめたる。そして薄紫の女の髪が動揺と共に揺れるのにほくそ笑んでから、軽く、まるで、それはまるで、泥団子を崩すかのように軽く、銃筒に力を込めて、バキッ、亀裂が入った銃筒は、入った途端、一気に細かい鉄くずを女の上へと降らす。
 短く切った赤い髪が、風を受けて揺れる。そしてその風を感じながら、勝利への快楽を感じながら、彼女はクハハッ、と、短く笑った。そして見下したように、呆然と口を開いたまま何も言えずにいる女に視線をくれて言った。
「残念だったな」
 にやり、顔を歪めて笑う彼女は、天使ではなかった。ただ、その美しさは消えず、女はつい、その不釣り合いな存在に見惚れるようで…。
 首を振った。まるで今の状況を認めたくないとでも言うような相手の動作に、彼女は不快を露わに短刀を首筋に優しくあてがった。それは、少しでも動こうものなら簡単に、その喉をかっ切ってしまうだろう。
 そうすることで、生を支配したいのかもしれないな。
 ふっと、自嘲の息を漏らして思った。
 今は、他にすることがあるだろう。
 彼女は舐めるように相手を見ながら思った。そう、それは品定めするかのように入念に、不快感を、抱くほどに。
「何を…、考えているの…?」
 同じ女なのに、と。
 その言葉を聞いて、再び彼女は声を漏らして笑った。
「手前ぇの価値観を人に押し付けんじゃねぇよ」
 ぐいっ、
 あてがわれたその切っ先が皮を裂いて紅い液を散らせたのは、それから数秒も経たない後だった。
タグ:2010 未完成
posted by samanyanko at 20:39| Comment(0) | TrackBack(0) | メモ帳

「灰となって消える」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年12月28日投稿。




世界
崩壊
瓦解
肉塊

火炎
黒煙
私怨
望遠

君の声は
灰となって消える
僕の身体は
廃となって消える











願わくばその声だけは、此の鼓膜に留まらんことを。
タグ:2010

「秘密」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年12月28日投稿。




この秘密は
誰にも知られてはいけない
それは苦しいこと
それは苦しいこと

この秘密は
誰にも知られてはいけない
知られた途端
全て
崩れ去ってしまうから

それは苦しいこと
それは苦しいこと

だから

秘密は秘密でなければならない






タグ:2010

「好きなもの」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年12月28日投稿。




ころころ転がる
貴方の眼
ころころころころ
どこ行くの?
追い掛けたいのに追い掛けられない
ころころころ
ころころ転がる
貴方の眼
契れた時点でもう見えないの?
ころころころころ
どこまでも











つまり、恋は盲目的な、そんな何かです。
人間の臓器で一番美しいのは心臓、パーツは眼球、部位は爪先から踵、踝に至るまで。と、信じて疑ってません。
さて、そろそろまともな創作しようかな。
僕の中のまともの定義が、イッパンロンと掛け離れているのは、知っていますが。
タグ:2010

「虚飾」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年12月28日投稿。




拒む
受け入れられないわと
虚しく映るだけ
そんな世界
要らないの

拒む
美味しくないわと
虚しく通るだけ
そんな食事
食べた気がしないわ

拒む
要らないと
飾り立てられて
嘘しか残ってないのに
どうして受け入れられるの?
そうしたら
お腹の中
何にも残らないの
もう要らない
何にも残らない
嘘の味は美味しくない
入れた後で吐き出して
その不味さをまた知って
死んでしまいそうよ

でも

拒む
生きることを
だって
虚飾の世界
生きていても虚しいじゃない?











グロ連投すみません。グロの波が来てるんです。
僕がこの世で一番信じられないのは偽善者で、二番目に信じられないのは、キョショクショウ、です。
最近過食気味。
ですが、食べ過ぎても自分の限界は分かってます。分からないまま食べたり吐いたり。
信じられません。
タグ:2010

「君は知らない」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年12月28日投稿。




どろどろどろっ、
黒い黒いどす黒い、どすグロい
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ
砕けて散った
誰かの心臓
肝臓腎臓小腸大腸肺心臓
最後に残ったのは何?
何にもない
何にもなぁい
どろどろどろっ、
黒い黒いどすグロい
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ
刺さって砕けた
ああぁああぁあぁああぁ、
もう見えない
前見えない
真っ赤が錆びて
もう見えない
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ
欲しくって
君の内蔵、欲しくって











グロの波が来てます。グロの波が。
知る前に、知らないまま逝けるなんて、幸せな人。
そう思いません?
タグ:2010

「大切な人」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年12月27日投稿。




届けたいのに
届かないの











※「無意味な言葉が僕の翼になる」と並行して某所に投稿していた作品です
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