スポンサードリンク 「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,66: 1分読むだけ文学通
アフィリエイト広告を利用しています
ブログ紹介
(^_-)-☆管理人アスカミチルです。

このブログは、ユーザーさんを文学通にさせるのがねらい!!
内容は2構成。
★YOUTUBEチャンネル
「動画文学通」毎日P.M.4:00までに「三国志演義」朗読更新。

https://www.youtube.com/
channel/UCTZ5GnDOX9
JTi8NHODbF26A

そして、
★「1分読むだけ文学通」毎日P.M.4:00までに谷崎潤一郎「痴人の愛」本文更新。


アスカミチルさんの画像
アスカミチル
<< 2021年04月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
カテゴリーアーカイブ
最新記事
月別アーカイブ
検索
アスカミチルお勧めリンク

広告

posted by fanblog

2021年02月28日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,66


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,66



あの鎌倉へ行った時分とは訳が違うから、彼女を立派に盛装させて社交界へ打って出たら、恐らく多くの婦人の前でも引けを取るようなことは無いだろう。



と、その想像は私に言いしれぬ誇りを感じさせました。

前にも言うように、私には学校時代から格別親密な友達もなく、これまで出来るだけ無駄な付き合いを避けて暮らしてはいましたけれど、しかし決して社交界へ出るのが嫌ではなかったのです。



田舎者で、お世辞が下手で、人との応対が我ながら不細工なので、そのために引っ込み思案になっていた者の、それだけにまた、かえって一層華やかな社会を慕う心が在りました。



元々ナオミを妻にしたのも彼女をうんと美しい夫人にして、毎日方々へ連れ歩いて、世間の奴らに何とか彼(か)とか言われてみたい。

「君の奥さんは素敵なハイカラだね」と、交際場裡(じうり)で褒められてみたい。



と、損な野心が大いに働いていたのですから、そういつまでも彼女を「小鳥の籠」の中へしまって置く気はなかったのです。

ナオミの話では、その露西亜人の舞踊の教師はアレキサンドラ・シュレムスカヤという名前の、或る伯爵夫人だということでした。



夫の伯爵は革命騒ぎで行方不明になってしまい、子供も二人あったのだそうですが、それも今では居所が分からず、やっと自分の身一つを日本へ落ちのびて、ひどく生活に窮していたので、今度いよいよダンスの教授を始めることになったのだそうです。



で、ナオミの音楽の先生である杉崎春枝女史が夫人のために倶楽部を組織し、そして幹事になったのがあの浜田と言う、慶應義塾の学生でした。





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊



次回に続く。

この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/10568668
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。