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2021年02月09日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,46


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,46



「そうです、あの児は賢い児です。しかしその割に餘り英語がよく出来ないと思います。

読むことだけは読みますけれど、日本語に翻訳することや、文法を解釈することなドが、・・・・・・」



「いや、それはあなたがいけません、あなたの考えが違っています」

と、やはり老嬢はニコニコ顔で、私の言葉を遮って言うのでした。



「日本の人、みな文法やトランスレーションを考えます。けれどもそれは一番悪い。

あなた英語を習います時、決して頭の中で文法を考えてはいけません。



トランスレートしてはいけません。英語のままで何度も何度も読んでみる事、それが一等よろしいです。

ナオミさんは大変発音が美しい。そしてリーディングが上手ですから、いまにきっと巧くなります」



なるほど老嬢の言うところにも理屈はあります。

が、私の意味は文典の法則を組織的に覚えろと言うのではありません。



二年間も英語を習い、リーダーの3が読めるのですから、せめて過去分詞の使いかたや、パッシブ・ヴォイスの組み立てや、サブジャンクティブ・ムードの応用法ぐらいは、実際的に心得ていい筈だのに、和文英訳をやらせて見ると、それがまるきりなっていないのです。



ほとんど中学の劣等生にも及ばないくらいなのです。いくらリーディングが達者だからといって、これでは到底実力が要請される道理がない。一体二年間も何を教え、何を習っていたのだか、訳が分からない。



しかし老嬢は不平そうな私の顔つきに頓着せず、ひどく安心しきったような鷹揚な態度で頷きながら、

「あの児は大変賢い児です」

を相変わらず繰り返すばかりでした。



これは私の想像ではありますが、どうも西洋人の教師は日本人の生徒に対して一種のえこひいきがあるようです。





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊




次回に続く。




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