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2021年02月07日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,44


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,44



当時私は、それほど彼女の機嫌を買い、ありとあらゆる好きなことを指せながら、一方ではまた、彼女を十分に教育して槍、偉い女、立派な女に仕立てようという最初の希望を捨てた事はありませんでした。



この「立派」とか「偉い」とかいう言葉の意味を吟味すると、自分でもハッキリしないのですが、要するに私らしい極く単純な考えで、

「どこへ出しても恥ずかしくない、近代的な、ハイカラ婦人」

というような、甚だばくぜんとしたものを頭に置いていたのでしょう。



ナオミを「偉くすること」と、「人形のように珍重する事」と、

この二宇賀はたして両立するものかどうか?



いまから思えば馬鹿げた話ですけれど、彼女の愛に惑溺して目が眩んでいた私には、そんな見やすい道理さえが全く分からなかったのです。



「ナオミちゃん、遊びは遊び、勉強は勉強だよ。お前が偉くなってくれればまだまだ僕はいろいろな物を買って上げるよ」

と、私は口癖のように言いました。



「ええ、勉強するわ、そうしてきっと偉くなるわ」

と、ナオミは私に言われればいつも必ずそう答えます。



そして毎日晩飯のあとで、三十分くらい、私は彼女に会話やリーダーを浚(さら)ってやります。

が、そんな場合に彼女は、例のビロードの服だのガウンだのを着て、足の突先でスリッパをおもちゃにしながら椅子に靠(もた)れる始末ですから、いくら口でやかましく言っても、結局「遊び」と「勉強」とはごっちゃになってしまうのでした。



「ナオミちゃん!何だねそんな真似をして!

勉強する時はもっと行儀よくしなけりゃいけないよ」





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊




次回に続く。




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