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2021年02月06日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,43


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,43



「何だろうあの女は?」

「女優かしら?」



「混血児(あいのこ)かしら?」

などと言う囁きを耳にしながら、私も彼女も得意そうにわざとそこいらをうろついたものでした。



が、その着物でさえそんなに人が不思議がった位ですから、ましてそれ以上に奇抜なものは、いくらナオミが風変りを好んでも到底戸外へ着て行くわけにはいきません。



それらは実際ただ部屋の中で、彼女をいろいろな器に入れて眺めるための、容れ物だったに過ぎないのです。

たとえば一輪の美しい花を、さまざまな花瓶へ挿し換えて見るのと同じ心持ちだったでしょう。



私に取ってナオミは妻であると同時に、世にも珍しき人形であり、装飾品でもあったのですから、あえて驚くには足りないのです。

従って彼女は、ほとんど家で真面目ななりをしていることはありませんでした。



これも何とかいう亜米利加の活動劇の男装からヒントを得て、黒いビロードで拵えさせた三ツ組の背広服などは、恐らく一番金のかかった、贅沢な室内着だったでしょう。



それを着こんで、髪の毛をくるくると巻いて、鳥打帽子をかぶった姿は猫のようになまめかしい感じでしたが、夏は勿論、冬もストーブで部屋を暖めて、緩やかなガウンや、海水着一つで遊んでいることもしばしばありました。



彼女の穿いたスリッパの数だけでも、刺繍した支那の靴を始めとして何足くらいあったでしょうか。

そして彼女は多くの場合足袋や靴下を着ける事は無く、いつもそれらの穿物を直(じ)かに素足に穿いていました。





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊




次回に続く。
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