スポンサードリンク 「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,42: 1分読むだけ文学通
アフィリエイト広告を利用しています
ブログ紹介
(^_-)-☆管理人アスカミチルです。

このブログは、ユーザーさんを文学通にさせるのがねらい!!
内容は2構成。
★YOUTUBEチャンネル
「動画文学通」毎日P.M.4:00までに「三国志演義」朗読更新。

https://www.youtube.com/
channel/UCTZ5GnDOX9
JTi8NHODbF26A

そして、
★「1分読むだけ文学通」毎日P.M.4:00までに谷崎潤一郎「痴人の愛」本文更新。


アスカミチルさんの画像
アスカミチル
<< 2021年04月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
カテゴリーアーカイブ
最新記事
月別アーカイブ
検索
アスカミチルお勧めリンク

広告

posted by fanblog

2021年02月05日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,42


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,42



箪笥を買えばよかったのですが、そういうお金が在るくらいなら少しでも余計衣装を買いたいし、それに私たちの趣味として、なにもそんなに大切に保存する必要はない。



数は多いがみんな安物であるし、どうせ傍から着殺してしまうのだから、見える所へ散らかして置いて、気が向いた時に何篇でも取り換えた方が便利でもあり、第一部屋の装飾にもなる。



で、アトリエの中はあたかも、芝居の衣裳部屋の様に、椅子の上でもソファの上でも、床の隅っこでも、甚だしきは梯子段の中途や、屋根裏の桟敷の手すりにまでも、それがだらしなく放ったらかしてない所はなかったのです。



そして滅多に選択をしたことが無く、おまけに彼女はそれを素肌へ纏うのが癖でしたから、どうも大概は垢じみていました。

これらの沢山な衣装の多くは突飛な裁ち方になっていましたから、外出の際着られるようなのは、半分くらいしか無かったでしょう。



中でもナオミが非常に好きで、おりおり戸外へ着て歩いたのに繻子(しゅす)の袷(あわせ)と対(つい)の羽織がありました。

繻子といっても綿入りの繻子でしたが、羽織も着物も全体が無地の蝦色で、草履の鼻緒や、羽織の紐にまで蝦色を使い、その他は全て、半襟でも、帯でも、帯留でも、襦袢の裏でも、袖口でも、袘(ふき=着物の裾部分)でも、一様に淡い水色を配しました。



帯もやっぱり綿繻子(めんじゅす)で作って、心(しん)をうすく、幅を狭く拵えて思い切り高く胸高に締め、半襟の布には繻子に似たものが欲しいと言うので、リボンを買って来てつけたりしました。



ナオミがそれを着て出るのは大概夜の芝居見物の時なので、そのぎらぎらした眩しい地質」の衣裳をきらめかしながら、有楽座や帝劇の廊下を歩くと、誰でも彼女を振り返って見ない者はありません。





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊




次回に続く。


























この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/10520177
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。