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2021年02月04日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,41


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,41



と叫びながら、直ぐその店へ入って行ってその反物をウィンドウから出して来させ、彼女の身体(からだ)にあてがって見て頤(おとがい)の下からだらりと下へ垂らしたり、胴の周りへぐるぐると巻きつけたりする。



それは全く、ただそうやって冷やかして歩くだけでも、二人に取っては優に面白い遊びでした。

近ごろでこそ一般の日本の女性が、オルガンディーや、ジョーゼットや、コットン・ボイルや、ああいうものを単衣に仕立てることがポツポツ流行って来ましたけれども、あれに初めて目を付けたものは私たちではなかったでしょうか。



ナオミは奇妙にあんな地質が似合いました。それも真面目な着物ではいけないので、筒っぽにしたり、パジャマのような形にしたり、ナイト・ガウンのようにしたり、反物のまゝ体に巻き付けてところどころをブローチで止めたり、そうしてそんななりをしてはただ家の中を行ったり来たりして、鏡の前に立ってみるとか、色々なポーズを写真に撮るとかして見るのです。



白や、薔薇色や、薄紫の、紗(しゃ)のように透き徹るそれらの衣に包まれた彼女の姿は、一個の生きた大輪の花のように美しく、

「こうしてごらん、ああしてごらん」



と言いながら、私は彼女を抱き起したり、腰かけさせたり、歩かせたりして、何時間でも眺めていました。

こんな風でしたから、彼女の衣裳は一年間に幾通りとなく増えたものです。

彼女はそれを自分の部屋へはとてもしまいきれないで、手当たり次第にどこへでも吊り下げたり、丸めて置いたりしていました。





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊




次回に続く。


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