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精液検査のポイント解説(男性不妊症の検査)

精液(semen)は精子と精漿からなりますが、

精液検査は、男性不妊症の診断および治療にとって基本的かつ重要な検査です。

不妊の原因が男性側にある場合(いわゆる男性不妊症)は、

諸説ありますが30〜50%

一般に考えられているよりも多いです。

精液のうち、精子となる成分はわずか5%ほどで

残りは精嚢分泌液を主とした分泌液です。

(なお、精嚢分泌液は精子のエネルギー源となる果糖を多く含んでいます。)

精液検査には禁欲期間が必要で

検査の前は3日以上マスタベーションをしてはいけません

そして7日以上射精をしてなくても逆に運動率が下がるため

禁欲期間は3日以上7日未満が正しい検査のために適切です。

(検査結果には禁欲期間も記載したほうが好ましい)

精液採取は、配偶者がサポートすることも可能ですが

細菌や体液が混入する方法は厳禁です。

精液は20℃以上の環境で1時間以内に検査しないと運動率が下がってしまうため

その点も注意が必要です。

また、男性の精液の状態は日々の変動が激しいので

採取回数は通常3ヶ月以内に2回は行わないと正しい検査ができません

総量も大切な情報なので、全量を採取できる清潔な口径の広い容器に採取します。

精子濃度は

実際に顕微鏡で精液専用の計算板を用いて

運動率とともに目視で計算します。

※Maklerの計算板による1mL中の精子数は10区画内の精子数×10^6となります。

精子濃度のWHOによる基準値は1mLあたり2000万以上です。

総量は個人差が激しいのですが2mL以上あれば基準値内とします。

つまり、1回の射精で4000万以上の精子が放出されていれば基準値内です。

新鮮な精液のpHは弱アルカリ性で7.2〜7.8ほど。

炎症などが起きている場合はpHが8以上となることもあります。

逆に無精子症でpH7以下の場合は射精管閉塞症や先天性射精管欠損症が疑われます。

血球計算板を用いる精子測定法では精液を希釈するのですが

その際に、精子の数を数えやすくするために

MacComber-Sandere液(重炭酸ナトリウムとホルマリンで調製)という

精子の運動を止める特別な液を使います。

※生理食塩水で希釈すると測定困難となる

精子の運動率も重要な妊娠ファクターとなりますが

こちらはWHOの基準で直線運動を行なっている精子が50%以上が正常です。

精子無力症とは、精子運動率が低下している精液の状態のことを指します。

運動率が低い場合は、死滅精子と生存精子の分別を

エオジン・ニグロシン染色という方法で行います。

精子生存率の基準値は75%以上となっています。

白血球の数も、一緒に数えるのですが、

膿精液症の場合は精液中に白血球が多く存在します。

その場合は白血球と未熟な精細胞を鑑別するためにペルオキシダーゼ染色を行います。

正常な精液の場合、白血球は100万以下/mLです。

最後に、形態検査です。

精子が正常な形態をしていないと精液が卵子までたどり着いても

卵子に進入する能力、すなわち妊孕能(にんようのう)が低くなるため

結果として不妊となりやすくなります。

一般に奇形率が30%以下なら正常な精液と判定されます。

完全に成熟している正常な精子の率は意外と少なく、

15%以上あれば正常とされています。

以上をもう一度まとめると次のようになります。

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精液量・・・2mL以上
pH・・・7.2〜7.8
精子濃度・・・2000万/mL
総精子数・・・4000万以上/回
精子運動率・・・運動精子が50%以上(あるいは高速直進精子が25%以上)
(成熟精子)正常形態率・・・15%以上
精子生存率・・・75%以上
白血球数・・・100万/mL以下
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