2012年11月05日
精液検査のポイント解説(男性不妊症の検査)
精液(semen)は精子と精漿からなりますが、
精液検査は、男性不妊症の診断および治療にとって基本的かつ重要な検査です。
不妊の原因が男性側にある場合(いわゆる男性不妊症)は、
諸説ありますが30〜50%と
一般に考えられているよりも多いです。
精液のうち、精子となる成分はわずか5%ほどで
残りは精嚢分泌液を主とした分泌液です。
(なお、精嚢分泌液は精子のエネルギー源となる果糖を多く含んでいます。)
精液検査には禁欲期間が必要で
検査の前は3日以上マスタベーションをしてはいけません。
そして7日以上射精をしてなくても逆に運動率が下がるため
禁欲期間は3日以上7日未満が正しい検査のために適切です。
(検査結果には禁欲期間も記載したほうが好ましい)
精液採取は、配偶者がサポートすることも可能ですが
細菌や体液が混入する方法は厳禁です。
精液は20℃以上の環境で1時間以内に検査しないと運動率が下がってしまうため
その点も注意が必要です。
また、男性の精液の状態は日々の変動が激しいので
採取回数は通常3ヶ月以内に2回は行わないと正しい検査ができません。
総量も大切な情報なので、全量を採取できる清潔な口径の広い容器に採取します。
精子濃度は
実際に顕微鏡で精液専用の計算板を用いて
運動率とともに目視で計算します。
※Maklerの計算板による1mL中の精子数は10区画内の精子数×10^6となります。
精子濃度のWHOによる基準値は1mLあたり2000万以上です。
総量は個人差が激しいのですが2mL以上あれば基準値内とします。
つまり、1回の射精で4000万以上の精子が放出されていれば基準値内です。
新鮮な精液のpHは弱アルカリ性で7.2〜7.8ほど。
炎症などが起きている場合はpHが8以上となることもあります。
逆に無精子症でpH7以下の場合は射精管閉塞症や先天性射精管欠損症が疑われます。
血球計算板を用いる精子測定法では精液を希釈するのですが
その際に、精子の数を数えやすくするために
MacComber-Sandere液(重炭酸ナトリウムとホルマリンで調製)という
精子の運動を止める特別な液を使います。
※生理食塩水で希釈すると測定困難となる
精子の運動率も重要な妊娠ファクターとなりますが
こちらはWHOの基準で直線運動を行なっている精子が50%以上が正常です。
精子無力症とは、精子運動率が低下している精液の状態のことを指します。
運動率が低い場合は、死滅精子と生存精子の分別を
エオジン・ニグロシン染色という方法で行います。
精子生存率の基準値は75%以上となっています。
白血球の数も、一緒に数えるのですが、
膿精液症の場合は精液中に白血球が多く存在します。
その場合は白血球と未熟な精細胞を鑑別するためにペルオキシダーゼ染色を行います。
正常な精液の場合、白血球は100万以下/mLです。
最後に、形態検査です。
精子が正常な形態をしていないと精液が卵子までたどり着いても
卵子に進入する能力、すなわち妊孕能(にんようのう)が低くなるため
結果として不妊となりやすくなります。
一般に奇形率が30%以下なら正常な精液と判定されます。
完全に成熟している正常な精子の率は意外と少なく、
15%以上あれば正常とされています。
以上をもう一度まとめると次のようになります。
************************************************************
精液量・・・2mL以上
pH・・・7.2〜7.8
精子濃度・・・2000万/mL
総精子数・・・4000万以上/回
精子運動率・・・運動精子が50%以上(あるいは高速直進精子が25%以上)
(成熟精子)正常形態率・・・15%以上
精子生存率・・・75%以上
白血球数・・・100万/mL以下
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精液検査は、男性不妊症の診断および治療にとって基本的かつ重要な検査です。
不妊の原因が男性側にある場合(いわゆる男性不妊症)は、
諸説ありますが30〜50%と
一般に考えられているよりも多いです。
精液のうち、精子となる成分はわずか5%ほどで
残りは精嚢分泌液を主とした分泌液です。
(なお、精嚢分泌液は精子のエネルギー源となる果糖を多く含んでいます。)
精液検査には禁欲期間が必要で
検査の前は3日以上マスタベーションをしてはいけません。
そして7日以上射精をしてなくても逆に運動率が下がるため
禁欲期間は3日以上7日未満が正しい検査のために適切です。
(検査結果には禁欲期間も記載したほうが好ましい)
精液採取は、配偶者がサポートすることも可能ですが
細菌や体液が混入する方法は厳禁です。
精液は20℃以上の環境で1時間以内に検査しないと運動率が下がってしまうため
その点も注意が必要です。
また、男性の精液の状態は日々の変動が激しいので
採取回数は通常3ヶ月以内に2回は行わないと正しい検査ができません。
総量も大切な情報なので、全量を採取できる清潔な口径の広い容器に採取します。
精子濃度は
実際に顕微鏡で精液専用の計算板を用いて
運動率とともに目視で計算します。
※Maklerの計算板による1mL中の精子数は10区画内の精子数×10^6となります。
精子濃度のWHOによる基準値は1mLあたり2000万以上です。
総量は個人差が激しいのですが2mL以上あれば基準値内とします。
つまり、1回の射精で4000万以上の精子が放出されていれば基準値内です。
新鮮な精液のpHは弱アルカリ性で7.2〜7.8ほど。
炎症などが起きている場合はpHが8以上となることもあります。
逆に無精子症でpH7以下の場合は射精管閉塞症や先天性射精管欠損症が疑われます。
血球計算板を用いる精子測定法では精液を希釈するのですが
その際に、精子の数を数えやすくするために
MacComber-Sandere液(重炭酸ナトリウムとホルマリンで調製)という
精子の運動を止める特別な液を使います。
※生理食塩水で希釈すると測定困難となる
精子の運動率も重要な妊娠ファクターとなりますが
こちらはWHOの基準で直線運動を行なっている精子が50%以上が正常です。
精子無力症とは、精子運動率が低下している精液の状態のことを指します。
運動率が低い場合は、死滅精子と生存精子の分別を
エオジン・ニグロシン染色という方法で行います。
精子生存率の基準値は75%以上となっています。
白血球の数も、一緒に数えるのですが、
膿精液症の場合は精液中に白血球が多く存在します。
その場合は白血球と未熟な精細胞を鑑別するためにペルオキシダーゼ染色を行います。
正常な精液の場合、白血球は100万以下/mLです。
最後に、形態検査です。
精子が正常な形態をしていないと精液が卵子までたどり着いても
卵子に進入する能力、すなわち妊孕能(にんようのう)が低くなるため
結果として不妊となりやすくなります。
一般に奇形率が30%以下なら正常な精液と判定されます。
完全に成熟している正常な精子の率は意外と少なく、
15%以上あれば正常とされています。
以上をもう一度まとめると次のようになります。
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精液量・・・2mL以上
pH・・・7.2〜7.8
精子濃度・・・2000万/mL
総精子数・・・4000万以上/回
精子運動率・・・運動精子が50%以上(あるいは高速直進精子が25%以上)
(成熟精子)正常形態率・・・15%以上
精子生存率・・・75%以上
白血球数・・・100万/mL以下
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