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リパーゼ(lipase)の種類

リパーゼ とは,中性脂肪(=トリグリセリド,トリアシルグリセロール)を遊離脂肪酸FFAとグリセリン(あるいはモノグリセライド)に加水分解する酵素であり

一般にはリパーゼ=膵リパーゼとして膵液中に含まれる消化酵素として知られている。

医学的には,リパーゼはその臓器分布や基質特異性などの性質の違いにより4つに分類されており
以下の4つである。

1) 膵液中に含まれる膵リパーゼ
→一般的に測定される血清中のリパーゼであり,基準値は11〜53U/Lである。
特徴的なこととして、中性脂肪(トリアシルグリセロール)を2-モノアシルグリセロールと2分子の遊離脂肪酸へと分解することがあげられる。
リパーゼは急性膵炎,慢性膵炎ともに高値となり,アミラーゼよりも高値が持続する。また,リパーゼは耳下腺由来のアイソザイムがあるアミラーゼと比較して,膵特異性が高いことが特徴である。

2) 脂肪細胞に含まれるホルモン感受性リパーゼ
→アドレナリンなどのホルモンによって活性化され,脂肪細胞からエネルギーを取り出す働きを持つ。

3) 脂肪組織(正確には脂肪細胞外の血管内皮細胞の表面)に含まれるリポタンパクリパーゼ
→リポタンパクリパーゼ(LPL)は血管壁に存在していて,通常は血中には(−)だが,
  ヘパリンを静注することで血流中に遊離する性質があるため測定できる(=ヘパリン負荷試験

4) 肝臓に含まれる肝性リパーゼ
→肝臓でのリポ蛋白の代謝に関与している。

リパーゼの測定法は酵素法で ,「1,2-ジリノレオイルグリセロール」を基質として
β酸化系酵素を用いて反応させることで生じてくるNADHを測定する方法である。

なお,インスリンはリポ蛋白中のLPLを活性化させ,血漿中のTG分解を促進し,脂肪酸を遊離させるとともに,筋肉中のLPL活性を低下させる作用がある。なおかつインスリンは脂肪細胞内に存在するホルモン感受性リパーゼ活性を低下させる。

すなわち,血糖が上がりインスリンが分泌されると血糖が細胞に取り込まれるだけでなく,
この3つの作用が全て,血漿中のTGを分解して脂肪細胞内へ移行させ,
再びTGへと合成させる方向に働くため,肥満になりやすくなる。

逆に言えば,インスリン分泌不全のT型糖尿病の患者はこのメカニズムにより
脂肪細胞の合成が抑制され,痩せ型体質となるのである。


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