2011年10月19日
刑事事件における精神鑑定とは
事件が起こった時,しばしば被告が「心神喪失」や「心神耗弱」として
無罪になることがある。
これは精神医学的分類(刑事精神鑑定)を行った際,
「判断能力を完全に失っていた」状態あるいは
「判断能力を著しく障害されていた」状態
と判断されるためである。
こう判断される疾患は
統合失調症や躁鬱病患者に比較的多い。
その他てんかん,アルコール中毒,覚醒剤中毒,知的障害,精神病質などでも
心神喪失・心神耗弱と認定されるケースがある。
刑法第39条に基づき,「精神鑑定」が行われて,刑事責任能力がない場合は
その刑が減免されるのである。
この精神鑑定では
・犯行時および現在の精神病の診断(DSM-4-TRないしICDに準拠)
・動機の了解可能性/不能性
・犯行の計画性の有無
・行為の意味,性質,反道徳性,違法性の認識
・自らの精神状態の理解,病識
・精神障害による免責の可能性の認識
・犯行時の人格異質性(平素の状態との差)
・犯行の一貫性,合目的性
・犯行後の自己防御,危機回避的行動(逃走や証拠隠滅など)の有無
などの情報を精神鑑定書にまとめて鑑定者に提出する。
このような過程を経て,世の中の事件は一部無罪放免となるのである。
従って精神障害による免責の可能性の認識を
誤って判断してしまうことだけは避けなければならない。
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