こんにちはコウジです。
「回路量子電磁力学」の原稿を改訂します。
今回の改定点はリンク切れ情報の改定です。
また、細かい文章も再考しています。しっかり正確に。
そして沢山情報が伝わるように努めます。
理研の中村泰信さんの論文から
最近、中村さんに大変注目していて、そこから話を始めます。
特に最近稼働を始めた量子コンピューターを勉強している中で
私が今まで分かりづらかった情報読み出し機構について
明快に2021年の論文で解説をしています。
ジョセフソン接合
ユーチューブで公開されていますが、
理化学研究所導入の量子コンピュータでは
「100nm~200nmのジョセフソン接合」
を使い量子ビットの回路を作り上げています。
ジョセフソン接合は具体的に超伝導体(例えばAL)
で絶縁体(例えばAL2O3)を挟みます。これを使い
従来型の回路であるLC共鳴回路を発展させていく
事が出来ます。いわば超電導状態で働くLC回路です。
【以下、応用物理‐第90巻より引用(太字部)】
超伝導体と超伝導体の間のトンネル接合であるジョセフソン
接合の寄与により,強い非線形性を導入することができる.
ジョセフソン接合は回路上で非線形なインダクタンス
として振る舞う.
理化学研究所で導入している量子コンピュータを始めとして
世界中で今開発されているほとんど全ての量子コンピュータ
では回路量子電磁力学の考え方に基づき設計され、
コプレーナ型伝送線路、ミアンダの回路、超電導共振器
といった各種アイディアを応用しています。
世界中で今開発されているほとんど全ての量子コンピュータ
では回路量子電磁力学の考え方に基づき設計され、
コプレーナ型伝送線路、ミアンダの回路、超電導共振器
といった各種アイディアを応用しています。
超伝導共振器を使うアイディア
【以下、応用物理‐第90巻より引用(太字部)】
量子情報を非調和的な量子ビット回路に蓄えるのではなく,
超伝導共振器に蓄えようという アプローチである.
後者の利点として,ジョセフソン接合を必 要としないため,
電磁場モードが空間中に広がり表面・界面 欠陥の影響を
受けにくい 3 次元的な空洞共振器を用いるなどして,
量子ビットと比べて高い Q 値(=ω/k)すなわち長いコヒーレンス時間
を実現することが容易であることが挙げられる.加えて,
共振器中のデコヒーレンスは光子の損失によるエネルギー緩和
が支配的で位相緩和がほぼ無視できること,また調和振動子特有の
等間隔に並んだ多数のエネルギー準位によって形成される大きな
状態空間を用いた量子誤り訂正符号を実装可能 であることも利点である.
超伝導共振器に蓄えようという アプローチである.
後者の利点として,ジョセフソン接合を必 要としないため,
電磁場モードが空間中に広がり表面・界面 欠陥の影響を
受けにくい 3 次元的な空洞共振器を用いるなどして,
量子ビットと比べて高い Q 値(=ω/k)すなわち長いコヒーレンス時間
を実現することが容易であることが挙げられる.加えて,
共振器中のデコヒーレンスは光子の損失によるエネルギー緩和
が支配的で位相緩和がほぼ無視できること,また調和振動子特有の
等間隔に並んだ多数のエネルギー準位によって形成される大きな
状態空間を用いた量子誤り訂正符号を実装可能 であることも利点である.
₍中略)
量子ビット状態の非破壊射影読み出し機構として,
こ の回路量子電磁力学のアイデアが使われている.すなわち,
量子ビットにそれとΔだけ離調した読み出し用共振器を結合させ,
量子ビットの状態に応じた読み出し用共振器の共鳴周波 数シフト
(分散シフト〜(g^2) /Δ)を,読み出し用マイクロ波パルスの受ける
反射位相の変化として検出することによる
量子ビット状態の非破壊射影読み出し機構として,
こ の回路量子電磁力学のアイデアが使われている.すなわち,
量子ビットにそれとΔだけ離調した読み出し用共振器を結合させ,
量子ビットの状態に応じた読み出し用共振器の共鳴周波 数シフト
(分散シフト〜(g^2) /Δ)を,読み出し用マイクロ波パルスの受ける
反射位相の変化として検出することによる
また、もともとの考えは
A. Wallraff, D.I. Schuster, A. Blais, L. Frunzio,
J. Majer, M.H. Devoret, S.M. Girvin, and R.J. Schoelkopf
等によって Phys. Rev. Lett. 95, 060501 (2005).にて議論
されていた内容です。中村氏がSQUIDなどと合わせて
全体像を解説してくれている中で紹介されています。
コヒーレンス時間は長いほど良くて、計算量の増加につながり
より複雑なアルゴリズムに対応した計算機を可能にします。
現状での課題は高速化(〜100 ns)
・高忠実度化(>99 %)・周波数多重化(〜10ビット)。
(論文中引用55へ,論文中引用56へ).
・高忠実度化(>99 %)・周波数多重化(〜10ビット)。
(論文中引用55へ,論文中引用56へ).
また、関心のある表現として
「波長オーダで空間的に分布した相互作用が存在する場合」
「波長オーダで空間的に分布した相互作用が存在する場合」
を考えています。すなわち、波長オーダーをもった波動関数
が存在し、それが巨大原子として存在するのです。
「光と相互作用する超電導回路内での」作用です。
が存在し、それが巨大原子として存在するのです。
「光と相互作用する超電導回路内での」作用です。
私はこの考えに教えられ、今まで見てきたユーチューブなどでの
量子コンピュータ基盤のパターンが納得出来るようになりました。
共振側の回路でのコヒーレント時間が確保できれば
実用上、量子コンピューターの計算が進められます。
共振側の回路でのコヒーレント時間が確保できれば
実用上、量子コンピューターの計算が進められます。
コヒーレンス時間とは量子コンピュータを考えるうえで
非常に大事な概念で、量子的に考察した時の性能指標
と言えます。それはおおよそ0.1ナノ秒程度の
時間を目安に考えて下さい。この時間が
量子コンピュータでの計算では重要となります。
また
コヒーレント時間を私は
コヒーレント時間を私は
「(電源ではなく)情報に対するトランスミッター」といった
イメージで超伝導共振器を考えています。
超伝導共振器に情報を蓄えるのです。
イメージで超伝導共振器を考えています。
超伝導共振器に情報を蓄えるのです。
共振を始めた時点で古典力学的な振り子運動がイメージ出来て
離散的な2準位系で|0>と|1>という2つの状態(ケット)
が共振していくのです。重ねあわされた量子ビットの完成です。
離散的な2準位系で|0>と|1>という2つの状態(ケット)
が共振していくのです。重ねあわされた量子ビットの完成です。
また時間を作り、
量子コンピューターについて更に考えてみる積りですが、
こうした明快な論文を出来るだけ見つけていきたいです。
時は金なり。ありがたい時間です。
他、参考論文:
東京理科大・柳 英明「ナノテクノロジー分野別バーチャルラボ 」
東京理科大・柳 英明「ナノテクノロジー分野別バーチャルラボ 」