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2022年08月24日

私だけの特捜最前線→25「完全犯罪・350ヤードの凶弾!〜大物政治家に敢然と立ち向かう橘刑事の執念」

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※このコラムはネタバレがあります。

この作品は、巧妙な手段で殺人を実行する大物政治家の姿を冒頭で視聴者に見せ、そのトリックを刑事たちがいかに暴くか、という視点で物語が進められて行きます。主役は橘刑事(本郷功次郎)です。

大物政治家(嵯峨善兵)の側近とも言える政治家が、特命課や大物政治家の目の前で射殺されます。橘は、大物政治家の挙動に不信感を抱き、周辺捜査をしながら状況証拠を集め始めました。

大物政治家は、特命課に乗り込んで神代課長(二谷英明)に圧力をかけてきます。その態度に橘は、大物政治家こそ「犯人」だという確信を持ち、自らのクビをかけて敢然と立ち向かうのです。

神代は、橘に「謹慎」を命じます。が、それは橘が自由に動けるようにするための方便だったのです。橘の持ち味である地道かつ丹念な捜査により、大物政治家の犯罪を匂わせる状況証拠がそろいつつありました。

その間、橘は一時捜査に行き詰まり、本当にクビを覚悟した時もありました。しかし、桜井刑事(藤岡弘、)をはじめ、同僚刑事たちは橘の姿に奮起し、協力を惜しみません。素晴らしいチームワークです。

ドラマを通じて、橘刑事が特命課の支柱的存在であることを示すとともに、とくに若手刑事たちが橘を慕い、心を一つにする姿を描いています。そのチームワークによって、大物政治家のトリックが崩せたのです。

大物政治家には、戦争で人殺しをしていたという過去がありました。そのことに真摯に向き合わず、逆に屈曲した形で彼の人格の中に残ってしまい、些細な理由から殺人を犯す結果になったのです。

ウクライナへのロシア軍侵攻のニュースが連日伝わっています。戦場の最前線では、大物政治家と同じように「人殺し」をさせられている軍人たちがいるという悲しい現実に、怒りを覚えてやみません。

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私だけの特捜最前線→24「警視庁番外刑事!〜夏夕介氏扮する叶旬一刑事の登場編」

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※このコラムはネタバレがあります。

津上刑事(荒木しげる)の殉職編の翌週、特命捜査課に早くも新しい顔が登場します。叶旬一刑事(夏夕介)です。その初登場編はなかなかの破天荒ぶりで、最初から個性が際立っていました。

何者かに手製のライフルで狙われる叶。若くして警部補になったほどのエリートですが、平気で暴力を振るうような荒っぽさがあり、所轄署をたらい回しにされてきた札付きでもあります。

捜査に乗り出した神代課長(二谷英明)は、強引に叶を特命課に配属させます。しかし、叶は単独捜査を止めようとしません。やがて叶には、孤児院で育ったという「隠したい過去」があることが判明するのです。

このエピソードでは、叶刑事の本質が見事に描かれています。暴力刑事と陰口を叩かれますが、その相手は権力を振りかざしたり、反社会的な連中だったりで、彼は「弱者を守る」ことに徹していたのです。

そんな叶の本質をいち早く見抜いたのが、なんと高杉婦警(関谷ますみ)だったというのが、いかにも特捜らしい(笑) 吉野刑事(誠直也)なんかは「過去がなんだ!」と怒鳴るくらいですから(苦笑)

吉野といえば、叶刑事を演じる夏夕介氏は、この少し前に「六法全書を抱えた狼!」に犯人役で出演していました。吉野との体当たりの演技が評価され、晴れて特捜のレギュラーに抜擢されたとのことです。

叶刑事はこのあと、特捜最終回までレギュラーとして出演し続けます。夏夕介氏は、残念ながら59歳という若さで亡くなってしまいましたが、映像を通して若き夏氏の雄姿を見続けていきたいと思います。

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私だけの特捜最前線→23「殉職II・帰らざる笑顔!〜単なる津上刑事殉職のドラマに終わらせない特捜」

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※このコラムはネタバレがあります。

特捜最前線が他の刑事ドラマと一線を画す特徴として、「刑事を殉職させない」との方向性があったと言われています。500回余の作品で殉職したのは二人だけ。その一人が津上刑事(荒木しげる)だったのです。

人気刑事ドラマだった「太陽にほえろ!」は、若手刑事の殉職をドラマチックに描いていました。殉職回のクライマックスは、事件解決よりも殉職シーンに重点が置かれていたように思われます。

津上刑事殉職編は「殉職I・津上刑事よ永遠に!」「殉職II・帰らざる笑顔!」の前後編で、前編こそ殉職へ向かうカウントダウンのように描かれていますが、後編のストーリーはちょっと違っているのです。

津上刑事は後編の冒頭で殉職してしまいます。しかし、事件は解決したわけではなく、さらに恐るべき事態へと進展していき、津上を失った特命課の刑事たちは焦りからか、冷静な捜査が出来なくなってしまうのです。

そんな刑事たちにヒントを与えてくれたのが、津上の「言葉」でした。前編の様々なシーンで何気なく口走った津上の「言葉」がキーワードとなり、事件解決へと導いていったのです。

殉職をドラマのクライマックスに据えるのではなく、一つの「過程」にとどめ、あくまでも捜査と事件解決を軸にしているところに、特捜最前線らしさを感じます。むろん、津上殉職をドラマチックに描きつつです。

殉職後、たった一人残された津上の妹が、神代課長(二谷英明)に「兄さんを返して!」と泣き叫ぶシーンには胸が痛みました。肉親の悲痛な思いをストレートに表現している演出にも特捜らしさがうかがえます。

神代も以前、娘が事件に巻き込まれて殺されるという経験をしています。その時、「娘さんを殺したのはあんただ!」と糾弾したのが津上でした。妹を見る神代の辛そうな表情が印象的なシーンでもあります。

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私だけの特捜最前線→22「警視庁窓際族!〜長門裕之氏の窓際警視シリーズ第1弾」

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※このコラムはネタバレがあります。

神代警視正役の二谷英明氏が怪我で番組を離れた際、ピンチヒッターとして一時特命課を指揮していた蒲生警視(長門裕之)が、セミレギュラーで登場することになった最初の作品です。

吉野刑事(誠直也)らが麻薬の売人を追跡中、ひょんなところで蒲生と再会します。蒲生は所轄署に勤務していますが、いわゆる「窓際族」になっていました。その蒲生と吉野が合同捜査をすることになったのです。

ところが蒲生は、昼間は公園のベンチでごろ寝、夜はスナックで女の子とイチャイチャと、やる気のなさ全開。特命課を指揮していた頃の面影は全くなく、吉野は苛立ちを募らせていくのです。

それでも神代課長は「蒲生から目を離すな」と厳命します。蒲生は一見サボっているように見えて、実は独自に捜査していたことを神代は見抜いていたのです。その鋭い捜査手腕に吉野は感心させられるばかり。

事件解決後、蒲生は花形ポストに栄転されます。特命課に怒鳴り込み、神代に「余計なお世話だ」と食って掛かかる蒲生。その言葉通り、次回登場作では再び「閑職」の身となっていました(笑)

番組としての蒲生警視の位置づけは非常に重要だと思われます。特命課の絶対的リーダーである神代課長に対し、唯一真っ向から物が言える人物だからです。もちろん神代も蒲生には一目も二目も置いていました。

また、エリート集団である特命課のメンバーに対し、在野の立場かつ叩き上げのベテランとして、様々なアドバイスを与えています。まさに名バイプレーヤーと言っていいでしょう。

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私だけの特捜最前線→21「6000万の美談を狩れ!〜真っ向からぶつかり合う橘と桜井」

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※このコラムはネタバレがあります。

桜井刑事(藤岡弘、)が復帰してから半年、ナンバー2の橘刑事(本郷功次郎)とはしっくり来なかったようです。その代表的なエピソードが第131話「6000万の美談を狩れ!」でした。

ビルから男性が転落死した事件を巡り、桜井は「自殺」、橘は「強盗殺人」と推理し、真っ向から意見がぶつかり合います。自殺と他殺では、支払われる生命保険金の額が大きく異なるという背景もありました。

現場検証を元に、桜井と橘は自分の主張を繰り返します。桜井は「甘いねえ、それじゃあ捜査はできんぜ」と売り言葉を吐いたのに対し、橘は「誰に向かって口利いているんだ」と激怒するのです。

ここで神代課長(二谷英明)が割って入ります。二人の捜査は詰めが甘いと指摘した上で「もっと突っ込んだ捜査をしてから俺の前に来い」と叱り飛ばし、この場を収めてしまいました。

これは私の推測ですが、「特捜最前線」というドラマを続けていくうえで、橘と桜井のわだかまりの解消は必要不可欠だったとスタッフは考え、このエピソードを入れたのではないかと思います。

桜井が復帰した当時、二谷氏のけがで神代課長は不在でした。不在のまま対立してしまうと、特命課は真っ二つに割れてしまいます。だからこそ、神代課長が仲裁する役目を担う必要があると考えたのでしょう。

さてドラマでは、桜井が新しい証拠を探し出してくれば、橘は証拠の矛盾を見つけ出す−という感じで進んでいき、そうした捜査過程を通して徐々に真実とへ近づき、同時に二人のわだかまりが解けていくのです。

コラムではストーリーの紹介を差し控えておきますが、事件そのものの真相と、それを知った家族の思いがラストに描かれ、「後味の悪い結末」を持ち味とする特捜らしさがうかがえます(苦笑)

このエピソード後、橘と桜井が表立って対立することはなくなり、桜井は橘をナンバー2と認め、絶大な信頼を持つようになるのです。

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マイケルオズ@フリーランスライター
「特捜最前線」がマイブームになっているオヤジです。リアルタイムの頃は津上刑事より若かったのに、今はおやっさんよりも年長者になりました(苦笑)
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