2016年11月21日
アガサ・クリスティから (79) (ミス・マープルと十三の謎*@-7)
(ミス・マープルと十三の謎*@-7)
「どの娘だって?伯母さん、なんのことを言ってるんです?」
レイモンドが聞いた。
「あのかわいそうな娘、グラディス・リンチですよ。もちろん、医者が話しかけたらすっかり取り乱してしまったというその子ですよ・・・かわいそうに、取り乱したのも無理はありません。悪者のジョーンズこそ絞首刑になるのが当たり前です。かわいそうな娘に人殺しをさせたんですからね。でもあの子も絞首刑をまぬがれないでしょうね、かわいそうに。」
「ミス・マープル、あなたは少しばかり思い違いをしておいでだと思います。」
弁護士であるペザリック氏が口を出した。
しかしミス・マープルは頑固に首を振り、ヘンリー卿の方を見た。
「私の言う通りでしょう、違ってますか?私にははっきりとわかってますもの、ハンドレッズ・アンド・サウザンズ(非常に細かい金平糖のような砂糖粒)・・・それからトライフル・・・これを見逃しちゃいけないんですよ。」
「ハンドレッズ・アンド・サウザンズがなんですって?」
レイモンドが大きな声を出した。
伯母(ミス・マープル)は彼の方を振り返って、説明を始めた。
料理人はたいてい、トライフルの上にハンドレッズ・アンド・サウザンズを振りかけるという。
ハンドレッズ・アンド・サウザンズ=細かいピンクと白の砂糖の粒。
ミス・マープルは、夫が誰かにハンドレッズ・アンド・サウザンズという言葉を手紙に書いたと聞いた時、すぐにこの二つのものを結び付けて考えたらしい。
つまり砒素が混ぜられたのは・・・このハンドレッズ・アンド・サウザンズの中だったのだと。
ジョーンズ氏は砒素をその娘に渡して、トライフルに入れるように言いつけたのだと。
「でもそれは不可能だわ。だって皆がトライフルを食べたんですもの。」
ジョイスが早速、口をはさんだ。
(次号に続く)
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